2019年9月11日、Googleはサイト内のコンテンツからリンクを貼る際に、リンク先のページを検索エンジンにフォローさせないディレクティブ nofollowに加えて、sponsored と ugcの新しい2つの属性を追加することを発表しました。
以下、Google ウェブマスター公式ブログ(英語)の記事を訳して内容を紹介した後、本発表についての考察などを行います。
目次 - Table of Contents
「nofollow」の進化 – 自然なリンクを識別する新しい方法
元記事: Evolving “nofollow” – new ways to identify the nature of links
15年近く前、コメントスパムに対処することを手助けるためにnofollow属性を導入しました。nofollowは、(導入後)直ぐに広告に関連するものやスポンサーリンクにフラグを付けるGoogleが推奨する一つの方法となりました。2005年にnofollowが導入されてから、ウェブは進化し続けています。そして、nofollowも同様に進化する時が来ました。
本日、我々はウェブマスターが特定のリンクの性質(本質)をGoogle検索が識別するために追加された方法を提供する2つの新しいlink属性を発表致します。以下は、nofollowを含めてこれらについてとりまとめたものです。
rel=”sponsored”: 広告、スポンサーシップ、または他の報酬契約の一環として作成されたサイト上のリンクを識別するためのスポンサーされた属性として使用します。
rel=”ugc”: UGCは、User Generated Contentのことです。コメントやフォーラムの投稿のようなユーザーが作成したコンテント内のリンクにugc属性を推奨します。
rel=”nofollow”: 別のページにランキングクレジットを渡すことを含めて、ページへのリンクで内容を保証することを望まない場合にこの属性を使用します。
nofollowが導入された時、Googleはこの方法で記された(マークされた)リンクは全て、我々の検索アルゴリズム内において使用するシグナルとして含めませんでした。これは、今、変更となりました。スポンサード、UGC、nofollow、これら全てのリンク属性は、検索において考慮、または除外するリンクのヒントとして取り扱われます。
我々は、我々のシステム内でリンクを適切に分析しどの様に使用するかをより良く理解するための方法として、他のシグナルと共にこれらのヒントを使用します。
なぜ、これまでnofollowで行ってきたと同様にそれらのリンクを完全に無視しないのですか?リンクには、リンクに含まれる言葉が示す内容をどのように説明しているかなど、検索を改善することに役立つかもしれない価値ある情報が含まれています。
我々が対峙する全てのリンクを見ることで、不自然なリンクパターンを理解する手助けにもなります。サイトの所有者はファーストパーティー保証(当事者として保証)する重みを与えるべきではないリンクを示すことを可能にしながら、ヒントモデルに移行することによって、我々はこの重要な情報を失うことは無くなります。
我々は、これらの新しい属性は質問を生み出すことを理解しております。そのため、以下にFAQで、それらの多くを網羅できるようにしたいと存じます。
既存のnofollowを変更する必要がありますか?
いいえ。スポンサーリンクをブロックする方法として使用、またはリンク先のページの内容を保証しないことを強調することは引き続きサポートされます。 既存のnofollowリンクを変更する必要はまったくありません。
一つのリンクに複数の属性値(rel値)を使用できますか?
はい、リンクに複数のrel値を使用できます。例えば、rel=”ugc sponsored”は、完全に有効な属性で、ユーザーが作成したコンテントでスポンサーされているリンクであることのヒントとなります。同様に、新しい属性をサポートしていないサービスとの互換性(バックワードコンパチブル)を望む場合は、rel=”nofollow ugc”の様にnofollowを新しい属性と一緒に使用することも有効です。
広告またはスポンサーリンクにフラグを立てる必要がまだありますか?
はい。リンクプログラムとなる可能性を避けたい場合は、rel=”sponsored” または、rel=”nofollow”を使用して、リンクにフラグを立てます。我々は、「スポンサー」を使用することを推奨しますが、どちらでも構いません。そして、この目的のために同じ扱いとなります。
リンクに間違った属性を使用してしまったらどうなりますか?
スポンサーリンクの場合を除いて間違った属性はありません。もしも、UGCのリンク、広告ではないリンクに「スポンサーされています」とフラグを立てても、ヒントとして見る可能性はありますが、最大の影響として、我々はリンクを他のページのためにクレジットしない(評価するシグナルとして扱わない)かもしれない程度です。この点において、既に多くのUGCや非広告がnofollowとしてマークされている現状と何も違いはありません。
逆のやり方(属性を使用しない)をした場合には、問題となります。明らかに広告、またはスポンサーされているリンクは、上に説明したように「スポンサー」または「nofollow」を使用すべきです。「スポンサー」の仕様をお勧めしますが、「nofollow」も受け付けます。
なぜ、これらの新しい属性を使う必要があるのですか?
新しい属性を使用することは、我々がウェブの分析を行うためにリンクをより適切に処理することが可能となります。それは、人がこれらの属性を使用してあなた(のページ)にリンクを貼る場合、あなたが所有するコンテントが含まれます。
「ヒント」のアプローチへの変更はコメントやUGC内へのリンクスパムを助長することにはなりませんか?
第三者がコンテントに寄与できるサイトの多くは、多くのブログプラットフォームに統合されている承認ツールや人によるレビューなどを含めて、サバざまな方法でリンクスパムの抑止が既に施されています。”ugc”と”nofollow”のリンク属性は、引き続きさらなる抑止となります。多くの場合、ヒントモデルへの移行は、Googleにおけるそれらのリンクの取扱い方の根本的な変化をもたらしません。
我々は、これまでにnofollowで行ってきたように扱って、ランキング(順位付け)目的としては考慮しません。我々は、これまで常に行ってきて、属性が提供されていない状況で行う必要がある場合と同様に、これからも引き続き、検索内でのリンクの取扱い方法について慎重に評価を行います。
これらの属性と変更はいつから有効になりますか?
sponsored、ugc、nofollowの全てのリンクは、本日(2019年9月10日)からランク付けの目的のために含まれるヒントとして機能します。クロールとインデックスについては、nofollowは2020年3月1日からヒントとなります。ページがインデックスされることをブロックする目的のためのみにnofollowに頼っていた場合(これまでも決して推奨されていません)、ヘルプページのGoogleからURLをブロックする方法に記載されているもっと強い方式のどれかを使用して下さい。
ugcとsponsored link属性追加導入についての考察
2005年に投稿されたnofollow導入時のブログ記事を読むと、nofollow導入の目的がコメントスパム対策が元であったことが良く分かります。当時は検索での表示を狙ったコメントスパムが氾濫していており、対策としてnofollowが導入したことについての説明と今回の記事と同様にFAQを設けているところも、記事を読んで興味深く思いました。(意図的に今回の記事はある程度似た形式にしていると思います。)既に15年近くが経過しており、ウェブサイトを取り巻く環境も大きく変わってきています。検索エンジンも大幅に進化しています。
「nofollowも進化すべき時が来た」というのは、納得できます。実際のところ、nofollowの使い方や解釈なども人によって様々なところがあります。Wikipedia内のリンクは、基本的に全てnofollowが付けられていることから、検索で上位に表示されるためには、リンクにはnofollowを付けた方が良いのではないかと考える人も少なくなく、英語のWebmaster office-hours hangoutのQ&Aでも何度か取り上げられています。
nofollowに加えて、ugcとsponsoredが加わることで、違いも分かりやすくなり、これまでより適切に使えるようになると思います。
アフィリエイトタグへの影響: nofollowとsponsoredの違い
アフィリエイト広告のタグでもnofollowが付けられていることは少なくありません。FAQでも説明されているように、アフィリエイトサイトへのリンクにsponsoredを使用せず、nofollowのままでも問題はありません。取扱いも基本的に同じであるとしています。
nofollowからsponsoredに変更することで、リンクを貼ったページとリンク先のページについて、より検索エンジンのアルゴリズムが理解しやすくなります。リンク先のランディングページを提供するアフィリエイトスポンサー側としても、基本的にはsponsoredのlink属性が追加されることは、リンクによるページ間の関係を検索エンジンからより適切に理解してもらう機会となるため、アフィリエイトタグの対応も積極的に行われるところが多いと予想しています。
ブログプラットフォームにおけるコメントに貼られたリンクの対応
コメントに貼られたリンクは、ブログプラットフォームでnofollowが付与されるのが一般的です。今回、新たにリンク属性にugcが導入されたことによって、ブログプラットフォームも対応していくことが予想されます。
ブログプラットフォームではrel=”nofollow ugc” か rel=”ugc”のどちらになる?
WordPressは、今回のリンク属性追加への対応がかなり早く行われると予想しています。nofollowがなくugcのみになるとスパムコメントを助長することになるので、”nofollow ugc”になる可能性が高いと思います。実際どうなるのかにも注目しています。
WordPressは、2019年11月12日にリリースされる次期バージョン WordPress 5.3に、リンク属性にUGCを付加させる新機能の追加と、コメントでのUGC追加を発表しました。WordPress 5.3からは、コメント内のリンクには、”nofollow ugc”の属性がデフォルトで付与されます。
WordPress 5.3からコメントにリンク属性 ugc がデフォルトで追加される
検索アルゴリズムのシグナルとなるヒントモデルへの移行
ウェブマスター公式ブログ記事を読むと、新しいlink属性を導入することによって、リンクを介したページ間の関係を理解するヒントとなるシグナルとしても使用する目的であることが分かります。
これまでは、アフィリエイトのリンク、コメント内のリンクなどは、全てnofollowで一括して取り扱われていましたが、sponsoredやugcが属性としてリンクに加えられると、検索エンジンのアルゴリズムがリンク先のページとの関係が理解しやすくなることは確かです。
適切にリンク属性を使用することは、検索エンジンにサイトのページをより適切に理解してもらうことにも繋がる可能性があるため、サイト運営者にとっても好ましい変更だと思います。
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