世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●属国の日和見外交 6か国協議から外されかけている日本

2018å¹´03月31æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

朝鮮戦争(上) 血流の山河 (講談社文庫)
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講談社

 

「北朝鮮の脅威」のカラクリ――変質する日本の安保政策 (岩波ブックレット)
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岩波書店

 

核兵器と原発 日本が抱える「核」のジレンマ (講談社現代新書)
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講談社

●属国の日和見外交 6か国協議から外されかけている日本

森友問題で安倍政権は、癌に冒されていることが判明した。市井の医者たちからは、外科手術以外、自民党が与党の地位を維持することは困難な状況だという診断を下している。

ひきかえ、御典医たちは、放射線治療で、財務省の患部をスポット的に放射線をあてておけば、まぁ数年は現状の生活を維持できるでしょう、と楽観論を繰り広げている。御典医の中には、毒饅頭メディアに任せておけば、その内服で治癒するかもしれないなどと言っている。

縁故政治、微妙なスキャンダル、利益誘導政治など、安倍政治への国民の支持は微妙な水準にある。与野党の勢力図が拮抗している国では、完全に機能不全に陥り、安倍政治は解体されているだろう。しかし、一強多弱な勢力図においては、微妙に踏みとどまることが可能な状況だと言える。

今後の安倍政治の行く末を占うには、内閣支持率が、どのように推移していくかがポイントになる。現状は30%台を確保しているわけだ。30%台維持か、40%台に回復か、20%台に下降かである。政治に関心のある層の予測は20%台に突入だろうが、無関心層に人々は日々を忘れることで過ごしているだけに、回復傾向を見せるに違いない。

月曜から金曜まで、通勤時間込みで行けば12時間以上会社に拘束されて生活しているのだから、残り12時間から睡眠時間を除けば、自分の時間は4時間前後に過ぎない。ここから、日々の日課や食事洗濯掃除入浴などの時間を除けば、自分の趣味等に当てる時間は2時間を切るだろう。この貴重な2時間の中で、政治に割ける時間はあるだろうか。なくても文句は言えない。

ということは、余程、メディアが森友事件を報じない限り、40%台回復になる可能性の方が大きい。NHKなどのニュースを見る限り、森友事件の報道姿勢は、3番手以下に格下げされている。おそらく、上述のような勤め人の生活において、森友事件の情報が頭の片隅に残る時間は限られ、5月頃には、「あぁ、そんな話もありましたね」その程度の情報に格下げされる可能性が大きい。

本来であれば、安倍外交の大失態が暴露さてもいい段階だ。今まさに、朝鮮半島情勢は、ドラスティックな展開をしている。北朝鮮問題は、本来は、米中露韓と北朝鮮+日本という流れだ。これをもって6か国協議と日本では認識しているが、実際は上述のように、日本はオブザーバー的で、寄付金を出す国家程度の扱いである。

しかし、今回の北朝鮮の急展開な外交展開により、完璧なまでに、安倍政治は梯子を外された。まぁ米国属領扱いの我が国の意向を、他の5カ国が留意する可能性は殆どないわけで、寄付金分の文言を1行入れてやる程度の話である。アメリカンスクールが主流の外務省の外交姿勢は、属国外交なのだから、聞く必要がないのは当然だ。まぁ拉致問題の解決は、約束事的文言であり、それがマターになることはない。

以下は毎日新聞の金正恩朝鮮労働党委員長が電撃的に中国を訪れ、習近平国家主席と会談した件に関する社説だが、どうも金正恩悪玉説に依拠している傾向が見られる。欧米メディア的な論調の流れから当然の思いだろうが、北朝鮮が考えている朝鮮半島の非核化は、北朝鮮の核放棄だけではなく、韓国にある核の撤去も保証しろというのは、或る意味で当然の理屈になる。毎日の名誉のために言っておくが、他の新聞やNHKも、朝鮮半島非核化の意味を履き違えた情報でごまかしを報じている。

つまり、韓国の非核化とは、韓国からの米軍の撤退を意味している。これは、西側陣営のメディアの話ばかり聞かされていると奇妙に聞こえるが、冷静に公正公平な目で見ると、韓国の米軍駐留は、北朝鮮にとって不公平という主張は成り立つ。米軍の駐留に対して、北朝鮮には、いかなる国も駐留していないのだから、韓国の方がずるい。中国軍やロシア軍が北朝鮮に駐留していて、同等の関係だと思う場合、既に現状の地政が不平等なのである。

このように考えると、北朝鮮の朝鮮半島非核化は、最終的に、韓国からの米軍撤退が条件になるだろう。米軍が撤退しない限り、非核化はありえないことになる。米朝首脳会談のリアルタイム放送が聞きたい気分だが、真実は洩れてこないだろうが、おそらくトランプは、金正恩ロケットマンの寝耳に水のような提案に度肝を抜かれるのだろう。そして、おそらく怒り出すに違いない。その結果、北爆に舵を切るか、ホワイトハウスで説得され、粘り強く話し合いを続けるか、そこが見ものというのが、リアルな情勢分析だと認識する。韓国からの米軍撤退では、日本の属領化は増すことになりそうだ。


 â‰ªã€€é‡‘正恩氏が習主席と会談 大きなゲームが始まった
 朝鮮半島をめぐる関係国の駆け引き、すなわち大がかりな外交ゲームが始まったととらえるべきだろう。
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が電撃的に中国を訪れ、習近平国家主席と会談した。権力を握って6年余りにして初の外国訪問で、習氏との会談も初めてだ。
 両首脳は朝鮮半島の「非核化の実現」で一致したという。
 しかし、具体的な中身は明らかになっていない。北朝鮮が条件を一方的につり上げたり、周辺国への脅威が残ったりするのでは意味がない。その点を注意深く見極めていかねばなるまい。
 冷え込んでいた中朝関係は、これで改善基調に転じた。核開発に反対する国際社会の意思を北朝鮮に伝えるためにも、中朝間のパイプが機能することには意味がある。
 金氏の訪中目的は、米韓との首脳会談を来月以降に控えて自らの交渉力を強めることだと考えられる。  「非核化」という原則にあらかじめ合意しておくことで、中国に後ろ盾となってもらうことを期待できる。仮に米朝会談が決裂したとしても、米国に軍事介入の口実を与えないための保険として中国との関係を固めておく意味もあろう。
 中国にも朝鮮半島問題で影響力を維持できるメリットがある。中朝関係はこれまでも悪化と修復を繰り返してきた。朝鮮戦争を一緒に戦った「血盟」という意識は薄れてきたものの、日米韓と対峙(たいじ)する上での利害を共有する関係は変わらない。
 金氏の父である金正日(キムジョンイル)総書記は2000年の南北首脳会談の前後に中国、ロシアとの首脳会談を行った。実現はしなかったが、米朝首脳会談も模索した。
 核・ミサイル開発が進んだ現在の情勢は当時より深刻だ。
 金氏はトランプ米大統領との会談で局面転換を図ろうとしているのだろう。だが、中途半端な妥協は許されない。北朝鮮が非核化へ向けて実際に動くまで圧力は必要だ。それを待たずに、中国が制裁を緩めるようなことがあってはならない。
 北朝鮮は米韓への批判を手控えつつ、日本非難は続けている。そんな見え透いた離間策に乗せられてはいけない。急激な展開に対応する日本の外交力が問われている。
 â‰«ï¼ˆæ¯Žæ—¥æ–°èž2018å¹´3月29日付社説)

日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか
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集英社

 

総理の影: 菅義偉の正体
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悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞
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文藝春秋

●“総括なき国の行末には未来はない” 敗戦から逃げた日本

2018å¹´03月30æ—¥ | æ—¥è¨˜


●“総括なき国の行末には未来はない” 敗戦から逃げた日本

本日は、藤原肇氏と本澤二郎氏の対談“瀕死の日本いかに救うか”の後編を参考掲載させて貰う。前編は下記URLを参考頂きたい。

https://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/307fea195859bca002efc98ee937445e


この両先輩による対談は、民主党野田政権の誕生時のものだが、今に至るも通用する内容が含まれているので、有意義に読ませて貰える。部分的には、思いこみの激しさゆえの“はてな?”な部分も見うけられるが、全体を通して、大いに参考になる。

現在の安倍政権においては、“皇国史観”とアメリカ属領として機能する“ネオコン”が混在するかたちで、日本という国の姿を歪めようとしている。戦前には、上述の皇国史観に、新渡戸稲造の武士道の精神をつまみ食いした“富国強兵論”は、最も核となる武士道がスッポリ抜け落ちたものだったことを我々は自覚し直す必要を痛感する。

明治維新以降に起きた“富国強兵”には、本来“武士道”が根底にあった上の富国であり強兵であったのだが、あっさりと武士道が抜け落ちた。おそらく、長州田舎下級武士の集団にとって、武士道が日本の歴史において、精神的支柱の精神であることを、失念していたのだろう。戦国武将の多くが、この高尚な武士道精神の下で、戦い合ったのだが、武士道と云うルールを蔑ろにした明治以降の政治では、武士道と武士道の精神を受け継いだ徳川幕府を倒幕することに腐心し過ぎて、この400年以上続いた支柱的精神を葬った。

この誤った富国強兵の考えと、経済大国と云う幻想と、米国の属国としてしか生きていけない日本と云う国。この精神の支柱を見失った国家が、アメリカ輸入のネオコン精神を持ち込んだわけだ。それだけでも上手く行きそうもない中、安倍や日本会議の連中は、再利用可能な皇国史観まで接ぎ木しようと云うのだから、出鱈目こそ美学なり、そんな世の中が平気で頂点に立つのだから、歴史の履き違いほど怖いものはない。

*参考
≪皇国史観
アジア太平洋戦争期にいわば国教化した天皇中心の超国家主義的日本史観。その根源は幕末の尊攘(そんじょう)思想、平田国学、明治の国粋主義などまでさかのぼりうるが、とくに昭和前期平泉澄(ひらいずみきよし)らにより提唱されたものをさす。唯物史観歴史学の発展に対し危機意識を強めた平泉らは、「万世一系」の「国体」とそれを基軸として展開してきたとみる日本歴史の優越性を強調し、「大東亜共栄圏」思想に歴史的裏づけを与えようとした。その意味で皇国史観は非科学的であるのみならず、独善的な自国中心の歴史観で、天皇制と帝国主義を支えるイデオロギーであった。平泉やその追随者たちは戦時中軍部・文部省と深く結び付き、国民の歴史観に強い影響を与えた。敗戦に伴い皇国史観はその存在理由を失うとともに、日本歴史の科学的研究の進展で急速に消滅に向かうが、平泉の追随者のなかには文部省(現、文部科学省)の教科書調査官などとなって、皇国史観の温存を図る動きを根強く続ける者もいた。[永原慶二]『永原慶二著『皇国史観』(1983・岩波書店)』 ≫(日本大百科全書)



≪ 藤原肇・本澤二郎 瀕死の日本いかに救うか

-総括なき国の行末には未来はない―
慧智研究センター所長 ジャーナリスト 藤原 肇
ジャーナリスト 本澤二郎
【前号の「松下政経塾政権のスタートとその真相」に続いて、気鋭かつ異色のジャーナリスト2人の警鐘をお届けする。(9月1日収録)】

■松下政経塾政権の本質
本澤 ナチス思想と人脈がワシントン経由で松下政経塾と稲盛財団につながったという藤原さんの見方からいくと、松下政経塾の初代内閣の今後が心配されあるいは内外政策においてどんな事が予測されますかね。
藤原 中田宏前横浜市長は皇国史観の信奉者で、「つくる会」の教科書を採用した。神奈川県の前知事松沢成文も政経塾の出身者でした。
本澤 政経塾はつくる会ともくっついている。
藤原 そうすると、横浜市で育った人間は完全にそういった思想、考え方を持つようになる。そういう人間が神奈川に始っていろんなところから出てくる。
本澤 横浜の前市長、中田宏は狂信的だったし、東京・杉並区の山田宏前区長も皇国史観教育を進めている。
藤原 そうした動向は、きちんと調査、整理して一冊の本にする必要がありますね。
本澤 そうですね。僕は韓国のインターネットでそれをチェックした。確かに指摘されるようなつくる会と政経塾の癒着、これは埼玉県でも同じようなことがある。現知事の上田清司は、政経塾のOBではないが、民主党時代(衆議院議員)に政経塾とくっついた。ですから埼玉県の教育政策は、矢張りグニャグニャになってきています。そして東京には超右翼の石原知事がいる。
藤原 知事は全都道府県に何十人もいる。それから国会にも自民と民主に分かれて政経塾のOBがいるわけだし、結局、あなたがPHPが司令塔だと言ったけど、まさに台湾派と繋がっている。
本澤 そうですね。
藤原 台湾の国粋派の国民党は、皆、サンケイ(産経新聞)と繋がっているし、李登輝は、本をPHPから出版している。小林よしのりとの対談も出している。
 PHPは、金がいくらでもあるから外に向って使い、国民党をPHPの虜にし、世界の反動、極右やモサドとも繋がっている。
本澤 確かに、民主党の政経塾OBを調べた時に分かったのは、彼らは皆、台湾派だ。中国に行って中国の悪口をガンガン言う。
 彼らは、口舌の徒として訓練されているから、自民党の右翼よりもやり方が上手い。一見すると何んとなくごまかされてしまうが、冷静に分析すると、やっていることば正に極右そのものだ。
 松下(パナソニック)の莫大な広告費で、新聞、TVなどのメディアは一切、報道しない。本当に恐い時代になっている。昔は、自民党の中にはリベラル派が存在してブレーキ役になっていたんですけどね。
藤原 宇都宮(徳馬)さんなんかがそうだった。僕も個人的によく知っていた。
本澤 僕も徳馬さんから一番影響を受けた一人です。記者になって最初に担当したのが〝大平派″だった。大平派は歴代リベラルでした。リベラルの特徴は 〝寛容″ の価値観を非常に重視する。一方、ネオコン、右翼というのは寛容性がまったくない。相手を敵にしてとことんやつけちゃう。自民党にはそう した右翼の他にリベラルが存在していたからバランスが取れていた。それが小泉時代からリベラルがいなくなり超右翼になった。そして民主党の中では鳩山(由紀夫元首相)、小沢(一郎元党代表)系のリベラル派を、政経塾系が撃滅した。
藤原 そうした流れの中にホモ人脈なるものがある。
本澤 しかし、その視点はわれわれにはまったく想定外のことでしたね。だいたい、女性秘書を彼女にして金庫を任せているケースが多いので、ちょっと想像できないですね。
藤原 男同士なら外に秘密が漏れないから・・・。
本澤 成る程、秘密保持。言われてみると納得できる。

■メディアもアメリカ追随
藤原 実は、それは英国が得意とすることで、苦からアメリカは、英国のノウハウを真似しているだけだ。
 例えば、ローズ・スカーシップという、英国帝国主義の支配者の番犬を育てるために、アメリカ人と英国のコモンウェルズの中だけから選んで、オックスフォードで教育している。それを真似したのがフルブライト奨学金です。日本人でも可成りフルブライトで洗脳されて帰ってきているのがいる。小田実のようにべ平連で活動した者もいるし、いろいろ面白いのがいる。竹村健一もフルブライトをもらって米国の広報マンだった。
 奨学金の流れの中で、逆に稲盛財団はそこに金を渡して日本から送り出し、洗脳されて帰国する。
本澤 自民党の高市早苗も超右翼で、アメリカの政治家の秘書までやったと、肩書きにありますね。
藤原 それにコロンビアとジョージタウンは、それぞれ5パーセントの特別が粋があって、声をかければ入れてくれる。小泉進二郎も、能力とはまったく関係なくコロムビアに入れた。
本澤 彼はたしか関東学院大学中退だったらしいですね。親(小泉 元首相)が離婚したりして家庭が複雑だったり、いろいろ事情があったんでしょうが、とにかく勉強が大嫌いで、いってみればまともじゃなかったらしい。だいたい、政治家のセガレでできの悪いのはみなアメリカ留学だ。安倍晋三もその一人ですね。
藤原 それを暴露したのが霍見芳浩だった。民主党最高顧問の渡部恒三の息子の恒雄もジョージタウンで教育を受けている。
本澤 渡部恒三のセガレがジョージタウンですか。
藤原 そう。だから渡部恒三は、水戸黄門とかなんとかいって、徹底的に小沢一郎を叩く側についている。
本澤 渡部の小沢叩きはジョージタウンの流れですかー。
藤原 誰がどこへ行っているのかをそれぞれ見たら分かるのだが、そこまで日本の週刊誌、新聞には書く人がいない。
本澤 完全にアメリカナイズされているわけだ。
藤原 しかも、アメリカには大学だけでなくシンクタンクもあり、そこで洗脳される。その典型的な例がバーグステインのアメリカ国際経済研究所だ。実は、そこに客員研究員として留学していたのが朝日新聞の船橋洋一だ。
本澤 (納得したようにうなずきながら) あ~-。
藤原 特に朝日の政治記事がおかしくなったのは、船橋以降ですからね。
本澤 CIAリストに載っているというインターネット情報も出てますね。
藤原 アメリカ国際経済研究所で船橋と同僚だったのが竹中平蔵。2人は「IT革命」という共著を出している。
本澤 へえ~、あら、あら、ですね。
藤原 僕は日本人がどうして気が付かないのか、と思っているが、誰れも書かない。
本澤 知らなかったですね。是非活字にして欲しい。
 朝日が急におかしくなって、僕は朝日の講読を止めた。友人の政治家は、記事が余りに酷いために東京新聞にしたが、当時朝日を止めたという人が周りに一杯いた。
 今の話で思い出すのは、日本記者クラブで前のアメリカ大使がさよなら記者会見をやった時に、船橋が、大使をべ夕褒め、礼賛するような紹介をするんで、この人は新聞記者じゃないと思いながら聞いたことがあった。彼の弟子たちが、今も幅を利かしている。
藤原 船橋は最初、ニーマンフェローでハーバードに行っているんです。ニーマンフェローは将来、編集長とかトップに近くなる人をアメリカがスカウトする。その後、彼はアメリカの総局長になったが、その時に、たしか1989年だったと思うが、「通貨烈々」という本を書き、朝日新聞から出している。その「後書き」を読むと、バーグステン所長に対して感謝感激雨霰のことを書いている。アメリカ総局長ともあろう人がとんでもないと思った。
 バーグステン所長は商務長官を勤めたピーター・ピーターセンの子分で、ピーターは正にデービス・ロックフェラーの後を継いだ、アメリカの対外政策を進めるCRF(外交問題評議会)の中心人物。 リーマンブラザーズの会長もやっているし、今は潰れかけている投資ファンド、ブラックストーンの創設者でもあり、日本を喰い荒らしている。ソニーに甘い話を吹き込んでコロンビア映画の買収を進めたのも彼だった。日本は彼らに弱味を握られており、知らないのは日本人だけで、北京も台湾、韓国もみな知っている。

■日本はアメリカの属領
本澤 上海の名門大学、 復旦大学には、もちろん日本研究所もあるが、アメリカ研究をやっているアメリカセンターは一番立派な建物で、さすがに中国ですね。
藤原 僕は今から二七~八年前にカリフォルニアの保守的なぺパーダイン大学で総長に頼まれて顧問を3年程やったことがある。その時に北京大学をはじめ世界中のいろいろな大学の総長、学長を訪問したが、1980年代ですから当時はまだ中国は貧しく、何もない時代でやたらに奨学金や招待を要求された。結局、アメリカは日本を全然問題にしていない。アメリカにとっては矢張り中国の市場は大きく魅力的だ。英語も話せるし、人材も沢山いる。一方、日本はモノを作って輸出していたから経済大国と威張っていたが、アメリカからは全く評価されていなかった。
 結局、中曽根が首相になった頃が絶頂期で、ヤクザ政治とカジノ経済で、バブル経済が弾けた後は20年間、全く成長していない。GDPだって過去20年間、一銭も増えていない。そういうなかで中国にIBMがコンピュータの会社まで売ったのだから戦略的にどう考えても合わない。それほど日本はバカにされているのに、日本人は気が付かない。松下政経塾レベルの連中がアメリカへ行って洗脳されて、日本に帰国してやっているから完全に属領扱いだ。
 そういう中で日本の現在の落ちぶれている状況が生れている。アメリカにしてみたら、日本の中でも四流、五流のどうしようもない人物が首相になっているのだから正にカモだ。これから出て来るのは前原のように、もっと悪い洗脳された売国政治家だ。本当に救いのない国になってしまった。
本澤 救いがないですよね。京セラの稲盛にしても、僕らにとってはこれは新発見ですね。稲盛財団がアメリカの大学に500万ドルですか…。
藤原 そこは(CSIS)ナチスの研究、ナチス地政学。ヒトラーは生存圏を獲得する目的で、ロシアに行ったり東欧を攻めた。その侵略戦争推進者のハウスホッカーの拠点で、最近の政治家は学んできている。
本澤 それだけに〝国民〟という視点がどうしても抜け落ちてしまう。その結末として福島原発が大爆発した。
藤原 これからは、ナチスを学ぶ松下政経塾の政治がどうなるかが焦点になってくる。
本澤 松下政経塾は、思想的な部分で、今おっしゃられているようなナチス的、カルト的というか、何かいかがわしさが、アメリカとの結びつきのなかで分かり易く理解できたわけですが、ひとつの財閥がその資金力によって、政界とそしてわれわれが何時も忘れがちな霞ヶ関、つまり官界、僕は官閥と呼んでいるが、実は、この官僚が一番ワルでして、政経塾はしたがって、その官閥とくっついている。財閥、官閥そしてワシントンという三角型が民意とは無関係な形で内外政策を出してくる。
 そうすると、われわれが今、一番心配している原発の処理問題、これは収束なんかできっこない。特に、僕の個人的な思いもあるのですが、東芝です。東芝製の福島3号機はプルトニウムを使っている。プルトニウムは半減するのに2万4千年かかるといわれているが、これが今、地下水と海水に流れている。これに蓋をかける役割を今の政権は担っている。
 昨日 (8月31日)、経団連の財閥出身の会長が、野田政権に感動するようなメッセージを出していることでも頷ける。身内の政権ができたという思いなんでしょうね。つまり、政経塾は、松下の代弁者のみならず財界、財閥と一体の政権だ。真の意味での日本の国民であるという視点が、当然ながら欠落している。  特に僕は、1972年の日中国交正常化の時に、政治記者になって初めてアジア、中国と向き合ったという印象が強いわけですが、あの時は「アジアの平和と安定」が原点だった。台湾は別として、その基本理念と衝突する政権ができてしまった。日本は東アジア共同体という形でなんとか盛り上げれば、新たな繁栄に向けた日本再生のきっかけを作れる筈だが、政経塾政権はこれに全く関心を示していない。ワシントンの言いなり。中曽根、小泉政権の傀儡といわれる所以ですね。
藤原 そこで福島原発爆発の背後に、基本的に何があったかを考えることが大切だ。

■原発の真の目的は?
藤原 福島原発爆発は、日本におけるエネルギー政策の破綻といえる。1950年代は石炭を使っていたが、60年代になって三池事件で石炭から石油に変わった。その頃に平和利用の名目で原子力に着目したのが正力と中曽根。
 通産省(経済産業省)としてはまだ、石油がこれから大事になるからとして、石油メジャー(日の丸石油)を作ることに熱心だった。ところが、岸信介がインドネシアの利権と関係して、日石カルテックスから輸入する石油の2パーセントを完全に口銭としてもらっていた。
本澤 新橋の日石ビルに個人事務所を構えていたので、彼が石油利権でメシを喰っていたことばよく分かります。
藤原 彼は狡猾なので田中角栄のようなヘマはやらない。自分の名前が出ないようにロンダリングを上手にやっていた。角栄は石油に価値があると見て、財界の資源派といわれた中山素平、今里広記らを周りにおいて、石油にのめり込んだ。南米からアメリカ、カナダやアラスカと、いろいろ画策し、通産省も石油を通してエネルギーで独立したかったのでしょうね。今里がアラスカ石油を創っていたが、ある時、ブリティッシュ石油が、国有化されるということでアブダビ海上石油の利権をドイツのデミネックスに2億ドルで売りに出したら1億ドルなら買ってもいいという話になった。ところが日本の石油公団が何んと7億8000万ドルで買ってしまった。相場の8倍。今里と田中清玄がやったわけだが加えて通産省内の派閥争いもあったりで、角栄が石油で躓いてしまった。その頃、田中も中曽根も通産大臣をやっていました。
本澤 そうですね。田中の後に中曽根がやっている。田中内閣が誕生すると、中曽根が真っ先に要求したのが通産大臣のポストだったですね。
藤原 1973年の時は、田中が首相で中曽根が通産大臣。結局、中曽根は石油はやりたいがアメリカに押えられているので、利権化は無理だと諦め、代わりに着目したのが原子力だった。核武装するためにとりあえずエネルギーという形で、原子力発電所を強引にどんどん作り出し始めた。だから原発が日本で一番できたのは中曽根時代だった。万一の時はプルトニウムさえあれば原爆はできる。
本澤 確かに、弟子である与謝野馨を原子力関係の企業に押し込んだ。そこで原子力の研究を始めたから、今でも原発は必要だと吹聴している。中曽根の心中には、常に安全保障の面からの原発で、それ故プルトニウム、もんじゅが必要だった。彼は核武装論者ですからね。
藤原 プルトニウムは茶さじ一杯で一度に数百万人を殺せる。
本澤 数百万ですか(驚く)。
藤原 それが日本には45トンもある。いざとなったら日本は核武装すると、韓国や中国の新聞に書いてある。
本澤 キッシンジャーも、中国に行って「日本はいずれ核武装するだろう」と言っているが、彼は中曽根の本心を見抜いていたわけですね。
藤原 いや、むしろキッシンジャーから「お前は核武装をやれ」と言われていると見た方がいい。アメリカにしてみれば、日本が被爆してくれたらこんな有難いことばない。今度の福島事故でも友達プロジェクトときれい事を言っている が、あれは日本を助けるためではなく、アメリカとして万一、核爆発があった時の対応のためのデータを集めているにすぎない。アメリカの常套手段だ。
 日本人は、福島原発の爆発事故をエネルギー政策の失敗と位置づけて見なければいけない。
 では、石炭から石油、そして今の主力となっている天然ガスの後には何がくるかとなると、水素ガスしかない。ハイドロカーボンという一つのシステムの中で、最初は木だったものが石炭になり、石油になり、天然ガスになり、次に水素ガス、このパターン以外エネルギーはない。原子力は一見すると発電コストが安く見えるが、それはウラニウムを買って発電した間の計算であって、ウラニウムの開発費用、運転した後のゴミの処理費用などは計算外になっている。
本澤 最近、通産省OBでみんなの党の江田憲司幹事長が記者会見で、原発は無用の長物だから途中、天然ガスなどで中継ぎをしてゼロにし、解体すべきだと発言していた。電力の自由化を進め、あちこちに小さな発電所を建ち上げ、発送電を分離すれば脱原発は可能だというのですね。

■増税は国を亡ぼす
藤原 日本は過去25年間、人材を育てなかったので、本当に人材がいない。
 今度、野田さんは増税すると言っているが、増税すると国が潰れてしまう。増税するのであれば、今まで目溢ししてきた宗教団体やパチンコ、競艇などギャンブル事業などから徴収すれば、まったく増税する必要がない。
本澤 日本がここまで陥ち込んでしまったのは、実は、中曽根内閣時代の1985年に日米同盟の名のもとのプラザ合意で超円高政策を受け入れたことに始まる。それがバブル崩壊で1500兆円が消えた時点で経済大国失墜。その後は延々と20年間、借金、借金できたのに、霞が関の官僚政治、そこを総括せず、誰れも責任をとっていない。
藤原 それはエネルギー政策も同じだ。民主党は自民党の出鱈目政策を総括していたら、少しはましなことができたかもしれないのに、民主党はネオコンに乗っ取られてしまった。
本澤 日本沈没の何ものでもないのに、そこに大震災と原発の大爆発ですからね。
藤原 しかも、債務残高というのがある。日本は対GDP比率で200パーセントを超えている。こんな国は世界にない。アメリカだって100パーセントを超えていない。ヨーロッパ諸国は60パーセント台だ。
本澤 それでギリシャの問題が起きているが、ギリシャは最後にはEU諸国が支えてくれる。しかし、日本は誰れも支えてくれない。これで今、アメリカがガタガタになってドル暴落になったら日本は完全にアウトですね。
藤原 しかも、財務省は増税すれば問題が解決すると、寝ぼけたことを言っている。たしか2002年だったと思うが、アメリカで「ネバタ・レポート」というのが出た。
本澤 ありましたね。
藤原 このレポートでは、日本の財政は破綻しているから、まず国家公務員の給料を3割カット、退職金はゼロにする。そして、預金の4割を財産税として没収するとか、株の取引に課税するなどいろいろなことが報告されていた。
 実際問題として今必要なのは、増税ではなく、国会議員や国家公務員の歳費や人数を半分にするといったことから始めたらいいのに、政治家や役人は自分のことは全然やろうとしない。民主党が政権をとった時のマニフェストにも、そういうことが揚げられていたはずなんだが…。
本澤 そう、役人の大リストラをやると約束した。自公政権がやってきた予算編成にも真っ向からメスを入れると約束したはずだが、それもやっていない。それが弱い者いじめの消費税の増税ですからね。
 銀行がパンクした時、国民の負担によって救済されたが、今メガバンクとそれに繋がっている巨大企業、財閥はそれこそ数百兆円も内部留保を保有しているのに、国民のために使うという発想は全くない。
藤原 さらに、日本が円高、増税となれば企業がどんどん逃げていくと、いよいよGDPが減っていき大学卒でも半分以上が失業するようになる。
本澤 社会が混乱して日本にだってテロが起きるスキ間が出てくる可能性がある。
藤原 国民を大事にするうえで明治維新をみると、富国、強兵から経済大国という流れになってきたが、実は、横井小楠という人は、それに 〝士道″ ということを「国是三論」 でいっている。士道とは国民を大事にする志ざしであり、士道・富国・強兵の3つでバランスがとれるのだが、士道を除いて富国強兵だけが残り国民のための経世済民がない。
本澤 明治維新以来今日まで、国民が欠落した政治が続いてきたわけですね。まさに官僚政治だ。
藤原 日本は民主国家になっていないばかりか、民族国家にもなっていない。〝民族″ 国家とは、権力と人民との間が契約で成り立っており、権力と人民が社会契約したのが憲法で、それが民族国家の原点なのだが、日本はまだその域に達していない。
本澤 最近、国際社会で有名なヒューマン・ライツ・ウォッチから戦争犯罪者を研究したレポートが出ているが、それによると、過去20年間を調べてみれば、戦争犯罪の責任者を政治的な理由で処罰しないでいると、その国はまた元に戻るという研究結果を出している。日本も66年前に同様のことをしたので元に引き返しているわけですね。
藤原 総括もしていないから全然変っていない。そんなパターンが今の日本といえる。今の日本に必要なのはリーダーシップと「さらば暴政」の精神ですよ。 ――― 長時間、有意義なお話をありがとうございました。 (一部敬称略)
 ≫(2011年12月号 財界ニッポン)


●人間やめれば、権力はオールマイティという印象を強めた佐川喚問

2018å¹´03月29æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

小沢一郎の権力論 (朝日新書)
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私物化される国家 支配と服従の日本政治 (角川新書)
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この国を揺るがす男:安倍晋三とは何者か (単行本)
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●人間やめれば、権力はオールマイティという印象を強めた佐川喚問

だからといって、権力者は永遠でもなく、幸せでもない。

佐川喚問の後述談として、与野党の議員や識者と呼ばれる人々から、勝った、負けた、終わった、これからだ‥等、様々な論評があるが、自由党代表の小沢一郎がサンデー毎日で倉重氏のインタビューに答えて発言しているように、この森友事件の起承転結を、国民もメディアも再確認する必要がある。

つまり、森友事件というのは、≪小沢流に整理してほしい。ポイントは三つ。第一に、なぜ財務省は森友学園に国有地を8億円余りも値引きしたのか。第二に、なぜ決裁文書に昭恵氏の介在を書き込んだのか。第三に、なぜまたそれを削るという公文書改ざんに手を染めたのか。≫ということである。

いま、自民党やその金魚の糞政党は、第三の問題を解決することで(解決はしていないが)、第一、第二の疑問点が消えたわけではないと云う事実が重要だ。小沢氏が整理整頓してくれたように、あまり枝葉末節に拘っていると、森が見えなくなると、諭しているようにも聞こえる。同じく自由党の共同代表の山本太郎が、28日の参院予算委員会で「いつ辞めていただけるんですか」と迫った理由がよく判る。

要するに、安倍晋三には、森友事件の第一と第二に関する清廉潔白を証明する必要があるわけだが、証明のしようはないだろう。この第一、二の疑念を払拭することは、国民に向かって、「皆さん、このハンカチは黒く見えますが、実は白です。段々、白に見えてきましたよね」このような芸当を、官房機密費で抱き込んだコメンテーターや三流お笑い芸人に下卑た唇で垂れ流させる積りのようだが、そこまで国民も馬鹿ではないだろう。

佐川喚問で、自民党の丸川珠代が質問していた中継画像では、政権与党のお酌姉ちゃんと、安倍グループの財務省潜入スパイとして雇われた佐川と、自民党お抱え弁護士が映っているだけだった。つまり、三人とも安倍官邸のエージェントのようなもので、悪人同士の三文芝居が白昼堂々、証人喚問の場で繰り広げられただけのことである。喚問にも糞もあったものではない。このような状況にジャスティスなど微塵もないのである。

日報問題、加計学園問題、森友問題、すべて、安倍グループと云う意味不明な相互扶助グループに近い連中が起こした事件である。もう、五、六回は政権は吹っ飛んでいるわけだが、官邸、霞が関、警察庁、検察庁、最高裁、日銀、経団連が束になって、相互扶助的に、互いの悪を見逃し合う共同体が出来上がっている。悪の見逃しは、時に、積極的悪への加担も含まれてきている。もう、安倍政権は潮時なのだろう。支持率が10%台になる前に辞任した方が身体に好いと思うのだが、それでも安倍はしがみつきそうだ(笑)。


≪<森友文書改ざん問題 安倍内閣が描く卑劣なシナリオ>
 森友文書改ざん報道を契機として、市民、野党、ジャーナリズムが安倍政権を追い詰めているが、首相は姑息な言い逃れを繰り返すばかり。「この問題は明白な総理の犯罪だ」と喝破する小沢一郎自由党共同代表に、森友政局の根源的問題と、ポスト安倍への展望を訊く。
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 2本の映画の話から始めたい。 「ペンタゴン・ペーパーズ」は、国防総省の最高機密文書をワシントン・ポストがスクープする話である。ミソは三つあった。ライバル紙であるニューヨーク・タイムズの特ダネを猛然と追っかけ、同じ文書を入手するというメディアとしての執念。また、当局からの圧力や社内の反対にめげず、掲載にゴーサインを出す女性経営者の英断。そして、政府の記事差し止め請求を一蹴した米最高裁の判決。「制限を受けない自由な報道のみが政府の偽りを効果的に暴くことができる」

 もう一本は、「ラッカは静かに虐殺されている」。シリア内戦のドキュメンタリーだ。イスラム国(IS)が制圧した北部の街ラッカで、何が起きていたか。市民ジャーナリスト集団がリスクを負いながら、残忍な公開処刑や住民弾圧の実態をスマホで世界に伝えた姿をとらえたものだ。

 前者は民主主義が世界で最も発達した先進国家での出来事であり、後者は人道危機が世界でもっとも深刻な暗黒国家で起きていたことである。プロの記者と素人記者。場所も背景も撮り方も異なる2作だが、共通に訴えかけるものがある。ジャーナリズムの役割とは、権力(前者なら米政権、後者なら1S武装権力)の監視、チェックにあるという単純な真実だ。そのためには執念と、英断と、リスクを負う覚悟が必要であることを教えてくれた。

 今回の朝日新聞の森友文書改ざん報道も、その文脈の延長線上にある、いい仕事であった。米判決ではないが、まさに、報道の自由ゆえに政府(安倍晋三政権)の偽りを効果的に暴くことができた、といえる。

 この稿で登場願う小沢一郎自由党共同代表とはそのへんから話をスタートさせた。

 朝日が頑張りましたね。

「ずっと目を付けてて、懸命に取材したんだろう」

 安倍vs.朝日戦争の側面では朝日が劣勢だった。

「降参一歩手前、という印象だった。朝日社内にも、このままでは、という危機感があり、それがスクープにつながったのではないか。反転攻勢の好機だと」

 さて、この森友疑惑。小沢流に整理してほしい。ポイントは三つ。第一に、なぜ財務省は森友学園に国有地を8億円余りも値引きしたのか。第二に、なぜ決裁文書に昭恵氏の介在を書き込んだのか。第三に、なぜまたそれを削るという公文書改ざんに手を染めたのか。

「第一点で言えば、昭恵さんの存在が大きい。つまり首相夫人への忖度(そんたく)だ。昭恵さん付秘書が一時は5人も役所から派遣されていた、と聞く。異例中の異例、並の国務大臣以上の扱いだ。首相とは一心同体、いわば副総理のようなものだ。その人が言うことは安倍さんの言うことと一緒だ」

 その昭恵氏が森友学園名誉校長におさまったり、籠池泰典前理事長夫妻と親しい関係にあった。籠池氏はその関係を国有地払い下げに利用した。役人には首相夫人が籠池氏をバックアップしているように見えた。

「安倍さん本人が直接指示したかどうかは別にして、昭恵さんの関与は明らかだ。安倍さんもそれを了解していたのだろう。首相夫人だから役所側は首相の意向だと思うし、人事に影響するから抵抗もできない」

 安倍氏は夫婦共に関与してないのは明らかだと言う。

「昭恵さん付秘書が財務省に照会したファクスが残っている。秘書(その後イタリア大使館に赴任)を国会に呼んで聞けばすぐわかる話だ。役所側がそれを昭恵さん、イコール官邸の意向と思うのは当たり前だ」

 安倍氏は夫婦共に直接の依頼、陳情はしていない。それゆえに関与なし、と言う。

「姑息(こそく)な答弁だ。それでは世の中には通じない。歴代の総理でこんなことをした人は初めてだが、こんなことをして私は関与していませんと言うのも初めてだ。どうかしている。天下人(てんかびと)としてレベルが低すぎる」

 第二点は?

「財務省は、事実として記録を残しただけだ。行政を執行する上で、政治家からの問い合わせ、陳情の類いは今回のことだけではなく、すべて記録として残しておくのが役人の習性だ」

 昭恵氏介在への言及は、森友に特例措置を取ったことへの釈明か?

「それもあっただろう。私たちが勝手にやったことではない。ここです、この人の命令なんですよと」

 第三点は?

「そのままではまずいということになったんだろう。例の『関係していたら首相も国会議員も辞める』(昨年2月17日)という安倍さんの国会答弁に抵触する」

 削られたのは昨年4月4日という。その前の3月23日に行われた籠池氏の証人喚問で昭恵氏との親密ぶりが証言され、秘書からの問い合わせファクスの存在が明らかになった直後だ。

「推して知るべしだ」

 近畿財務局としては、正直に事実を書いたのだが、書き過ぎだから削れ、と。

「担当者が自殺するというのは本当にいたましいというか……」

 誰が改ざんを指示した?

「官邸に決まっている。秘書官なのか官房副長官なのか、誰を通じてかはわからないが、(2月17日の)辞任発言が契機だ。その時点で単なる財務省答弁の枠を超え、官邸マターの答弁になった。歴然としている」

財務省が“低俗な首相”に全面降伏  改ざんは佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(当時)の単独プレーとは?

「刑法にも触れる、これほど馬鹿げたことは役人の判断ではやらない。官邸の意向だからしょうがない、変えろ、ということだろう」

 ただ、全体の流れはすべて佐川氏に責任をなすりつけようとしている?

「世間はそうは思わない。今後、佐川氏だってどう証言するかわからない」

 官邸からの指示だという証拠がない。

「これに関する文書が出てくればわかる。まだ、官邸と財務省当局とのやりとりの中身が出てきていない。ここは加計(かけ)問題と一緒だ。官邸、安倍周辺から指示が出ていることは間違いない。検察がパソコンや電子データまで押収している。いずれ出てくる」

 なぜ財務官僚たるものがこんな愚かなことを。

「財務官僚の劣化を感じる。最高権力に抵抗できないという役人の立場もあるが、もうちょっと気概のある役人がいてもよかった。過去にはさすがと思うような人物がいた。現在、政治家も経済人も日本社会のあらゆるところで劣化が進んでいるが、財務省というのは最後の砦(とりで)という感じもあったのに残念だ。ダメ押しみたいな権威の失墜だ」

 財務省をそこまで追い込んだのは?

「財務省の昔の連中とも時々話すが、ともかく人事が露骨過ぎるという。官邸が自分のお気に入りだけを厚遇して、刃向かうヤツは排除する。戦々恐々だという。ふがいないとも思うが、財務省が低俗な首相に全面降伏した形だ」

 財務省が失ったものは?

「大きい。各省も言うことを聞かなくなる」

 自民党内では、財務省大罪論、解体論が出ている。すべては財務省の責任だと。

「首相へのよいしょが過ぎる。むしろ官邸側の問題だ。長期権力は必ず腐敗する、と言われた通りになった。ただ、腐敗といっても程度が悪過ぎる。小泉純一郎元首相も、これはひど過ぎる、と言ったらしい(3月13日のテレビでの政権批判)。長期政権といっても、最後はトップの資質の問題だ。サッチャーやメルケルも長くやっているが、これほどひどいのは聞いたことない」

 最高権力者が権力をどう行使すべきか、という根源的問題も提起している。

「自分の政治理念、目標を達成するために権力を利用して、ちょっとやり過ぎた、ということは過去にもあったかもしれないが、森友・加計問題は理念も目標もない、行政権の完全な私物化だ。自分にゴマをするお友達に国有地払い下げや獣医学部認可で優遇したという話だ。権力を振り回すのが子どもみたいに楽しいのかもしれない。主義主張、理念にはっきりしたものがないから、権力を……」

引き際だけでもすぱっとやれ! 引き際だけでもすぱっとやれ!  改憲という政治目標は?

「あんなにいいかげんな9条改憲案はない。僕ちゃんだけが改正した、と言いたいだけ。僕からすると、子どもに権力というおもちゃを預けたような感じだ」

 政局だ。3選どうなる?

「無理だと思う。(3月19日の参院での)集中審議を聞いても、答弁になっていない。私は関係していません、知りませんでした、と連発、語るに落ちている。あまりにも明白な総理の犯罪だ。韓国だったら検察に取り調べられている。権力を乱用して、お友達を優遇してしまった。全く一緒だ」

 ただ、自民党内で安倍降ろしが出てくるかどうか。

「そのへんは世論次第だろう。これでも安倍さんでいいという世論だったら、これもまたどうしようもない。自民党議員だって選挙区へ帰れば間違いなく批判にさらされるのでは」

 公明党はどう出るか?

「創価学会は(反安倍に)ぶれるだろう。もともと婦人部には(安倍政治に)抵抗があった。公明党が崩れる時は自民党も一緒に崩れるだろう。今は胸突き八丁だ。それでも居座るというのは僕は難しいと思う」

 9月総裁選までは持つ?

「持たないと思う。この国会中(の内閣総辞職)ではないか。粘るほどあいつも喚問だとなり、ズタズタになるだけだ。少なくとも引き際だけでもすぱっとすればいい。散る時だけは潔くやったほうがいい」

 米朝首脳会談など国際情勢が動く中、“首相を代えるリスク”論がある。

「そんなことはない。安倍さんは北朝鮮の脅威を煽(あお)って防衛費を増やして、もっともっと軍備拡張しなければと言っている。それでは北と話ができない。仮に米朝がうまくいっても、日本はダメだとなる。相手にされていない。むしろ代わったほうがいい、東アジアの緊張緩和のために。中国とだって安倍さんではダメでしょう」

 トランプ米大統領とはうまくいっている。

「あれも、とにかく米国の兵器をいっぱい買ってくれればいいというだけの話だ。  米朝会談というが、期待できるような話にはならないと思う。北の狙いは体制の維持を認めろということだが、米国はできない。民主国家として、金(キム)王朝による独裁体制を認めますとは言えない。一方、中国はどうしても北を残したいと思っている。そこが難しい」

「後継指名」なんてできっこない  中国、そしてロシアが独裁体制を固めつつある。

「現政権の体たらくでは、とても日本のかじ取りは無理。ああいう連中を相手にしなければいけない。ままごとしている暇はないはずだ」

 ポスト安倍は誰がいい?

「誰ということもないが、もう少し常識のある、調和のとれた人になってもらいたい。安倍さんのようにイケイケどんどんではなくて、現実をよく見て種々勘案しながらやれる人だ」

 石破茂氏はどうか?

「どうかな。他の政党のことだ」

 石破氏とは昔、政治改革を一緒にやった仲だ。

「……宏池会の岸田(文雄)君が出てこない」

 禅譲路線らしい。

「それではダメだね。安倍さんがこんな傷だらけ、泥まみれで辞めて、後継指名なんかできっこない。指名されたほうがかえって迷惑になるような状況だ。古賀(誠)君が後ろ盾と聞くが、機会でもあれば、宏池会の伝統的価値観と理念があるんだから、そこをきちんと打ち出せ、と言ってやりたいくらいだ」

 森喜朗氏から小泉純一郎、福田康夫、安倍氏と4代続いた清和会政権の後は宏池会政権というのが一つの流れだ。となると、平成研(新竹下派)がどう出るか?

「あそこがカギかもしれない。清和会の政権を多分、腹の中では快く思っていない」

 今度、派閥会長になった竹下亘氏が総裁選に出るわけでもない。

「そうだ。やれるとすれば岸田君なのか。本来は谷垣禎一君だったんだろうが、自転車事故でああいうことになってしまった」

 ポスト安倍政局は誰がキーパーソンか。二階俊博幹事長か?

「二階君も必ずしも安倍じゃないだろう。機を見るに敏な人だ。まあポスト安倍についてはもうちょっと後だろう。次の号だよ」

 野党はこの局面でどうする? まだバラバラだ。

「まとまる機運は底流でだんだん大きくなっている。願わくは夏までに野党結集の合意を取りつけ、来年の参院選に間に合うようにする。候補者調整もその間進める。誰がトップだろうと必ず勝つ」

 立憲民主党が衆院では野党最大勢力だ。枝野幸男代表が野党再編のカギを?

「細川護熙連立政権の時、第1党でもない細川氏を選んだのは、各党をまとめるのは細川氏しかいないということで僕が動いた。細川氏みたいな人が今はいない。となると、第1党がやるべきだ、ということになる。今回の野党団結・結集に枝野君がきちんと前向きに対応すれば、それだけで大きな評価になる」

 安倍君よ、この際潔く辞めるべし、というのが小沢氏のメッセージだった。安倍氏がこの勧告をどう聞くだろうか。

おざわ・いちろう  1942年生まれ。衆院議員。自由党共同代表。時々刻々の政治状況を鋭く捉え、長年政界のキーマンであり続けている
くらしげ・あつろう  1953年、東京都生まれ。78年東京大教育学部卒、毎日新聞入社、水戸、青森支局、整理、政治、経済部。2004年政治部長、11年論説委員長、13年専門編集委員
 ≫(サンデー毎日)








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電力と政治 上: 日本の原子力政策 全史
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人間なき復興: 原発避難と国民の「不理解」をめぐって (ちくま文庫)
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●なぜ神風が吹き、調子に乗った籠池だけが逮捕勾留されているのか?

2018å¹´03月28æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

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THE 独裁者 国難を呼ぶ男! 安倍晋三
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●なぜ神風が吹き、調子に乗った籠池だけが逮捕勾留されているのか?

本日は多忙につき、ひと口コメントで失礼する。以下現代ビジネスの気になぅたコラムを参考掲載しておく。山下氏のコラムに全面的に賛同するものではないのだが

筆者は個人的には“すべてが安倍さんを守るために動いてるby Kagoike”と云う言葉は、まさに、一連の安倍一家による縁故主義政治の典型例だと考えている。縁故政治では、忖度と圧力は同居しながら、いつの間にか融合してしまうものである。法律上は、佐川の改竄も、迫田元理財局長の政治への配慮行政も、犯罪ではない結果になる可能性はあるが政治的悪は安倍の縁故政治に存在していると認識せざるを得ない。

司法における悪と、政治上における悪は別物だと云う認識を、我々国民は理解しておく必要がある。

佐川の証言などは、そもそも、大した問題ではない。佐川が、単に自分のポジショントークの辻褄を合わせようと公文書を改竄したのか、官邸筋から、何らかの示唆があって改ざんに手を染めたのか、そういうことが重大事のようになっているが、それは違う。

根本的な問題は、佐川が改ざんをした事実などの一万倍も悪質な籠池の“ゆすりタカリ”が、いとも易々と実行することが出来た理由が何なのか、ここが問題なのだ。無論、公文書改ざんは重大な犯罪だが、政権与党側の“目くらまし”誘導戦術に惑わされてはいけないと云うことだ。その証拠ではないが、政府側は“書きかえ”と強く主張しているのだから、財務省の公文書の書き変えに過ぎないと云うことで、一件落着で良いだろう。

籠池が発言しているように、安倍昭恵付き秘書の谷査恵子が、FAXで問い合わせ(口利き)をした翌年に「神風が吹いた」と言わしめている。

そして、現実に、籠池はただ同然で土地を入手したのだから、“女房が関わっていない証拠”はまったく挙証されていない。「黒!」と国民から指を差されているのは安倍内閣総理大臣なのだから、真相を究明すると断言した安倍晋三が、挙証できないのなら、黒は黒のままで、内閣支持率は一段と下がることになりそうだ。調子に乗った籠池のオッチャンだけが逮捕勾留は、アンフェアーだ。政治も社会も、公正公平により近づく努力が必要だろう。


≪森友文書改ざん問題、財務省を暴走させた「圧力」の正体
 「忖度か指示か」の二択は奇妙だ

■これは本当に「忖度」なのか
:1年前に収束したはずの森友問題が、朝日新聞によるスクープにより、にわかに新たな展開を始めている。
:当初は朝日の誤報を論じる向きもあったが、財務省理財局による公文書書き換え(筆者は財務省が「書き換え」といっている以上、「書き換え」を用い、政府が「改ざん」を認めた時点で用語を修正したい。近くそうなることを願っている)は紛れもない事実のようだ。
:今後、財務省でもさらに調査が進められ、国会でも証人喚問を含めて議論され、また検察による調査結果も報告されることになっている。
:だが今回の騒動をみていて、筆者としてどうにも気になる点がある。
:それはこれまで筆者が本誌で書いてきたことにも深く関わるので、ここでこの問題を論じることを試みたい。
:多くの報道がこの事件を「財務省理財局の忖度」として分析している。
:だがこれは本当に「忖度」なのだろうか。
:むしろ、忖度として論じることで大事な点が抜け落ちているのではないか。 そしてそれは何より「今後の再発防止」に深く関わるのではないか、ということだ。
:忖度を辞書で引くと次のように説明されている。
:「そんたく【忖度】他人の心中をおしはかること。推察。」(広辞苑)
:忖度とは、辞書の上では、「いわなくてもわかっているよ」と、相手の心をこちらで察してあげるということだ。
:だが、この「忖度」という漢語がもつ雰囲気がそうさせるのだろう、一般にこの語には上下の関係が含まれており、下のものが上のものの気持ちを推量し、上が言わなくても下のもので勝手に何事かを進めて達成してしまうような、そういう意味をもって使われている。
:今回の事件も、安倍首相夫人の森友学園への関わりを察知して、財務省の方で(上からの指示なく)忖度し、大幅な値引き等の優遇を行ったとされている。
:また佐川氏の国会答弁やそれにあわせた文書書き換えについても、安倍首相が「もし自分や妻が関わっていたら、総理大臣も議員も辞める」といったことへの配慮から、誤解されそうな事実の記載を公文書から一切省いておこうと、そういう忖度が働いたのだと、説明されている。
:すべてこの事件は、下のものが、上のもののために、先走った配慮=忖度を行ったことによるのであり、政治には問題はなく、行政の側の暴走が事件の本質だということだ。
:だが、そんな説明でよいのだろうか。

 ■忖度でなければ「指示」なのか
:他方で、こうした説明に対する野党側の追求は、こうなっているようだ。
:「官僚の忖度だけで、こんなことはおきないだろう。そこにはもっと上からの(政治家からの)指示があるはずだ」――忖度でなければ指示だ、というわけだ。
:だがこの数日出て来たものを見ても、そこに例えば安倍首相からの指示のようなものは認められないようだ。
:財務省による公文書書き換えが確認された3月12日の夕方、安倍首相自身がテレビカメラを真正面に見すえ、「なぜこんなことがおきたのか」と述べていたのは記憶に新しいが、実際に指示した人間にこうした態度はできない。
:やはり、やったのは財務省の一部ということで決着せざるをえないのだろう。 が、政治家からの指示でなければ、官僚の忖度なのか。しかし自らの首をかける書き換えを「忖度」でやるとは到底思えない。あまりにも自らの犠牲が大きすぎるからだ。
:3月11日の国税庁長官・佐川宣寿氏辞任にあたっての会見で、佐川氏は記者から「忖度はあったんですか?」と聞かれ、気色ばんでこう答えている。
:「忖度って、すみません、どういう意味ですか!」
:見ていた人は「あれっ」と感じたはずだ。筆者もずっとこのことが気になっている。
:これは本当に「忖度」なのか。
:忖度か、指示か。そうした二者択一から離れて現実を見つめ、分析する必要がありそうだ。

 ■霞ヶ関を暴走させる「圧」の存在
:筆者はこう考える。
:これは官僚側の忖度ではない。
:目に見えない「圧」。その「圧」に官僚が屈した結果なのだ。
:この「圧」は、表だった実際の政治家の行動によるものではないので、どうやってできているのかその具体的なカラクリはとらえようがない。
:ある種の集団心理だ。だが、それが実際の現実として霞ヶ関を押さえ込んでいるので、その「圧」がある方向を指し示すと、予期せぬ行動を次々と官僚たちに引き起こす――そういうことが現実に起きているようだ。
:「圧」は、山本七平の「空気」にも似ている。
:が、互いを読みあうことから作られる「空気」とは違って、「圧」はもっと上から浴びせられる重苦しいものであり、だから「忖度」の語に含まれるような相手への配慮でもなく、もう、そうせざるをえないような、有無を言わさぬ強い力なのである。
:しかもそこには実際に「力」を及ぼすものの正体がはっきりとは見えないので、力そのものがどこから来ているのかわからず、ただ「圧」としかとらえようのないもの――これが人々を思わぬ行動へと駆り立てたのではないか。

■行き過ぎた政治主導
:では、この「圧」はいったいどこからきているのか。 :いつから発生し、どのようにすれば止まるのか。
:まず、この「圧」の正体は、「政治主導」であろう。政治主導が強く作動しすぎたことが、こうした事件が生じた背景にある。
:安倍政権はまさに政治主導の体制であり、それも与党執行部の非常に強い1強構造がその特徴とされている。
:1強構造はたしかに様々な政策を断行し、国家を強力に導く指導力に優れた体制なのかもしれない。が、そこには危うさが潜んでおり、それが財務省の公文書書き換えなどという前代未聞の事態を引き起こした原因だと見たい。
:政治と行政のバランスが大きく崩れ、行政の側から「それは政治としてやるべきことではない」と批判することさえできなくなっていく。
:それどころか、「行政としてやってはいけない」ことにさえ手を染めはじめ、森友問題ではまず森友学園への過剰な配慮にはじまり、第二段階としての佐川氏の国会答弁、そして第三段階としての公文書書き換えが行われたということなのだろう。
:そして我々はこうしたことが単発で生じていたのではなく、いくつものことが重なってエスカレートしていったことに、「圧」がもたらす問題の根の深さを見なくてはならない。
:そして振りかえれば、森友問題のあとには加計問題が発覚し、またその前後には防衛省、厚労省で似たような問題が発覚した。
:そして筆者が先日分析したように(「福島原発事故から7年、復興政策に『異様な変化』が起きている」)、例えば福島第一原発事故からの復興政策についてみても、第三次安倍政権以降の政策内容に、従来の霞ヶ関では考えられないようなずさんで矛盾した内容が――しかもそれでいて政権の成果を過剰に礼賛する奇妙なものが――現れてきているのであった。
:霞ヶ関の官僚機構はもはや、本来の働きを失って、きっかけがあればいつでも暴走する、そういう危うい状態に入っているのではないかと危惧される。

 ■政治と行政のバランス崩壊
:現在、野党は今回の文書書き換え事件を自民党・安倍政権の責任問題として追及しているが、なぜこんなことが起きたのかを理解するにあたっては、とくに民主党政権時代に進めたことも含めて、野党自身のあり方もしっかりと反省する必要があると思われるのである。
:問題は政治と行政のバランスが崩れてしまったことにある。そのきっかけとなったものとして、平成26年設置の内閣人事局があげられているが、これも民主党政権が導入を強く押していたものと記憶する。
:安倍政権におけるバランス崩壊の度合いはひどいと思うが、ではその前の民主党政権はどうであったかと言えば、その時もまた別の意味でバランスを欠いていた。
:そしておそらく小泉改革以来、二十年来の政治=行政バランス変更のおぞましい結果として、財務省による文書書き換えをはじめとする、第三次安倍政権下の各種の事件が位置づけられるものと思う。
:政=行バランスをいかに決着つけるのかという問題意識なしに、安倍首相やそのまわりの政治家たちの責任論を追求しても、政治バトルは活気づくかもしれないが、本当の問題は解決されないだろう。
:加計問題をめぐって、当時の文部事務次官であった前川喜平氏はこういったことを思い出す。
:「行政が歪められた」
:政治が強大化し、そのことで行政が歪曲化されているのであれば、それを正すことが必要だ。
:財務省はまがりなりにも文書の書き換えを認め、その内容を白日の下に曝した。悲痛なものであったと推察する。
:野党はここで「何をやってるんだ」ではなく、「よくやった。もっと正直に色々出してくれ。君たちのことは守るから」と、そういわねばならなかったのではないか。

 ■いまの政治に求められていること
:今後の再発防止という面から見て、この事件を「忖度」の結果と見るか、過剰な「圧」による装置の暴走と見るかで、その処方はまるっきりかわってくる。
:筆者はここが恐いのだ。
:すべてを「忖度」と理解することで、二度とこういう書き換えが行われないよう、行政の政治による管理を徹底化し、忖度など決して働かないような制度へと改良していく――そんな官僚をさらに縛り付ける方向へと動きだすのではないかと。
:だが、そういう形で決着すれば、実際に起きることは、「おかしなことが起きてももう告発はしない」「記録はできるだけ細かく残さない」「何が起きてもだまっていればよいのだ」――そういう官僚の硬直化だろう。
:そして今後は、忖度が働いたり、圧力に屈したりしても、もはや二度と公文書の形でその形跡をたどることはできなくなるだろう。
:財務省は引き続き、麻生大臣の下で調査を進め、再発防止策を出すのだという。
:だが、現状の政=行体制に問題の根幹はあるのだ。その体制を解かずにその内部で出す防止策は、間違いなく官僚への「圧」をさらに強め、問題をますますこじらせていくものになるだろう。
:おそらく安倍首相や麻生大臣の直接の指示などは出てこない。だから問題はないのかと言えばそんなことではない。指示がないのにこんなことが起きたということの方が恐ろしいのである。
:だとすれば、ここで起きていることのカラクリをしっかり暴くことが大切だ。そうした解明にふさわしい調査体制を緊急に設計すること、それがいまの政治に求められていることである。
:今回の騒動の中で、筆者が唯一腑に落ちたのが、小泉進次郎氏のコメントである。
:「自民党は官僚だけに責任を押し付けることがない姿を、ちゃんと見せないといけない」
:指示がないのに暴走した官僚機構。だが暴走を引き起こしたのは官僚側ではない。
:官僚は、暴走だろうがあるまいが、どちらにしても自分で自分のスイッチは押せない。スイッチが押せるのは政治の側だ。
:そして官僚の抵抗や誤作動という意味では、現在の自民党政権のみならず、旧民主党政権がそうであったのだ。
:問題は共通する。
:政治は互いに相争うのではなく、どうしたら適切に官僚機構を使いこなし、国民のために最適の解を導き出す流れを作ることができるのか、このことにもっと心を砕いていくべきだろう。
:そしてこのことはまた、政治を見守る世論・マスメディアや、思想・識者の責務なのでもある。  
≫(現代ビジネス:政治―首都大学東京・山下祐介)



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私はあなたの記憶のなかに
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小学館

●佐川・訴追の怖れ連発 ”世論を背に”野党、次の証人喚問へ 

2018å¹´03月27æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

政策会議と討論なき国会 官邸主導体制の成立と後退する熟議 (朝日選書)
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朝日新聞出版

 

検察崩壊 失われた正義
郷原 信郎
毎日新聞社

 

竹中平蔵こそ証人喚問を
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七つ森書館


●佐川・訴追の怖れ連発 ”世論を背に”野党、次の証人喚問へ 


参議院予算委員会で、2時間に亘り佐川証人への、与野党質問時間が消化した。予想通り、予定調和に終始したわけで、自民党の丸川珠代(30分)などに至っては、誘導的に官邸の存在を消し去るための質問に終始して、国民への印象操作を試みていた。

公明、維新の質問も自民丸川同様に、まったくの消化ゲームというありさまだったが、これも予想通りだ。しかし、民進党の小川敏夫の質問も可もなく不可もないもので、野党らしさは微塵も見られなかった。小川の質問は、民進党の性格が如実に現れ、無色透明で意味不明な追及姿勢に終始した。

共産党小池晃が、どうにか質問らしい質問をし、佐川証人では埒が明かないので、次なる証人が必要になったと啖呵を切ったが、決め手には欠けていた。ヨイショ誘導尋問のような丸川の持ち時間が30分、立憲民主の福山は6分の短い時間で、貴方の証言の所為で、次なる証人が必要になったと宣告、与党との対峙姿勢を見せた。


まぁ、この調子だと、午後の衆議院の証人喚問も、同様に予定調和で退屈な時間が過ぎていくと予想される。佐川宣寿が、神の啓示でも受けて、急遽すべてを話すことで天国に行けるとでも思わない限り、佐川のような、事後処理業務に携わっただけの男から聞きだせる、森友事件の核心はないのだから、まぁこんなものかなと思う。

しかし、佐川宣寿のアフターライフプランは、根底から覆ったわけだが、それでも、官邸サイドを守り切る態度は、財務省官吏としての集団プライドと云う解釈をする論者がいるが、下衆な筆者は到底納得できない。仮に、筆者であれば、今後の大阪地検特捜の事情聴取を乗り切るミッションを含め、出来高払いで官邸に請求書を送付する気分になるだろう。“5億円”(NO TAX)程度なら手を打つだろう(笑)。


佐川の「訴追の恐れが」の連発は、予定通りだが、訴追と関わりのない部分においても、「訴追の恐れが」で切り抜けた。たしかに、“物言えば唇寒し秋の風”のような形になっている国会の証人喚問の規定なので、国政調査権の観点からも、捜査権限と独立した次元を確立する必要があり、幅広く、“免責”を認め、「訴追の恐れが」云々と云う言葉は、証言拒否に該当する仕組みを作らないと、国権が捜査当局の下に位置することになってしまう。まぁ、この点は、議会による“リンチ横行”のリスクもあるので、法整備は慎重にしなければならないが、国政調査権限の存在理由が問われる。

ここまで来て気づいたのだが、大阪地検特捜の森友事件への捜査は、何を裁こうとして起き、それが実行されているのかと云う疑問を感じる。無論、告訴内容は存在するが、告訴を受理し、捜査に着手するのは検察の自由裁量なわけだから、捜査の意思決定は検察庁に存在する。つまり、検察は、官邸の関与を消すために動いているのか、事件の解明に向かって動いているのか、そこが判らない。

朝日新聞の森友公文書改竄の特ダネが、検察関係者から流された可能性が大いにあるわけだが、佐川の「訴追の恐れが」云々という態度を見ていると、検察が捜査に着手していなければ、佐川宣寿は100の証言拒否で裁かれているわけなのだから。その意味では、検察の捜査が、森友決裁文書改ざんへの、官邸への、真実解明の線を消す有力なツールになっている。また、籠池夫妻の長期勾留も、7カ月を経過すると黙秘を貫いているとしても、異様な事態である。朝日やその他のメディアの追求を躱すストーリーが、検察官邸ぐるみで作り直された可能性も否定できない。

そうなると、朝日の特ダネは真実の暴露ではあったが、検察・官邸のストーリーで重要な出演者もひとりにされた可能性も否定できない。このように考えていくと、疑心暗鬼になるわけだが、上述のように、検察の腹積もりを予測の中に含ませながら、野党側としては、次なる証人喚問に向けて、ステップに映るべきだろう。その為には、野党や各メディアを勇気づけ、与党が受け身に回り続けるために、最も重要なのが世論の喚起だ。デモでも、ツイートでも、ブログでも良いが、財務省と官邸の関与に結びつく証人喚問の輪を作り上げるよう後押ししなければならない。


 ≪佐川氏「訴追の恐れが」連発 午前の証人喚問進展乏しく
 財務省の決裁文書改ざんの真相解明が求められた27日の証人喚問。だが、午前中2時間の参院予算委員会ではほとんど進展がみられなかった。
 午前9時半前に議場に入ってきた前理財局長・佐川宣寿氏。冒頭、委員長から改ざんへの自身の関与や指示について問われ、「刑事訴追の恐れがある」として証言を拒んだ。改ざんの理由や経緯についても「捜査を受ける身だ」として語らなかった。国税庁長官を辞任した今月9日時点の説明と変わっていない。
 改ざんに対して、官邸をはじめとする政治的な関与については、繰り返し確認を求めた自民議員に対して「ございませんでした」と何度も否定した。理財局内だけで行われたことを強調したのは、改ざん発覚後に財務省が国会で説明してきたことと変わらなかった。
 改ざんについての質問を封じられたかたちになった野党議員は、佐川氏が直接関わっていない国有地取引の経緯や、昨年の答弁内容について質問。改ざん前の決裁文書の内容と違う答弁をしたことについての質問に「書き換えの事実をいつ知ったのかという経緯にかかわる」と証言を拒否され、「証人喚問の意味がない」と紛糾する場面もあった。
 証人喚問は午後2時から、衆院予算委に場所を移す。証人喚問は、公文書改ざんの事実解明のために行われている。佐川氏は捜査の影響への範囲を広く捉えることなく、疑問を少しでも解消させるための姿勢が求められる。(木原貴之)
 ≫(朝日新聞デジタル)


地球を旅する水のはなし (福音館の科学シリーズ)
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●憲法改正、百年河清を俟つ 自民は安倍退陣に舵切れるか?

2018å¹´03月26æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

公文書問題 日本の「闇」の核心 (集英社新書)
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集英社

 

地図から消される街 3.11後の「言ってはいけない真実」 (講談社現代新書)
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ルポ東大女子 (幻冬舎新書)
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●憲法改正、百年河清を俟つ 自民は安倍退陣に舵切れるか? 


安倍政権や日本の現状将来に対して、藻谷浩介氏が穏当で公平な論評をしている。しごくまっとうな物言いだが、どこか日和見的なニオイがしないでもない。日本総研の主席研究員としてのポジションとしては、最大級の勇気かもしれない。逆に言えば、物言いは優しいが、安倍政権が駄目な政権であり、その取りまきの愚劣さまで言及しているのだから、やはり、安倍政権は相当に駄目な政権なのだろう。

野党の稚拙さは今にはじまった話ではないので、そのことは留保してもいい。彼らは、彼らなりに、今後の自民党政治を、まっとうな民主主義、立憲主義な方向から逸脱しない勢力として育とうと努力している最中なのだから、その動向を注視しておこう。無論、数合わせのような野合に意味がないことは、民進党のスカスカで意思統一のない政党など意味がないことは証明済み、同じ過ちは繰り返してはならない。

自民党も、折角、憲法改正に必要な充分の勢力を持ったのに、担ぐ神輿を間違えた。党員投票の結果を重視して石破を総理にしておけば、安倍以上に右寄りな憲法改正も可能だっただろうに、馬鹿な選択をしたものだ。しかし、当時の自民党の選択が間違いだったというのは結果論であって間違いではなかったかもしれない。問題は、安倍官邸の政治権力維持の目的が、まったく国民に向かって政治をする気がないとは思いもよらなかった点が問題なのだろう。

まさか、腹痛を起こして不様な退陣をした安倍晋三が、これほどまで、権力を私的に流用するとは、流石の麻生も読み間違ったに違いない。財界人やマスメディア幹部、芸能人などと、個人的にヨイショされることを目的に友好関係を結び、安倍政治に一言と云う環境を抑えにかかった。無論、そのような行動は、安倍政治が、日本会議系の人脈に対する政治であったり、幕末長州を彷彿とさせるような政治であったり、自己宣伝に徹する政治であったり、権力維持の装置作りに奔走していた5年だったことだ。

つまり、本来の主権者である多くの一般国民に向かって、一切、本気で政治をする気が、さらさらなかった安倍政治である。挙句は、森友加計事件で、政治の私物化が表面化し、女房さえもコントロール出来ないマネージメント能力がない人間性まで晒してしまった。憲法改正は、時代の要請であるのなら、平常心で、国民的議論が行われる環境整備に腐心する政権の下で行いたいわけで、明治回帰などと云う狂信的集団の為の憲法改正など、もっての外である。

行政機構を私物化するために、内閣人事局をフル活動させ、官僚機構のメカニズムを破壊し、国民に向かった政治行政を行うのであれば意味があったが、政権維持の為に、その装置を使い尽くし、官僚の精神構造を賤しくさせ、政と官の緊張関係を、なあなあ関係に貶めた罪は大きい。政と官の癒着は、議会制民主主義の否定であり、国民の側が得るものは一つもない。有能な官吏が、無能な暴君の為にかしずくことの罪深さは万死に値する。

憲法改正などと云うものは、これから先の50年、100年、歴史に堪えうる改正を行うべきで、目的が改正することでは話にならない。また、国民投票で受け入れられやすい云々で安易に改正案を出されても迷惑なだけである。安倍政権の下での憲法改正は、カルト集団のような日本会議仕様の改正であり、それは民主国家の放棄を意味しているのは確実だ。全体主義、国家主義でありながら市場原理主義だと云うまったくもって歪で異様な国家の誕生を意味する。これでは、国民は納得出来ないだろう。

議会で憲法改正発議に必要な議席を確保している政党であるならば、権力側の都合の良い改正ではなく、国民が権力を制御する装置を多く盛りこんだ改正であるべきだ。或る一定の個人的政治勢力に媚びるような改正では、憲法改正ではない。町内会の規約改正のレベルであり、長州に逃げかえって、内々でやって貰いたいものである。五日市憲法ではないが、松陰憲法として靖国神社にでも奉納して、安倍は総辞職するのが妥当だ。

現在の与党勢力であれば、憲法改正は可能なのだから、安倍を総裁の座から、早々に退いて貰い、カルト集団色を排除した、国民に目の向いた改正であれば、国民の側にも、一定の範囲で受け入れる素地は充分にある。要は、安倍晋三では、もう無理なわけである。おそらく、石破でも駄目だろう。小泉進次郎も市場原理主義な点で駄目だ。岸田じゃ居ないのと同じ。個人的には野田聖子を推薦する。野田を総理にするくらい、自民党も変わった姿を見せないと、今度こそ、本当に下野の憂き目を見るだろう。枝野の立憲民主党は時が過ぎれば、案外手ごわいよ。


≪時代の風
「森友学園」国会審議 土俵の外から俯瞰せよ
=藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員
 国会で再び燃え盛る、森友学園問題の火。一部の与党議員や評論家が繰り返す「首相は知らなかったし、指示も出していないので、責任はない」という議論のおかしさを、改めて指摘しておきたい。
 行政府の長でありながら、自分の配偶者の名前を振りかざす怪しげな相手と行政機関の取引について知らなかったというのは、知っていた以上に責任を問われる問題である。「部下の不正行為はトップの責任」「情報が上がってこないトップは監督者として怠慢」というのが、世界に共通する常識だ。「悪いのは勝手にそんたくした部下だ」と唱えるほど、「そんな部下にやめろと指示を出すことこそトップの仕事」と世界は思うわけで、政権の開き直りは日本の国家ブランドをどんどん毀損(きそん)している。
 「野党など消えろ」「反政府の新聞はつぶせ」と唱えてきた一部論者にも問いたい。日本がもしオール与党の議会で、政権に異を唱えるマスコミも存在しない国になっていたら、この問題は闇に葬られていた。官僚組織の内部規律は更に崩壊の一途をたどっただろうが、それでいいのか。戦前の大本営よろしく、都合の悪い情報がトップに上がらない体制の下で、適切に外国に対峙(たいじ)できるとお考えか。挙国一致はむしろ国を弱くする。反対勢力がいてこそ社会は健全化するというのが民主主義の基本原理であり、全員一致の大政翼賛がお好きな方々は、民主主義ではない他国に移民でもされてはどうだろうか。
 とはいえ筆者は、国会での議論の偏りにもあきれている。「知らなかった」「知らなかったはずはない」の応酬をいつまで続けるのか。「仮に知らなかったのであれば、むしろそちらの方が問題だ」という俯瞰(ふかん)した視点から指摘する声がなぜ出ないのだろう。持久消耗戦の覚悟を固めた政権側の仕掛けに乗って、永遠の水掛け論に終わるポイントに誘い込まれてしまっているのではないか。
 土俵自体がゆがめられて設定された結果、議論が政局の範囲内に矮小(わいしょう)化されてしまう例は、これに限らない。辺野古問題でいえば、前回本欄で指摘したとおり「津波危険地帯の辺野古海岸に海上滑走路を設けるのは良くない」という論点がすっぽり抜け落ちている。青森県大間町の原発建設に関する議論でも、予定地は外国船舶が自由に通航できる津軽海峡に突き出しており、万が一テロリストが不審船から攻撃すればひとたまりもないのだが、関係者はどう考えているのか。これらは国防論議に熱心な「保守」の政治家にこそ直視してほしい問題である。
 「アベノミクスによる景気回復で、5年間に就業者数は250万人増えた」「いや増えたのは主に非正規雇用だ」という応酬も、年齢を見ていない点でピントがボケている。総務省の労働力調査で、野田内閣当時の2012年と17年の平均を比較すると、増えた250万人(正規・非正規合計)の、6分の5に当たる211万人は65歳以上だ。残り40万人が64歳以下の就業者の増加だが、性別では女性が109万人増で、男性は70万人減となっている(四捨五入の関係で端数が一致しない)。景気回復で雇用増というのであれば、64歳以下の男性の雇用も増えているのが筋ではないだろうか。また「若者の雇用増」というイメージに反して、39歳以下の就業者も116万人減っている。
 これらは別に政権が悪いのではない。日本では64歳以下の人口、特に39歳以下の人口が減っているので、上記のような流れは景気に無関係に止めようがないのである。そんな中でも「1億総活躍」の掛け声の下、出産で退職した女性の再雇用と高齢者の延長雇用が進んだ点は、素直に政権を評価すべきだ。さりとて就業者の増加の中身が圧倒的に高齢者である以上、非正規雇用が多いのは当然で、個人消費を増やす効果も乏しい。年代別人口の増減の影響を無視して設けられた既存マクロ経済学の土俵設定の外側から俯瞰せねば、事実は見えないのである。
 土俵の外に出て事実を俯瞰する能力。これは、入試の出題傾向や学会での慣例といった狭い枠の呪縛を脱して、真の学びを深める能力と共通する。お受験に背を向け自分の頭で考える習慣を身に着けた若者が、これから一人でも増えていくことに、筆者はそれでも希望を持っている。=毎週日曜日に掲載
 ≫(毎日新聞)

私はあなたの記憶のなかに
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小学館

 

青空と逃げる (単行本)
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中央公論新社

 

魔力の胎動
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KADOKAWA

●プーチン、トランプ蜜月、銭つき俯瞰外交 いまやすべてが水の泡

2018å¹´03月25æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

安倍三代
青木理
朝日新聞出版

 

日本会議の全貌 知られざる巨大組織の実態
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花伝社

 

官僚たちのアベノミクス――異形の経済政策はいかに作られたか (岩波新書)
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岩波書店


●プーチン、トランプ蜜月、銭つき俯瞰外交 いまやすべてが水の泡


アメリカではトランプさんが大暴れしている。ホワイトハウスの人事なんて、朝から晩まで、クビ、クビクビと叫んでいるわけで、どこで、トランプ政権の意思が決定しているのか、理解不能な状況になっている。我が国の外務省や経産省などは、知ったかぶりな米国通だらけなのに、いまや、彼らが、糞の役にも立たないのは明らかだ。

安倍はトランプとの個人的信頼関係が強固なことを内外にアピールし、日本は特別だ!みたいな印象を、国民に与え続けていたが、実は、トランプの社交辞令にまんまと乗せられただけのようだ。それはそれ、これはこれ、とバカボンをたしなめるお父さんのようである。そう言えば、世界のプーチン大統領にも、同じような扱いを受け、極東開発は日本に、北方領土は別の話で片づけられていたのを思い出した。

おそらく、外為準備金から出したとはいえ、世界中を意味もなく、準備不足で、国内の支持者へのアピールの為に、否、自己満足の為に飛び回り、何兆に達する銭をバラ撒いていたが、いまや、外交でも経済でも、世界の蚊帳の外に追いやられている。韓国による米朝会議の仲介が成立、いまや朝鮮半島問題は、米韓朝3カ国で動きだしている。慌てて、日朝会議を模索などと、外交日程に盛りこんだようだが、1兆円くらい積まなければ実現の可能性はないと世界は見ている。バカじゃねえのか、安倍って奴は!

自分の国の国民を、足蹴にしておき乍ら、電通仕様の政権維持の為に、パフォーマンスに明け暮れた結果がこのザマなのだから、自己保有の岸が隠れ遺贈した全財産叩いてでも弁償して貰いたいものである。安倍は、ことここに及んでも、アメリカのケツナメ外交に終始しようとしている。中国などは、毅然と対抗措置に出ると内外に通告する根性がある。米国債を売っぱらってやるからな、覚えておけ!武士らしいのは、あきらかに習近平に軍配だ。安倍などは、よなよなした公家のようでさえある。大仰なネーミングの日本会議の連中も、ちーとは怒ったら如何なものなのだろう?

挙句に、この男には、家庭のバランスを制御する能力にも欠けているようで、女房昭恵さまの夜な夜なのご乱行も抑えられないようで、森友事件の決着を、見せかけ離婚で切り抜けようかなど、お馬鹿な噂まで飛び交う事態になっているのだから、もう、呆れてものが言えない。こんな安倍に、いまだにお追従をいってしがみついている自民党の安倍チルドレンが、声高に最期の足搔きに出ている、醜悪だね。

いまや、安倍の唯一の拠りどころである東証の日経平均も、世界市場広しといえど、断トツで下げまくっているのだよ、ネトウヨ君たち。3月の株価下落率6.6%は、狂気のトランプの足元よりもっと下げている。東京市場をウォッチしている筆者から見れば、日銀の必死の買い支えにが入ったうえでこのザマなのだから、本来の市場に換算すると、実態は10%以上の下げだ。これに、今週からの森友事件関連が動きだせば、世界一の株下落を実現するだろう。日本の為に、自民党の為に、世界の為に、満開の桜の為に、安倍は退陣すべきだ!


 ≪トランプ氏「もうだまされない」 日本の要求通さず
鉄鋼・アルミ輸入制限を発動
 トランプ米政権は23日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動した。日本政府は日本を適用対象から外すように求めてきたが、要求は通らなかった。日本はこれまで安倍晋三首相とトランプ氏の信頼関係を基盤に経済、外交の戦略を立ててきたが、首脳の個人的な関係に頼る限界がのぞく。
「日本の安倍首相らは『こんなに長い間、米国をうまくだませたなんて信じられない』とほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」。
 トランプ氏は22日、こう強調した。安倍首相を「いいやつで私の友人」と持ち上げながら、特別扱いはしない、との姿勢だ。
 日本が米国に輸出する鉄鋼とアルミニウムにはそれぞれ25%、10%の追加関税が課される。菅義偉官房長官は23日の記者会見で「今回の措置は極めて遺憾だ」と述べた。
 この1年間、日米間の通商問題は麻生太郎副総理・財務相とペンス米副大統領の間の「日米経済対話」で議論してきた。日本にとって同対話は「結論を先送りする仕組み」(政府関係者)だった。日本側には油断が生まれた。「米国は首相が嫌がる要求はしてこない」と高をくくっていた。
 いまは違う。経済官庁幹部は「農業の市場開放の圧力を強めたり、日米の自動車の貿易を巡って譲歩を求めてきたりするシナリオも想定する」と話す。トランプ氏が熱心な米国製戦闘機の購入要求も再燃しかねない。
 円安に振れれば、日本が通貨安政策を取っているとの批判を再びトランプ氏が始める懸念もある。米国が求める日米自由貿易協定(FTA)交渉の圧力も高まりそうだ。経済でこじれれば、北朝鮮問題など他の外交課題で日米の連携に影響が出るかもしれない。
 米国はカナダ、ブラジル、韓国、メキシコ、欧州連合(EU)、オーストラリア、アルゼンチンに輸入制限の適用を猶予した。いずれも貿易赤字削減に向けた通商交渉で「ディール(取引)」ができる国・地域だ。
 トランプ氏は22日「多くの国は鉄鋼やアルミに関税を払いたくないから、より優れた貿易協定を交渉しようと(米国に)呼びかけている」と述べた。輸入制限を取引材料に譲歩を引き出す狙いだ。
 米政権はカナダ、メキシコと2017年8月から北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を進めている。韓国とは18年1月に米韓FTAの再交渉を始めた。EUは米欧間のFTA交渉再開を呼びかけた。米国はこれらの国・地域で貿易赤字を抱え、トランプ氏は貿易障壁をたびたび批判してきた。ブラジル、オーストラリア、アルゼンチンはそもそも貿易黒字国だ。
 猶予した7カ国・地域からの鉄鋼輸入は米国全体の6割強。輸入を抑える目的が達成できず、米政権は輸入量の上限枠を設ける方針。関税率引き上げの可能性も示す。
 適用除外へ交渉を求めればディールを好むトランプ氏の思うつぼだ。トランプ氏は発言の振れ幅も大きく、各国は同氏の要求を見極める必要がある。それは日本も同じだ。
 「EUの鉄・アルミが輸入制限から一時的に除外されたことに留意しつつ、恒久的な除外を求める」。EU首脳は23日公表の文書で、安堵感をにじませつつも、米国を強くけん制した。米国との「貿易戦争」はひとまず回避できたが「EU市場へのアクセス拡大に結びつける試みは受け入れられない」(高官)として関税撤廃などを狙う米国を警戒している。  ≫(日経新聞)


≪日本株、下落率突出 米中摩擦や円高響く
 世界のマーケットが再び米国発の株安に揺れている。2月の米金利上昇に続き、トランプ米大統領が保護主義的な通商政策を打ち出したためだ。中でも日本株の下げは突出し、3月の下落率は6.6%と世界主要25市場で最大。貿易摩擦の震源地の米中も上回る。米中景気失速、円高懸念、市場の流動性の高さが日本株の重荷になっている。
 今回の株安の引き金は米中貿易戦争への警戒感だ。米トランプ政権が22~23日に中国製品に高関税を課す制裁措置を決め中国も対抗措置の準備に入った。「米中で関税引き上げ合戦になるとの連想」(三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏)から世界株は一斉に下落。世界株の時価総額は2月末から3兆ドル(約315兆円)減った。中でも主要市場で日本株の下げが最も大きかった。
 日本も米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限の対象だが日本からの鉄鋼・アルミ製品の対米輸出は約20億ドルにとどまり、直接的な影響は限られる。それにもかかわらず日本株が大きく下げた背景には3つの要因がある。
 1つ目は、貿易戦争で米中景気が失速するリスクだ。関税引き上げは米国内の輸入品の物価上昇につながり、堅調な米個人消費を冷やす恐れがある。自動車や電機を中心に日本の輸出企業の多くは米国が収益の柱になっており、業績の下押し圧力になりかねない。
 米国の関税引き上げは中国の製造業にとって打撃だ。中国の対米輸出が落ち込めば、日本から中国に生産設備や部品などを輸出している日本企業も大きな影響を受ける。23日の東京株式市場ではコマツや安川電機などの設備投資関連株に加え、日東電工やTDKなど中国のスマートフォン向けなどに部品を供給する銘柄が大きく下落した。
 2つ目は、円高の懸念だ。23日はリスク回避で安全資産とされる円が買われ1年4カ月ぶりに1ドル=104円台まで円高が進んだ。「貿易赤字を減らすためにトランプ政権がドル安を志向するのでは」という市場の思惑も円高に拍車をかける。
 円相場が現状の水準のままで推移すれば、4~5月の3月期企業の決算発表で来期の想定為替レートを1ドル=100円と今期実績(約110円)よりも円高水準に設定する企業が相次ぎそうだ。「日本企業全体の来期業績予想は経常減益になる可能性がある」(大和証券の石黒英之氏)と警戒する声が増えている。
 3つ目が日本株の流動性の高さだ。日本株はアジア市場で日々の売買金額が最も大きく一度に大量の注文を吸収できる。運用資産額が大きい海外勢には、中国株などの下落リスクを回避するために株価指数先物などを使ってまずは日本株に売りを出す投資家がめだつ。
 株安局面でアジア株の中で真っ先に売られることが多い日本株は、結果として値動きが大きくなりやすい。これが株価下落局面でも大きく稼ごうとする投機マネーの売り注文を呼び込み、日本株の下げを増幅している。
 米通商代表部(USTR)は15日以内に制裁関税を課す中国製品のリストを作成し、米企業などから意見を募る手続きに入る。実際の制裁発動までは2カ月近くかかる見通しで「全容が見えるまでは株式市場は制裁関連のニュースに敏感に反応する地合いが続く」(三井住友アセットの市川氏)。日本株も当面不安定な展開が続きそうだ。  ≫(日経新聞)






 
≪中国、米国債購入減に含み 301条に対抗
【ニューヨーク=大塚節雄、北京=原田逸策】中国政府は23~24日、米通商法301条に基づいた対中制裁に報復する意向を示し、米国を強くけん制した。崔天凱・駐米大使は23日、米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた。劉鶴副首相も24日、ムニューシン米財務長官との電話協議で「中国側はすでに準備できており、国家の利益を守る実力もある」と述べ、対米報復を示唆した。
 トランプ米政権は22日、中国が知的財産権を侵害しているとして最大で1300品目、600億ドル(約6兆3千億円)分に25%の関税をかける措置を決めた。
 崔氏は米経済テレビのインタビューに答えた。米国債の購入を減らす可能性を聞かれ、対抗措置を考える過程で、あらゆる選択肢を排除しない考えを示した。
 中国は1月末時点で1兆1700億ドル(120兆円強)の米国債を持つ。米国外では最大の保有者。中国が「米国債カード」を持ち出したことで米債券市場が不安定になる可能性も懸念される。
 ただ、中国は自国の購入減額で米国債の利回りが上がり、資本流出の圧力が再び高まることを警戒。減額するとしても非常に慎重に進めるとみられる。中国メディアは崔大使の米国債に関する発言をほとんど伝えていない。国内の金融市場に動揺を与えないように習近平(シー・ジンピン)指導部が報道を規制しているとみられる。
 劉氏はムニューシン氏に「双方が理性を保ち、共同で努力し、米中経済貿易関係の安定した大局を守るよう希望する」と貿易戦争の懸念を表明。301条の調査結果は「国際貿易ルールに違反し、中国の利益にも米国の利益にも世界の利益にもならない」と批判した。双方は協議を続けることでも一致した。中国国営新華社が伝えた。劉氏は習国家主席の側近。
 楼継偉・元財政相は24日、北京市内の講演で「中国が示した報復案はまだ軟弱だと思う。私ならばまず大豆を先にたたき、次に自動車をたたき、次に航空機をたたく」と述べた。301条の制裁を発動した場合、米国の最大輸出品の大豆が標的になる可能性を示唆した。
 中国商務省は23日、米国が通商拡大法232条に基づき中国産を含む鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を発動したのに対抗し、米国産の豚肉やワインなど128品目に最大25%の関税を上乗せする報復案を公表した。 ≫(日経新聞)



オリバー・ストーン オン プーチン
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炎と怒り――トランプ政権の内幕
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ポピュリズム:デモクラシーの友と敵
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●弱者を敵視する“ゆがんだ心理” 自分の弱味をヘイトで隠して

2018å¹´03月24æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

チャヴ 弱者を敵視する社会
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貧困クライシス 国民総「最底辺」社会
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私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)
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●弱者を敵視する“ゆがんだ心理” 自分の弱味をヘイトで隠して

本日は、ひさびさに永田町の騒乱から数歩さがってチョイとひと言コラムにしよう。最近思うことだが、安倍政権の市場原理主義に基づいた経済成長ありきな経済財政社会保障等の政策立案の理念は、富裕層が頼んでもいないのにさらに裕福にして、貧乏程度だった弱者を、再起不能な下層貧困弱者に叩き落す理念に思えてくる。

この階級社会現象は、幾つか本も出ているくらいポピュラーな問題になりつつある。実は、富裕階層の企業群や個人富裕層も、安倍政権が思い描くように、或いは竹中平蔵が解説するように、富裕層は、その利益を享受し、紀伊国屋文左衛門を倣い贅沢、享楽、道楽に耽るという目論見は完全に外れている。

企業は、自社の実力で増収増益になったと自覚出来ないので、アベノミクスとやらで得た利益は、バブルがはじけた時に持ちだすための内部留保として“アベノミクス崩壊準備金”のような積りで蓄えておくしかないアブク銭のような扱いなのだ。個人富裕層も、みずからの手で勝ち得た利益ではないので、見せ金の如く、木の葉のようなもので、大きく儲かっている株式なども、売れば利益確定で税金が増えるだけなので、結果的に利益を留保しているので、社会に還元するほど消費三昧とはならない。

つまり、個人においても内部留保的な資金がだぶついてはいるが、そのだぶつきで浪費しようという機運はほとんどない。おそらく、富裕層の多くの人は、土地株バブルを経験した人々だろうから、アベノミクスで増えたように見える利益は、泡だから、いずれ消えるので、使ってはいけないと云う防御本能が働くのだろう。こうして、だぶついた、見せかけの利益はGDPに殆ど貢献しないことになるので、トリクルダウンなどは絶対に起きない。

一方弱者の方はどうかと言えば、こちらは、竹中の自己責任論だから、1億相労働法を考案してみたり、働かせ方改革を考えたり、派遣法を際限なく拡張してみたり等々と、サディスト並みに鞭で打ち続けるのだから堪らない。その上、貧乏だった年金生活者の金も、ジワジワと支給額を下げ続け、数万円の国民年金受給者からまで税金を召し上げる事態になっている。これでは、貧乏人が寄り貧乏になり、貧困層と呼ばれるレベルまで生活水準を下げることになるので、こちらもGDPには貢献しない。

こんな世の中になると、ヤケクソを起こす人々も増えるわけで、弱い者が、さらに弱い者をたたく社会現象まで生まれてくる。まさに悪循環で、安倍首相の言う好循環は、影も形もない次第となる。かくして安倍の“美しい国”は出来上がるわけである。ここまで、経済財政社会保障政策など失政を続けてしまうと挽回は不可能なのは、異次元緩和し始めた年から気づいていたに違いない。そうか、挽回不可能ってことなら尻を捲ってしまえ、という気分になるのも人間的だ(笑)。

お上の態度がこの調子なのだから、下々の心も安倍首相同様に千々に乱れる。この千々に乱れた人々は、安倍チルドレンだったり、日本会議の一部の人々だったり、国会で羞恥発言をしたり、ヘイトスピーカーだったりするわけだ。或いは、なんら行動を起こさずに、ネット右翼となって、嫌韓から生活保護家庭を叩いたり、障がい者を足手まとい扱いするなど、人間が壊れてしまっている。このような人々の多くは、実はご本人自身も弱者カテゴリーに括られるべき人々の場合が多い点が特徴だ。

弱者が強者の仮面をかぶり、おなじ弱者を叩くことで溜飲を下げている構図は、情けないものだが、滑稽にも見える。在日を隠すために右翼の活動家になる人も多いと聞くが、構造的には同じなわけで、おそらく、この辺は心理学的に解明されているのだろうが、筆者は寡聞にして知らない。少子高齢化はもう聞き飽きたが、今後の日本は、後期高齢者が、前期高齢者を上回る時代に突入すると云う記事を読んだが、いずれ、この人々へのヘイトも過激化しそうな気がする。

このような社会現象を、まるまる安倍政治の所為にするのはフェアではないだろうが、新自由主義と国家主義(全体主義)が手を結ぶと、どうしても、効率重視、合理性の追求‥等、弱者切り捨てが本流の社会構造に向かう傾向は確定しているのだから、政治が、その主義で行くと決める政治の善悪への判断は留保するとしても、強く出る副作用は理論上判っているのだから、当然政治は、その副作用へのケアを同時に行ってこそ政治なわけで、安倍政治は、その副作用がもっと悪くなるクスリを投与し続けるのだから、政治的にも、社会的にも、国際上も、悪に分類されても仕方がない。

以下に、弱者を敵視することを扱った毎日新聞の記事と、シリーズ化していた藤田孝典と平野啓一郎の対談“下流ニッポンの処方箋”の第一部を紹介しておく。


≪弱者敵視、あおる社会 生活保護受給者、ホームレス、障害者標的に
 生活保護受給者やホームレスなど、社会で弱い立場にいる人への攻撃的な空気が広がってきたのはいつごろからだろう。格差社会のもと、経済成長を遮二無二追求する中で、「生産性が低い」ことなどを理由に、排除しようという心理が見え隠れする。【井田純】

 昨年7月の刊行以来、じわじわ売れ続けている翻訳本がある。英国の若手コラムニスト、オーウェン・ジョーンズ氏(33)の「チャヴ 弱者を敵視する社会」だ。今年に入っても版を重ね、すでに5刷。出版した「海と月社」の松井義弘社長は「硬い内容で400ページ近いボリュームにもかかわらず、多くの人に読んでもらえている」と手応えを語る。
 「チャヴ」とは貧困層に対する英国での蔑称で、「粗野」「怠惰」など否定的なイメージをまとった言葉という。同書は、サッチャー政権以後の英国の変化を分析、格差・不平等を正当化しようとする社会を告発する。
 「読者の反応で目立つのは、『とても英国の話とは思えない』『そのまま今の日本だ』という声です」と松井さん。「生活保護」たたき、社会問題を自己責任論で片付けようとする空気、同調するメディア、規制緩和の恩恵が為政者周辺に流れる仕組み--。なるほど他国の話に聞こえない。
 翻って日本。最近の東京都の調査で、アパートを借りられず、ネットカフェなどで寝泊まりする人たちが約4000人に及ぶことが明らかになった。今年2月、この調査を取り上げたテレビのバラエティー番組では、タレントが「(彼らも)ちゃんと働いてほしい」と「自己責任論」を展開した。しかし、都によると、9割近くが働き、中には正社員も含まれており、「自己責任論」に根拠はない。
 昨年末には生活保護受給者を尾行したり、自宅を張り込んだりするテレビ番組が放送されている。タイトルには「ずるい奴(やつ)ら」などの文字も。取り上げられたのは体調を崩して生活保護を受け、回復してまた働き始めた「不正受給者」らだった。
 貧困層を支援するNPO法人、自立生活サポートセンター・もやい(東京都新宿区)の大西連理事長の目には、この番組が「人権感覚上問題がある」と映った。行政側も詐欺罪で告訴しない悪質性の低いケースであるにもかかわらず、自治体担当者とともに、生活保護受給者を追いかけた。
 「弱者敵視」をあおるようなメディアの姿勢について、大西さんは「視聴者に受ける、という判断があるようです。ワーキングプアが社会問題化してきた十数年前は『報道』が扱うテーマだった貧困問題が、今は『バラエティー』のトピックになり、専門家ではなくタレントがコメントする話題になった」とみる。取材を受ける立場でもある大西さんの実感だ。
 大西さんは、こうした社会・メディアの変化と政策の方向性に共通するものを感じる。昨年12月には、政府が生活保護受給額のうち食費や光熱費などを今年10月から3年かけて年160億円(約1・8%)削減する方針を発表した。「安倍晋三政権の弱者へのまなざしには、根本的に冷たいものを感じます。雇用を伸ばし、経済成長を図る考えには賛成ですが、生活保護費の削減はこれに逆行する。弱い立場の権利を守るのではなく、強いものに投資するという考えで、『自己責任論』と親和性が高い」

■「強い国」目指し効率優先
 「これまで建前で抑えてきたものが、こういう空気の中で噴き出してきたのではないでしょうか」。そう話すのは、横浜市で障害者の作業所などを運営する渋谷治巳さん。渋谷さんも脳性まひ者で、介助を受けながら生活している。
 渋谷さんが思い出すのは、一昨年7月に相模原市で起きた「やまゆり園事件」だ。知的障害者福祉施設で元施設職員の男が入所者19人を殺害、26人に重軽傷を負わせた。捜査の過程で、被告は事件前に「障害者を安楽死させるための法制」を訴える手紙を安倍首相に渡そうとしていたことが明らかになっている。
 「新自由主義が目指す『強くなっていく国』では、弱い者は生きづらい。生産性の高い人間を育てたいという社会では、異質なものはいない方が効率がいいという考えが出てくるでしょう。戦時中、養護学校の生徒が学童疎開の対象外になったのは『戦力』にならないからでした。軍事、経済の違いはあっても、ある物差しで命の価値を分けるという点で共通している」
 事件から1年半以上が経過した今、渋谷さんはこんなことを考えている。「もちろん、彼の犯した罪は絶対に許せません。ですが、彼自身もこの社会での強者ではなかった。弱い者が自分で自分を追い込んでいるように映ります」
 2月末、政府の働き方改革関連法案に反対する東京・新宿でのデモでは、こんな話を聞いた。主催団体「AEQUITAS(エキタス)」のメンバーの一人は、街頭で最低賃金の引き上げを訴えていたとき、「給料を上げたら会社がもたなくなる、と言い返された」と振り返る。「給料をもらう側の人が、経営者を代弁するようなことを言うんです」。格差が広がるほど「助けを求めるな、甘えるな」という声が強まるように感じることもある、という。
 若者の労働環境や不登校、引きこもりなどの実態に詳しい関東学院大の中西新太郎教授(社会学)の分析はこうだ。
 「誰かが主張する権利を『特権』に読み替えて攻撃し、自分を正義だと感じる。ヘイトスピーチとも共通する心理です。同時に、弱者を敵視することで『自分は弱者ではない』と思える、という構造があります」。貧困問題に限らず、保育園が足りないと声を上げる人を「産んだ親の責任」と攻撃する人たちが出てくるのも、同様のメカニズムだとみる。
 そんな社会でいいのか。中西さんは「実際には、圧倒的大多数は、富裕層の仲間入りをするより貧困に陥る方がはるかに可能性が高い。正社員でも会社の業績悪化や病気・事故、震災のような自然災害、親の介護など、ちょっとしたきっかけで生活基盤が崩れかねない。弱者をたたくことで秩序を維持しようとする社会はきわめて脆弱(ぜいじゃく)です」。
 今月7日の国会前。森友学園問題の公文書改ざん発覚を受けた安倍内閣への抗議デモの場で、こんなスピーチに共感の声が上がった。「弱い者がさらに弱い者をたたく社会にしてしまったことが許せない」。ごく一部の特別な人たちを除けば、みな弱い立場にあるという事実に多くの人が気づき始めているのかもしれない。  ≫(毎日新聞)


≪下流ニッポンの処方箋――弱者への攻撃は自己責任論ではなく「全体主義」だ

藤田孝典 / NPO法人ほっとプラス代表理事
 格差が広がり、貧困家庭が増えても、自分が当事者にならない限りその存在が見えにくい社会。生活の質を底上げし、分断を埋める方法は見つかるのか。「貧困クライシス」(毎日新聞出版、972円)の著者・藤田孝典さんと、芥川賞作家の平野啓一郎さんが、閉塞(へいそく)感あふれるニッポンの今と未来への希望を熱く語り合いました。【構成/経済プレミア編集部・戸嶋誠司、撮影/高橋勝視】
藤田孝典さん×平野啓一郎さん対談(その1)

平野 藤田さんの「貧困クライシス」を読ませていただきました。細かなデータと問題点の指摘だけではなく、どこに助けを求めたらいいのか、どんな制度をどう活用すればいいかについても細かく書かれていて、とてもいいと思いました。
 自殺対策支援センターライフリンク代表の清水康之さんは、「報道は、問題を指摘するだけではダメで、どこに助けを求めればいいかをフォローしなければならない」と強調していましたが、これはまさにそういう作りになっていますね。本の形でこのようにまとまっていると、今後、自分が誰かに何かを相談されたときもうまく説明できそうです。

藤田 ありがとうございます。僕は普段、NPO法人ほっとプラスで活動しています。学生時代から、ホームレスや生活に困っている方の相談を受けていて、生きにくさを抱える人たちが次々相談に来ます。  そんな時、平野さんの作品を読みながら得るものが多いんです。みんなが生きにくさを抱えていて、「こうでなきゃいけないんだ」とか、「こう生きるべきだ」みたいなあるべき論に縛られ、生きにくくなっていますから。
 平野さんが提唱する「分人主義」--いろんな生き方があっていいし、いろんな考え方があっていいし、そのときそのときで人は変わっていくんだ--という考え方を、どう伝えられたらいいかなと考え、実践しています。 ※分人主義……人間は分割不可能な個人ではなく、いくつもの顔を持つ、複数の「分人」が集まった存在である、という独自の概念  社会を見る目線、人に対する関わり方に自分と共通点があると感じていて、ぜひご一緒に語り合いたいと思っていました。うちの子供は3歳ですが、平野さんのところも確か……。

平野 うちは3歳と5歳です。下の子が同い年ですね。

藤田 お子さんが生まれて、変わったような。

■子供ができて見えてきた社会の問題
平野 今までよく分からなかった社会問題、いろいろな要素が、子どもができて分かるようになりました。待機児童問題とか、あと保育園の保育士さんたちの重労働と精神的なプレッシャー、低賃金とか。

藤田 うちも待機児童で、最初は認可保育園に入れなくて、無認可に入れていました。まさか保育園に入れないとは思っていませんでした。

平野 うちは、最初は2人が別々の保育園に入れられました。送り迎えが大変で、僕は不平を言っていましたが、一方で、「入れない人もいるんだから、その人たちのことを考えればぜいたくだ」と、不平を言いにくい雰囲気がありましたね。  藤田さんの本に書かれている「ひどい状況なのに、自分はまだ恵まれている」「がまんしなきゃいけない」という社会風潮と通底していますね。本当は制度が悪いのに、がまんさせられている。
 
藤田 引き下げデモクラシーですね。下の人がいるから自分はまだましな方だと思う感覚。今まさに話題になっている「忖度(そんたく)」です。

平野 忖度はいつか、外国の辞書に「SONTAKU」って載るんじゃないですか。「KAROUSHI」や「HIKIKOMORI」のように。

藤田 本当は社会構造や政治を批判的に見なければいけないのに、市民全般に「何をやっても変わらないんだ」「しょうがないじゃないか」というあきらめ感がまん延しています。

平野 人格攻撃のために批判するわけではなくて、改善したらどうかという意見の表明なんですけどね。僕は世の中のいろんなことにいつも不平不満を感じていて、ツイッターでつぶやくんですが、そうすると、思いもかけないリプライ(返信)があって驚きます。不便なら変えればいいのに、なぜか「がまんしましょう」「みんながやってることですから」という話がやってくる。

藤田 貧困問題も同じですよ。当事者は生存権すらも脅かされていて、生きられない状況なのに、いろんなことをがまんさせられています。異常なほどのがまん強さです。制度がおかしいのに。人口減少や自殺率の高さを見ても、今は異常な社会という認識が必要で、平野さんのように小さなことでも指摘して声を上げる、抵抗していくことが大事だと思います。

■自己責任論よりもひどい「全体主義」
編集部 不便をがまんしろと言われるだけでなく、「お前が悪いんだ、がまんが足りない、もっとがんばれ」という自己責任論も幅をきかせています。

平野 自己責任論以上の深刻さを感じます。小泉政権時代に勝ち組・負け組を分けたがる新自由主義的な風潮、片山さつき的世界観がはやりました。でもあのころは、「金持ちは努力している」、貧しい人たちは「努力が足りない」と、富裕層を擁護し、貧困層を放っておく、という感じでした。
 しかし、昨今の風潮はもっと全体主義的です。「貧困状態の人は社会保障費を食いつぶし、人に迷惑をかけている」という発想。自己責任だから放っておくのではなく、むしろ積極的に彼らを攻撃する。これは全体主義の発想だと思います。

藤田 貧困状態の人たちだけではなく、人工透析患者、健康でない人、高齢者、障害者も攻撃されていますね。
 社会にはいろいろな人間がいて、いろいろな役割があるはずなのに、相模原の事件もそうですが、社会の役に立つか立たないか、働けて税金を納められるかどうか、子どもを産めるか産めないかで人間の価値を決めてしまう。人間を経済原理でしか見ていません。

平野 僕も税金を払っていますし、自分の税金をオリンピックに使われると思うと腹立たしいですが(笑い)、税金は社会のために使われていると思っていますし、そこに怒りはありません。しかし今、その税金が貧困状態にある人に使われるときにだけ、ものすごく損した気分になり、攻撃する人がいるのは不思議です。
 江戸時代のように民を食うや食わずの状態で生かしておくより、健康を管理して、国民の生活水準を上げた方が、自己責任論よりも国全体が富む、という考え方が近代化の基本です。それに対する批判的な検証も四半世紀ほど続きました。
 ところが今、自己責任論を言っている人たちはその前提すらなく、「愛国」でかつ「自己責任論」という奇妙な主張です。
 また、1人の人間を労働力としてしか見ていないことも問題です。貧しい人もまた消費者です。彼らに税金を投入するとほとんど消費財に回ります。投入したお金は社会に還元されます。それと、人は1人の人間であって、経済学だけでは測れない存在理由があります。誰かにとって大事な人であるとか、誰かの親であるとか。
 誰かが病気になったとして、健康に気をつけている人をまず助けるべきだという考え方もおかしい。不摂生の人は自己責任だから助けなくていいのか。そんなことを言い出したら、健康オタクの極悪人と、不摂生な善人のどちらを助けるかという、バカな議論になってしまいます。
 そのような歪(ゆが)んで偏向した考え方を炎上商法的に叫ぶ人たちがいて、それに同調する人たちもいて、うんざりします。話すと4日ぐらいかかりますよ(笑い)。

藤田 うんざりする気持ち、分かります。平野さんのツイッターやフェイスブックはいつも怒っているというイメージがありますが。

平野 そういう人間でないはずなんですよ。わりと温厚なので(笑い)。

藤田 僕も平野さんとまったく同じ考えです。生活保護受給者、障害者の方もそうですが、生活保護費も年金もその地域に還元されます。生活保護費は4分の3が国からの補助、4分の1が自治体負担です。その4分の1も地方交付税交付金で補われます。いわば、国家の再分配の仕組みなんです。それが地域に回るという考え方です。
 彼らがお金を使えば、それだけでも何かの役割を発揮することになる。「お金を使う」というプラスの側面をなぜ評価しないのかと思います。 *筆者注:その一終わり、二部三部は後日掲載予定

 平野啓一郎(ひらの・けいいちろう)/1975年生まれ、福岡県出身。作家。98年「日蝕」でデビュー。同作で第120回芥川賞受賞。「決壊」「透明な迷宮」「私とは何か『個人』から『分人』へ」など著書多数。
≫(毎日新聞)

マチネの終わりに
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●「あれはやらされた方、やらした方の証人喚問をやるべき」by OZAWA

2018å¹´03月23æ—¥ | æ—¥è¨˜



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●「あれはやらされた方、やらした方の証人喚問をやるべき」by OZAWA

自由党の小沢代表は、報道ステーションの佐川前国税庁長官の証人喚問に関するインタビューで「あれはやらされた方だから、やらした方の証人喚問をやるべき」と答えていたが、けだし名言。この一言で、本日のコラムは終わらせてもいいのではないかと思う。

森友事件のドラマ化が決定した場合、出てくる登場人物は凄い出演者の数にのぼるだろう。NHKは来年の大河ドラマ『A官邸 中年男たちの悪臭』(仮題)を早々に企画すべきだ。出来れば、米ワシントンの了解を得ておいた方が賢明だろうが……。キャストの割りふりも大変だが、出演者となる顔ぶれの俳優の顔を思い描くのも一興だ。

籠池夫妻は中尾彬夫婦で決まりとか、安倍昭恵を誰に演じさせようか、安倍首相は影絵で片づける、菅官房長官は後姿だけで、機密費の金庫を開けるシーンにだけ登場させるとか、今井尚哉秘書官は主役の一人だが誰を抜擢しようか?あと面白い役回りは、昭恵夫人付き秘書の谷査恵子役も決めねばならない。迫田英典や佐川はドラマの筋書き上、重要な役回りではないので、売れていなかったどこかの劇団員の水準で充分だろう。あと登場させる人物はと……。

事件の発端のシナリオでは松井府知事やS弁護士。その裏で蠢くゴミ関連の事情に絡む人々。そして、その全体像を描く構想の裏の顔に(国家戦略特区)に君臨するパソナの最高幹部竹中平蔵。加計学園事件でも、竹中の意見が強く反映しているわけで、重大な役回りとして大物俳優を当てなければならない。ウォール街のビルの一室で、モサドの代理人からのミッションを渡されるシーンも入れ込むべきだ。

憲法改正により、軍国主義化はもう少しで実現する日本を描く壮大でカルト的な要素を含むドラマは、あきらかに帝国主義日本を目指していた。この動きに強く反対する当時の天皇皇后を演じる俳優の位置も重要だ。そうそう、二階幹事長の役回りも大切だな。

こんな風に考えると、百田尚樹レベルでは書ききれない多くのテーマがあるので、平野啓一郎の初シナリオ作品なんてのが面白い。小泉純一郎、進次郎親子の役回りも興味深い。そうそう、日本をファシズム的国家とし、帝国主義と軍国主義と新自由主義経済国家の混在国家を目指す野望に東京という首都の意思決定も重要な役回りがあるので、みどりの牝ダヌキ都知事・小池百合子役にも大物俳優が割り当てられる。ドラマの筋立てで、竹中と小池のベッドシーンなんてのも入れて欲しい構図だが気味が悪いかな(笑)。

まぁこんな風に妄想を膨らませていくと、朝が来てしまった。外は充分に白んでいる。寝ないと、本日に差し支えるので、本日はこの辺で……。そうだ、日本会議の人々の役回りをどう扱うべきか、安倍チルドレンの女体盛のシーンは入れておこうか?前川喜平にも登場して貰いたいね。真打小沢一郎が急遽野党連合政府の内閣総理大臣に抜擢され、東京地検特捜部を手中に入れ、韓国の検察の世界のように、悪を懲らしめる白馬の騎士ってのは夢の盛りこみすぎだろうか(笑)。皆さまも、各俳優を割り当ててみてはいかがでしょう? 

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沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 (角川文庫)
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海を抱いて月に眠る
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●枝野が無駄を承知で訴えた 通過儀礼の一歩が確実に安倍崩壊に

2018å¹´03月22æ—¥ | æ—¥è¨˜


●枝野が無駄を承知で訴えた 通過儀礼の一歩が確実に安倍崩壊に

国会運営における駆け引きと云うものは、なんともマドロッコシイものだと思う。しかし、それが本筋の立憲性のある追求であるならば、それは、無駄なようでも通過させないわけにはいかない儀礼的ではあるが、省くことの出来ない儀礼なのである。それが立憲主義の特長であり、議院内閣制をとる国の民主主義の難解な部分だが、いたし方ない面がある。

野党第一党の立憲民主党代表・枝野幸男は21日雨中の新宿で1000人の聴衆を前に、多くの安倍政権への責任追及の言葉を発した。順不同だが、
・「(当時理財局長だった)佐川宣寿氏が一人でやったはずがない。政権ぐるみで改ざんした。財務省ではなく政権全体の問題だ」
・「キーマンは安倍昭恵首相夫人だ。政治不信を払拭するために率先して国会で話すのは当たり前だ」
・「安倍昭恵氏は首相夫人であり、純粋な民間人ではない。政治不信と行政不信を払拭(ふっしょく)するため、国会に来てしゃべるのが当たり前だ」
・「佐川前国税庁長官の証人喚問は入り口でしかない」
・「入り口の入り口でしかない。佐川氏は文書偽造で罪に問われるかも知れず、洗いざらい話すかわからないが、初心を取り戻して国民のために証言してほしい」
・「政権ぐるみで公文書を改ざんし、国会ででたらめなことを言い、1年間にわたり国民をだましてきた。この問題のキーマンは安倍総理大臣夫人の昭恵氏であることは間違いない。財務省の理財局長を務めていた迫田元国税庁長官らも国会に呼んで、全体像を明らかにするのがわれわれの責任だ」

以下は、枝野の訴えを報じる朝日新聞の記事だが、NHKも最近は既定路線のように、安倍政権の森友事件や前川前事務次官の講演に対する安倍チルドレンの贔屓の引き倒しな行動なども前向きに報道しているのが印象的だ。腹が座った朝日新聞の報道は当然の流れだが、根性無しのNHKが、ここまで安倍官邸に忖度せずに報道出来ている政治的な背景は熟考に値する。


 ≪「佐川さん、国民のために証言してくれ」
 立憲・枝野氏 枝野幸男・立憲民主党代表(発言録)
 改ざんされた公文書に基づいて、この1年、国会や国民の皆さんにでっちあげの説明が繰り返されてきた。(財務省前理財局長の)佐川(宣寿)さんが1人でやったはずがない。森友学園問題は最初から首相にかかわる重要案件で、理財局長、財務大臣、首相、官房長官がバラバラに答弁するはずがない。まさに政権ぐるみで答弁ラインを作り、それにあわせて文書を改ざんした。財務省の問題ではなく、政権全体の問題だ。
 佐川さんに国会で証言してもらうのは入り口の入り口でしかない。文書の偽造で罪に問われるかもしれないので洗いざらい話してくれるか、わからない。でも、佐川さんに期待しましょうよ。佐川さんも40年前にはこの国の未来のために大蔵省に入省した。「初心を取り戻して、国民のために証言してくれ」。そういう声を国民の皆さんから上げようじゃありませんか。
 少なくとも財務省の方が1人命を亡くされ、空前の文書偽造問題にまで発展した。この問題のキーマンが、安倍昭恵さんであることは誰がどう見ても間違いない。後ろめたいことがないなら、さっさと国会で証言してもらえればいい。(東京都新宿区内の街頭演説で)
 ≫(朝日新聞デジタル)


この政治的背景を報道しているのが週刊朝日だ。


 ≪安倍首相の体調悪化か 4時間ジム籠もり、“治療”? 総裁選5月前倒し説も
 森友疑惑の発覚から1年以上の歳月を経て、“キーパーソン”の佐川宣寿前国税庁長官がようやく国会で証人喚問される。“忖度”という言葉で今まで封印されてきた安倍官邸のパンドラの箱は開くのか? 責任を押しつけられた財務省と麻生財務相の逆襲に怯える安倍首相に異変が……。
 眠れぬ夜が続いているのか、安倍晋三首相の体調に異変が生じているようだ。
 安倍首相は都内の高級ホテルにあるスポーツジムを併設したスパに通っているが、そのスパで最近、安倍首相に出くわしたという財界関係者がこう話す。
「堂々と正面玄関から10人くらいのSPを引き連れやってきた安倍首相は、しばらく私の近くのマシンに乗っていたけど、すぐにいなくなった。だが、首相動静では4時間、ジムに滞在したとなっていた。籠抜けをして治療でも受けているのかなと思った」
 潰瘍性大腸炎という持病がある安倍首相は長年、慶応大学病院で定期的に治療を受けているが、最近の体調はどうなのか? 「安倍さんの主治医は慶応病院腫瘍センターに所属する准教授ら3医師ですが、時々、ジムのあるホテルに呼ばれ、点滴など治療をしています。安倍さんの顔はかなりむくんでいるので相当、お疲れなのでしょう」(慶応病院関係者)
 森友文書改ざんのキーパーソンである佐川前国税庁長官の証人喚問が決まり、安倍官邸はコーナーまで追い詰められつつある。
「直近の自民党員への調査で安倍支持は9%まで下落し、党内に激震が走りました。官邸の菅(義偉)官房長官、今井(尚哉)首相秘書官はじめスタッフは毎晩、徹夜でやけくそ状態です。党は3月19日に国会で集中審議をやり、27日に佐川喚問を考えていますが、安倍首相はかなり弱気になっている」(官邸関係者)
 森友側との国有地取引に関する財務省の決裁文書改ざんを隠したのは財務省だけではない。国土交通省から杉田和博官房副長官に「(財務省の決裁文書が)改ざんされた疑いがある」という報告が5日、もたらされたにもかかわらず、官邸も公表しなかったのだ。
 安倍首相は14日の参院予算委員会で、「(改ざんは)11日に報告を受けた」と言い張ったが、記者から追及された菅官房長官が翌日、「6日には杉田副長官から報告を受け、安倍首相も承知していた」と認めざるを得なくなった。

財務省は12日に約80ページの報告書を発表。
 安倍昭恵夫人や、鴻池祥肇元防災担当相や平沼赳夫元経済産業相ら複数の政治家の名前が記載されていた14の決裁文書を次々と書き換えたという。
 だが、この報告書で一件落着とはならなかった。
 自民党総務会で「安倍内閣総辞職」を訴えた村上誠一郎元行革担当相は本誌にこう語った。
「森友問題で佐川前理財局長を動かせる人はおそらく首相、財務相、官房長官、首相秘書官クラスだろう。森友、加計問題は“安倍友”を優遇してきたのが原因とみられ、いずれも出発点は安倍さんその人だ」
 麻生太郎財務相の弁明によれば、文書の改ざんが行われたのは昨年2月末から4月の間で、「佐川の国会答弁との矛盾を避けるため、理財局の一部の判断でやった」と主張している。

「責任逃れも甚だしい弁明だ」と金子勝・慶応大学教授は言う。
佐川前理財局長が「記録は残っていない」との答弁を繰り返し、野党を憤慨させたのは昨年2月24日。首相が国会で、「私や妻が関係していたならば、総理大臣も国会議員も辞める」と発言したのは、その7日前のことだった。 「この首相発言を機に、文書の改ざんが始まったのは、誰が見ても明らかだ」(金子教授)

 この問題を追及する著述家の菅野完氏も言う。
「安倍首相の不用意な答弁が、すべての始まりです。文書を改ざんすることで、いったい誰にメリットがあるのかが重要です。犯罪には必ず利得者がいます。実際には犯罪を実行した下手人(財務省)だけが罪に問われていますが、利得者は安倍首相です。文書に実名が出てくるのは、鴻池、平沼両氏ら政治家と昭恵夫人だけです。つまり、財務省は政治家と同等の公人として夫人を認識していたのです」
 そして森友学園前理事長の籠池泰典被告は国有地の賃借料の減額交渉などを昭恵夫人付の政府職員・谷査恵子氏に依頼。谷氏が財務省理財局の田村嘉啓・国有財産審理室長へ問い合わせを行った結果、「神風が吹いた」(籠池氏)と言わしめる8億円の値引きへとつながっていったのである。

 党内では、これまで安倍首相の盾になってきた麻生財務相は近く辞任するとの見方が強まっている。
「表向き二階(俊博)さんと菅さんが安倍さんを支える構図だけど、麻生さんの処遇に困っている。予算案及び関連法案の通過の見返りに、麻生さんを辞任させる算段だが、麻生さん自身は『俺がいないと安倍政権は倒れる』と最後まで自分を高く売る考えでゴネている。麻生さんは『安倍夫妻のせいで、何で俺が国会で責められ、辞めなくちゃいけないの』と、腸(はらわた)が煮えくりかえるほど怒っているようです。『俺は森友と関係ねえ』と周囲にぶちまけ、辞める条件として麻生派の鈴木俊一さんを後任の財務相にあて、安倍官邸が決めた消費増税の延期の撤回を迫る考えです。安倍さんも対応に頭を抱えている」(与党幹部)

 実際に安倍首相の後ろ盾だった麻生財務相が辞任すると、政権が一気に瓦解する恐れもあるという。自民党幹部がこう指摘する。
「安倍さんの出身派閥の細田派幹部も『支持率が30%台まで落ちたら、政権はもう持たない』と言いだしている。二階幹事長は自民党への世論の批判をかわすために、総裁選を前倒しするという奇策も考えているようだ。早ければ、ゴールデンウィーク明けになる可能性がある。青木幹雄氏の後ろ盾で額賀派を引き継いだ竹下(亘)総務会長と二階幹事長が手を結ぶとも噂が流れ、着々と安倍包囲網がめぐらされている。水面下で総裁選へ向けた各派閥の多数派工作がすでに始まっています」 (本誌・亀井洋志、浅井秀樹、松岡かすみ、森下香枝/村上新太郎)
 ≫(AERA.dot:※週刊朝日  2018年3月30日号より抜粋)


つまり、朝日新聞がファクトに基づくすっぱ抜き報道を行い、週刊朝日が、その事実に基づき、周辺情報を固め、関係者へのインタビューを通して、その口から、現状認識の内緒話としてキャッチアップして、さらに、次に起きる政治状況を予測している。

自民党の内情は、相当の混乱状態になっているようだ。まぁ当然なことだが、そんなことも判らない安倍チルドレンらは、ここを先途と前川潰しを画策し、親分への売り込みに及ぶものの、今となっては贔屓の引き倒しとなり、党内の顰蹙を一身に浴びるに至っているのだから、お笑いだ。

安倍官邸は菅官房長官と今井秘書官で切り回してきた政権だけに、あまりにも多くの策が頭に浮かぶラスプーチン的資質のある二人は、策士策に溺れる状況を呈し、大混乱になっているようだ。官邸や官邸以外にいる策士とは縁遠い、数多の俗物や能タリンを操るのだから、上手く行かなくなれば、混乱だけが増幅してゆく。今の安倍官邸は、そんなところだろう。

 現状の安倍政権、或いは自民党は日本会議というカルトな勢力を上手いこと手なずけ、或る時は梃子にし、或る時は、世間への脅しとして利用してきたが、このカルト勢力は、某宗教団体のように、政権与党でいることが目的化されているわけではないので、破壊的であり、狂信的であり、暴力的であり、自滅性を有していた。5年も続いたのは、上述二名のラスプーチンの力のなせる業だったが、命運尽きかけているというのが現状だろう。

それこそ、余程の神風が吹いてこない限り、少なくとも安倍政権と云う堅牢に思えた政治権力も終わりを告げるのだろう。この安倍政権の失敗に懲りて、今後の自民党を核とする日本の政治状況が、日本会議のような反動的時代錯誤な政治に足を踏み入れないようになるのであれば、それは素敵な教訓である。しかし、狂信性に冒された一部の人間が凶暴的に振る舞う惧れは、ある程度予定しておく必要があるだろう。


●佐川喚問の次に起きること 森友、ふたつの事件性を忘れるな

2018å¹´03月21æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

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●佐川喚問の次に起きること 森友、ふたつの事件性を忘れるな

刑事訴追の怖れがありますので云々という言葉が佐川宣寿氏の口から出ることは容易に想像できる。野党の諸君も、この佐川の証人喚問が本丸だとは考えていないはずだが、どうなのだろう?ひどく心許ない印象を受ける。目立っているのは、追いこまれている筈の自民党であるはずなのに、二階などの差配で、ことは動いている印象だ。

その印象が、以下のような毎日のような記事を書かせてしまうのだろう。

≪ 佐川喚問―与党、官邸を押し切る 「政高党低」変化兆し
 学校法人「森友学園」を巡る文書改ざん問題での佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問は、慎重な首相官邸側を、世論の反発を懸念する与党側が押し切る形になった。長期政権下で続いていた官邸主導の「政高党低」に変化の兆しも見える。【村尾哲、水脇友輔】
 安倍晋三首相と公明党の山口那津男代表は20日、首相官邸で会談し、信頼回復に努めることで一致した。山口氏は佐川氏の証人喚問について「与党として衆参で協議して決める」と伝え、首相も了承した。  与党には対応が後手に回り、内閣支持率の急落を招いた官邸への不満がある。官邸は「佐川氏を呼べば、野党は首相の妻昭恵氏の招致も求める」と国会招致自体に消極的だった。
 官邸の消極姿勢を乗り越えたのは自民党の二階俊博幹事長ら与党側の危機感だった。自民党幹部は「証人喚問をしないと世論が収まらない」と指摘。来春の統一地方選をにらみ、世論に敏感になっている公明党も後押しした。
 大島理森衆院議長は13日、議長公邸で二階氏ら自民党幹部と会談。「佐川氏の国会招致しかない」との認識で一致した。党幹部が「昭恵氏に波及する」と懸念を示すと、大島氏は「書き換え問題と昭恵氏は関係ない。切り分けて野党と話をすべきだ」と助言した。
 二階氏はその頃、周辺に「審議拒否の打開には佐川氏招致しかない。国会のことは党で決める」と漏らしている。党国対も昭恵氏の招致拒否を明確にすることで、折り合いをつけた。自民党の森山裕国対委員長は20日の記者会見で「国民が不審に思う点を重点的に解明する」と証人喚問の意義を強調した。
 安倍政権は堅調な内閣支持率を背景に官邸主導を続けてきた。2015年に消費税の軽減税率導入を巡り、慎重派の野田毅党税調会長を更迭したのはその象徴だ。今回の問題をきっかけに、官邸と党の関係が変われば、9月の党総裁選の行方にも影響は避けられない。
 ≫【毎日新聞】


≪森山裕国対委員長は20日の記者会見で「国民が不審に思う点を重点的に解明する」と証人喚問の意義を強調した。(毎日)≫ここで言う国民の不信とは、佐川宣寿が、なぜ決裁文書を改竄(書き換え)したのかということだが、この森友事件は、二つの犯罪が起きたと云う意味で“二部構成のドラマ”なわけで、一部を見ただけでは、どういうドラマであったのか意味不明な消化不良連続ドラマになってしまう。

正直、個人的には、佐川の公文書改ざん事件という犯罪には、それ程の興味はない。佐川が主役の公文書改ざん事件は後編であり、籠池オッチャン、酒井弁護士、松井大阪府知事、安倍昭恵氏、谷さえこ氏、佐川の前任者・迫田英典氏らが関与したと言われる、国有財産8億円を異様なかたちで値引きした“前編”こそが、このドラマの核心であり、佐川が主役の後編は、意図せず起きてしまった付け足しのシナリオだ。


≪安倍首相とも近い関係 迫田英典氏こそ森友問題のキーマン
 佐川宣寿前国税庁長官の「証人喚問」が焦点になっている森友問題。しかし、関わった財務官僚は佐川氏だけではない。佐川氏よりも、深く森友問題に関与していたとされているのが、佐川氏の前任だった迫田英典元国税庁長官だ。
 迫田氏は、近畿財務局が森友学園と国有地の売却交渉を進めていた時の理財局長だった。迫田氏こそ、森友問題の全容を知るキーマンである。迫田氏の喚問なくして、疑惑解明はあり得ない。
 国と学園は、2015年5月、国有地の定期借地契約を締結している。その交渉過程で、当初、近畿財務局は<無理に本地を借りていただかなくてもよい>(3月31日付「法律相談書」)というスタンスだった。ところが、15年7月に迫田氏が理財局長に就任すると流れが一変する。籠池氏が「神風が吹いた」と驚いたほど、近畿財務局は森友学園寄りにスタンスを変えているのだ。
■参考人招致で「報告は受けていない」
 注目すべきは、迫田氏と安倍首相の近い関係だ。 「迫田氏は、安倍首相の地元・山口出身です。理財局長に就任すると、7月31日、8月7日、9月3日と立て続けに安倍首相と面談しています。理財局長が首相とこんなに頻繁に会うのは異例です。一体、何を話したのでしょうか。直後の9月5日には、昭恵夫人が森友の幼稚園で講演し、小学校の名誉校長に就任しています」(財務省関係者)
 最終的に、2016年6月14日、迫田理財局長の下、8億円ダンピングして森友学園に国有地を売却することが、近畿財務局で決裁されている。迫田氏は、3日後の6月17日に国税庁長官に栄転したため、20日付の学園との契約こそ、後任の佐川理財局長だったが、「格安売却」の責任者は、紛れもなく迫田氏なのだ。
 迫田氏は昨年7月に国税庁を退職し、今年1月からは、「TMI総合法律事務所」と「三井不動産」の顧問を務めている。日刊ゲンダイの取材に、両社とも迫田氏の報酬は明かさなかった。
 迫田氏は、昨年3月の参院の参考人招致で、森友問題についてこう言っている。 「本件について報告を受けたことはございません」「私に対して政治家あるいはその秘書の方等からの問い合わせ等は一切ございません」
 佐川氏同様、迫田氏にもウソが許されない証人喚問ですべてを語ってもらうべきだ。
 ≫(日刊ゲンダイ)


上掲の日刊ゲンダイの記事を読む限り、財務省における理財局長のポストは、国税庁長官が官僚の上がりで、その後、数社の顧問に就任するのが、菅官房長官が握る、内閣人事局の差配と見ることが出来る。そのレールに乗った、たかが一省の局長が、内閣総理大臣と局長に就任後に頻繁に会うということは、通常では絶対にあり得ないわけで、この安倍・迫田の密談で、何事かが起きた。ここが、物語の原点である。つまり、犯罪の素は、この密談にありきなのだ。

或るツイッターを見たが、ことの発端をほじくると、≪役人の迫田英典が出てこない。武内良樹・近畿財務局長が出てこない。近畿財務局・池田統括国有財産管理官が出てこない。松井一郎が出てこない。私学課の課長・吉本馨が出てこない。≫とある。彼らも、森友事件の証人である。とどめは、この問題に途中参加して、顛末を総まとめしようと動いたのが安倍官邸の今井総理秘書官ということになる。この今井尚哉総理秘書官に関しては、以下のようなリテラが文春砲を引用して、最近の蠢きを報じている。


 ≪安倍応援団が「森友文書の『本件の特殊性』とはのこと」なる悪質差別デマを拡散中! 発信源は今井尚哉首相秘書官か
 森友文書改ざん問題を受けて安倍政権が窮地に立っているなか、いま、ネット右翼たちが口々に言っているデマがある。それは「森友文書に出てくる『本件の特殊性』は絡みの土地という意味」なるシロモノだ。
 もちろん、この「特殊性」前後の文脈から考えても、「安倍昭恵夫人の関与」のことであって、「絡み」という意味なんていうのはありえない。
 しかし、Yahoo!JAPANの「リアルタイム検索」機能で調べてみたところ、Twitterでは財務省が改ざん事実を認める方針が伝えられた3月10日から11日にかけ、「本件の特殊性」の文言について〈元々地区で在日や山口組系の産廃業者の利権が絡むいわくつきのやばい土地〉というようなツイートが増え始め、文書が公開された12日から13日にはさらに急増。以下のようなツイートも大量に拡散されたのだ。 〈本件の特殊性を鑑みて… 野党が意気揚々と『特殊性』って何だ!総理の関与だろ!って、突っ込んでるけど、あれは解ってやってる。印象操作。産廃不法投棄、空路の騒音係争等々の曰く付き物件。これが本件の特殊性〉
 いや、ネトウヨだけでない。安倍応援団の右派評論家たちも、このタイミングで一斉に「『特殊性』とはのこと」というデマを振りまき始めている。
 たとえば評論家の池田信夫氏は、12日、自民党の和田政宗参院議員が〈財務省の報告書を読むと、何でこんなことをする必要があったのかと唖然〉などとツイートしたことに同調して、〈これが(私を含めて)本件を理解できない原因。改竄する合理的な理由がない。昭恵さんの名前は籠池が出しただけだし、「特殊性」もゴミにからむ同和の問題だろう〉と投稿している。
 また、日本文化チャンネル桜の水島総社長と、「朝日のスクープはフェイク」などと主張していた経済学者の高橋洋一氏も、15日に公開された番組『Front Japan 桜』で、こんな会話を展開していた。
高橋「財務局が“特殊性”って書きますね、“特殊”って。その“特殊”ってのは野党から見ると忖度の特殊って思うんですけど、私が読む“特殊”ってのは、まあ普通に考えると貸付契約みたくしてるから“特殊”ですね。あとねえ、もうちょっとねえ、土地が“特殊”だっていう意味(笑)。(後略)」
水島「はい。あのー、これはまあ、あの、高橋さん言いにくいかもわかんないからあれだけど、まあそういうね、隣の土地とかあれ見ると、あのー、系のね、あのー、まあ、業者とかね、いろいろ入ってるのを見れば、どういうことかってのも想像つくと思いますけどね」 高橋「つきますね」 水島「非常にまずいんです、だから」
高橋「特殊性っていうのをね……でも、それね、この話ってね、実はね、地上波ではね、NGなんですよ」
■池田信夫や高橋洋一も口にした「本件の特殊性=」説は明らかなデマ
 ネトウヨの水島社長はともかく、元財務官僚であるはずの高橋洋一氏までが、明らかに「『本件の特殊性』とは、同和問題に関わる『土地の特殊性』だ」と示唆していたのだ。いったいどういう神経をしているのか。
「特殊性とはのこと」などという短絡的な決めつけが許しがたい差別であることはもちろんだが、さらに問題なのは、あの土地を「の土地」「の産廃利権絡み」とする情報じたいがなんの根拠もないということだ。
 事実、地元の事情に詳しい人や解放同盟関係者など、複数の情報源にあの土地が地区かどうかを確認してみたが、いずれからも「ありえない」「そんな話は聞いたことがない」という答えが返ってきた(本来は、特定の地域が地区かどうかを問題にすること自体、差別に加担する行為で抵抗があるのだが、どの部分でデマが生じたかを検証するためにあえて取材した)。
 また、経済事件や暴力団関連の取材を続けている関西在住のジャーナリストに問い合わせたところ、苦笑まじりのこんなコメントが返ってきた。
「実は、森友のあの土地を『』に結びつける話は、昨年2月の問題発覚の少し後に流れてたんよ。それで、一応、確認のために取材してみたけど、まったく根拠がなかった。産廃業者の利権絡みとかいう話も同じ。だいたいあの土地は、1974年に伊丹空港周辺に係る騒音対策区域に指定され、大阪航空局所有の行政財産となった国有地やからね。そんな古い話、誰も知らないし、いまも利権が生きているなんてありえない。我々もちょっと取材しただけですぐにガセネタだってことがわかったので、まったく記事にしてないし、噂もいつの間にか立ち消えてしまった」
 そもそも、この土地が「買い手がつかない土地だった」という話も、疑惑発覚から少し後に、真っ赤な嘘であることがわかっている。森友学園が申し出る前に大阪音楽大学が7億円での購入を希望し、国側から“安すぎる”と拒否されていたことが発覚しているのだ。こうした点から考えても、「本件の特殊性というのはのこと」というのは、完全なフェイクであることは明らかだ。
 もし、それでもこの情報が真実だというのならば、池田信夫センセイや高橋洋一センセイはぜひ、この土地が「絡みのため買い手がつかなかった」ことの具体的証拠を出して証明していただきたい。
 おそらくそんなことはできないだろう。ようするに、連中は、安倍政権の疑惑に蓋をするために、「タブーだ」とちらつかせれば、話をそらせると考えて、このデマに飛びついただけなのだ。
■「週刊文春」が「怪情報」の発信源を今井尚哉首相秘書官と名指し
 権力の不正を隠蔽するために、差別デマを垂れ流すというのは二重の意味で卑劣な行為であり、まったく反吐が出るが、しかし、解せないのは、いったん沈静化していた「絡みの土地」というデマがここにきて、なぜ再び語られ始めたのか、だ。それも、ネトウヨだけでなく、れっきとした評論家やジャーナリストまでが、あたかも事実のようにそのことを語り始めているのだ。
 実は、15日発売の「週刊文春」(文藝春秋)3月22日号の森友特集記事のなかに、その要因を示唆する記述があった。
「週刊文春」によると、“影の総理”との異名をもつ今井尚哉首相秘書官が文書改ざん問題に対する緊急対応を取り仕切り、さまざまな情報を流しているというのだ。たとえば、自殺を遂げた近畿財務局職員についても、今井秘書官の周辺から「地検の聴取を受けた後、自殺した。地検の聴取が酷かったらしい」なる怪情報が流されていたというが、これもガセであることがわかった。そして注目すべきは、この後に続く官邸担当記者のコメントだ。
「今井氏らは夜回り取材などにも饒舌になって、Aさん(引用者注:自殺した近畿財務局職員)の自殺を書き換え問題と関連付けないように記者を誘導していました。他にも『〈特殊性〉は人権問題に配慮してそう書いた』との情報を流布させ、自体の矮小化を図っていました。ですが、言うまでもなく、本件の“特殊性”とは、首相夫人が関与し、異例の取引が行われたことに尽きます」
 この「森友文書の『特殊性』は人権問題に配慮して書いた」という発言は、どう考えても「特殊性はのこと」と言っているに等しい。「週刊文春」の記事が事実とすれば、「特殊性はのこと」情報は今井秘書官周辺から新聞・テレビの政治部記者に流れ、さらに安倍応援団の評論家やジャーナリストに伝わったと考えられる。
 実は、今井秘書官についてはここにきて、森友問題の異常な土地取引や改ざんに直接関与しているのではないかとの憶測も広がっている。自分にかかる疑惑をごまかすために、こうした怪情報をふりまいているかもしれない。
 しかし、何度でも繰り返すが、今回の“絡みの土地だから特殊な取引になった”なるデマは、差別を助長するものであるうえ、その差別性を自らの疑惑に蓋をするために利用するという二重の意味で悪質なものだ。そんなデマを政権中枢が口にするなんていうことが許されるのか。
 だが、残念なことに、これこそが安倍政権の常套手段でもある。安倍政権はこれまでも、こうした差別的デマを使って自分たちの疑惑や不正を隠蔽し、批判者を攻撃してきた。そして、その手法は応援団メディアや支持者のネトウヨに広がり、いまやこうした謀略的なデマ攻撃はこの国の言論を覆い尽くそうとしている。このグロテスクな言論状況を食い止めるためにも、元凶である安倍政権を絶対に倒す必要があるだろう。  ≫(リテラ:編集部)


上掲のリテラの記事がズバリ当たっているとは言えないが、本件の特殊性を“同和問題”に被せるなど、どうも最強の官邸が受け身になり、もがけばもがくほど、質の悪い偽装を積み重ね、最後は二進も三進もいかなくなり、雪隠づめに陥る姿が浮かぶのだが、やはり、将棋ではないが、玉の詰みは確実であっても、野党側の追求がお門違いに陥ったり、マスメディアが異なる方向の事件に強く興味を持ち、森友事件の報道を少なくするなど、不安は残る。また、テレビなどは、映像化できる佐川喚問にスポットを集中させるだろうが、ツイッターやブログの世界では、森友事件の発生と、その悪質性を追求する手を弱めてはいけない。野党では、共産党の主張がまっとうで、他の野党の視線は、幾分近視眼になっているのが気がかりだ。

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●安倍!居座り続けろ! 自民党解体の危機、財務省解体論の前に

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●安倍!居座り続けろ! 自民党解体の危機、財務省解体論の前に

まさに、志位和夫が言うように、“安倍政権の毒”が、自民党だけでなく、中央省庁にまで回りだした。政権の末期症状だと、人ごとのように評論ばかりもしていられない。官僚に毒が回りだしたのだから、地方の行政組織にも、毒は回り始めているだとうから、これは厄介だ。

国の行政機関に毒が回りだした所為でもないだろうが、日本年金機構は、500万人の年金データやマイナンバーを中国企業に売り渡し同然の行為をしたようだ。本来なら、国家的犯罪にカテゴリーに入る出来事なのだ。こういう事態に、日本会議や日本青年会議所(日本JC)などは、死に物狂いで暴力的に起こるべきではないか!

日本JCといえば、文科相の腰抜け役人を脅しつけて、名古屋市教育委員会、当該高校に対して、前川喜平前事務次官による教育に関する講演にイチャモンをつけ、意図的に政治が教育行政に介入したという前代未聞の出来事を惹き起こした自民党議員は、この団体の会頭経験者だそうだ。尚且つ、比例復活の陣笠議員であり、無論、安倍チルドレンだといのだから、たしかに、教育現場にまで、安倍の毒が回りだしている。

まさか、陣笠である安倍チルドレンに、安倍が直接指示する子はないだろうが、安倍のおぼえ目出度い行動をすることで、ウイ奴と思われたい一心になったのだろう。それにしても、この人物、日本会議連盟でも活躍し、統一教会の会合にも参加している人物と云うから、どうも知らないうちに、日本は末端にまで、奇妙なカルトが感染ウィルスのようにはびこりだしているようだ。たしかに、このような状況を放置することは、国家を破滅させる可能性が出てきた。

森友・加計事件は、トンデモナイ立憲国家、民主主義への挑戦なのだが、いくら、民主主義が壊れかけているからといって、カルト主義に一気にシフトするのは、あまりにも無抵抗すぎる。このほかにも、わが国では、さまざまな重要課題や事件が満載している。筆者のPC内の、日本の問題点や国家崩壊の兆しに関するブックマークはパンパンに膨れ上がり、コラムのテーマには事欠かないが、ブックマークとしては、その意味をなさない量に達している。一部、今日はガス抜きのつもりで、書きだしておこう(笑)。

・「佐川が…」責任転嫁に躍起 国会審議
・安倍首相とも近い関係 迫田英典氏こそ森友問題のキーマン
・官僚の忖度、背景に内閣人事局 異を唱えれば「クビ…」
・ヤマト、非正規5000人を正社員に 労使合意で待遇改善
・民泊解禁、明と暗 経済界期待も、自治体に苦情相次ぐ
・前川氏講師の授業内容報告を要請
・岡山の障害者事業所が破綻
・加計学園めぐる今治市の文書も書き換えか 野党側が指摘
・トルコ原発輸出、事業費倍増も=23年の稼働、後ずれ必至
・昭恵氏「いいね!」も喚問で=立憲・辻元氏
・河野氏「国務長官不在」の米国へ
・森友問題で迫田氏の喚問必要と立民幹部
・学校教育への政治介入で重大問題と立民幹部
・森友関連で谷氏招致の必要性言及
・参院、黒田日銀総裁の続投人事案を可決
・安倍首相が頻繁に会っていた「もう一人のキーマン」とは
・司法取引、6月1日導入 経済犯罪幅広く対象に
・森友・籠池氏、「検察が7カ月勾留」は安倍政権への忖度なのか…
・過労死遺族に「週休7日が幸せ?」 ワタミ渡辺氏が謝罪
・「重老齢社会」が到来 日本、75歳以上が過半に
・3号機、覆うだけで2537日 廃炉作業、厳しい道のり
・「一九八四年」の世界、地で行くような 公文書改ざん
・なぜ昭恵氏の名が? 森友文書改ざん、浮かぶ9つの疑念
・安倍官邸に潰された 佐川前長官のバラ色“セカンドライフ”
・年金情報を中国業者に委託 5百万人、マイナンバーも
・状況次第で今後も前次官授業調査 文科省、政務三役には事後報告
・東電、首都圏で年内にもCM再開
・日本、子供の将来を楽観28%29カ国で最低、親の意識調査
・佐川氏“刑事訴追可能性”で詳細答えず 財務省の調査に
・年末にシッターが足りない…そこにも「扶養の壁」
・自民党文科部会長ら2議員が照会 文科省、意見受けて質問項目修正

以上抜粋。国内問題だけで、これだけの毒が日本を覆い出している。北朝鮮、アメリカ、韓国、中国、ロシア、シリア、イラン、トルコ、イスラエル、ドイツ等々の国際問題の取り仕切りも、安倍晋三は、方向違いの国際感覚で、日本の国際的立ち位置を誤って、世界の嫌われ者になりつつあるのが現状だ。

無理難題な新自由主義的な市場経済原理に振り回され、根本的に閉塞状態にある市場を無理やり拡張させようとする姿は、無能な権力者の唯一の選択なのだろうが、何度も間違いを繰り返している、竹中平蔵が実質仕切っている、経済財政諮問会議などと云うものを新興宗教のように信じ込む無能で無策な、いや、有害な政策で、国民の命と財産を貶めようとしている安倍政権は、日を追うごとに、その悪魔性が露呈していくことになるだろう。

自民党が安倍晋三に見切りをつけず、国家主義にしてカルト性の強い日本会議的政治の継続は、本来自民党が持っていた包摂力を失い、小池の排除の論理政党に接近しつつあるわけで、早晩、国民から大きなしっぺ返しを食うことになる。個人的には、安倍晋三キープが、日本の政治シーンを大きく変えるきっかけになると考える。自浄作用が働き、崖っぷちで自民党が踏みとどまるのは、どうも愉しい近未来な予想図ではない。


≪共産・志位氏「安倍政治の毒回っている」=中央省庁は危機的
 共産党の志位和夫委員長は18日、東京・JR新宿駅前で街頭演説し、学校法人「森友学園」に関する財務省決裁文書改ざんなど中央省庁が絡む一連の問題を取り上げ、「安倍政権の下で政府機関は危機的な状態だ。安倍強権政治の毒が政府全体に回っている」と批判した。
 志位氏は、財務省の文書改ざんのほか、防衛省の南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報問題や厚生労働省による裁量労働制に関するデータ誤用問題などを列挙。「市民と野党の共闘の力で安倍政権を倒し、日本に民主主義を取り戻す」と訴えた。≫(時事通信)



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●昭恵にはじまり昭恵で終わる 森友事件”神風の真相” は記録に残した

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●昭恵にはじまり昭恵で終わる 森友事件”神風の真相” は記録に残した


 “ふしだらな一族の、厚顔無恥があらわれた事件。こわもて安倍晋三も制御できない昭恵夫人のご乱行”三流週刊誌なら、上記のような語りぶりになるのだろうが、これが恥ずかしながら、日本の内閣総理大臣一家の現状であるとするなら、これはもう、どうにかしないといけない日本の本質なのだと思う。


 まぁ米国の属領とまで言われても、むきになって反駁できない事情が数々あるので、日本の政治がどうなるかは、ことごとくアメリカ様のご都合次第となると、実は考えるだけ無駄という達観した気持ちになるのも判らないわけではない。このような達観した感情の発露が、国政選挙における投票率の異様な低下にみることが出来るかもしれない。それほど立派な理由などなく、ただ無関心なだけかもしれない。

 しかし、コラムなどを書いている以上、無関心は無関心で、それはそれで良いじゃないか、そう云うわけにはいかない。そんなことを言い出したら、もう、ものなど書けなくなってしまう。いや、政治になど絶対に関わってはいけない人格の夫婦が、政治に関わり、人材不足の結果、いや、権力闘争の思惑の中で、安倍晋三は官邸の人になった。今にして思えば、石破茂の政権の椅子に座って欲しくない、或る権力構造が疼いていたのだろう。その名は“日本会議”というオカルト勢力だ。

 彼らの勢力は、20世紀、高度成長経済化では、顔を出すチャンスさえなかったのだと思う。しかし、21世紀に入り、20年間の低成長、少子高齢化という不安社会は、あきらめが主流の世界観が日本と云う国を覆い尽くした。逃げ切り達成を歓ぶ老人層、逃げ切りを狙う中年層、手のつけようがない絶望にスマホの世界に没頭する若者。老人、中年層からの遺贈を救いと、自己の境遇を慰撫する若者世代。こういう世相の世の中ではカルトが元気づき、その実現を本気で考え、行動を起こす。

 こういう機運は以心伝心で繋がりを強化する。そもそも“日本会議”のようなカルト集団に属する人々や、それに魅了される人々は、総じて、自己利益誘導を画策する人間と、ピュアに、強い日本に憧れを感じ感動し、尚且つ、狡さがなく、連帯感にかんどうするタイプが多い。良くも悪くも、好い人たちなのだ。仲間意識が強く、落ちこぼれも包摂する魅力も持っている。幾分凶暴だがね(笑)。ただ、こういう人々は、日の丸に群れて、仲間内で、万歳万歳と叫んでいる範囲で可愛らしいわけで、日本の主権者である国民を支配しようなどと考え始めることは、国家の悲劇、喜劇の、屈辱のはじまりである。
 
その一人が、何となんと、安倍夫妻なのだから、そりゃ大変な事態だ。官邸の主になっちまったんだからね。ほかの自民党の政治家はどう云う積りだったか、想像はつく。あの腹痛で、途中で政権放り投げた無責任男が、内閣総理大臣が2年も続けられるわけがないと高を括っていた。ところが、取りまきが権力構造を良く知る連中が占めた。これが、安倍夫妻にも、日本国民にも悲劇で嘆きの笑い話で、カルト集団に勘違いを起こさせた。


 ところで、リアルな本題を少しだけ話すと、安倍内閣は相当きつい坂に差し掛かっているようだ。改憲の発議をした首相であるだけでも、私は本望である、などと最近は気弱なことも言い出したようだが、発議まで行けたら、もう奇跡のような支持率になりつつあるようだ。朝日が31%、毎日が33%、日テレが30%、共同が38%という按配だが、まだまだ下がると云うのが専らの評判だ。このまま、”佐川がぁ~~~!”と麻生や幹部連中が叫ぶたびに、支持率が1%ずつ落ちるので、10%台も夢ではなくなっている。日本の為には良いことだ。改憲の必要があるとしてもだ、ネトウヨ連中の喧騒の中で“改憲”は百年の計を誤ってしまう。右翼は、やはり静かに深く潜航している方がドスのようでヒヤリと冷たく綺麗で美しい。


  ”佐川が~~”は良いが、問題は、なぜ森友の国有財産である9億以上の土地が8億円も値引きされたのか、そして、その経緯が、安倍晋三の女房昭恵夫人やその他の政治家や利権屋らの餌食になり、脅しに脅された近畿財務局の人々が、無言の抵抗をした結果なのではないかと推量する。でなければ、決裁文書という公文書に、昭恵夫人が、昭恵夫人がと連発してみたり、異様に事細かに契約までの経緯を書きすぎである。そもそも、公文書としては不適切な文章であり直すのにも一理ある。

 つまり、そのような異様な決裁文書を書かざるを得ないような異様な国有財産の値引きが行われた、明確な証左である。そこに至る経緯には大阪府知事の松井一郎も一枚噛んでいた模様だが、その他の政治家も日本会議系議員のよしみでと云う流れもあった。しかし、根本的に流れが、異常なほど動きだしたのは首相夫人安倍昭恵夫人が度々学園を訪問し、開校する小学校の名誉校長の就任が決まってからだった。近畿財務局としては、役人として精一杯、他の政治からの圧力に堪えていたのに、首相夫人の関与が明確になって以降の、財務省本省の“手のひらが返った”。

 近畿財務局は大阪案件として、執拗な籠池理事長、酒井弁護士の値引き交渉に必死で耐えていたのに、その努力を、一夜にして、本省の忖度判断で、闇に葬られることになってしまった。現場で、より整合性のとれた土地取引をしようと、日本会議的攻勢にも耐えていたのに、最後の最後になって、その努力は、安倍昭恵夫人の動きが活発化した時点から、本省の態度が急展開してしまったのだ。籠池はそれを神風だと表現して喜んだが、近畿財務局で長いことかけて整合性ある取引内に抑えようとした努力は、ことごとく水泡に帰したのである。

 このような場合、近畿財務局の役人たちとしては、憤懣やるかたないとしても、契約自体に背くことは出来ない。しかし、決裁文書を作成する現場では、右翼とやり手弁護士と何人かの政治家のやり取りに閉口しながらも必死に努力した行為は、無に帰した。こんな時、その現場の役人たちには、無力感が漂うわけだが、この神風が吹くような“政治マター”な状況を、正当に書き記す役目が、我々に課せられた最後の役人魂と腹を決めた結果が、必要以上に書き記された取引成立までの経緯の記述だったと推測できる。ゆえに、その全面削除に大きく落胆し、やりきれなくなったノンキャリアの役人がいたとしても、何ら不思議がない。


≪なぜ昭恵氏の名が? 森友文書改ざん、浮かぶ9つの疑念
 森友学園との国有地取引に関する公文書の改ざんで、削除部分には、国が否定してきた「価格交渉」や「学園の特別扱い」をうかがわせるような記載が目立つ。だが、異例ずくめの取引の背景や改ざんの真相は今なお見えていない。19日の参院予算委員会の集中審議で解明は進むのか。
 異例の取引なぜ
 一連の土地取引の始まりは2013年7月。資金繰りに余裕がなかった森友学園から財務省近畿財務局への要望はこうだった。
 当面は土地を借り、その後に買いたい――。過去5年の同種取引で例がない契約。財務局は、安倍晋三首相の妻、昭恵氏と一緒に写った写真を学園から提示された35日後、「売り払いを前提とした貸し付けに協力する」と学園に伝えた。
 財務局は、特例的な契約を認めるよう財務省本省に求めた。申請の文書には、昭恵氏の写真を見せられたことや、政治家側からの問い合わせがあったことなどが記されていた。なぜ昭恵氏らのことを文書に記載し(図の1)、それが取引に影響したか(2)が焦点の一つだ。
 学園は15年3月、土地が「軟弱地盤」だとして貸付料を減らすよう財務局に求めた。財務局は地質調査会社から「特別に軟弱な地盤であるとは思えない」との見解を示されたが、「賃料に影響する」として鑑定をやり直し、それにもとづく貸付料で15年4月に見積もり合わせを実施した。貸付料の修正が適正だったのかも問われそうだ(3)。
 貸し付け合意後の15年7~12月、学園は費用を立て替えて汚染土などを撤去。国が費用を払うのは、民法上は土地が返ってきたときでいいが、学園に対しては予算措置が済めば速やかに支払うことにした。
 学園は費用の支払いについて15年秋、昭恵氏付の政府職員に財務省への問い合わせを依頼。同省は「16年度での予算措置を行う方向で調整中」と答えたが、職員が問い合わせた理由や、取引に与えた影響も疑問が残ったままだ(4)。
 16年3月、学園は「新たなごみが見つかった」と財務局に連絡。ごみ撤去費を差し引いた額で土地を買いたいと申し出た。16年6月の売却契約までの協議で価格交渉があったのではないかという疑念を、佐川宣寿・前財務省理財局長は国会で否定し続けた。
 だが、財務局職員が「ゼロに近い金額まで努力」などとする音声データの内容が昨年発覚。売却契約の決裁文書には改ざん前、「価格等について協議した」と記載されていたことも分かった。佐川氏の答弁が虚偽だったのか、事前の価格交渉なら学園の特別扱いを示すことになるのではないかが問われている(5)。
 大幅値引き問題の発覚から1年あまり。会計検査院は値引きの根拠になったごみの量について「根拠が不十分」とし、政府側の説明に納得できないという声は今も強い(6)。 財務省、動機は  財務省は12日、財務局や本省理財局が2014年6月~16年6月に作成した14件の決裁文書を、土地の大幅値引き問題が発覚した後の昨年2月下旬~4月に書き換えていたと明かした。
 改ざんの理由について麻生太郎財務相は同日、「佐川(宣寿・前理財局長)の答弁と決裁文書との間に齟齬(そご)があった」とし、「誤解を受けないように行われたというのが背景だと思う」と説明。太田充理財局長は16日、「(国会では)総理や大臣の答弁もあった。政府全体の答弁を気にしていた」と述べ、安倍晋三首相らの答弁の影響にも触れたが、明確な動機は明らかにされていない(7)。
 改ざんの行為や指示に佐川氏が関わったのか、佐川氏がなんらかの指示を受けたのかなども説明が求められる(8)。
 12日に財務省が書き換えを認めた後、政府の説明にほころびも出た。国土交通省が、保管していた改ざん前の一部文書を5日時点で財務省に渡していたことや、首相官邸にも報告していたことが判明。6日に安倍首相と菅義偉官房長官も報告を受けていたことが分かっている。
 首相は14日の国会答弁で、自身が報告を受けた時期を「11日」と述べた。菅長官は「(6日は)最終的に文書を確認できる段階になかった」と説明しているが、整合性を問われる事態になっている(9)。
 ≫(朝日新聞デジタル)


鳩の撃退法 上 (小学館文庫)
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十津川警部 九州観光列車の罠
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●一強政治の増長と脆さ露呈の加計森友 脆さは世論に弱いという事実

2018å¹´03月18æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

偽りの保守・安倍晋三の正体 (講談社+α新書)
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講談社

 

あなたはアベノミクスで幸せになれるか?
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日本経済新聞出版社

 

安倍政権とは何だったのか (時代への警告)
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●一強政治の増長と脆さ露呈の加計森友 脆さは世論に弱いという事実

穴だらけの公文書管理、異様な海苔弁状態の情報公開。挙句に、秘密保護法は、政府が勝手に指定でき、何を指定したかさえ、秘密だと云う。このような法制度の国で、先進国の普遍的価値だと豪語する“安倍一強政治体制”は、民主主義のイロハ、国民の知る権利を保証していると言えるのだろうか。

まったく、安倍政権は、そのことに真正面から応えていない。世界の紛争の火付け役である、20世紀の悪の枢軸国アメリカにおいてさえ、ニクソンやクリントンや、或いはトランプが、国家権力に独立した機関で、追求を受ける羽目に陥ると云うのに、敗戦後、国際標準になるべく制定されて日本国憲法下においても、穴だらけなのだ。まぁ、最高の憲法下であっても、それをあつかう人間の邪さが、普遍的価値を守ろうと、いや、破ろうとする限り、その国の制度は耐えきれないものだと、今回の“安倍一強“で知らされた。
 
現状は森友問題を皮切りに、おそらく、加計問題でも、公文書の改ざんは露呈することになりそうなので、注目は、どこまでメディアが安倍政権の悪臭を国民有権者に知らせることが可能かにかかっている。朝日・毎日・東京・共同など紙上マスメディアと「NHK」及び民放のテレビニュース、ネットメディアやツイッター、ブログ等々が、どこまで情報伝達を続けられるかが肝のようだ。ファシズムのような一強政治でも、あらゆる分野の情報伝達手段が、完璧に言論統制されていない国では、倒閣が出来ると云う前例を作るべく、頑張りたいものである。

本日は上述のような筆者が思った現状の森友加計問題の解決が、右往左往している元凶は、日本の公文書管理と情交公開の問題なのだと感じたことを伝えたかった。本日は、このあと、先日お約束しておいた“財界にっぽん”の特別企画「藤原肇・本澤二郎が語る日本の現在と未来」の前編を、朝日の公文書に関する解説記事の後の参考掲載しておく。


≪公文書の軽視、背景に 貧弱な態勢、監視逃れの手法横行
解説  
「国が意思決定を適正かつ円滑に行うためにも、国の説明責任を適切に果たすためにも必要不可欠」――。
 公文書の管理について、福田康夫首相の下で発足した政府の有識者会議は2008年の最終報告でそううたっている。提言に基づき、公文書管理法は、麻生太郎政権下の09年に制定された。そのルールを破り、公文書を隠す目的で、ウソの公文書を作成したのが、森友学園の決裁文書をめぐる財務省のふるまいだ。公文書は「民主主義の根幹を支える基本的インフラ」だが、その精神を軽視する姿勢が今回の改ざんにつながっている。
 政府機関がふだん使っている公文書の管理について、もともと日本には監視・監督・指導をする機関がなく、公務員の都合で廃棄したり隠したりする不祥事が相次いだ。こうした状況をただすため、公文書管理法では首相に、各省庁に改善を勧告したり、報告を求めたりする権限を与えた。
 ただ、実務を担う内閣府大臣官房の公文書管理課の職員は15年度で19人。独立行政法人・国立公文書館の常勤職員51人とあわせても、米政府の国立公文書館・記録管理庁(NARA)に3千人近くの職員がいるのに比べ、日本の態勢は貧弱そのものだ。しかも、森友問題での財務省や、南スーダンに派遣された自衛隊の「日報」を隠した防衛省のように「保存期間1年未満」で廃棄扱いにするなど、その監視を実質的に逃れる手法が横行している。特に、メールなど電子データは廃棄が常態化。その揚げ句に決裁文書の改ざんとそれに伴う元文書の隠滅まで行われていた。一方、諸外国では、電子データへの対応など公文書管理を進化させており、米政府は、幹部公務員のメールを全て自動的に保存する仕組みを導入している。
 内閣府の公文書管理委員会の委員を務める三宅弘弁護士は「日本は周回遅れ。極めて立ち遅れている」と嘆きつつ、こう提言する。  「NARAはスケールが全然違う。あれだけの大きな態勢だからできることがある。日本でも、定年で退職した公務員を雇って、せめて数百人の態勢にし、各省庁に『この文書を残してくれ』と言えるようにしなければならない。また、文書を決裁したらその電子データも自動的に確定する仕組みにしたほうがいい。これは喫緊の課題だ」(編集委員・奥山俊宏)  ≫(朝日新聞デジタル)


 ≪藤原肇・本澤二郎が語る日本の現在と未来-松下政経塾政権のスタートとその真相-(2011年11月号)
慧智研究センター所長 ジャーナリスト 藤原 肇  
ジャーナリスト 本澤二郎

【わが国は今、歴史的な困難に直面している。長引く景気の低迷の中で3・11地震による東日本大震災が東北地方を襲い、さらに原子力発電所の爆発事故による放射能汚染を筆頭に、民主党政権の稚拙な対応で被災者は泣いている。復興に向けて政治がダイナミックに取り込むどころか、相変わらず権力闘争にあけくれている。その実態はまさに危機的である。気鋭かつ異色のジャーナリスト2人が鳴らす警鐘に耳を傾けたい。(9月1日)】

本澤 実は今日、僕は一番最初に聞きたいことがあるんです。 日本人に聞いてもなかなか分からないことなんですが、今年は外国へは一度、上海にしか行ってないんです。 それで秋から暮れにかけて一度行きたいと思っているんです。 ところが、今、超円高にもかかわらず格安のチケットが全然、格安じゃない。確かにガソリンも高騰したまま。 しかし、超円高がそれをカバーしているはずなんですが燃油サーチャージとかいってべらぼうに高い。 このカラクリが何なのか。恐らく石油業界も含めていろんな状況を上手く利用して相当ボロ儲けしているのではないかと疑っているのですが、 残念ながら僕は経済が分からないので(笑)教えていただきたい。
藤原 カラクリがあるところよりも、日本経済は完全に死に体ですから円高還元をするゆとりがないのです。 ただ、一見、金があるように見えるのは、企業がホールディング会社になって、例えば武田製薬が1兆円以上のスイスの会社を買収したりしているが、 あれは自分の金ではない。ファンドの金を動かしているだけで虚飾にすぎない。
 経済の話は後半に譲って、今年の民主党の代表選挙の結果、松下政経塾の一期生が首相になったことについて、 あなたから教えてもらわなければいけない (笑)。というのも、僕はこの国に来た時には新聞・テレビは一切見ないことにしている。 余計なゴミが入っているので一週間滞在して外国に行くと、元に戻るのに三週間、三倍の時間がかかってしまう。
本澤 それは正解ですよ。僕も新聞を読むのを止めて七~八年になります。読むと訳が分からなくなってしまう。一般国民を誑かす内容なんですね。 その結果、今年の代表選で野田(佳彦)が代表になった。  つまり、野田総理大臣をつくるために海江田(万里)を叩きまくった。それで見事に 〝どじょう内閣″ができ、〝よいしょ記事″ を 書きまくっている。それまで野田は財務大臣として何もしていないばかりか、円高に対して4兆円も市場介入しても全然効果なし。 彼は落第生ですよ。その落第生をここ数日間、新聞・テレビは褒め称えた記事を流している。
藤原 松下政経塾から初めて首相が生まれたことはとてつもない大変なことだと僕は思う。
本澤 そうですね。 藤原 これはまさに1980年代に中曽根が首相になった時、日本にファシスト革命が始まると、非常に危機感を持ちましたが、それに匹敵する危機感を持っている。

■落第生首相が誕生
本澤 藤原さんの先見の明は凄いですよ。正直なところ、僕は1972年中ごろから中曽根番の記者をやってまして、ある意味で中曽根を側面から支援していた。
 当時、彼の最大の弱点は、青年将校上がりで軍国主義思想の持ち主ですから財界の支持が全くなかった。それで「経済界にもっとテコ入れしなければ大成できませんよ」とか 「土光(敏夫)さんを頂点とする経済界が今一番願っていることは行財政改革だから、行政改革を必死にやれば財界と仲良くなれますよ」みたいなことを、僕なんか教えていた方なんですよ。
 そんなことで彼がいざ総理になった頃まではまだ安心していた。ところがワシントンに行ったとたんに土下座して「日本は不沈空母です」と。 ソ連と戦争をしても日本は大丈夫ですよみたいなことをレーガンの前でやっちゃった。それで愕然とし、以来、反中曽根になった。
藤原 そうですか。僕は1970年代から中曽根は非常に危険な人物とみていた。特に福田(越夫)内閣が誕生した時に、ある雑誌に 『60年安保とファシスト革命の失われた鎖の輪』というタイトルで、福田内閣はファシスト革命の中間点と位置づけ、その後のファシスト革命を中曽根がやると書いた。
 実は私、ファシズムの勉強をするためにヨーロッパに行った。ファシズムとナチズムに関しては日本で最も勉強した一人です。
本澤 そうですか。僕はすっかり油断していたんですね。
藤原 しかし、松下政経塾内閣ができたことについて、日本ではあなたが一番危機感を持っており、その辺りの背景をいろいろお聞きしたい。
本澤 松下政経塾は、これはまさにメディア戦略の成果といえます。多くの国民が尊敬している 〝経営の神様″ が創った政経塾というこ とで僕もそれにだまされていた人間の一人で、当初は悪いイメージはまったくなかった。ところが、十年位前から「はてな?」となってきた。 民主党内で彼等OBが中枢を占めるようになってから、話す内容、行動が可成りファシスト的で、調べる必要があると思った。
 調べていくと、松下幸之助が70億円で塾を立ち上げている。僕は政治に影響力を行使できる巨大企業を 〝財閥″ と呼んでいるが、したがって、 塾は松下財閥そのもので、その財閥の政治部門です。その一財閥の政治部門が政権を牛耳っているというのは、戦前、戦後を通して初めてのことです。 かつて財閥は侵略戦争をやり戦後解体されたから、彼等はじっと沈黙して目立たないようにしていた。今は財閥から初めて経団連会長が出ていますが、 ともかく一財閥が日本の政権を牛耳ったというのは、空前絶後の非常事態といえる。最初は市民派ということで菅内閣を傀儡で使っていたが、 今度は正真正銘の一期生が総理大臣になった。
藤原 実は、僕は松下政経塾というかPHPとは30年以上の長い付き合い歴史がありました。
本澤 えー、その辺のことを詳しく聞きたいですね。
藤原 PHPは僕がエネルギー問題に詳しいということで、「VOICE」 の副編集長が読者だったこともあり、「創刊号を出したから 21世紀問題について、寄稿して欲しい」と言ってきた。そこで記事を書く暇はないが、21世紀は老人問題が大事だから、対談ならOK」 と返事してある作家と対談した。 そうしたら、2000年の12月号まで25年以上も、航空便で毎月アメリカまで送ってきた。凄い資金量と工作能力だと手の内が良く分かったが、 PHP研究所は若い研究者を「VOICE」にスカウトして、次に「諸君」や「正論」に送り込む役割を演じていたのです。
本澤 PHPは松下政経塾の司令塔で、「VOICE」はその機関誌ですね。 藤原 その通りです。それから五年後くらい経った時に、PHPの 総帥の江口克彦という人が、帰国する時に会いたいと連絡して来た。 そして、彼が京都から出てきて対談をしたが、この段階で外国のジャー ナリストから江口という人が、松下幸之助の隠し子だという話を聞いていたのです。
本澤 その話は僕も聞いたことがある。まさに幸之助の側近中の側近なんでしょうね。だからPHPが政経塾の指令塔で、前原や野田らに対して指令が出ている。

 ■カルト集団PHP
藤原 彼に会った時、いつも雑誌を送ってくれていることのお礼を述べた後、僕の目から見ると、毎号松下幸之助の記名記事が載って いるが、5~6人の若い人が書いていることはすぐに分かる。どうして松下さんの隣りに若い人を育てるためにも名前を載せてあげないのか、 といった批判的なことを言ったら、神様を批判する藤原は危険人物ということで、対談はボツになった。
本澤 そうですか。
藤原 それでもVOICEは30年近くも、毎号送ってきましたね。
本澤 江口氏とは今も交流はあるのですか。
藤原 ないないー。  僕は松下幸之助が政経塾を作った段階で、外国の諜報機関の人物から、松下幸之助が青山にマンションを借りてある男を住まわせ、その 母親が一緒に住んでいるが、その母親は松下のオンナではないという話まで取っていた。その若衆宿が松下政経塾の始まりだったとか。
 しかも中曽根内閣の時に京都大学の高坂正尭教授が政府委員会の委員長や委員を数多くやっていた。
本澤 そうですね。
藤原 彼が東京に出てきた理由は男漁り。この情報も外国の諜報機関の連中からです。
本澤 (驚きながら) そういうことっだったのですか。
藤原 米国というより世界では、諜報機関においては強請るタネはホモ人脈が当り前になっている。
本澤 ほうー。
藤原 高坂の弟子が前原でしょう。
本澤 そうです。前原は高坂教授に言われて松下政経塾に行ったと言われています。
藤原 高坂はエイズで亡くなっていて、京都では知る人ぞ知るです が、日本のメディアは一切報道していない。実は、中曽根政権時代に海軍短現人脈が目立ち、男の友情が取り沙汰されたことがある。 男の友情は秘密を守る口の堅さに由来し、情報関係における歴史のキイワードです。『スパイキャッチャー』などを読めば、ホモ人脈 が重要な役割を演じていて、KGB,MI6,CIAといった諜報機関を支配していた。そのことは『平成幕末のダイアグノシス』の 中にヒントとして書いて置いた。 だが、日本の皆さんは、日本の裏社会のことは暴力団、、カルトの3つしか言っていないが、もう一つホモというのがある。 これは世界で通用する言葉だが、日本では分かっていても表には出てこない。
本澤 いや、全然分からないですね。
藤原 それは今、日本にはろくな情報機関がいないからだ。25年位い前は有楽町の電気ビルに優秀な 外国の新聞記者、情報機関がいっぱいいたが、そういう連中から情報を取ると全部出てくる。しかし日本人の記者は、外国の情報機関 を相手に情報を採れる人がいなかった。だから僕は今から30年前に石油事業を止めてフリーランス・ジャーナリストをやり始めた。
本澤 しかし中曽根さんはかつて著名な女性金庫番がいましたからそういう世界にいるとは思えない。
藤原 いやいや、両刀使いがいっぱいおり、むしろそれが当り前。 最近、岩瀬達也が『新潮45』に松下幸之助のことを少し書いているが、彼は奥さん以外の女性のことにふれているものの、他の女性で はなく若衆を相手にする世界には触れていないのが惜しかった。つまり、松下政経塾があってPHPはある意味、幸福○△党と同じでカルトといえる。

 ■本質は改憲軍拡派
本澤 今のお話は何か分るような気がする。僕も政経塾を取材する まではPHPのことは分からなかった。取材を進めていくと本丸はPHPで、そこから永田町へ指令が出ると、今の国対委負長のように 自民党にもOBがいるから、民主、自民双方に指令が届く。ですから政経塾は絶対に超保守から外に出ない。実際、民主と自民それ以外にはいない。
 特に調べていくと、心配になってきたのは、われわれ流に言うといわゆる改憲・軍拡派。戦争に加担する側、軍事産業とのつながり、 前原が特にそうですね。それとワシントン右派とのつながりが非常に強いことが分かった。リベラルでは全然ない。前原はもちろん、 野田もそうです、野田は最近、韓国で大騒ぎになったが、A級戦犯は戦争犯罪者ではないといって、怒りをアジアからくっていますよね。基本的に可成り偏向思想の人 たちだ。だから僕は非常に心配なんです。
藤原 そうした心配については日本を離れて外で見ていると、クリントン大統領も学んだワシントンのジョージタウン大学の中にある戦略国際 問題研究所(センター・フォー・ストラテジック・アンド・インターナショナル・スタディーズ=CSIS)。ここは実は、ナチス思想のアメリカ版ゲオポリティークスの砦です。
 ジョージタウン大学はアメリカにおけるカトリック教会及び、イエズス会創設の最古の歴史を持つ大学で、日本ではそのヴァチカンのお目付け役としての上智大が、 東京の中心の四谷にある。そこには日本の反動思想の扇動者の渡部昇一とか、保守思想の大家だった篠田雄一郎教授が輩出している。
本澤 小泉元首相が、英語が得意というだけの理由で可愛がっていた女性議員(猪口邦子)もそうでした。小泉チルドレンの一番手で、 初当選してすぐ大臣になった。上智大の教授でその後、復職した。
藤原 上智はマッカーサー時代から占領軍の後押しがあり、あんな良い場所を確保している。
 そういう意味でCSISは、世界戦略の中心になっているが、そこに実は、京セラの稲盛和夫(稲盛財閥)が5億円(6億5千万ドル)を提供して理事に納まっている。
本澤 (驚いて)そうですか。
藤原 だから稲盛の関係で京都は皆CSISに行く。
本澤 松下政経塾もですか。
藤原 いえ、政経塾だけでなく、小泉進次郎もCSISの日本部長をやっていたマイケル・グリーンのラインでそこに入っている。
本澤 成る程-。
藤原 だからアメリカの対日戦略の拠点としてのジョージタウン大学は注目しなければならない。
 もう一つは、英国のアメリカ支配としてのコロンビア大学。進次郎はコロンビア大学からCSISに入っている。だいたい彼はコロ ンビア大学に入学できる力はなかったのに枠外で入った。ジェラルド・ カーチス教授というジャパン・ハンドが一役かった。
 カーチスは日本に来て、大分県の佐藤文生の選挙を密着取材して「代議士の誕生」を博士論文に仕立てて日本通として認められるようになったが、 実力的には?がつくような人物で、しかし、奥さんのみどり夫人が優秀だった。
本澤 日本人ですか。
藤原 もちろん。アメリカの対日関係者の奥さんは、ほとんどが日本人ですよ。
本澤 成る程-。
藤原 奥さんが優秀だと、その男は出世する(笑)。ライシャワーもそうで、ハル夫人は松方財閥の お嬢さんでした。とにかく日本の女性は凄いですよ。世界のいろいろな国で奥さんになってるから、子どもができればその子は対日専門家になる。 世界のことを知らないからそういうことを調べた日本人はほとんどいない。もっとも、そうしたことを書くと人脈を断たれるのでアメリカにいる間だけは、 危ういという理由もあって僕も書かなかった。
本澤 対談に先だっての雑談で、藤原さんが日本はアメリカの属国ではなく、属領だとおっしゃったがよく分かりますね。
藤原 なぜ属領かというと、例えばマイケル・グリーン。彼は大臣でも政府の高官でもない。CSISの日本部長だった。 しかも、アメリカの対日要求を反映させるためのエージェントにすぎない。それにタコ入道のアーミテージだって国防次官補の属僚に過ぎません。
 もうひとつ、アメリカの重要な大学としてジョーンズ・ホプキンス大学がある。この大学はワシントンに高等国際研究所を持っており、 そこのサナイエル・セイヤー教授の手引きで、1954年に中曽根が初めてハーバード大の夏期講座に参加した。その前にセイヤーはCIAのアジア太平洋部長だった。 それが縁で中曽根はCIAとつながった。ただ、中曽根は正力みたいなおっちょこちょいと違い、コードネームももたないからアメリカの隠れエージェンシーとして 出世するのに成功した。
本澤 秘密の代理人みたいなものですね。
藤原 そうそう。中曽根はそれで首相になれたわけですが、結局、ジョーンズ・ホプキンス大学の系列でもってハーバードの キッシンジャーのゼミに出席して、そこで洗脳されて、原子力の重要性をたたき込まれた。帰国後は、彼の伝記を読むと、手柄話として自分が 原子力予算をつけたことを書いている。
本澤 そうですね。
藤原 正力がスパイになった同じ時期に、中曽根もアメリカに協力していたことがはっきりする。  アメリカには外交官になる大学が2つあります。ひとつはジョージタウン大学で、外交官になるための学部がある。もうひとつは、 ハーバード大学とタフト大学が共同で、外交官になるための大学院大学を持っている。そこの大将が日本大使になると予測が流れた ジョセフ・ナイ教授です。
本澤 あ~、ジョセフ・ナイ。成る程ねー。
藤原 その事ひとつとっても、日本にはアメリカに対する研究機関がひとつもないから、本当の情報を知る人がいない。
本澤 特にアメリカの情報はまったくないですね。
藤原 アメリカにいる時には、僕もそんなことは書けない(笑)。だから適当にぼかしてヒントだけは書いてるから、 分かる人には分かるんですが、日本人は自分で考えて絵を作る才能が残念ながらない。答を書いてやらない分からないわけですね。 だから書評で飯を食っている立花隆や佐高信などは、私の本は敬遠して書評しようとしない。
 日本には謀略史観というのがあって、やれロックフェラーがどうだ、フリーメイソンがどうだとか出鱈目を書いているのを皆んな読んでいる。 やはり自分でフィールドワークをしなければだめだ。
本澤 確かにそうだ。
藤原 取材をして、あるいは事件を知っている人が死ぬまで絶対に話さないというのを聞き出す能力が必要だが、 そういう能力を持った新聞記者がいない。皆んなサラリーマンだし、下手に書くと消されてしまう。しかし、今回出した『生命知の殿堂』は 世界で最初のカミトロニクス書籍で、従来の紙の本と電子本を組み合わせて、情報を行間と遠近法で読み解くようになっている。 だから、パソコンで開くと、そういう記事が全部出ており、紙には書けなくても2~3年先には世界中の半分はカミトロニクスになると思う。

 ■稲盛財団が資金を
本澤 今の話と関連すると思うが朝日新聞の阪神襲撃事件で記者が殺されましたよね。事件の犯人が「俺がやった」と 言って出てきてその後、週刊新潮に2~3回連載された。しばらくすると俺が犯人だという人物の核心は、自分は頼まれてやったんだと。 頼まれた先はCIAであると仄めかすわけですよ。そうすると途端に週刊新潮が謝罪文を載せて、その本人は分けの分からない形で死んじゃうわけです。 僕は完全に消されたと思っているんですが、それで何んとなく、CIAはますます日本では恐怖の対象にされてしまう。
藤原 CIAというのはわれわれ自由人と違って、役人として優秀な人が多く知識を一杯持ってる。 しかし、実際に自分でフィールドワークしてやっている人は本当に少ない。例えば「CIAは何をやったか」を書いたベアーみたいな人物は やはり組織の硬直性に愛想を尽かして辞めている。官僚組織と優秀な人とは合わないからですね。 官僚組織にいるのは頭が良く日本の役人と同じで、退職金を一杯もらい、天下りするという人が多い。
 そのことはさておき、CSISの話に戻すと、例えば、国務長官のヒラリー・クリントンとかブレジンスキーとか、あるいは、国防副長官をやった リチャード・アーミテージのように、アフガン戦争の時にパキスタンに行き大統領に向かって「協力しなければパキスタンを石器時代に戻してしまうぞ」 と脅すような、倣慢な奴が集っている。
 ただ、ここで何故、稲盛がCSISに基金を提供して、CSISの中に「アブジャイア・イナモリ・リーダーシップ・アカデミー」を作ったことに触れる必要がある。 アブシャイヤーはCIAと関係の深い諜報の専門家で、レーガン時代にNATOに大使として派遣され、ミサイル問題に精通していることで知られている。 しかも、CSISはナチスの生存圏の思想を作った、ハウスホーファーの思想を米国に輸入する目的で、イエズス会のジョージタウン大学に作られたシンクタンクとして、 地政学に基づく世界戦略を展開している。 松下政経塾-稲盛財団-ナチスの親衛隊の思想という、こんな不気味な構図が見え隠れしており、ヒムラーが作った親衛隊の組織構 成は、イエズス会を手本にしていることは良く知られ、近代化がゲシュタポを育てた事実が気がかりです。
 また、ハウスホーファーという人物は、日露戦争の頃に日本に駐在武官として来ているが、彼はドイツの地政学者でミュンヘン大学の教授だった。 その弟子が副総統になったルドルフ・ヘスであり、彼はヒトラーの『わが闘争』の口述筆記をしただけでなく、メッサーシュミットで英国に飛んだ奇妙な 行動をしているが、ヘスは渾名が「お嬢さん」でホモとして知られている。そういう流れを辿っていくと、ナチスの分派が日本に流れてきて、松下政経塾になり、 稲盛財団になる。こういう大変な状況が起きていることを、日本で書けるジャーナリストがいない。
 日本では松下政経塾の首相が誕生したという程度の扱いだが、これは大変なことなんですよ。
本澤 外交面でも外交戦略面でも当然、影響が出てきますね。
藤原 野田という男が最初に現われてきたが、これからはアメーバーのような奇妙な連中がぞろぞろと現われてくる。
本澤 稲盛がね……。我々には稲盛のイメージは悪くなかったのですがね…。     (一部敬称略・以下次号)
 ≫(財界にっぽん)

世界まちかど地政学 90カ国弾丸旅行記
藻谷 浩介
毎日新聞出版

 

賢く生きる―藤原肇対談集
クリエーター情報なし
清流出版

 

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)
水野 和夫
集英社

●加計と安倍は叔父甥?真偽不明だが、読んで愉しい“財界にっぽん”

2018å¹´03月17æ—¥ | æ—¥è¨˜

 

問題は右でも左でもなく下である (時代への警告)
クリエーター情報なし
ベストセラーズ

 

「在日」を生きる ある詩人の闘争史 (集英社新書)
クリエーター情報なし
集英社

 

世界政治 裏側の真実
副島 隆彦,佐藤 優
日本文芸社


●加計と安倍は叔父甥?真偽不明だが、読んで愉しい“財界にっぽん”

時折、筆者のコラムも投稿されている“阿修羅”という投稿サイトがあるが、藤原肇という人物を検索していたら出くわした。どうも、投稿主のフランクリンさんによると、当該雑誌“財界にっぽん”という月刊誌はこの号で廃刊になるらしい。投稿主によると、安倍政権を批判したために、国税庁から差し押さえを喰い、廃刊に至ったと紹介されている。なかなか面白そうな雑誌なのに残念なことである。

当該雑誌の信ぴょう性に関しては、その通りと思える部分も多いのだが、幾分違うかも?と云う点もあるが、全体として、非常に示唆的で面白い。この雑誌の、過去の対談などにも、読みごたえのあるものも見つけたので、後日披露させていただく。加計孝太郎氏と安倍晋三の関係が、もしかして、記事のような事実関係があれば、なるほど!そういうことなんだ、とストンと加計に問題に執心する安倍首相の心も理解が出来るのだが……。無論、個人的利益誘導は、厳に慎むべきである。


 ≪安倍内閣の弾圧で廃刊になった雑誌が放った最終号の暗黒日本暴露の特大スクープ
投稿者 フランクリン 日時 2018 年 3 月 16 日 22:46:45

 
若き日の加計孝太郎(左)と安倍晋三 




加計孝太郎(左)と岸信介


安倍政権のデタラメ政治を徹底批判した記事のために、国税庁から差し押さえされて廃刊に至った経済誌「財界にっぽん」が、最終を飾る四月号で自公体制による言論弾圧を暴露した。その上にアッキー事件の詐欺商売の黒幕として、逃げ回っている加計孝太郎が岸信介子供で、安倍晋三とは幼児時代から一緒に育ち、ロサンゼルスにも一緒に遊学ていたことが、法医学的な鑑定資料としての写真と共に、遺伝子学的な所見と共に公開されている。(貴重な証拠写真を見るためには、下のURLを開いて記事を読む必要がある)
http://fujiwaraha01.web.fc2.com/fujiwara/article/zaikai201804.html

<「財界にっぽん」 2018年 4月号 特別寄稿
 日本を破壊したゾンビ政治と愚民化のための言論統制
フリーランス・ジャーナリスト、慧智研究センター所長 藤原肇 安倍政権と東条幕府の相似象

 5年間も続いた安倍政治のために、日本の社会の救いがたい混迷は、太平洋戦争の半ばの時期に似ており、政治は支離滅裂の出たとこ勝負で、無責任体制の横行が殷賑を極めている。権力を一手に握った東条英機は、首相、陸相、内相を兼任した上に、状況の悪化が進むに従って、軍需相や参謀総長まで兼ね、東条幕府と揶揄されたほどだ。軍事官僚の東条にとっては、権力を一手に集中することによって、ピラミット型の集権体制を作り、権力支配の確立を狙うという、一種の疑似独裁支配への野望が、その組閣システムの背景にあった。

 それに対して世襲代議士の安倍は、閣僚経験がないまま首相になり、行政的な実務経験に乏しかったので、自分より能力の劣る人物を選び、大臣にするという閣僚人事に終始して、「お友達内閣」を作り続けた。だから、無能大臣による失態の続出によって、大臣が自殺する事件まで起き、内閣の機能マヒを露呈するほどになり、国民に愛想を尽かされて迷走した。

 自殺の松岡利勝・農水相、絆創膏の赤城徳彦・農水相、尻軽の小池百合子・防衛相、暴言の高市早苗・総務相、軽量級の石原伸晃・国交相、嘘八百の稲田朋美・防衛相、経済オンチの世耕弘成・経産相、誤読の安倍晋三・首相、失言の麻生太郎・財務相、裏資金の小渕優子・経産相、賄賂の甘利明・経済再生相、という具合だ。だが、情報化時代の特性をフルに活用し、安倍はメディア懐柔の情報工作を使い、マスコミを完全に篭絡するのに成功して、批判の声を制圧し政権を維持し続けた。

 しかも、国会答弁における?とデタラメは、ミッドウェー海戦の惨敗に似て、大本営発表による?と隠蔽で、虚報が蔓延した時代にそっくりだ。その理由はメディアが完全に堕落し、事実を伝える任務を完全に放棄して、政府の宣伝機関になり果てたために、国民が無知に気づかなかったからだ。

 『NYタイムス』のファクラー支局長は、『本当のことを伝えない日本の新聞』の中で、「当局が言っていることをそのまま書くのではなく、当局が言っていないことを取材して記事にすると強調した。だが、何が起きているか全く知らされず、洗脳された国民は愚民になり果て、嘘に中毒してしまったのである。戦時中に日本列島を覆い尽くした、「鬼畜米英」や「神国不滅」の絶叫はないが、国会議員の「日本会議参加」や、「靖国神社参拝」が当たり前になり、メディアも年中行事のように、それを報道するようになっている。

 関東軍の参謀長時代の東条英機は、満州でアヘンの収益を溜め込み、それを機密費として使う錬金術を使い、シナ大陸での軍事費を確保して、それで侵略戦争を遂行していた。その時の相棒が岸信介であり、二人が本土に戻って東条内閣が成立した時に、東条首相は軍需大臣を兼任し、その右腕として岸を軍需次官に登用して、勝ち目のない対米戦争に踏み切った。

 その結果は焼け野原の国土に加え、広島と長崎の原爆による敗戦で、無条件降伏した日本は占領され、米国が操る従属国に成り果て、拝金主義で自立精神は消滅した。それに対し岸信介の孫の安倍晋三は、閣僚経験もない若手議員なのに、森内閣では官房副長官に就任して、官僚を最上位から指揮する立場で、NHKの番組に干渉する体験をした。また、小泉内閣では内閣官房副長官から、一足飛びに幹事長に抜擢され、自民党総裁から首相に大化けした。また、元首相の岸信介や佐藤栄作を始め、外相の安倍晋太郎や松岡洋介など、政治家の家系に属す安倍晋三には、血脈と地盤が天与の資産だし、温室育ちの幹部候補生として、実力を鍛える体験を抜きに首相になり、幸運の風に乗って暴政を推進した。

 戦後体制における情報操作と「文芸春秋」の役割
 私はカナダと米国で四十年過ごしたが、世界を舞台に言論活動をした最初は、1971年に『文芸春秋』に書いた記事で、石油危機が襲来する警鐘を鳴らした。それを含む『石油危機と日本の運命』が、1973年秋の石油ショックの時に、ベストセラーになったお陰で、帰国のたびにメディアから声が掛かった。だから、文芸春秋社とは関係が続き、その動向について観察したが、文芸春秋社は内調のカネで『諸君』を創刊し、その担当者が田中健五だった。また、私の読者の一人で警視監を歴任してから、米国でCIAの訓練を受けて、内閣調査室にも勤務体験を持つ、松橋忠光さんから聞いたので、それを『インテリジェンス戦争の時代』に、次のような証言として記録した。

 「・・・一九七〇年代初期の『文芸春秋』に寄稿していた頃に、『諸君』の田中編集長に紹介されて執筆を頼まれたが、書く気はないと断わると取材協力を頼まれ、レコーダーの前で喋ったものが活字になり、商社マンの裏話という形の変名記事に仕立てられた。その頃の私はウブで日本の事情に未だ疎く、日本文化会議など知らなかったので、在外公館の実態を話し合うように頼まれ、ジャーナリストと1時間ほど喋ると、屋山という御用記者の名前で記事になったが、その時に『諸君』がでっち上げや、謀略好みの雑誌だという印象を持った。暫くして『諸君』から『文芸春秋』に移った田中編集長は、私の記事をかなりの変更や、大修正して掲載したが、ある記者の記事などは6割が、私のボツになった原稿でできていた。

 このような目茶苦茶が続いたので、江戸っ子の私が絶交を言い渡したら、残念という短文の手紙が届いた。歴史の証言を集めるのが私の長年の道楽だから、老人や読者を訪ねては昔話を聞き歩いているが、あるとき引退した警察庁のトップとの会話で、『文芸春秋』の田中編集長と喧嘩して絶交したと言ったら、こんなこともあると教えてくれた話がある。プロ野球の川島広守コミッショナーは、内調室長や内閣官房副長官を歴任したが、60年アンポの後にユーゴの一等書記官から戻り、『俺がアンポ騒動の時に日本にいたら、岸首相が辞めるようなぶざまな警備はしなかった』と悔しがっていた。そして、大使館への出向以外は東京を離れずに、警視庁と警察庁の往復専門で公安を担当したが、警察庁時代の川島警備局長は、何か問題が起きると『田中を呼べ、田中に来いと言え』と怒鳴り、そこに駆けつけるのが、取材記者時代の田中健五だった。

 こうして内調ルートで編集者として出世し、『諸君』の編集長にも就任したのだから、田中編集長が頻繁に交際した影響力で、清水幾太郎が転向した理由も分かった。また、『われわれ警察OBは三田中と呼んで、田中清玄、田中角栄、田中健五の戦後派トリオは、闇のキングでお国のために役に立った点で、それなりに功績を残したと評価しています。かつては保守派のサロン誌だった『文芸春秋』は、政府の広報記事や内調ルートのネタが多いし、国民の宣撫工作用に役に立っていますよ』とその内務官僚OBが苦笑していたのが印象深い。・・・」

 そういった工作の総元締めは川島広守で、彼は警察庁の警備局長から長官になり、内調室長を経て官房副長官で退官後は、セントラル・リーグ会長に就任した。また、日本のプロ野球システムは、読売社長の正力松太郎と同じで、公安警察向けのCIAの指定席だが、お人好し日本人は仕組みに気づかない。だから、『文芸春秋』は官房機密費の政府広報がダントツで、田中の出世の足場は内閣調査室だったが、その使い走りが彼の人生の始まりだ。

 また、『諸君』や『正論』で名を売った学者が集まって、「政策構想フォーラム」などの組織が発足し、それが大平のブレーンを経て中曽根のブレーン政治になった。1980年代に電通がメディア工作用に「青の会」を作り、田原総一郎がその幹事役に抜擢された。電通は満州帰りの特務を雇い、広告主や政治家の子弟を採用し、学者や評論家を権力の御用に仕立て、メディアの上で活動させていた。私が育てた何人かの若い人材に手が伸び、雑誌の座談会やテレビの討論会に、出席する誘いが掛かってきたので調べた。そうしたら、政府の機密費と財界のカネが動いていて、若くて有能でもカネに飢えた人びとが、どんどん引付けられていたのである。

 そして、1980年代にPHPが「松下政経塾」を生み、「世界平和研」や「笹川財団」などと並んで、平野さんが論じる「三宝会」が発足したが、発起人の福本邦雄は政界フィクサーだ。彼は水野成夫社長に拾われて、産経新聞の記者を経て岸内閣の時代に政界に入り、椎名官房長官の秘書になった。その後は京都放送の社長や政界顔役になり、画商として竹下の金屏風事件を仕掛け、後で中尾栄一建設相の収賄で逮捕されたが、竹下の利権人脈のキイマンだった。

「三宝会」の系譜と韓満人脈のコネクション
 インターネットで記事を検索していたら、平野貞夫の『平成政治 20年史』が素晴らしいとあり、本屋で買って読んで驚いたが、たった数行だが「三宝会」の記述があった。そこには「選挙が終わると、国会の内外で小沢潰しが活発化した。もっとも陰湿なのは竹下元首相の指示で、「三宝会」という秘密組織がつくられたことだ。新聞、テレビ、週刊誌などや、小沢嫌いの政治家、官僚、経営者が参加して、小沢一郎の悪口や欠点を書き立て、国民に誤解を与えるのがねらいだった」とあり、私に「三宝会」の名前は初耳だった。そこで「財界にっぽん」の2010年6月号で、平野さんと対談した機会を利用し、「三宝会」について質問したら、丁寧な説明をして貰ったのであり、掲載された対談の抜粋は次の通りである。

平野 岸信介や椎名悦三郎という満州人脈や、竹下登から政治の裏を指南されたことで、情報操作と錬金術に優れていたらしい。だから、「三宝会」は竹下元首相を最高顧問にして、財界とメディアによって1996年に作られており、野党潰しを目的にして動き出すが、その契機になったのが細川政権の誕生で、狙いは小沢一郎を抹殺することでした。
藤原 どうして小沢一郎に狙いを定めたのですか。
平野 1993年に細川政権が生まれる前段階として、1992年 12月に「改革フォーラム21 」が発足したが、中心にいたのが小沢一郎だからです。また、1994年に社会党とさきがけを自民党が取り込み、政権奪還した根回しを竹下がやっており、この時に竹下は小沢を最重要警戒人物と認定し、小沢を封じるための秘密組織を使うことにして、福本邦雄に「三宝会」を作らせたのです。
藤原 「夜明け前の朝日」に詳しく書いたが、竹下は平和相互の小宮山一家や許永中とも繋がり、京阪神の暴力団と密着していたために、イトマン事件や皇民党事件に巻き込まれています。しかも、最後には奇妙な死に方をしているが、あの頃のアングラ事件の謎解きに関しては、「朝日と読売の火ダルマ時代」と「夜明け前の朝日」に書いて置きました。
平野 「三宝会」には大手企業が参加しているが、法人の年会費が36 万円もしているだけでなく、個人会員の参加費が1 万円もかかるのに、新聞では朝日(5人)、日経(3人)、毎日(3人)、読売(3人)、共同(3人)、テレビでは日本(2人)、テレ朝(2人)、フジ(1人)、TBS(1人)、出版では文芸春秋(3人)、講談社(2人)、プレジデント(1人)、選択(1人)、朝日出版(1人)という具合です。また、メディアを代表する世話人としては、高橋利行(読売・世論調査部長)、芹沢洋一(日経・政治部次長)、佐田正樹(朝日・電子電波メディア局長付)、後藤謙次(共同・編集委員)という顔ぶれが並び、こういった人がマスコミ対策を指令しました。
藤原 法人会員の顔ぶれを一瞥したら、韓満人脈の影が私には読み取れますよ。しかも、それが太平洋を越えて戦後の米国人脈になり、岸信介や正力松太郎がCIAに使われて、アメリカの日本支配の手先だったが、この事実は公開された米国の外交資料が証明している。「歴史は繰り返す」と言う教訓からして、同じパターンは最近の日本の政治に反映し、それが検察ファッショとして現れていることは、私にはパターン認識と直観で分かるのです。
平野 検察ファッショは政治的意図による強権的捜査を指し、戦前の「番町会事件」が代表的であるが、ロッキード事件の時の捜査の仕方は、国民の多くに検察ファッショを感じさせた。田中首相を外資法違反で逮捕して、一応は首相の犯罪として話題を賑わせたが、アメリカ側には免責条項を適応したのに、日本側の捜査には無理が目立って、どう見ても納得できるものではありません。
藤原 それは軍備が絡む汚職だったからであり、本当は対潜哨戒機(P3C)の購入に際して、防衛庁長官(当時)の中曽根康弘が関与した、極めて重大な結果を生む防衛疑獄だった。だから、検察が架空の物語をでっち上げて、疑惑を隠すために問題をすり替えたが、全日空のトライスター旅客機の輸入の形で、手癖の悪い田中角栄を冤罪にしたのは、CIAが中曽根の罪を救うためでした。
平野 リクルート事件で自民党を離党したが、ロッキード事件では深手を負うこともなく、中曽根は首相として米国に貢いでいます。
藤原 その後の日本の政治は米国のしたい放題で、中曽根と竹下がカジノ経済とヤクザ政治を行い、バブルが炸裂して日本はガタガタになった。しかも、S I I (構造障壁攻略)に続き追い討ちの形で、金融を使った企業の乗っ取り工作が進み、ネオコン路線に追従する小泉や安倍が、対米追従のゾンビ政治を続けたのです。・・・

日米関係におけるCIAの役割と核武装問題
 個人レベルでの体験の登場になるが、日米関係の歴史を決定付けたのは、CIAと結ぶ自民党に陣取った政治家と、日本人を操ったジャパン・ハンドの関係だ。岸信介と正力松太郎に関しては衆知だが、児玉誉士夫と中曽根康弘に関しての情報は、それほど知られていない状態が続く。だが、中曽根がハーバード大でのゼミ参加を手配したのが、ジョンズ・ホプキンス大のセイヤー教授であり、彼はSAIS(国際問題研究所)の日本担当教授で、元CIAのアジア太平洋担当の部長だったし、中曽根の英語論文の代筆までした。 また、キッシンジャー自身が情報関係者で、ドイツ難民の彼は1943年に陸軍へ入隊し、二等兵の彼は新兵訓練期間中に、上等兵のフリッツ・クレマーに出会った。歩兵師団長の通訳と運転手を経て、陸軍の対敵諜報部に配属され、そこでOSSを指揮したアレン・ダラスが、キッシンジャーに目をつけ、対ゲリラ戦闘部隊のOPCに参加させて、戦闘と戦略を学ぶことになる。一方でクレマーはその後に昇進を重ね、パットン将軍の副師団長になり、退役後には陸軍参謀本部の顧問として、ヨーロッパの政治を担当した。そして、キッシンジャーをハーバード大に入れて、出世街道を歩ませたことは、ドラッカーの『傍観者の時代』に書いてある。

 冷戦初期のキッシンジャーは、アレン・ダレスの作戦調査室で、コンサルタントとして働き始めるが、同時に1951年から71 年にかけて、「ハーバード国際セミナー」の責任者を務め、それに中曽根康弘が参加した。これが核武装論者のキッシンジャーの手で、中曽根が核の問題に開眼してCIAを軸に正力松太郎と手を組み、日本列島に原子力発電を建造し、核武装を進める出発点になった。彼らを背後から操っていたのは、ローザンヌが本部の道徳再武装運動(MRA)で、岸信介や松下幸之助を始め、反共主義者が参加しており、それはハイエクや文鮮明を経由して、勝共連合や統一教会を通じ、安倍政権に結びつくのである。

 こうした文脈で展望するならば、ロッキード事件の謎も解け、ロッキード事件の時の捜査の仕方が、余りにも不自然な形で展開し、国民に検察ファッショを感じさせた。『新潮45 』に掲載されていたが、東京女子大病院の主治医による、児玉誉士夫の不審死の告白を含め、田中首相を外資法違反で逮捕し、首相の犯罪として話題になった、あの疑惑事件の正体が分かる。

 アメリカ側には免責条項を適応したのに、日本側の捜査には無理が目立ち、どう見ても納得できなかった事件の真相が、田中角栄に冤罪を押し付け、CIAが中曽根の罪を救うためだと理解できる。だから、検察が架空の物語をでっち上げて、疑惑を隠すために問題をすり替え、全日空のトライスター旅客機の輸入の形で、不自然な結末で迷宮入りにしたのだ。しかも、それが軍備が絡む汚職であり、本当は対潜哨戒機(P3C)の購入に際して、中曽根防衛庁長官が関与した、極めて重大な防衛疑獄であった。その背後には核武装問題と、原子力発電が国策で絡み付いており、プルトニウムを巡る思惑が、憲法改定と再軍備の形をとって、日本の運命を狂わせたのである。

遺伝子が語る血脈と時の転位を教える観相術の妙
 パームスプリングスに25年住み、ペパーダイン大学の総長顧問だし、ロスの国際空港を利用したので、月に2度3度は用事があって、私はロスに出かけて取材をした。また、『加州毎日』に記事を書いたし、日本人街や韓国人街には、読者が沢山いた関係もあり、ロスについての情報について、かなりのものが集まったから、それを『小泉純一郎と日本の病理』に使った。 だから、かつてロスに遊学していた安倍晋三が、KCIAの朴東宣に可愛がられ、親しい関係を結んだお陰で、統一教会と親密だった話や、ロスに進出した暴力団が、いかに盛況だったかも書き込めた。 また、当時の南カ大(UCS)の言語センターは、イランやサウジからの学生で賑わい、金持ち子弟が集まって騒ぎ、言葉を習うと帰国して行く、パーティ学校として知られ、そこで安倍は英語を習ったが、単位を取得した記録はない。おそらく幼な馴染みの加計孝太郎と、愛好するゴルフに明け暮れていて、勉強する暇がなかったので、単位を取れなかったのだろう。

 三十数年後に「モリ・カケ事件」が起き、安倍と加計の関係について、色んな形で憶測を生んでいるが、奇妙な歴史の相似象が現れた。それはロンドンに逃避した小泉が、三十数年後に首相になった時に、過去の秘めた出来事と符合する形で、私の想像力を刺激したのと、同じような興奮を掻き立てる。この件に関しての記録は、『財界にっぽん』2002年6月号に、「大杉栄と甘粕正彦を巡る不思議な因縁」と、『真相の深層』2004年春号に出た、「小泉純一郎の破廉恥事件にまつわる日本のメディアの腰抜け」があり、共に『賢者のネジ』に収録して置いたが、言論弾圧で抹殺されてしまった。

 ここで再び歴史の相似象として、岸信介と安倍晋三の間で、遺伝子に関わる問題が蘇ってくるのは、法医学と観相学の面から、とても興味深いことである。 それにしても文献学的に見て、笹川良一に関した記録では、多くの庶子の存在が知られており、その幾つかは活字になっている。だが、岸信介に関しては発掘が遅れて、その秘密は未だ埋もれたままだ。そこに日本での調査報道が、世界から立ち遅れている現状があり、それが詐欺や犯罪の摘発を始め、それ法の公正な適用の面から見た後進性が露呈した理由なのではないのか。

 それでも有力情報筋によると、晩年の岸信介には子供があって、その一人は元自民党代議士の夫人であるし、日本航空のスチュワデスをやり、東京大学では歴史学を学んだ後で、大蔵省に入り職場結婚をして、彼女自身も自民党議員になった。岸信介と笹川良一は刎頸の友で、アヘンと結ぶ満州人脈だし、共にA級戦犯として巣鴨体験と、CIAにスカウトされており、半島から勝共連合を日本に持ち込んだ、極右思想の仲間でもある。

 しかも、伝記作家の工藤美代子は、二人について伝記を執筆しており、笹川については『悪名の棺』で、京に住む大津法子という女を描き、岸は『絢爛たる醜聞』において、浜田マキコが隠し子であると、思わせぶりな筆致でほのめかした。二人の巨魁の晩年の足跡は、笹川はニクソンとの交友でカリフォルニアに、岸はインドネシアの石油利権や、デュッセルドルフの日本館経営を含む、利権網を世界に確立している。そして、老いて益々お盛んだったのだが、熟年の性愛に迫っている工藤でも、肝心な今一歩に踏み込まないで、歴史の謎を放置しているのは、戦後史を綴る上での瑕瑾である。私がフランスで習得した生理学では、「個体発生は系統発生を繰り返す」や、「優性と劣性は隔世遺伝する」が法則だった。また、2年住んで学んだ台湾の観相術では、「幼相は孫に現れ、老相は祖父に重なる」と教え、それが私に2枚の引用写真を注目させたのである。

 こうした直観力は現場で鍛えた、刑事が持つ円熟したカンと同じで、情報学科で習った付け焼刃の知識とは、一味違うプロの洞察力に属す。だから、私は高島易断に入門していないので、その真偽は図りかねるけれど、司法と検察当局は何かを見落として、洞察に代えて忖度(そんたく)に頼りすぎ、国民を裏切ったのではないだろうか。

言論弾圧と狂気が横行する時代性
 21 世紀の日本を襲った狂乱劇は、小泉首相と竹中平蔵のコンビが、ネオコンに操られて演じたもので、その震源地はワシントンであり、日本担当の手先はその世界に詳しい、海兵隊上がりのアーミテージと、政治屋のマイケル・グリーンだった。英語教師として来日したグリーンは、東大の佐藤誠三郎教授に師事し、中曽根や笹川財団に接近して、ファシスト的な軍事オタクに育った。

 また、帰米してからFSX問題で論文を書き、日本の防衛政策の専門家として、謀略家で悪名高いアーミテージの指示に従い、日米同盟を担当して売国奴を操り、絶大な打撃を日本に与える実績をあげた。それにしても、こんな卑劣漢たちに日本が愚弄され、振り回された姿は無惨であり、無条件降伏した敗戦に似て醜悪だった。この時期に君臨した小泉首相については、「Japan's Zombie Politics」の中で、そのゾンビ政治振りを徹底的に批判して、私は次の世代に歴史の証言を残した。しかも、この二人に土下座して奉仕し続けて、日本を屈辱の色で染め上げたのが、小泉の後を継いだ安倍晋三だった。

 しかも、横須賀の海軍基地の手配師一家に生まれ、ヤクザ政治とロカビリーを演じ、全世界に醜態を晒した小泉は、日本の名誉を徹底的に傷つけたし、国富は大量に流出してしまい、企業の所有権は海外ファンドに移った。ほとぼりが冷めるまでロンドンに逃げていた小泉は、サイコパスに属す「変人」であり、それを望診した私はそれを草稿に書いた。だが、名誉棄損の訴訟を恐れた編集部は、それを削り取って題名も著者に無断で変え、『小泉純一郎と日本の病理』を出版した。案の上というか、新聞や雑誌での書評はゼロであり、ギネスの世界記録に相当したが、ネットで出版が騒がれて読者の手に渡ったとはいえ、光文社の出版部門は閉鎖になり、古本も回収されてその存在は抹殺された。

 ところが「フグ刺し」の料理人の手並みで、草稿からテトロドトキシンを抜き、安全にしたこの本に何かを感知したらしく、松沢病院まで行って調べたジャーナリストがいた。取材した記者は公安に狙われ、冤罪の別件で拘留されて、臭いメシを食べたと教えてくれたのは、後に『月刊・日本』を立ち上げた南丘喜八郎編集主幹だった。

 当時の日本では権力批判はタブー視され、公安や検察を使った冤罪事件は、佐藤優、小沢一郎、植草一秀という具合に、当局のしたい放題の状態だった。それはソ連やルーマニアでは日常茶飯事だし、30年住んだ米国でも見慣れていたから、オーウェルの『1984年』が日本に取りついたと思った。私は米国からそれを観察して、無念な思いでその愚劣さの総括を通じ、削られたサイコパス診断を復活し、英語版で恥ずべき時代の墓碑銘を刻んだ。

 ところがそれで終わらずに、小泉を受け継いだ安倍政権は、小泉を凌駕する悪政の権化になり、『さらば暴政』で一度消滅したが、ゾンビのように蘇って来た。そして、以前にも増して醜悪な本性を現し、日本の社会を徹底的に損ない、無惨極まるまでに食い荒らした。それが現在に至るゾンビ政治の実態として、日本人に強い閉塞感を与え、息苦しさの原因を生んでいる。だが、場に率いられた畜群に似た、そんな境遇にいる事実にも気づかずに、日本人は貧富の差の拡大を黙認しているし、自民党は安倍の任期の延長まで認めて、日本の運命を地獄に導こうとしている。

 ギリシアやローマの歴史を読めば、最高行政長官は2名選ばれるし、アルコンやコンスルという執政官は、任期1年で再任は禁止であり、それが平時における統治原理だった。また、緊急時には独裁官のディクタトゥールが,任期半年で再任禁止で登場して、危機を乗り切る知恵に基づき、国家の運営が行われていた。しかも、独裁官でさえ再任させない、この政治における叡智を忘れ、三選禁止の党則を打ち捨てた、自民党の愚劣さは自涜行為の典型だ。しかも、アベノミックス詐欺に騙され、如何に歴史感覚をマヒさせて、無責任な安倍におもねている日本の運命が、自滅への道を辿っているかは、歴史の相似象が証明しているのである。
※文中敬称略
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-morikake114.html

検察庁か警視庁が加計孝太郎を詐欺の容疑者として尋問して、参考資料としてDNAを調べ手操作の手順に従うだけで、安倍晋三と加計孝太郎の腐れ縁はたちどころにして解明できるはずだ。 (*注:筆者の勝手で、改行しています、あしからず) 
 ≫(投稿サイト・阿修羅より)



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