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 自動車関連5団体は2023年1月5日、東京都内のホテルで賀詞交歓会を開いた。日本自動車工業会(自工会)会長の豊田章男氏は、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応が出たため欠席。自工会副会長の永塚誠一氏が、豊田氏のメッセージを代読した。

永塚誠一氏
日本自動車工業会副会長の永塚誠一氏
(写真:日経Automotive)
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 毎年この時期になると、春闘の話題が盛り上がってくる。永塚氏が代読したメッセージで豊田氏は、「注目すべきは単年のベースアップではなく、分配の実績ではないか」と述べた。

 ここ10年以上、日本の自動車産業は、全産業の平均を上回る2.2%の賃上げを続けてきた。雇用を維持しただけでなく、新型コロナウイルス禍の2年間で22万人の雇用を増やした。平均年収を500万円と仮定すると、1兆1000億円を家計に回した計算になる。「しかし日本では、私たちに対する『ありがとう』の声はほとんど聞こえてこない」と豊田氏は嘆いた。

 今日よりも明日を良くするために懸命に働く。その結果、成長し、分配して中間層を増やすことで(日本は)豊かになってきた。豊田氏は、「日本はこの強みを忘れたのではないか。忘れたのなら、思い出せばよいと考えている」と強調した。

 一方、カーボンニュートラル(炭素中立)など日本が直面する課題には、オールジャパンで取り組む必要がある。「その際には共感が重要になる」と豊田氏は指摘した。そのうえで、「今年、日本から共感を生み出すチャンスが二つある。一つは5月に広島市で開かれるG7サミット(主要7カ国首脳会議)、もう一つは10月に開催するJAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」とした。