製品を説明するJames Dyson氏
製品を説明するJames Dyson氏
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円柱状の本体にリングを乗せたような「Dyson Air Multiplier」。一見するとファンが見あたらない
円柱状の本体にリングを乗せたような「Dyson Air Multiplier」。一見するとファンが見あたらない
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リング部分の断面形状。飛行機の翼の断面と似ている
リング部分の断面形状。飛行機の翼の断面と似ている
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リング部を取り外して見た本体内部
リング部を取り外して見た本体内部
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本体のカットモデル。下のグレイの部分がファンの羽根。不等間隔なのが分かる
本体のカットモデル。下のグレイの部分がファンの羽根。不等間隔なのが分かる
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リング近傍の空気の流れのシミュレーション結果
リング近傍の空気の流れのシミュレーション結果
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断面の流速分布。リング近傍は流れがやや局所的だが,ある程度離れたところでは広い範囲で流速が認められる
断面の流速分布。リング近傍は流れがやや局所的だが,ある程度離れたところでは広い範囲で流速が認められる
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熱血バイヤーの細川茂樹氏も登場。
熱血バイヤーの細川茂樹氏も登場。
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 ダイソンは,英国Dyson社が発表した新型扇風機「Dyson Air Multiplier」の製品発表会を,2009年10月16日に東京都内で行った。Air Multiplierは,円柱状の本体にリングを乗せたような形をしている。一見するとファンは見あたらず,従来の扇風機とは全く異なる形状である。実は送風用のファンは本体内部にあり,それによって空洞となっているリング内に空気を送り込んでリングに設けた細いすき間から送風する仕組みだ。空気の粘性せん断流を利用することで,本体に吸入した空気の15倍の量の空気を広い面積で送風できるとしている。Dyson社会長のJames Dyson氏は,「ハンド・ドライヤを調べている過程で,高速で送風すると周囲の空気が巻き込まれて送風量が増えることが分かった。そこで,これを利用して扇風機が作れると思い付いた」とアイデアが生まれた発端を語った。

 具体的な送風の仕組みはこうだ。本体内のファンで最大20L/sの空気を中空のリング内に送出する。リングの断面形状は飛行機の翼のような形をしており,翼の先端近くには,内側に1.3mmほどのすき間を設けてある。このすき間から噴出された空気は翼の表面に沿って高速で流れるため,その近傍が負圧となる。このため周囲の空気が巻き込まれるようにして送り出される。「飛行機の翼が揚力を得るのと同じ仕組み」(Dyson氏)。本体内のファンの羽根の配置も工夫した。リング内に均一に空気を送り込むため,9枚の羽根を不等間隔に配置したという。リングの周方向の速度を生みだし,それによってリング内に空気が行き渡るようにしているものと考えられる。

 Dyson氏は,従来の扇風機のような送風のムラがない,ファンに接触して指をケガする心配がない,手入れが簡単である,といった利点も強調していた。消費電力は最大で40W。風量は無段階で調整可能となっている。サイズは25cmと30cmの2種類があり,質量はそれぞれ約1.7kgと1.8kgである。90°の自動首振り機能を備えており,仰角は最大10°まで変えられる。価格は25cmが3万7000円,30cmが3万9000円を想定している。まずは,これから夏に向かう南半球を中心に販売する計画だという。日本では当初,デザインショップでの販売が中心となり,家電量販店に並ぶのは2010年の春以降の見込みである。