水野和夫 『資本主義の終焉と歴史の危機』 2

P3資本主義は、「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」つまり、いわゆるフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステムです。・・・もう地理的なフロンティアは残っていません。
P56 1974年以降、実物経済において、先進国が高い利潤を得ることができるフロンティアは、ほとんど消滅してしまいました。
P32
先進国は、安く買いたたける地域、高く売れる地域を求めて、常に外側外側へと拡大する・・・オイル・ショック前後までは、市場規模と、交易条件を改善ないし、拡大していけば、名目GDPが増加していくことが保障されていました。
・・・海外市場もアメリカのベトナム戦争終結で、拡張が止まりました。・・・このように1974年以降、市場規模と交易条件の掛け算で表される「地理的・物的空間」が、広がらなくなり、モノづくりや、サービスの実物経済で、利潤を高めることができないことが明らかになってきました。そこで・・二次元の平面的空間ではなく三次元に「電子・金融空間」を作り、レバレッジを高めることで、金融による利潤の極大化を目指していくことが起きたのです。
P34 1995年・・・国際資本が国境を自由に超えることが統計的に明らかになった最初の年です。・・・その結果、1995年から・・・2008年の13年間で・・・100兆ドルものマネーが創出されました。
P38 アメリカは、「地理的・物理的空間」での利潤率低下に直面した1970年半ば以降、「電子・金融空間」という新たな空間を作り、利潤を再び極大化させようとしました。
…資本主義は「周辺」の存在が不可欠…しかし21世紀にはいると、北の先進国の「地理的・物的空間」では満足できる利潤が獲得できなくなって・・・途上国が成長し、新興国に転じれば、新たな周辺を作る必要(筆者注:それが、今度は、外ではなく、国内に向かい)アメリカで言えば、サブプライム層であり、日本で言えば非正規社員であり、EUで言えば、ギリシャやキプロスなのです。
P60
そもそも、グローバリゼーションは、「中心」と「周辺」の組み換え作業なのであって・・・20世紀までの中心は「北」先進国であり、「周辺」は南(途上国)でしたが、21世紀になって中心はウォール街、周辺は自国民、具体的にはサブ・プライム層…中間層が没落した先進国で、消費ブームが戻ってくるはずがありません。
まず1点目。そもそも、18世紀ヨーロッパも、現在も、「外需・フロンティア」で、経済成長した・・のではないのです。
日本に絞ってみましょうか?日本の高度経済成長は、「資本主義」を体現していますから、外需寄与度、凄まじく大きいはずですよね。
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財務省資料 11ぺージ
日本の高度経済成長期、1956→72年平均成長率は「9.3%」です。このうち、外需(輸出-輸入)の貢献度:寄与度は、何と、マイナス0.2%です。
つまり、9.3%も成長したのに、外需は、マイナス0.2%も足を引っ張ったのです!!!

日本が成長したのは、圧倒的に国内投資・内需!
「外需」のおかげだとしましょう。そうすると、日本は先進国の末席(1967年、資本主義世界でGNP第2位)だったから、当然、日本より経済規模の小さな国(途上国)との「支配=従属関係」ですよね。
で、日本の高度経済成長期の、輸出相手は?
先進国のアメリカと、ヨーロッパです。財務省 外国貿易概況

途上国のアジアが、先進国の西欧を上回ったのは、2010年
「資本主義は、発展途上国から資源を搾取している」?
P56 1974年以降、実物経済において、先進国が高い利潤を得ることができるフロンティアは、ほとんど消滅してしまいました。
P32
先進国は、安く買いたたける地域、高く売れる地域を求めて、常に外側外側へと拡大する・・・オイル・ショック前後までは、市場規模と、交易条件を改善ないし、拡大していけば、名目GDPが増加していくことが保障されていました。
・・・海外市場もアメリカのベトナム戦争終結で、拡張が止まりました。・・・このように1974年以降、市場規模と交易条件の掛け算で表される「地理的・物的空間」が、広がらなくなり、モノづくりや、サービスの実物経済で、利潤を高めることができないことが明らかになってきました。
アメリカですね。アメリカも、「地理的・物理的」空間拡大で、1974年まで、成長?

?
「地理的・物理的」空間拡大がなくなって、1974年以降、資本自由化が本格的になる1995年までは、アメリカは

?
P47
新興国が台頭してきている以上、新興国で消費されるものは新興国で生産せざるを得ない。・・・したがって先進国が輸出主導で成長するという状況は現代では考えられません。自国通貨安政策によって、輸出を増加できるのは・・・資源を安く買いたたくことができる交易条件があった、1970年代までの話です。
「自国通貨安政策?1945年~1973年まで、『固定為替相場制』だったのに、通貨安で、輸出を増加させる?」
P3「アフリカのグローバリゼーション」が叫ばれている現在、地理的な市場拡大は最終局面に入っていると言っていいでしょう。もう地理的なフロンティアは残っていません。
「アフリカが、最後のフロンティア?」
欧米日は、今まで、アジアや、南米をフロンティアにして発展?
http://twitpic.com/1pz588『世界地図をGDP比率で書き直したもの』2008年現在


図解 使えるマクロ経済学
(2014/10/11)
菅原 晃
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すみません、初版 第1刷訂正部分です
1 P179
ケインズの流動性選好の図 ×「強国」→ ○「強固」
2 P179
×「流動性選好が高まれば、市場全体では均衡しているが、必ずどこかの市場で、需要不足(売れ残り、失業、利子率低下せず)になる」
○「流動性選好が高まれば(不況でますます強固)、必ずどこかの市場で、需要不足(売れ残り、失業、利子率低下せず)になる」
3 P215
×翁百合「試合中にルールを変える行政がイノベーションを阻む」
○翁百合「試合中にルールを変える裁量行政がイノベーションを阻む」
4 P154
×「限りがある資源(有限な時間・土地・ヒト・モノ・カネ)をいかに有効活用するかが、経済学(エコノミクス)の核になる理論
○「限りがある資源(有限な時間・土地・ヒト・モノ・カネ)をいかに有効活用するか、経済学(エコノミクス)の核になる理論
×「比較優位理説」
○「比較優位説」
5 p14
×「一方、実質GDPは2013年に過去最高の水準を記録しました」
○「一方、実質GDPはこの間に過去最高の水準を記録しています」
6 P204フリードマン吹き出し
×あなたたちのおかげでFRBは二度と同じ過ちを繰り返しません。
○あなたたちのおかげで二度と同じ過ちは繰り返さない(ようになります)
7 p60
×「また右記(4)のように、EX-IMが大幅増でも」
○「また右記(4)のように、EXとIMが大幅増でも」
8 p200
×「ケインジアンが、政策手段を失う中、ケインジアンを否定する理論には、(1)マネタリズムと(2)新古典派マクロ経済学:合理的期待形成仮説(p204)がありますが」
○「ケインジアンが、政策手段を失う中、ケインジアンを否定する理論には、(1)マネタリズムと(2)新しい古典派マクロ経済学:合理的期待形成仮説(p204)がありますが」
9 p62
×「(1)相続税は、2013年1月に基礎控除額が改定され」
○「(1)相続税は、2015年1月に基礎控除額が改定され」
10 p249
×価値観には、「真善美」すなわち(1)何が正しいか(科学)、(2)何が善いか(道徳)、(3)何が美しいか(芸術)の3つがあります。(1)は存在(ドイツ語でザイン)、つまり「~である」といった事実論、(2)は当為(ドイツ語でゾレン)すなわち「~するべき論」といった意見を示します。
経済学は数学を駆使するところから、(1)科学的であろうと努力してきましたが、どうしても、(2)の「べき論」の世界から逃れられません。
○価値観には、「真善美」すなわち(1)何が正しいか(①科学②哲学)、(2)何が善いか(道徳)、(3)何が美しいか(芸術)の3つがあります。①は存在(ドイツ語でザイン)、つまり「~である」といった事実論、②は当為(ドイツ語でゾレン)すなわち「~するべき論」といった意見を示します。
経済学は数学を駆使するところから、①科学的であろうと努力してきましたが、どうしても、②の「べき論」の世界から逃れられません。
大変申し訳ありません。
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かなり勉強になる!◇菅原 晃『高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学』