4日、初音ミクの公式Xにてピアプロのガイドラインについて触れる表明が出された。[ https://x.com/cfm_miku/status/1864128366720487608 ]
そのことについてユーザーの反応を見るために引用を見てみると、その中に「Deco*27のことか」、「最近のボカロ曲はひどい」とコメントしている人がいて驚いた。
なぜならボーカロイドに卑猥な歌詞を歌わせる歌なんて十年以上前から存在しているからだ。
世代が一巡したんだなとか、知名度があがった分色々な層の人の反応が見えるようになったんだな、とか感慨深くなるが、
私は今回は曲のことではないのではと考えている。
そもそも、ボーカロイドに性的な歌詞を歌わせて話題になるのは十年以上前からあったことだ。
詳細は省くが、歌詞が原因で権利者削除された曲は過去に存在している。
だが、無数にある性的な歌詞の曲全てが削除されているというわけではない。
この違い、匙加減はなんなのだろうか。
初音ミクの公式ブログにて、そういった曲に対し2008年に声明を出していた[ https://blog.piapro.net/2008/01/post-15.html ]
その時の声明の中では、
>> 特にVOCALOIDそのものや、VOCALOID製品のタイトル/キャラクター(「初音ミク」「鏡音リン」「鏡音レン」等)、バーチャルシンガーなどとクレジットされた作品において、それそのものが、いわゆるエロティックな表現や、バイオレンス、グロテスクな表現を、自ら発言/自己表現しているような見え方と捉えることが可能な場合、または視聴者がVOCALOIDやキャラクターのイメージを誤解し、困惑、嫌悪の感じをいだく可能性がある場合、VOCALOIDやキャラクターのイメージに悪影響があると判断させていただく事がございます。 <<
としている。また
>> ※"公序良俗"の判断基準については弊社では「TV放送できるか否か」をひとつの判断基準としています。例えば性的表現に関しては視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意しています。家族がそろって視聴した場合、露骨な表現描写をすることによって困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意をしています。(民放連の放送基準より一部参照) <<
とも書いている。
ここにそのヒントがあるように思う。
恐らくは「ボーカロイド本人が発信しているようにみえるか」、「直接的な表現をしているか」が主に判断基準になっていそうだ。
削除された曲はこれにひっかかっていた。(デッドボールPの『私は人間じゃないから』等)
Deco*27氏のそれが話題になりはじめたのは一年前のラビットホールあたりだろうか。
そこから『サッド・ガール・セックス』や、つい先日アップされた『モニタリング』の歌詞も言葉選びで言えば性的一面もあるだろう。
しかし、改めてMVを視聴すると上記の条件にはあたらないように思う。
まず上に挙げた削除された曲のように曲中で初音ミクを自称していない(ため、架空の女子の歌であるとすることができる)。
ではそもそもの直接的表現についてだが、これも対象外ではないかと思う。
サッド・ガール・セックスについては難しいところなのだが、恐らくピアプロが指す直接的表現ではない。
これが駄目ならアゴアニキPの『よっこらせっくす』も対象になるため私はそう考えている。
そして当然、気が付いていないという可能性もない。
ポケミクという大事なコラボにまで起用されるレベルのボカロPの話題曲が耳に入らないわけがないのだ。
例をみるに、有名なエロゲーの主題歌のような匂わせ程度の表現については見逃しているのではないだろうか。
性描写に重きを置いているかどうかも、判断材料として大事な要素かもしれない。
(想い人との別れや少女の感情が肝であるため直接表現とされていないのではないかという考え)
こういった根拠から、今回の件はDeco*27氏についてではないのではないかと私は思う。
>> 今般、主にソーシャルメディア・SNS を通じて発信される一部の当社キャラクターの利用、及びそれを取り上げたメディア報道について、ファンの皆様に多くのご心配のお声を頂戴しております。当社といたしましては誠に遺憾であり、大変心苦しくございます。<<
との一文もある。
過激な歌詞についての声明の時に、はっきりと公序良俗に反する歌詞を含む歌詞についてと書いてあることから、
だからこそ、今回は本当に単純にキャラクター利用についてを指しているのではないか。
(そもそもそう考えている人のほうが多いのだが)
あれは初音ミクに卑猥な言葉を喋らせたいという動機から生まれたらしいのだが、
それをそのままミクにやらせていたらきっと怒られていただろう。参考にしてみてほしい。
しかし、こういった色々な歴史を無視して今回Deco*27氏に対して攻撃的な声があがるのが残念でならない。
私も、他界隈でのグレーゾーンを面白半分で攻めるような行動を見れば思うところもあるが、
今一度、公式の規約、モラル、アーティストの熱意など含めて考えなければいけないと思う。
ちなみに、じゃあ何のことを指しているのかということには触れないでおく。
権利者のポリシーは不変であると言う前提に基づいてるね 再考の余地あり