一種のSF映画だけれど独特の味で楽しめたのがこの映画。
何でもワンテンポ早いハジメとワンテンポ遅いレイカのラブストーリー。
舞台が京都だというのもいいし、主人公をやる岡田将生が不器用な好青年という設定で好感度大だ。タイムラグがテーマなのだけれど、そのきっかけというのがユニークだ。元となる台湾映画があるそうだが、「繫体字」を使う台湾だからこその発想だ。漢字の名前の画数による不平等なんて、台湾と日本でくらいしか物語にならないだろう。でも、何となくなるほどと思ってしまう。台湾映画では男と女が逆なんだそうだ。ギターの弾き語りをする路上ミュージシャンの「京都大原三千院」の歌がなぜかしばらく耳を離れず、フランスに戻ってからもつい口ずさんでいた。
フランスでも、一卵性双生児なのにLucとAlexandreという名の兄弟がいて、呼ぶときはリュックとアレックスと呼ばれていたが、学校で名前を書く時は片方のハンディが大きいなあと思ったことがある。マリー=アントワネットという女の子も、普通はマリネットと呼ばれているが、署名する時は大変だ。そういうのを漢字の画数で置き換えた発想は楽しい。ちなみに一テンポ早い主人公の名は皇一(すめらぎ はじめ)。歴史を感じさせる長い名前を登場させるためにも京都という場所が選ばれたのかもしれない。
家族のキャラも経っていて、失われた一日の「謎解き」も楽しい映画だった。