五洋建設は洋上風力発電施設の建設に使う作業船2隻に計約790億円を投資する。着床式の洋上風力発電施設に必要なモノパイルと呼ぶ大口径の基礎を打設できる大型基礎施工船(HLV)とケーブル敷設船(CLV)を建造する。2024年3月期の連結純資産額1730億円の45.7%に相当する大きな投資だ。24年12月10日に発表した。
HLVは揚重能力5000トン(t)のクレーンを搭載し、世界有数の規模になるという。27年度以降に国内で本格化する洋上風力発電施設の工事を見据えて、大型船で効率化を狙う。
HLVは海面に浮かんだ状態で作業する。ダイナミックポジショニングシステムと呼ぶ位置の保持装置を搭載する。建造するHLVは効率的にモノパイルを施工できるように船の形や、横たわったモノパイルを起こす装置に工夫を加える。
モノパイルは3000tクラスのものを打設できる。出力15メガ~20メガワット(MW)クラスの大型風車のモノパイルに対応する。25年1月に建造契約を結び、28年3月に引き渡し予定だ。建造費は約1200億円。芙蓉総合リースと50%ずつ出資して共同で保有する。
同社は洋上風力用の作業船として、建造中を除いて自己昇降式作業台船(SEP船)を2隻保有する。クレーンの揚重能力はそれぞれ、800tと1600tだ。27年には、揚重能力1600tのクレーンを搭載したSEP船を3隻目として稼働させる。SEP船は船を支える4本のレグを着床させて船体を海面上にジャッキアップすることで位置を固定して作業する。
新たに建造するHLVは、1600t級のSEP船と比べて3倍以上の揚重能力を持つ。風車の大型化に伴ってモノパイルの重量も増え、SEP船での施工が困難になると見込まれたことからHLVの建造に踏み切った。