世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

日本経済の持病 日銀の注射程度で治療不可、有効な処方箋はあるのか

2012å¹´11月01æ—¥ | æ—¥è¨˜
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)
クリエーター情報なし
筑摩書房


励みになります、応援よろしく
人気ブログランキング

日本経済の持病 日銀の注射程度で治療不可、有効な処方箋はあるのか

 ã€€æ”¿åºœã¨æ—¥éŠ€ãŒæŸã«ãªã£ã¦ã€é‡‘融緩和政策を打ち出した。景気対策に対し、“野田内閣も日銀も何もしていないじゃないか”と云う指摘を回避する便法に過ぎないことは当然である。朝日は以下のように報じているが、こんな瑣末な経済政策を詳細に論じても、一片の価値も見出せないのだろうと達観する。

≪ 11兆円の追加金融緩和決定 日銀、異例の2カ月連続
【橋本幸雄】日本銀行は30日の金融政策決定会合で、11兆円の追加金融緩和を行うことを決めた。欧州危機や中国経済の減速が響いて日本の景気が急速に冷え込んでいるため、9月に続き、2カ月連続で追加緩和を行う異例の措置に踏み切る。市場に大量のお金を流し込み、景気の底割れを防ぐ。
 国債などを買い入れて資金を供給する「基金」の枠をいまの80兆円から91兆円に11兆円増やす。日銀は9月に基金枠を70兆円から80兆円に増やしたばかり。2カ月連続の金融緩和は、りそなグループの実質国有化で金融不安が広がった2003年4~5月以来、約9年半ぶり。
 国債の買い入れを10兆円増やすほか、社債や株価連動の投資信託(ETF)などの買い入れ枠も1兆円増やす。金利を下げて企業の投資を促すとともに、株式市場の底上げもねらう。
 貸し出しを増やした金融機関に対して、無制限で低金利の資金を貸し出す新たな制度も導入する。政策金利(金融機関どうしによる無担保・翌日返済の取引の 金利)を0~0.1%に誘導する事実上の「ゼロ金利」政策も続ける。
 これらの政策は、日銀の政策委員9人(総裁、副総裁2人、審議委員6人)の全員一致で決めた。
 野田内閣は26日、4千億円規模の経済対策を打ち出したが、日銀も追加緩和で歩調を合わせた。30日の決定会合後、政府と日銀は白川方明(まさあき)総裁、前原誠司経済財政相、城島光力財務相の連名で、デフレからの早期脱却に向け「一体となって最大限の努力を行う」との共同声明を出した。
 一方、日銀は景気判断については、10月5日の前回会合時の「横ばい圏内」から「弱含み」に下方修正した。欧州の不況に加え、夏以降は中国経済の減速も鮮明となり、日本からの輸出が低迷。さらに日中関係の悪化、国内の自動車販売を支えてきたエコカー補助金の終了といった悪材料も重なり、自動車や電機、鉄鋼業界などで生産が落ち込んでいる。
 日銀は今後の経済見通しをまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表。12、13年度の経済成長率と物価上昇率の予測を引き下げた。14 年度の物価上昇率の見通しは、14年4月に予定されている消費増税の影響分を除くと0.8%で、日銀が目標とする「1%」には届かなかった。来年4月に5年間の任期を終える白川総裁にとっては最後の展望リポートだが、任期中には「デフレ脱却」の道筋を示せなかったことになる。≫ (朝日新聞デジタル)

 筆者などは、多くの読者からも反論を受けるが、日本の経済成長に関して悲観的だ。人間にとって停滞とか、退潮と云う言葉は耳に痛いのだが、客観的事実を見つめ、冷酷無残で無慈悲な世界を想像しても、心が塞ぎこまない精神を育てて行く事も重要と考えている。政治家の言葉には、彼らが有権者から選ばれなければならないと云うジレンマを携帯した人種である事を、肝に銘じて評価しなければならない。どれ程勇ましい言葉を連発しようが、美辞麗句を並べようが、駄目なものは駄目なのである。

 客観的事実は、世界の経済は金融資本によるグローバリゼーションが蔓延した以上、今さら後戻りできないパンドラの箱の蓋を開けてしまったと云うことだ。この金融資本と国境なき経済の枠組みは、「悪魔の最強コンビ」のようなもので、開発した人間の思惑など構わずに、モンスターと化したのである。我が国の経済は、独自の土地株バブル崩壊修正の舵取りの失敗(当時の日銀総裁三重野のハードランニング政策)で、失われた20年を経験したのだが、その是正に着手しようとした矢先、今度は金融資本と国境なき経済の枠組みによる、先進各国全体を覆う、静かな大不況に見舞われたわけである。こんな重症患者に処方箋などある筈はない。

 製造業によって産みだされる製品は、低い製造原価をひたすら求めるメカニズムに陥っているし、それを売ろうとする販売業者は、何処よりも廉価に販売する為に日夜奮闘する。これで、デフレ経済が緩やかなインフレ経済になるわけがない。どんな阿呆にでも判りそうなメカニズムだ。当然、製造業者も販売業者も、直近の競争に生き残る為に、己の身体を削ってでも打ち勝とうと努力する。このようなメカニズムは、何も日本に限った事ではなく、先進諸国すべてに共通する、運命になりつつある。技術立国で勝負だとか、経済評論家達はしたり顔で言うが、そんな瑣末なレベルの技術革新で、「悪魔の最強コンビ」を打ち負かす事など出来はしない。

 では、どのようにすれば良いのか?それが判れば苦労はしない。「悪魔の最強コンビ」を産んでしまった以上、彼らが行き着くところまで行くのをジッと待つしかないだろう。その行き着くところとはなにか?それは判る。後進国巡りが一巡し、地球規模で富の平準化が起きた時に、「悪魔の最強コンビ」の姿は消えうせるのだろう。インドやアフリカの貧困層が、モノの買える人々に変わった時、終わるのである。百年、二百年はかかりそうだ。

 オバマとロムニーが争っているよう姿を見ても判ることだが、先進諸国の国民は、その時間を待ってくれる人々ではない。この「悪魔の最強コンビ」が存在する限り、堅牢なメカニズムは安きに流れる。無理に製造業で雇用を確保しようとすれば、廉価な労働力を提供するしかない。日本も同じことだ。あまりにも八方塞がりな話に終始すると絶望的になるだろうが、事実は事実だ。少なくとも、製造業が革新的(テクニカルな進歩ではなく)製品を、つまり人間の生活を劇的に変化させるような製品でも開発しない限り、「悪魔の最強コンビ」から逃げられないのである。

 つまり、製造業と云う産業に固執する限り、その国家に明日はないのだろう。まぁ二百年待ち続ければ、海路の日和ありとも言えるが、そこまで待てないのであれば、産業構造を劇的に変換していくしかない。それとても、効果は限定的かもしれないが、しないよりはずっとマシだろう。少子高齢化の人口問題は、日本に限定される問題でもない。先進諸国が本質的に抱える問題だ。その為に生きる産業が何であるか、筆者にもよく判らない。ただ、現在経団連などを牛耳っている連中の産業でない事だけはたしかだ。

 変革と云うもの、多分苦痛が多いに違いない。その苦痛を乗り越えるためには「夢」が必要だ。それが道険しい「自立と共生」にあるのなら、それを信じてみるのも一興だ。少なくとも、他の政治家から「自立と共生」に取って代るだけの、「夢」をついぞ耳にしていない。政治家である以上、小沢とて例外ではない。「自立と共生」には、多大な苦痛が伴うとは公言できないだろう。しかし、それを忖度するのも成熟した国民の矜持とも言える。政治家には言える事と言えない事がある。我々が政治を判断する時、この点は常に留意する必要がある。彼らが民主主義においては、選択される身である事、もう一度噛みしめておこう。コラムにするには、テーマが広すぎて、幾分消化不良だが勘弁して頂こう。

日御子
クリエーター情報なし
講談社


励みになります、応援よろしく
人気ブログランキング


よろしくお願い

https://blogimg.goo.ne.jp/img/static/admin/top/bnr_blogmura_w108.gif