カサド・チェロコンクール@八王子
一度コンクールの生の雰囲気を感じて来ようと思って、第2回ガスパール・カサド国際チェロ・コンクールが開催されている八王子に行ってきました。
このコンクール、ネットへの発信が充実していて、出場者全員の演奏が大会公式サイトから視聴できるようになっていますが、やはり生の演奏を、審査員の先生もすぐ近くに座っている小ホールで聴くと、伝わってくる音や緊張感が違います。
開演を待っていると審査委員の一番乗りが堤剛先生で、何か資料に目を通しておられる。ほどなく他の先生方も。一線の演奏家でもある先生方が、一次予選だけで4日間、57人が一人4曲弾くのを朝から晩まで聴くのだから大変。
朝一番の演奏者は韓国の女性で、色白で頼りなげな風情だったのに、チェロを構えると急に自信に溢れたよう。応援したくなる奏者。
次が東欧からの長身の男性。選手時代のイワン・レンドルを彷彿とさせる容貌。こちらは演奏台を使ったからかそれとも体の大きさが違うからか、まったく別の響き。(演奏台を使う人とそうでない人がいるのはなぜだろう?)あとは、日本人の出場者…
課題曲のフレスコヴァルディ=カサドのトッカータはすごくいい曲で、出だしを聴いて「これ弾きたい!」と思ったものの、途中からとんでもない難曲だということがわかる。課題曲になるだけのことはある。
バッハの無伴奏は4~6番いずれかのプレリュードとサラバンドを選ぶことになっている。きょう聴いた人は、全員6番を弾いていた。コンクールで技巧と才能を見せつけるには、やはり6番なのか?
二階の大ホールに行くと大画面でライブビューイングができて、こちらのほうがゆったり鑑賞できる。
その向かいがカサド展の展示ホール。カサドの使っていたピエトロ・ガルネリ1740年のチェロ(京都市交響楽団で今も現役)と妻・智恵子さんの弾いたピアノが並んでいるのが粋な演出。(参考: 夫妻の愛器再会 八王子国際チェロコンクール[読売 09.11.26])
カサド直筆の楽譜、たとえばドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」の編曲楽譜などの展示。定規をあてたようなきっちりした楽譜だったのが意外でした。几帳面な人だったのか。
カサドに宛てたパブロ・カザルス直筆の手紙にちょっと感激。その手紙でカザルスは、カサドがくれた曲に「親愛なる言葉(Requiebros)」という題名を提案していたのです!「親愛なる言葉」の名づけ親は、カサドでなくカザルスだった!
会場のいちょうホールは八王子駅北口から「My Town CELLO TOWN」という旗に沿って歩くこと約10分。チェロ無料体験テントなど関連イベントを横目に見ながら行けます。
- 関連記事
-
- The Cello Suites (Eric Siblin著) (2009/12/01)
- 二次予選進出者 (2009/11/30)
- カサド・チェロコンクール@八王子 (2009/11/29)
- 公会堂アンサンブル (2009/11/28)
- レッスン #146 (2009/11/27)