『コスパで考える学歴攻略法』(藤沢 数希 著)の読書感想文
気になっていた以下の本を買って読んでみました。
学歴厨の気がある僕なので、興味深い内容満載だったのですが、中でも中高一貫私立vs公立の損益計算が面白かったので、紹介したいと思います。
・中学受験をすると、塾の費用と私立中高一貫校の学費などで、公立中学→公立高校のコースよりも、合計で1,000万円ぐらい余分に費用がかかる
・英国数の3教科の偏差値を中高一貫私立vs公立で比較すると、2.6中高一貫私立が勝っている(駿台模試データより)
・受験勉強の適正には、明らかに遺伝的影響もあり、私立に通わせられる裕福な親のほうが遺伝的に優秀な傾向があり、上記2.6の差が私立中高一貫校の教育効果、環境効果に依るものかは分からない
・理系の場合、国語の対策にあまり時間をかけられないので、言語処理能力の遺伝的資質がよりダイレクトに出ている可能性が高く、高3理系の国語の偏差値を中高一貫私立vs公立で比較すると、1.1中高一貫私立が勝っており(駿台模試データより)、これを遺伝的影響の寄与だと考えてみる
・2.6のうち遺伝的影響を1.1とすると、後天的な教育環境によって生まれる偏差値格差は1.5程度と推定される
・以上より、1,000万円出して、親が多大な労力を負担して、その効果は偏差値1.5程度である
データを使い、1,000万円の教育投資効果が偏差値1.5としており、納得感があります。
では、この効果をどう解釈すればいいのでしょうか?
それについても、本で述べられています。
中学を経て私立中高一貫校に子供を通わせると、期待値としては大学がワンランク上がるかもしれない、あるいは浪人が現役になるかもしれない。
子供の将来の年収などを考えれば、1,000万円ぐらいの追加投資は確かに報われるとも言える。
おそらく世間の人が思っているほど教育効果は大きくないが、受験産業が詐欺的で効果がないものを高く売っているわけでもない。ちょうどいい具合に値付けがされている、というのが筆者の率直な感想である。
たかが偏差値1.5ですが、されど偏差値1.5。
それで行ける大学が変わり、ひいては就職先が変わってくる可能性があるとすれば、悪い投資ではないと言えると思いました。
地元にも通える範囲で中高一貫私立中学が数校あって、小学校から毎年2・3人が進学するイメージでした。
僕は中学受験とは無縁でしたが、今回この本を読んで中学受験の実態がよく分かり、1つ知見を得ました。
少し話が大きくなりますが、自分の知らない世界を教えてくれる読書はやはりエキサイティング。
今年もたくさん読んできます。
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