情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

法務省傘下の団体との契約が前提となる国選制度って?!

2006-07-29 02:41:01 | é©æ­£æ‰‹ç¶šï¼ˆè£åˆ¤å“¡ãƒ»å¯è¦–化など)
いま,弁護士会では,国選刑事弁護を継続して受任するかどうかが大きな問題となっている。10月から国選弁護活動をするためには,法務省管轄の日本司法支援センター法テラスと契約をしなければならないからである。これまでは弁護士会が国選弁護人を推薦する権利を有していたが,今後は,法務省管轄の支援センターが国選弁護人を指名することになる。争うべき事案を特定の法務省寄りの弁護士に集中させるようなことになるかもしれない。そういうことになれば,刑事弁護は死滅する,そういう危機感を抱いている弁護士も多い。

もちろん,杞憂だという見方もあろう。しかし,権力に対抗してきた弁護士はそう楽観的にはなれない。高知のある弁護士は,「10年前までだったら,こんな組織の契約弁護士になることを望む弁護士が何人いただろうか。当時も今も,弁護人と捜査機関の立場は何も変わっていない。だから,法務省の監督下にある『弁護人』など,私にはおよそ考えられない」と,センターとの契約拒否理由を述べている。

ある若手弁護士は,「弁護士自治は,所与の特権ではない。市民の人権を守るためには,時に国家権力と真っ向から対峙できる独立した機関が必要であるということから,先輩たちが勝ち取ってきたものだ。法務省の機関が国選弁護の運営を行うという仕組みは,この弁護士自治を骨抜きにする。事件処理の内容についてセンターのコントロールが及ぶことは不可避である。そんな仕組みの中の刑事弁護人は,国家の処罰儀式の立会人に過ぎない」と断じている。

センターのHPには,業務の紹介欄に次のような一文が掲載されている。

【⑤国選弁護関連業務
法テラスは,迅速・確実に国選弁護人を確保して,捜査から裁判まで一貫した国選弁護体制を整備し,裁判員制度の実施を支えます。】

国選弁護体制を整備し,裁判員制度の実施を支える…この発想は,まさに法務省,お上そのものではないか。裁判員制度の実施を支えるための弁護人,私はそんな者にはなりたくはない。

私は,刑事被告人(被疑者)の権利を擁護し,ひいては,適正手続を確保し,市民の人権を擁護するために,刑事弁護活動をしてきたのであり,司法の制度を支えるための弁護などやる気にはならない。

なぜ,国選弁護の現制度を変更する必要があるのか,理解できない。市民に対する司法サービスを充実させるという支援センターの趣旨には賛成するが,国選弁護の分野まで傘下に納める必要はないはずだ。

法務省傘下の司法支援センターとの契約をするくらいなら,無料で国選弁護をする方を選びたい。






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誰も、何も、知らないうちに、「悪事は進むよ、どこまでも」 (デカルト)
2006-07-29 03:18:56
裁判員制度の整備という大義名分の下、というか、

裁判員制度を隠れ蓑にして、司法制度の果てしない改悪が進んでいるのではありませんか?



一般市民で、こうした一連の制度の改変を知っている人が、一体、何人いるでしょうか。



新聞記者達も分かっていないのでは?
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法テラスの欺瞞 (高野 善通)
2006-07-29 03:51:58
>【5国選弁護関連業務

法テラスは,迅速・確実に国選弁護人を確保して,捜査から裁判まで一貫した国選弁護体制を整備し,裁判員制度の実施を支えます。】(機種依存文字は訂正ささせていただきました)



 ということは、国選弁護人のみならず、裁判員制度についても法テラス自らが「裁判員制度は国家権力の論理を市民を強制的に押し付ける」と言っていることにもなりかねません(TB先も参照)。

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いいけどさ (いいけどさ)
2006-07-29 12:33:21
なにを今さら言ってるの?

この制度がいつできたか、ご存じですか?

今になって気がついてあわてて批判ですか?

素人ならともかく、弁護士がそれではね。
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国選弁護の名簿管理問題は (ヤメ蚊)
2006-07-29 13:12:44
割りと新しい問題なんですよ。個人的にはずっと反対し続けてきています。
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良くないのでは? (デカルト)
2006-07-29 16:10:47
いいけどさ様へ  >なにを今さら

と言う割には、

国民のほとんどが、この裁判員制度の内容を理解していないのはなぜですか。



イロイロな法律(制度)が、いつの間にか作られ、

やっと国民が気付いた時は、既に遅しで、拒否する人は犯罪者(違反者)としての扱いを受けるとは?



平穏に暮らしていた庶民に、このような多大な犠牲を齎して実施される裁判員制度が、引き換えとして、庶民に与えてくれる恩恵は、なんなのでしょうか。

ご存知なら教えてください。



(免除制度があるとおっしゃるかも知れませんが、これは一種の「吹っかけ詐欺」であり、制度の矛盾点ですので、今回はこれには言及しないで答えて下さい)
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国選ってこれから (DANZO)
2006-07-31 06:52:16
法テラス関連で

被疑者国選に資力要件がつくみたいですね。

http://www.asahi.com/national/update/0728/TKY200607270747.html?ref=rss

でもこれって、どうやって調べるんですかね。被疑者にきけばそれでいいのか。被告人国選に移行してから、保釈申請する際に150万とか200万とか払ったら、それまでの被疑者国選はどうやって説明したらいいのやら。否認の被疑者が、50万円着手金に使っちゃって、必要な調査・鑑定ができなくなったりしたらどうするつもりなんでしょうかね。
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