服部茂幸 『偽りの経済政策-格差と停滞のアベノミクス』 のでたらめ その3
P49
利益が急増した企業も、需要が停滞する状況では設備投資をさほど増加せずに、内部留保を急増させている。
P155
企業の内部留保は積み上がる
…企業の利益は空前の水準まで増加した。しかし、企業はその利益を従業員の給与や設備投資に使わず、内部留保として蓄えている。これが経済の回復を阻害しているという意見…これは正しいと筆者も考えている。
P176
円安による経済回復のルートは途絶えた。…円安は企業、特に輸出企業の利益を急増させた。しかし、特に巨大企業は、巨額の利益を設備投資や賃上げに回さず、内部留保に回している。
P177
経済政策の評価は何をもって成功とするのかという価値観に依存する。すでに多額の内部留保を蓄積している巨大企業の利益をさらに増加させることや、一部の富裕層の所得や富をさらに拡大させることを成功とするならば、アベノミクスは成功したといえるであろう。
もう、「内部留保」ということばを使っている時点で、「経済学者失格」です。内部留保などということばは、経済学にも、簿記・会計(これらは経済学部必修or選択科目)にもない言葉です。つまり経済学者は「内部留保」ということばは「使ってはいけませんよ、間違ってしまいますよ」と言わなければならない立場のヒトを示します。
だからこの教授は、「学部は経済学部ではない、基礎基本をすっ飛ばしているのでは?」と類推する根拠になります。
<内部留保とは>
http://www.kabuciao.com/fanda/riekijoyo.html
利益剰余金とは、純資産から資本金と資本準備金を差し引いた残りの金額のことです。剰余金と略されて呼ばれる場合もあります。毎年度の利益や損失、または積立金などが積み重なったものが剰余金となります。
2005年の改正前の商法においては、剰余金とは、株式会社で、貸借対照表の資本を構成する区分の一つで、資本とは資本金、資本剰余金、利益剰余金に区分されていました。
内部留保は、利益準備金、任意積立金、繰越利益剰余金のいずれかの形で貸借対照表上、純資産として計上されます。
内部留保=企業の貯金(へそくり)のようなものだと思っている人も多いと思いますが、内部留保は現金として保管されているとは限りません。
たとえば、
◦1億円の商品を仕入れた
◦その商品を売って、2億円の現金を得た
◦得た2億円から1億円を使い建物を購入した
◦1 の取引により企業は1億円の費用が掛かった
◦2の取引により企業は2億円の収益を得た
◦企業はその1億円を利益として得た
◦しかし、企業はその1億円で建物を購入している
◦建物の購入は費用として計上されない為、利益額1億円はそのまま
損益計算 : -1億円+2億円=+1億円
現金計算 : -1億円+2億円-1億円=0円
内部留保とは、過去の利益の積み重ねではありますが、自由に使える手元資金(現金・預金)とは性質が異なるものなのです。
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/30345738.html
中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 ファイナンシャルプランナー
現金と内部留保を混同しているわけだ。何を細かい話をごちゃごちゃと・・・と思われるかもしれないが、これは会計の基礎の基礎で、ここを間違っている人間のいうことは一切信用しない方が良い。頭の良い小学生が理解できる程度のことを間違っているならば、それ以外の言説も全て間違っていると考えるのが安全だ(自分の感覚では九九を間違うレベル)。内部留保も現金もどうせ似たようなモノだろう、と思っている人はこちらの記事で利益とキャッシュフローの違いを勉強して欲しい。今時そんな事を言ったら恥をかきますよ、とだけアドバイスはしておく(会計上の数字である利益と実際の現金の動きは全く異なる)。
内部留保という、言葉自体が経済学には存在しません。図の利益剰余金が、相当するようです。
見て分かるように、利益剰余金とは、会社の「資金調達」方法の1つです。資本金と同じように、株式や借入金、社債のように出資者に「返金」しなくてもよい資金です。
この資金を使って、土地や建物や、生産するための原材料を購入します。ですから、利益剰余金=現金ではありません。株式調達金=現金ではないのと同じです。
よく、「企業は内部留保をため込み、けしからん」とか「内部留保の1割でも従業員に回せば13兆円も所得が上がる」とか、「内部留保に課税しろ」などの声がありますが、ナンセンスであることがお分かりだと思います。
「資本金をため込み、けしからん」とか、「社債を従業員給与に回せ」とか、「株式に課税しろ!」と言っているのと同じだからです。
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/30345738.html
中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 ファイナンシャルプランナー
バランスシートの右と左の違いも分からないような政治家が国を動かしていると思うと怖くなった。これは一部の経済学者も同様だ。簿記3級は小学生でも取得する資格だ。つまりバランスシートの左右の見分けもつかない政治家・経済学者は小学生にも負けるということだ。
内部留保という、経済学の使用禁止用語を、大学教授が使うとは・・・終わっています。