what you will always remember

快晴で朝から冷え込んだ。
先週は上京のために振り替えた土曜日課外が一コマ入ったので、高2の「仮定法」。
地元の中学校の先生が見学に来られました。
部活関係で車が多く、駐車スペースが見つからなかったかと思います。ご面倒をおかけして済みません。
課外一コマは1時間半なので、普段とは時間配分も異なります。
ホワイトボードの倒置文を元に戻して、口語「的」な例文として、音読の妥当な状況設定。
動詞・助動詞の「形」と話者の心的態度、可能性の査定ということが実感できているかが、実はこの最初の音読で問われています。文字を目で見ている時には、気づいて当然ですが、耳だけで気づけるか?ということで、

  • 対面リピート

何も、暗唱を目的としているのではありません。英語での情報を「保持」するためには、「処理」へのリソースの振り分けが少なければ少ないほどよいわけです。当然、どちらもキャパシティが大きければ言うことはありません。
タイプ1からタイプ3までホワイトボード両面に例文がびっしり書かれていますが、当然、タイプ1の方が「処理」の負荷が小さいので、対面リピートも速く終わり、選手交代へと進みます。一定の制限時間でボードの両面の配置を交換。気合いを入れて、仕切り直し。上手く言えるものとそうでないものとが浮かび上がってくるので、そこからさらに5分間時間を取って各自で「再」音読。

  • 何回か仕切り直しで、自分の理解や定着を確認しながら時間を取り、集中的に音読をやっているから「今」はできる。これは当然。では今日の帰りには?明日一日休みを挟んで月曜日には?今日学校を出る前に再度音読、家に帰ったら、どれだけ覚えているか、紙に書き出してみる。怪しいものも含めて月曜日の朝一でチェック、そういう姿勢が大切。

と説く。
これらの英文は全て、『if本』『Q本』から採っているので、いわば生の英語。斬れば血の出る類の文です。その世界を生き直すことを普段からやっていれば、『学参』や『入試』の英語は子供騙しに感じられようという目論見です。でも生徒も子供だと騙されちゃうわけですね。『森林本』から、タイプ1からタイプ3までの典型例を5つ選び、私が音読、生徒は真っ新な紙に書き取ります。ディクテーションですね。3回読んでから、自分の机の上に紙を広げたまま、1分間の「旅」に出ます。落ち零しを防ぐのが狙い。自分の席に戻って、消しゴムは使わずに修正。この段階で各自で訂正できるようなら授業で苦労はしません。それぞれの例文をタイプ1からタイプ3まで見極めて数字を記入。ここで開本。赤ペンで修正。英語ができない生徒は、正しい情報を赤で書いて安心しがちです。なぜ、そこが書き取れなかったか、何を考え違いしていたかを確認し、地図を書き直すことが大切。タイプの識別も書き取れていない者は見直しです。開本により、正しい「意味」も確定したからこそ、目の前に正しい英文が揃ったことになります。AAO派には、この点を反芻して欲しいものです。大まかな理解では「文」を完結することはできないのですから。
目の前の訂正線、赤ペンで「しっちゃかめっちゃか」になっている紙をそのままにはしたくないでしょうという人間の心理というか弱みにつけ込んだ次の作業へ。そう、定番のFlip & Writeですね。もっともシンプルな形でのF & Wを今日は見てもらいました。Read & Look upでスラスラ言えるようにしてから裏面に書く。裏面には訂正線や赤ペンを入れたくないからこそのF & Wですから、「スラスラ化」してから裏返さないとダメです。5文で5分以内ですから、1文の音読と筆写で1分以内です。ここまでやれば、日→英でも対応可能。
前時に導入してあった、<as if S+V>の解説のために、「様子・状態・方法・様式」を表す asの確認。
休憩前に英語のことわざを調べさせておきました。

  • 郷にいれば郷に従え

休憩時間に見学に来られた先生と雑談をして、新教材導入に用いるワークシートを印刷して再開。

  • When in Rome, do as the Romans do.

の “as” の解説に、西尾孝 『実戦英文法活用辞典』 (英教、1981年) から例示。

  • He talks as (he would talk) if he knew everything.

という頭の働かせ方。
その後、『森林本』を眺めて、新教材の導入。

  • I wish S+V

の用例が広がりの感じられないものばかりなので、「生き直し」のためのハンドアウト。
導入を一通り済ませて次回への課題を指示。

  • 帰る前に、ホワイトボードの音読はしていくよね。

と一言。
ちょうど時間となりました。
準備室で授業を振り返り、コメントをいただく。

  • 生徒は休む暇ないですね。
  • いろんな高校の授業を見せてもらったけれど、生徒の顔がずっと上がっているというのはあまりない。

活動の狙いの質疑応答。

  • 今日の音読は表現のためというよりは、自分でしっかりと覚えるためのもの。
  • 学参で提示される例文は、閉じていて次に繋がったり広がったりしていかない。一文で完結せず、疑問文にするだけでも、その例文を自分で「生き直す」ことが可能。
  • 語彙・文法・内容の読み取りをきちんとやってから表現活動、という順番だと普通のレベルの生徒は内容の読み取りの段階が終わった頃に高校を卒業してしまう。まず、いつだって最初に新教材の導入はどーんとやって、悲しくなるくらいできなくても、そこからスタートして、語彙も文法も内容理解もやりながら表現活動をする。内容理解、という点に限っても、巷の読解教材では、語彙をあらかじめ与えてしまってそこは分かったことにして、大まかな内容理解を求めたりするものがあるけれど、それはまやかし。その都度、立ち止まって、きっちり扱うか、先送りするかを考えながらやるのが本筋でしょう。そういう意味では、新教材の導入がいつも自分の英語力の厳しいテストになっている。新出語句の導入を聞き取りや読み取りの前にやらない、小テストをやらない、というのはそういうことです。

などという後付の理屈を述べておきました。
音読に関連した国語教育の書籍をお貸しし、見学のお礼を言って解散。
昼食をとっていったん帰宅。
せっせと作問。
夜からは高校の同期のF君が出張で来山とのことで、割烹を予約し再会。妻に駅まで送ってもらう。
先にカウンターに座っていたF君が言うには、

  • 今度合宿所に入るから、ってその前に会ったきりだから、1983年くらい。

なんと27年ぶりでした。
美味しい料理に美味しいお酒。積もりに積もった話しで、あっという間の3時間半。
次の仕事で小倉へ移動ということで、駅へと見送り。
東京では東京在住者で同期会が行われている模様。
上京の折りにはまた連絡します。

妻に駅まで迎えに来てもらい帰宅。
割烹の「鯖松前鮨」をお土産。
気持ちよく就寝。

本日のBGM: 青空 (高橋幸宏)