チェロアンサンブルコンサート
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この6人が毎年末チェロアンサンブルで共演するようになって、もう5年目なのだそうで、その間にも毎年のように誰かが大きな国際コンクールで賞を取ったり、辻本玲さんはN響の首席チェロ奏者に就任(2020年)したりとそれぞれに活躍し続けているわけで、この忙しい6人が毎年揃って公演を続けていることを「奇跡のチェロ・アンサンブル」と謳うのは、決して大げさではなかろうと思う。 今年は、上野通明さんがジュネーブ国際音楽コンクールで優勝(10月)したのが、まだ記憶に新しいところ。伊東裕さんが今年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」のエンディングのコーナーでチェロ独奏していたのも話題だった。
東京文化会館小ホールは満席の聴衆。上野駅公園口はリニューアルされて(2020年3月)広々としてから初めて降りた。
曲目は、ダヴィドフ「賛歌」、ポッパー「ハンガリー狂詩曲」、ドビュッシー「月の光」、リムスキー=コルサコフ「シェヘラザード」とわりあい静かな出だしに続いて、サン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」。 休憩をはさんで後半がピアソラ「ブエノスアイレスの四季」。
中でも前半最後の「ロンカプ」──後半にあったMCで6人はこう略していた──は原曲が独奏バイオリンとオーケストラの技巧的な曲であるのにもかかわらず、この6人のチェリストにかかると見事な迫力で、しかもこの曲で1番チェロに座った岡本侑也さんはもちろんのこと、全員に難しいパッセージがかわるがわる振り分けられていて、 まるで6人のソリストのチェロ協奏曲がフィナーレに向かって盛り上がっていくようだった。もちろん会場は歓声まじりの拍手喝采。 こんな演奏ができるのはこの6人だからこそで、こんな編曲をしてしまう(しかも自身でも弾く)小林幸太郎さんの手並みには感心するしかない。きっとパート割りを想定しながら「当て書き」の部分もあったのではないか。 小林さんがチェロ以外の楽器の名曲・難曲を編曲した曲はこれまで多いが、この「ロンカプ」はその中でも一番のインパクトだったのではないかと思う。
この6人によるコンサートは、来年2022年も12月29日東京、30日大阪で開催することが決まっているのだそう。アンコールはピアソラ「現実との3分間」。
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