『生まれが9割の世界をどう生きるか』(安藤寿康 著)の読書感想文
ちょっと前から気になっていた以下の本を購入して読んでみました。
タイトルにもなっている生まれが9割について、こう書いてあります。
私たちの社会はとても不平等です。
その不平等をもたらす大きな原因の1つが、偶然親から配られた遺伝子の組み合わせが生む遺伝的な素質の格差だということが、行動遺伝学によって明らかになりました。
それからもう1つの原因は偶然の格差です。
遺伝も環境もガチャであり、それで9割が説明されてしまいます。
だいたいどんな形質でも30~70%の遺伝率があるとのこと。
遺伝率とは、ある形質のばらつき具合が、遺伝子の分散によってどの程度説明されるかを示したもの。
遺伝率が高い形質ほど、変化させるのが大変になります。
また、非共有環境という、本人や親の意思でもどうすることのできない偶然に出会う環境によっても、多く左右されることも、研究で分かっています。
遺伝率と非共有環境を合わせると、9割にもなってしまうと言うわけです。
じゃあ「ほぼほぼガチャなんだ」と諦めるのは得策じゃありません。
面倒くさい仕事はAIに全部任せて、人間はベーシックインカムで好きなことをして暮らしていける未来が来たとしても、私たちは今と同じように社会的な評価の格差などで悩み続けるでしょうし、その背後には必ず遺伝の関係があります。
私たちは能力の個人差の問題から絶対に逃げられません。
僕のブログにも、親ガチャがどうだとかしょーもないコメントが、ウジ虫のように湧いてきますが・・・
そんなことを言っていても始まらない。
自分の遺伝的素質を見つけていかなくてはいけません。
じゃあどうすればいいのか?
そのためのヒントも書かれていました。
能力が突出した山のようにはなっていない。
なだらかな起伏が続いている。
全然大したことない起伏であっても、とりあえず登ってみる。
世界を相手にした100万人に1人でなくてもいいのです。
いまいる学校のクラス、たまたま配属された会社の事業部の中で、自分なりの得意や好きがいくつか発揮できたら、それだけであなたは十分に「何者」かになったと言えるでしょう。
それがローカルトップです。
僕自身は、大したことはないですが節約やインデックス投資継続の遺伝的素養はありました。
それを発見できたので、仕事がダメでも何とか事なきを得た感じです。
最近だと、資格試験の勉強にも遺伝的素質があったみたい。
わりかし楽しく勉強できたし、結果もついてきました。
社会的な評価に繋がる点も良かったです。
能力の個人差の問題から逃げられない不平等な社会。
比較優位な自分の遺伝的素質を活かし、小さな世界の中でもいいのでローカルトップになることが生き抜く術だと思います。
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