Cloudflareは、CDN(コンテントデリバリーネットワーク)のリーディングカンパニーです。CloudflareはSEOに悪影響を及ぼしているかもしれないと言う事例の記事が話題となっています。Cloudflare利用によるSEOへの影響のケーススタディ(事例)記事の内容を紹介し、考察を行います。
はじめに:この事例を紹介することにした理由
ネット上には、様々な情報が溢れています。人々の注目を集めやすいようなゴシップ的なコンテンツもネット上に多くあります。SEO関連の話題でもゴシップ的な話題も少なくありません。「CDNはSEOに悪影響を及ぼす」などという話題は注目を集めがちです。ゴシップ的な記事をブロギングライフで紹介するようなことをする考えはありません。
今回紹介する記事はCloudflareの利用経験、実績も多くあるクラウド関連のサービスを提供する会社による記事であること、ケーススタディで紹介するデータは、Google Search Consoleの検索アナリティクスの指標を使用していていることなどから、記事で紹介している出来事は信憑性が高いと考えています。単に話題集めというような目的の記事ではないこと、興味深い話題であること、上記のように記事の内容とデータは信頼できると判断したため、紹介することにしました。
Search Consoleのデータは信頼度が高いです。SEO関連のツールはいろいろありますが、Search Console以外のツールのデータを使用している場合は、データの信頼度は不明です。(基本的には信頼できるものではありません。)
本件は、English Google Webmaster Central office-hours hangoutでも話題となっています。
Cloudflare はSEO/検索ランキングに害を及ぼすのか?(ケーススタディ)
元記事: Can Cloudflare Actually Hurt Your Website’s SEO? (Case Study)
記事の内容の該訳に説明を付記します。
2017年の4月後半に、ほぼ全てのトップキーワードのランキングが下落してオーガニック検索トラフィックが0近くまで落ち込んだとの顧客のサイトオーナーから連絡を受け取りました。サイト運営側で検索順位を取り戻すようにプラグインの設定や様々な作業を行いましたが、改善されませんでした。サーバー側の細かい設定なども試みましたが、何も効果は見られませんでした。
問題の原因の糸口をつかむため、ブレインストーミングを行なっている時にCloudflareが原因でSEOのランキングが下落したと言ういくつかの記事を見つけました。
今回問題が発生したサイトは1年以上Cloudflareのプロプランを利用しており、さらに記事を投稿した会社はそれまでCloudflareを利用してきてその様な問題が発生したことがなかったので、記事に書かれている事について懐疑的でしたが、状況からサイトオーナーは、4月29日の夜にCloudflareを無効にすることを了承しました。
4月30日朝にサイトオーナーからGoogle 検索ランキングが戻り、1ページ目に表示されるようになり、オーガニックトラフィックも回復し始めていると連絡を受けました。サイトオーナーと記事の著者は、Cloudflareが問題の元凶とは確信できず、偶然の一致だったかもしれないと考えて、Cloudflareに連絡したところ、予想通り検索ランクの下落は偶然の一致だろうとサポートから返事が来ました。
サイトオーナーとクラウドサービスの著者は、Cloudflareをもう一度有効にして検索に影響があるか試してみました。驚くことにCloudflare有効にした数時間後、同様のランキング下落が再発しました。そして、Cloudflareを無効にしたところ、ランキングは元通りになりました。
Cloudflareを有効にすると何が起きるのか?
- サイトはオリジナルのIPから供給されなくなり、CloudflareのプロキシーサーバーのIPとなる。
- アクセスするクライアント(端末)地域によって、IPアドレスは変化する。
- サイトはCloudflareを使用する他の多くのサイトとIPを共有する。それらのサイトは、大手企業、スパマー、マルウェアの供給者かもしれない。
(記事に書かれている内容を訳しています。)
結論
悪いユーザーとIPを共有してしまったことが、今回の問題の原因かもしれません。状況から推測する程度ですが、確固たる証拠はありません。Googleによって降格されたIPを共有させられてしまったりしないしない限り、Cloudflareを使用していることで検索ランキングが下落することは、めったに起こりません。このようなことは、数百のサイトをCloudflareを利用して運用している我々にとっても、一度あるかないかと言うようなことです。私は、噂ではなく事実であるこのケーススタディが皆さんのご判断のお役に立つことを望んでいます。
(記事に書かれている内容の概要を訳しています。)
記事を読んだ感想と考察
この記事の著者は、4年近くCloudflareを利用していると書いています。Cloudflareを陥れるような意図や動機はないと思います。データはGoogle Search Console の検索アナリティクスです。添付している検索アナリティクスのチャートも加工などはされていないと思います。
記事に添付されているCloudflareのサポートからの返信の日付は、問題発生中ではなく、問題が解決した後で、日付と内容が記事に書かれていることとは、少し話が食い違っていたりしているところがあります。
記事には、悪いユーザーとIPを共有してしまったことが、今回の問題の原因かもしれないと書かれていますが、Googleの検索エンジンアルゴリズムはIPとサイトを結びつけて、サイトのランキング付けはしていません。サイトがスパムサイトとIPアドレスを共有していても、基本的に検索ランキングには影響しないです。
ランキングの下落と回復が急激なので、検索アルゴリズムによる自動ペナルティが科せられたと推測しています。Cloudflareが直接の原因ではないにしろ、色々な条件が重なった上で、サイトがCDNを使用していることが、間接的に影響している可能性はあると思います。(関係がまったくないとは考えられません。)
John Muellerさんのコメント
この記事について、TwitterでJohn Muellerさんの見解を尋ねたツイートへの返答のコメントを添付します。
That sounds unrelated. Many sites are on CDNs. If set up properly, CDNs work great for users & search engines.
— John ☆.o(≧▽≦)o.☆ (@JohnMu) May 10, 2017
John Muellerさんの返答の訳:関連性はないように思います。多くのサイトはCDN上にあります。設定が適切に行われていれば、CDNはユーザーと検索エンジン両方に良好に機能します。
John Muellerさんが述べている通り、非常に多くのサイトがCDNを使用しています。CDNを使用することが、検索ランキングの急落などの原因となることは基本的にないと思います。しかし、John Muellerさんが続けて述べている通り、「設定が適切に行われている」と言うことが前提となります。何らかの理由で設定が適切に行われていない状態であった可能性などが考えられます。また、いくつかの条件が複雑に結びついて、検索アルゴリズムからペナルティーを一時的に受けた可能性があります。
追記:CloudflareのSEO責任者とJohn MuellerさんのQ&A
CDNがSEOに悪影響を及ぼすことがあるのかと言うことについて、CloudflareのSEO責任者がEnglish Google Webmaster Central office-hours hangoutに参加して、John Muellerさんに直接質問したQ&Aのセッションの紹介記事を投稿しました。
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