「学習機会がない」「社内にノウハウがたまらない」──。あるIT職場で実施した社員の満足度調査に寄せられた、若手からの辛辣なコメントである。
企業が実施する従業員満足度調査で、この2つを会社に対する不満として挙げる人は少なくない。IT職場も例外ではなく、名だたる大企業でもこんなネガティブな意見を頻繁に見かけるという。
「誰もが知っている有名企業のIT職場には、先人の知恵や洗練された業務プロセスが確立されていて、しかも大きな仕事や新しいチャレンジができる」。そう意気込んで入社してきた若手が目の当たりにする現実の景色は、想像とは全く違うものだった。例えば、こんなふうに。
- 属人化したノウハウや勘で業務を回している
- 誰に何を聞いたらいいのか分からない
- 毎回、自分でゼロから考えて走るしかない
- 最後に求められるのは気合と根性
入社前に抱いていたIT職場のイメージとの大きなギャップに、新人や中途入社の社員が落胆するのは当然のことだ。
もちろん、自助努力や自発的な個人学習は必要不可欠である。しかし、会社が個人の学びに期待しているだけでは、組織のレベルは下がる一方だ。スピードが求められる今の時代、こんなIT職場は危機的状況にあるといえる。
組織の学びには「経験」と「学習機会」が必要
個人と組織の成長には、2つの条件が必要である。1つは「経験から学ぶ」こと。もう1つは「学習機会を設ける」ことだ。