黄輪雑貨本店　新館

2025年年賀イラスト、場所クイズの答え合わせ。
撮影地から帰ってきたねこ車掌と、近所のスポーツ系女子高生たち。



今年は京阪電鉄出町柳駅に出張したねこ車掌。
早朝の仕事だったことに加え、出町柳駅は京都の結構北の方にある。
すっかり体が冷え切ってしまい、何か談を取れるものはないかと街をさまよっていた。
と、通りの向こうからいかにもあったかそうな娘が2人、走ってやって来る。

「ふー……ちょっと休憩休憩」
「オッケー」

旅岡さんの友達、猫藤さんと銀子さんである。
方や正月早々の早朝トレーニング、そしてもう一方は日課のジョギングで、どちらもほんのり湯気が立っている。

「コンビニ行ってくるけど、なんかいる？　肉まん？　あんまん？　それともピザまん？」
「中華まん一択かよ。……ほんじゃ肉まんで」
「オッケー、ちょっと待っててね」

銀子さんがその場を離れ、残った猫藤さんは近くのベンチに腰を下ろす。
すかさずねこ車掌は猫藤さんのところに駆け、そのひざの上に乗る。

「おわっ！？　ちょっ、おい、なんしよん！？」

面食らう猫藤さんに構わず、ねこ車掌は彼女のひざの上で丸くなった。

「なぅ～……」

思った通り、つい先程まで体を動かしていた猫藤さんはほっかほかの人間カイロだった。

「……んんん」

困ったような声を漏らした猫藤さんだったが、こんなつぶやきが続く。

「人懐っこい猫じゃの……触っても大丈夫じゃろか」

暖を取らせてもらっているので、それくらいは構わない。
返事代わりに、ねこ車掌はふわっと尻尾を揺らして見せた。

「……おおぅ」

ためらいがちな手が、ねこ車掌の背中をそろそろと撫でる。

「指が埋まりよる……ふわっふわじゃぁ」

夢中でねこ車掌の毛並みを堪能していたところに、銀子さんの声が飛んでくる。

「あら、お楽しみ中？　あたしにも触らせてくれない？」
「あっ、……あー、いや、これはな」
「いいじゃん、恥ずかしがらなくても」

その後もねこ車掌はホカホカの娘二人にいっぱい撫でられ、所期の目的を達成した。