黄輪雑貨本店　新館

ここ最近描いてきたGT-Rの横に添えていた大きさ見本用どうぶつ（約170cm）がどれもかなり可愛く描けたので、
改めてイラストに起こしてみました。

そしてモノ書きの性、描いている内に設定がムクムクとふくらんできたので、ざっと紹介。

・名前……左から順に「山峰銀子（やまみね　ぎんこ）」、「山峰千瑠（やまみね　ちる）」、「山峰雷子（やまみね　らいこ）」。
・銀子さんと雷子さんは千瑠さんの娘さんで、双子の姉妹。
・山峰さんご一家はその界隈では結構有名な自動車修理・チューニングショップ。千瑠さんのお父さんが社長。
　北米でもJDM関係からその名を知られており、海外からのお客さんも少なくない。
　その縁から、社長の奥さんは元アメリカ人。なので千瑠さんはハーフ、銀子さん・雷子さんはクォーター。
・名前の由来は社長が日産車大好きなため。
　娘さんはブルーバード（青い鳥）から。お孫さんは（マイ・）フェアレディと、シルビア（SILVIA）の語感が「銀（Silver）」に似てるところから。
・なお千瑠さんの旦那さんはトヨタ派なので、ちょっと肩身が狭いらしい。
　でも車検とか故障とかは岳父さんがちゃんと見てくれる。しかめっ面で。
・なぜ記事のカテゴリが「今日の旅岡さん」なのか？　それは旅岡さんのクラスメイトだからである。
　雷子さんが旅岡さんと同じB組。銀子さんは隣のC組。


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雷子さんはちょっとぽやぽや感のあるオタク系、マンガとクルマ大好きな女の子である。
「ちょっとこのマンガさ～、勢いでごまかそうとしてるトコあるよね～」
今日も学校に持ち込んだマンガを片手に、クラスの男友達とクルマ談義をしている。
「流石に無理な説明だよね～。『横跳びでアングルを付けることで、この直後のコーナー進入時に発生するはずのアンダーステアを消した』って言い訳してるけども、いくらラリー車だからってドリフト直後に横跳びなんかしたら、そのまんまごろんごろん転がってっちゃうって～」
「まあ、マンガだし多少はオーバーなところはあるだろうけど」
目の付け所はなかなかこじれているが、クルマ自体はとても好きなのである。
「マンガだからって何でも描いていいワケじゃないと思うんだよね、あたし。『マンガでやってたから』っつって峠で事故起こして持ち込んでくるアホ、じーちゃんの工場でいっぱい見てきたし。マンガだからって言い訳して安易にウソつくのはどーかと思う」
「まあ、確かにそりゃアホだわ。流石にマンガと現実の区別くらいしろよなってなるわ。っつーか悪いのはマンガじゃなくて、マンガのマネするアホの方じゃん」
「それな～ｗｗｗ」
ひとしきり笑い合ったところで、雷子さんが「あ、そーそー」と話を変えた。
「じーちゃんって言えば中星くんさ～、お父さんのNA8C、リトラ直ったってさ。今朝ママから伝えてーって言われてたわ～」
「あ、マジ？　んじゃ親父に伝えとくわ」
「よろ～。なんならお父さんと一緒に見に来る～？」
「行く行く、絶対行く」
「お待ちしてま～す」

やり取りを眺めていた大江さんは一昨日、雷子さんと話していた別のマンガのことを思い出していた。
「あたしさ～、こーゆーライバルキャラ好きな系なんだよね～。同類だからかな～？」
「って言うと？」
「狙った獲物は逃さない、ってコト～」
そのセリフをいたずらっぽく、にやあっと笑いながら言っていた雷子さんが――中星くんが別の友だちに顔を向けたその一瞬――しっとりと光る目つきを彼に向けたのを、大江さんは見逃さなかった。
（『獲物』って……まさか？）
大江さんは何となく察したが、口にも態度にも出さずにおいた。