熊本県内を中心に戸建て住宅の施工・販売などを手掛けるLib Work(リブワーク)。同社では、「土」を材料に用い、建設3Dプリンターを駆使した「未来の家」づくりが進行中だ。2024年1月末に、プロトタイプとして土壁の木造住宅「Lib Earth House “modelA”」を発表。今後も開発を進め、25年に一般販売を開始する計画だ。事業の狙いと戦略を瀬口力社長に聞いた。(聞き手は星野 拓美=日経クロステック/日経アーキテクチュア)
3Dプリンター住宅の開発に取り組む理由を教えてください。
理由は2つ。1つは住宅業界に革新を起こしたいからです。私がこの業界に入ってから約25年たちますが、住宅の見た目に大きな変化はありません。もちろん省エネ性能や耐震性能などは向上してきました。しかし「ガラケーからスマホ」「ガソリン車から電気自動車(EV)」のような大転換は見られない。
何十年も同じような住宅をつくっていては、いずれ買ってもらえなくなると思います。米テスラが「未来のクルマ」を世界に示したように、我々は「未来の家」を提案したい。住宅の在り方を再定義し、今までとは違う全く新しい商品を生み出したいのです。
もう1つは住宅業界の人手不足を解消するため。既に大工の数が圧倒的に足りませんし、今後ますます減っていくでしょう。このままでは我々の事業が立ちゆかなくなります。従来とは方法を変えて住宅を施工できるようにしなければなりません。省人化を実現できる建設3Dプリンターを活用しない手はないと考えました。