2007年3月26日から3日間,米サンディエゴ市で「O'Reilly Emerging Technology Conference 2007」(ETech)が開催されている。ETechは,WWW技術やインターネットのサービス,他の最先端の技術を扱うカンファレンスで,いわゆる「Web 2.0」関連の新技術やサービスが多く登場する。
今回のETechにおける注目の一つが「Freebase」(WWWサイト)である。オンライン・データベースのサービスで,2007年3月12日の週に非公開のアルファ版として運営を開始したばかりだ。
Freebaseは,米Metaweb Technologies, Inc.(WWWサイト)の技術を使って構築された。Metaweb社はセマンティックWebの技術開発をしているベンチャー企業で,旧米Netscape社や米Intel Corp.,米Alexa Internet Inc.などに在籍した人材が集まって2005年7月に設立された。
Freebase上に構築したWebアプリケーションのデモを行ったMetaweb社,Executive Vice President Product Development & Co-FounderのRobert Cook氏は,俳優であり,現カリフォルニア州知事でもあるArnold Schwarznegger氏を例に取り上げ,「ボディビルダー,俳優,政治家という三つの顔を持ち,それぞれ別々の履歴がネット上に点在している。こうした情報を一つに統合し,誰でもアクセス可能な一つの『Arnold Schwarznegger』というドメインに蓄積する」と説明する。
ユーザーが投稿/編集するデータを蓄積して公開するという点では,Freebaseはオンライン百科事典サービスの「Wikipedia」と似ている。違いはWikipediaが人間による閲覧を主に想定するのに対して,FreebaseはAPIを介したコンピュータからの利用をより意識している点だ。インターネットに点在するあらゆる情報を一つのデータベースに統合し,それをWebサービスとして提供することで,そのデータを活用する様々な新しいWebアプリケーションを花開かせようともくろむ。