建設業法で定める監理技術者制度。その資格者証の交付は「廃止」、講習は「受講の義務付けを廃止」とする――。政府の行政刷新会議は5月21日の事業仕分けで、公益法人が行う資格ビジネスにメスを入れた。やり玉に挙がったのは、監理技術者資格の認定に絡む2つの財団法人、「建設業技術者センター」と「全国建設研修センター」だ。
建設業技術者センターは、監理技術者資格者証を交付する指定機関。全国建設研修センターは、監理技術者を対象に義務付ける講習を実施する登録機関の一つだ。仕分け人からは、国の法律に基づく資格業務を独占的に引き受け、天下りの温床になっているとの批判が相次いだ。
国交省は「ワンストップ化に課題」
一定の公共工事などの現場に配置が義務付けられている専任の監理技術者は、監理技術者資格者証と講習修了証の2枚のカードの取得、所持が求められる。資格者証の交付手数料は7600円、講習修了証は受講料などで1万1000円かかる。ともに有効期間は5年だ。
仕分け作業の冒頭、所管官庁の国交省は、資格者証のメリットを強調。「建設工事の現場では、技術者資格の虚偽申請や名義貸しが頻発している。資格者証の交付によって、発注者や注文者は、本人であるか否か、適正な資格を有していて工事を担当できるかが、1枚のカードで簡便に確認できる」などと説明した。「姉歯事件の反省を踏まえた06年の法改正で、民間工事での監理技術者資格者証の携帯の義務を拡大している」と、消費者保護の観点からも必要性を訴えた。
また、講習については、「技術者の資質の維持向上の機会を担保する。最新の知識の付与も併せて行っている」と述べた。
国交省は、仕分けに先手を打つ形で、制度上の課題を次のように説明した。「交付手数料の水準、監理技術者講習の受講と資格者証交付の申し込みのワンストップ化については課題があると認識している。建設業を取り巻く環境が厳しい中で、少しでも申請者の負担が軽くなるように見直していきたい」。