yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『法界坊』たつみ演劇BOX@梅田呉服座2014年1月1日

元旦に芝居見物に出かけるなんてヒマジン、どれほど入るのかと思っていたけど大入りが出て一安心。開始時間を30分間違えて時間が余ったため、お茶を飲むところを探したのだが、泉の広場へ行くまでの地下街の店がすべて閉まっていて困った。地上に上れば良かったことが、あとで分かった。地下街を往来していたのは初詣帰りの家族連れが圧倒的に多く、めずらしく疎外感を味わった。普段とはずいぶんと様相が違っていた。

梅田呉服座はいつにも増して明るかった。やっぱり新春を寿ぐにはこういう劇場が相応しい。

第一部:三番叟
なんでも「三番叟」とは、「農民の象徴。烏帽子をかぶり、扇と鈴を持って、天下泰平、国土安穏、五穀豊穣を寿(ことほ)ぐ、めでたい舞を舞う」のだそう。Wikiによると、「三番叟の舞は、揉ノ段と鈴ノ段に分かれる。前半の揉ノ段は、面を付けず、足拍子を力強く踏み、軽快・活発に舞う。後半の鈴ノ段は、黒式尉を付け、鈴を振りながら、荘重かつ飄逸に舞う」ということである。ただし、能楽から歌舞伎に入った時点で、形式、内容ともにかなり変えられてしまったそう。奇怪な黒式尉面を付けておどるものは歌舞伎でみたことはなし、大衆演劇でもみたことがない。

「たつみ演劇BOX」の三番叟はもちろん初めて。さすがに豪華、華やかだった。こういう三番叟を観たかったのだと、あらためて気づいた。中心はたつみ座長とダイヤ座長。愛さん、宝さん以外は総出演。小龍さんが中の太夫であとで登場。背景には奉納のお神酒が備えられた神棚。上の「足拍子を強く踏む」というのは、うさぎ跳びのような動きも入っていて、これは足に来るでしょうね。

第二部:お芝居
お芝居は『法界坊』だった。こういうところ、たつみさんらしい。歌舞伎の演目を正月にもってくるとは。『法界坊』をやった大衆演劇の劇団は、私の観劇歴では初めてだった。意欲的!有名な歌舞伎の演目なので筋は割愛する。興味のある方はWiki記事をどうぞ。ただしストーリーはかなり変えられていた。

配役は以下。
法界坊  (もちろん!)たつみ座長
要助(実は吉田松若)  瞳太郎
おくみ         みつき
大坂屋         愛餓男
永楽屋女将       京香  
番頭          小龍
吉田の元の上司の侍   宝

大衆演劇の観劇時間枠に収まるよう、サブプロットは端折られ、プロット自体も組み直されていた。たつみさん自身の手になるものか、それとも脚本があったのか。いずれにしても、必要なところをきちんとおさえ、筋の運びに支障がないように書き換えられていて、感心した。

たつみさん曰く、「なんで(オトコマエのボクちゃんが)正月からこんなの(オモシロ顔の化粧、役柄も嫌われ者のナマクサ坊主)を演らなければならないの」。とかなんとかおっしゃって、おやりになりたかったんでしょう。歌舞伎調の芝居を。5日までの出し物、すべて歌舞伎やら長谷川伸やらの「古典」ですからね。

歌舞伎の『法界坊』は中村勘三郎(当時はまだ勘九郎だった)が演ったのを観たことがある。ただし、後の串田和美演出のものではない。こちらはシネマ歌舞伎になっているが、まだ観ていない。私がみた勘九郎の旧式歌舞伎版よりずっと面白いに違いないけど。