ピレネーデスマンはぱっと見では他の哺乳類となんら変わらないようだが、ありふれた動物とはまったく違う特徴をもつ。
というのも、ピレネーデスマンは長い鼻をシュノーケルのように使って水に潜り、さらには昆虫をこの長い鼻で嗅ぎつけて捕食する変わった水生哺乳類だからだ。イベリア半島をはじめ西ヨーロッパの河川に生息している。
ピレネーデスマンは、絶滅から動物を守る撮影プロジェクト「PHOTO ARK(フォト・アーク)」の、8000番目の動物となった。(参考記事:「絶滅から動物を守る! 7000種目が「箱舟」に」)
写真家ジョエル・サートレイ氏は、このプロジェクトに2015年から取り組んでいる。世界で飼育されている1万2000種以上にのぼる種すべてを写真に収めることが目的だ。(参考記事:「写真は動物たちを絶滅から救えるか」)
このプロジェクトでは、サートレイ氏は飼育されている動物を撮影しているが、野生で生息数が安定した種だけではない。絶滅の危機に瀕する種もたくさんいる。(参考記事:「PHOTO ARK 絶滅から動物を守る 撮影プロジェクト」)
ピレネーデスマンの個体数は年々減少し、危険な状態へと進んでいる。絶滅の危機に瀕する種を追跡している国際自然保護連合(IUCN)の調べでは、水質汚染や生息地の破壊により、ピレネーデスマンの個体数はこの20年間で60パーセントも減少した。
「トラの存在価値はハンミョウと変わりありません。ネズミにしても、ホッキョクグマと同じくらい大切なんです」と、サートレイ氏は2016年に6000番目の動物テングザルを撮影した後のインタビューで語っている。
「種の絶滅という危機に人々が注意を向け、関心を持ってくれたらと思います。今ならまだ、危機に瀕する種を救えますから」とサートレイ氏は語った。
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