フェミニスト 単語

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フェミニスト

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 フェミニスト(英:feminist)とは、女性の権利拡や、男女平等する人のことをす。かつては、女性を大切にする男性女性をちやほやする男性を意味する言葉として使われていた。

概要

 フェミニズムは伝統的な女性概念社会通念からの解放と権利の見直しをめる考え方であるが、現状に対する解釈の違い、方法論の違い、ゴールの違いなど多様であり一本の思想と考えることはできない。「性別に左右されない個人の尊重」をめざし女性の地位の向上や社会参加の推進をする考え(リベラル・フェミニズム)や「女性差別の撤」をめざし、女性にとって差別的と判断した文化や慣習を否定する考え(ラディカル・フェミニズム)などさまざまである。

 フェミニズムの基本的な考えに対する反論としては、男尊女卑思想とは別に「性差」に対する考え方の違いによるものがある。たとえば、「男性女性では異なるのが当たり前であり、差別ではなく区別されるのは当たり前だ」というである。しかしながら、何を以て差別、区別とするのかは個人の主観や地域ごとに最適化された慣習によって異なるため、単純な定義づけが困難であり問題は複雑である。

フェミニズムに対する批判

  様々な考え方が含まれるため、一般的な社会通念から批判の対となるもありフェミニスト同士でも論争の種となることがある。
  リベラル・フェミニストの系統では平等を重視するあまり男女間の生理的/医学的差異をも無視する同一化に至った」がしばしば批判される。
  ラディカル・フェミニズムの系統では、「一方的かつ独善的な差別認定をす張」「女性の利益を重視するあまり逆差別となってい張」が批判される。

現状での問題点(日本国内)

 日本国内においては「自由」や「等」の歴史が浅いことや一方的社会批判詞としてよく使用された経緯などから等の利益面(利益/権利のetc)にべて負債面(負担/義務のetc)に関する意識が薄く、「等」とは双方を含むものであるという社会的合意が普及しているとは言い難い。

 そのためフェミニズムに限ら平等を求する運が一方な利権獲得運の色彩を帯びていると批判されることが多い。一見、リベラル・フェミニストに近張でも負平等に言及することは少なく、ラディカル・フェミニズムに近張においては事実上の男性差別となっているものすら見かけられる(もちろん、正負とも平等張する人もいる。)

 近年の先鋭化するフェミニストに対して、元2ch管理人ひろゆき2020年2月に『BLOGOS』にて「他者に敬意を払わない集団とフェミニストの先鋭化」exitというタイトルで非難する記事を書いている。この記事の中ではひろゆきは先鋭化するフェミニストを「ネトウヨと言われるヘイトスピーチやら差別発言をする集団」にしている。

フェミニストの実際

 フェミニズムはリベラル・フェミニズム、マルクス義・フェミニズム、ラディカル・フェミニズムなど、多くのに分かれているが、前述したように、同じの中でも考え方に差がある場合が多い。女性性について考えることを通して、男性性や子ども障害者弱者の権利擁護につなげるという者もいれば、男性蔑視にしている者もいる。大学等で学ぶフェミニズムとネット上で話題になるようなフェミニズムには、解離が見られ、フェミニズムをよく学んでいないままフェミニストを自称している例がないとは言い切れない。

 実際、ツイフェミと呼ばれるようなツイッターでフェミニストを自称する者は、表現の自由を侵するような意見を発信することでたびたび話題になるが、フェミニストと自称することはにでもでき、彼らの発言がフェミニズムに基づいたものであるかは信憑性に乏しい。最近では、ネットだけでなく現実でも、表現規制めるフェミニストのが上がることがあるが、いずれも論文や文献に基づくはされていない。このような動きは、フェミニスト全体の信頼性を失うことにつながり(それを狙ってフェミニストを装ってそのような言動を繰り返している者もいるとの摘もある)、他のフェミニストから批判が上がることもしばしばである。

フェミニズムの潮流

 繰り返しになるがフェミニズムの思想は争鳴状態で定説が存在しない。「ラディカル・フェミニストなら必ずこう考える」という話もなく、以下の区分の自体も曖昧なものである。あくまで参考程度に。

男女平等を目指すリベラル・フェミニズムとラディカル・フェミニズム

 フェミニズムの流が生まれたのは18世紀のヨーロッパである。フランス大革命をはじめとする市民革命によって市民自由と権利と等を得た。しかしそれは男の自由と男の権利と男間での等にすぎなかった。女性達は社会から人間扱いされず、夫の所有物とされてしまった。そこで女性自由女性の権利と男女平等を獲得するために立ち上がったのがリベラル・フェミニズム(第一波フェミニズム)である。彼女達は近代社会の構造自体はそのままに、法律などにおける男女平等した[1]彼女たちの働きによって女性参政権財産権の獲得、女性の高等教育への参入と女性たちは大きな進歩を遂げた。

 しかし等を手に入れても女性達は男と同等の自由と権利を得ることはできなかった。彼女達の前にはまだまだに見えない数々の障が立ち塞がっていたのである。そこでリベラル・フェミニズムは微温いという批判から誕生したのがウーマン・リブ運動であり、それを芽としたラディカル・フェミニズム(第二波フェミニズム。ラディカルとは「根本的」の意)である。男女平等リベラル・フェミニズムに対し、ラディカル・フェミニズムは庭など私的間においても男女平等す、より女性中心的傾向が強い思想であった。

 「個人的なことは政治的なことである」というスローガンは第二波フェミニズムの思想を端的に表現している。それまで庭やセックスの場は私的間であり政治が口を出すことではないと考えられていた。しかしラディカル・フェミニスト達はむしろ庭や性の場にこそ構造的で政治的な男女格差が隠されていると考えた。人間の性に関わるものの総称をセクシュアリティと呼ぶが、フェミニストたちは女性男性に束縛されず自由にセクシュアリティを行使できる性的解放を模索した。例えばセクシャルハラスメントという語を造語し、それが許されないことだと社会に周知させたのはラディカル・フェミニストの功績の一つに挙げられる。

 またラディカル・フェミニズムは女性の抑圧の原因は長制にあるとし、第一波フェミニズムから一歩進んで近代社会そのものを批判した。フェミニズムにおける長制とは男性女性を支配するための社会経済システムを意味する。ラディカル・フェミニスト達は意識改革(コンシャスネスレイジング)を掲げ、これまで女性にとって「当然のこと」とされてきた性的役割(ジェンダロー)、家族観、恋愛観など(いわゆる女性らしさ)を問題化し、長制からの解放めた。

男女二元論を超える第三波フェミニズム

 女性の権利向上のために広がったフェミニズムであるが、やがて「女性中心義は男性中心義を単に転倒させたものではないか」という自己矛盾に行き着く。また一口に「女性」と言ってもその状況は一枚岩ではない白人女性黒人女性を抑圧しているし、先進国女性は途上女性を搾取している。それまで一つの「あるべき女性」の姿を描いていたフェミニスト達は、そこから外れた女性を疎外あるいは無視してしまうという本末転倒理論限界にぶち当たった。こうしたところから生まれてきたのが第三波フェミニズムである。

 第三波のフェミニスト達は、単に女性を抑圧から解放するだけでなく、社会に存在する権力-抑圧体制そのものを打倒する必要性を自覚し始める。こうして彼女/彼らは伝統的フェミニズムの考える「加害者の男vs被害者の女の対決」という男女二元論を乗り越え、以前は既得権益者とみなされてきた男性達もまた男性中心社会に苦しめられている犠牲者であると考えるようになった。フェミニズムは女性だけでなく男性をも解放しなければならないのである。

 このフェミニズムでは性別をえた個人の体性が強調され、それまでのフェミニズムが提示してきた「あるべき女性」からの解放が行われた。例えばミニスカート[2]は「男に媚びたファッション」として第二波フェミニスト達から忌避されてきたが「私が着たいからこれを着るの」という女性体性が尊重されるようになった。男性からの抑圧だけでなく女性からも解放された女性の自立した生き方のことをガールパワーと呼ぶ。

 また第三波フェミニズムではダイバーティ(多様性)インターセクショナリティという概念が注された。インターセクショナリティとは「差別や抑圧は人種経済格差、性的志向など様々な要素が交差している」という考えである。ダイバーティインターセクショナリティを組み入れたことによりフェミニズム運動はこれまでの男vs女という画一的な対立構造の地を広げ、人種差別問題やLGBT差別問題と合流していくこととなった。

 以上の説明からもわかるように第三波フェミニズムは既存のフェミニズムを批判するところから生まれたためポスト・フェミニズムとも呼称される。この背景には第二波ラディカル・フェミニズムの過化がある。左運動とも結びつきフェミニズムが先鋭化する中で「自分はフェミニストではないが男女同権義者で女性の性的搾取に反対する」というが強くなった[3]。このような潮流自体が新しいフェミニズムとして結実していったのが第三波フェミニズムとも言えよう。

 その反面、フェミニズムに批判的なフェミニズムが針小棒大に報道され「既に男女平等社会は成し遂げられている」としてフェミニズム終焉論が当時広く唱えられた。どの先進国でも経済力や社会進出で男女格差が残り、セクハラDV社会問題になっているにもかかわらず「フェミニズムは歴史的役割を終えた」と誤ったをする人々への批判もまた第三フェミニズムが担った仕事の一つである。

SNSを通じて全ての不平等の撲滅を目指す第四波フェミニズム

 2010年代以降、ダイバーティインターセクショナリティ思想を元に「女性」という組みをえたより広い分野でのマイノリティ/社会的弱者の連帯がSNSポピュラー文化を通じて広まった。「私たちは99%だ!」と叫びながらウォールを占領したオキパイ運動BLMブラック・ライブズ・マター運動LGBT解放運動など、一見すると女性解放とは関係そうな運動とのフェミニストの連帯を第四波フェミニズムと呼ぶ。

 これらの運動背景には、第一~二波期のフェミニスト達が女性の多様性を認めず、女性解放を叫ぶ同じ口で人種差別、障がい者差別、性的少数差別に加担してきた負の歴史への反省があった。エリート白人女性が感じる抑圧と貧困女性黒人女性、障がい者女性トランスジェンダー女性が感じる抑圧はそれぞれ異なるという当たり前の事実を認めることによって、フェミニズムは女性解放の殻を破った、より包括的な解放運動に至ったのである。

 TwitterFacebookなどのSNSの利用もこの潮流の特徴である。SNS拡散力はこれまでの書籍や講演、デモなどを通じた啓活動とは較にならないほど大きく、フェミニズム運動は大きな成果をおさめた。セクシャルハラスメントや性的搾取に関する被害SNS#Me too(私も被害者だ)とハッシュタグをつけて訴えるMe too運動記憶に新しいところだろう。日本でも、職場で女性にだけ強制されるハイヒールパンプスからの解放を訴えたKu too運動が広まった。

 一方でSNSの利用は同時に強い反発も生み出していく。衆を集めるためのフェミニストの過な発言と炎上はもはや世界的に日常茶飯事と言って良い。この掲示板にもよく見られるアンチフェミニズム的書き込みも、SNSを通じてフェミニズムに失望した人によるものが多いのではなかろうか。SNSを利用して第四波といいつつ、内容が第二波のラディカル・フェミニズムと変わっていない論者も多い。第三波で乗り越えたはずの画一的な男女対立、女性への「あるべき女性価値観の強制など、時代が逆行している論説が第四波フェミニズムの名を借りてSNSで横行しているのもまた否定できないところである。

異性愛絶対主義を批判するレズビアン・フェミニズム

 レズビアン・フェミニズムはラディカル・フェミニズムから生した、男性女性への性的快楽の搾取を分析する一である。フェミニストはレイプを男の性欲の突発的暴走ではなく、ミソジニー女性嫌悪)に基づく暴力的支配欲に基づくものと考えていた。「英雄色を好む」とにもあるが、既存の社会では認された性的強者であることが「男らしさ」であるとされてきた。この制度化された性的不等において女性男性と結ばれたいと思うとき、彼女はその男根義を甘受するしかない。

 従来の性パラダイムでは女性男性するのは自然なことであって、女性女性するのは異常なこととみなされてきた。しかし社会の性にある男根義が明らかになるにつれて、女性異性を選ぶのは自然的志向でなく、社会から強制されていることが原因であると判明する。レズビアン・フェミニストは「異性こそ権力的に捏造された人為的な制度である」とこれを弾劾する。

共産主義思想から生まれたソーシャル・フェミニズム

 ソーシャル・フェミニズムは19世紀の社会主義者サン=シモンマルクス、エンゲルスの思想を出発点にして始まった社会主義的女権運動である。他のフェミニズムが啓活動を通じて人々の意識を改革することで男女平等すのに対して、ソーシャル・フェミニズムは女性の抑圧の原因を資本主義長制に根差す経済的不等にあると考え、意識でなく資本主義社会経済構造の変革を見据えた。上述したラディカル・フェミニズムと思想的に重複する部分も多い。

 ソーシャル・フェミニストは共産革命による社会変動で男女平等は成し遂げられると考えていたが、その願いはくも裏切られた。革命によって自由を得たのは男達だけで、女性達は抑圧されたままであった。そこで男性中心的なマルクス義を批判する形で生したのがマルクス主義フェミニズムである。→(マルクス主義フェミニズム)。マルクス義が資本家ブルジョワ)と労働者プロレタリア)の階級闘争を分析したモデルを流用し、マルクス義フェミニストは男と女の対立を階級闘争と捉えた。

国家の解体を目指すアナキスト・フェミニズム

 アナキスト・フェミニズム(無政府主義フェミニズム)とは女性の抑圧を、国家による性および家族システムの支配と捉え、国家の解体こそが男の支配(長制)の解体に繋がると考える思想である。アナキズム無政府主義)は19世紀に体系化された、あらゆる形態の支配の絶と、個人と生活の一致をす思想であるが、アナキスト・フェミニズムはその実現はフェミニズムによって為されると見なした。

 アナキスト・フェミニズムは「リベラル・フェミニズムは女性解放を達成したがそれで救われたのはエリート女性のみである」と彼女/彼らの能力主義(メリトクラシー)を批判し、逆にラディカル・フェミニズムの反権威性、反階級性を評価した。彼女/彼らは近代社会における女性の管理システムを分析し、女性のみならずあらゆる社会的弱者が無能力的存在として「女性化」させられている現行社会官僚化支配への抵抗を図った。

自然と人類の調和を考えるエコロジカル・フェミニズム

 人間自然の相互関係から女性性を捉え直すのがエコロジカル・フェミニズムである。自然環境と人類という遠大なテーマのため、その思想の射程は非常に広い。例えばラディカル・フェミニストは長制支配は男性原理による自然支配と同じものであると考え、女性解放と、人と自然の調和の回復は同一の問題であると考えた。あるエコ・フェミニストは環境保護活動に関わったり環境学を学ぶことを通じて女達はこうした領域における女性の実践的役割に覚めていくとした。また別のエコ・フェミニストは、「」を崇拝するキリスト教が封殺した異教徒の女性の霊的運動に着した。

 カルチュラル・エコ・フェミニストは人類の自然搾取と男性女性搾取は同根のものであると考えた。彼女/彼らによれば16,17世紀の科学革命以来、人類は男性原理(理性的、動的、競争的)で自然を支配してきており、女性原理自然的、受動的、平和的)は現代に至るまでに次第に弱められてしまった。よって女性原理こそが自然破壊を防ぎ、人と自然との関係を修復できるとする。一方でソーシャルエコ・フェミニストはこのような「女性自然的」という性的役割や自然文化の二項対立を批判した。

科学技術が男女の性差を脱構築するサイボーグ・フェミニズム

 男/女、自然/文化動物/人間などの二元論などサイボーグの前では意味というフェミニズム。アメリカのフェミニストのダナハラウェイによって提唱された一で、ここでいうサイボーグとはターミネーターのようなロボット兵器とかでなく、近代社会において技術革新が進んだ結果、男性女性というカテゴリーが曖昧化された人類のことである。例えば、生来の男女には拭い難い腕力差があるが、フォークリフトを使えばその差は埋まる。私たちがサイボーグ化したポストジェンダ社会では、旧態依然の様々な男性義的な再生産構造(事労働、育児・出産労働など)の解体が迫られるようになったとハラウェイは考える。例としては、医学の進歩に伴う人口子宮や代理出産の普及は既存の出産システムを大きく変えることになった。

日本のフェミニズム

 ここでは明治以降のフェミニズム運動を概説する。

戦前

 明治日本が文明開を迎えた時、当時の日本人近代国家建設に益する婦人の再定義を行なった。すものは江戸時代の封建的男尊女卑体制の解体と近代天皇国家における婦人の確立。その結論が「よく庭を守り、健康な子を産み、夫をから支える良妻賢という模範な女性像であった。それは国家による新しい形の女性支配であり、近世には持っていた財産権や契約自由などを奪われた女性達は長制の下で男性支配に浴することとなった。ここでいう長制は現代フェミニズムでいう長制とは少し意味が異なり、イエを社会の一単位として、家長家族を支配する社会形態のことを言う。戸制度やイエ制度ともいい、現在では保守から「伝統的家族観」と呼ばれてニュースに取り上げられることもある。

 戦の社会にも自由民権運や大正デモクラシーなど市民の権利と自求める運動があったが、ヨーロッパと同じようにそ主役は男子であり、彼らの求していたのはあくまで男の権利と自由でしかなかった。戦の女は普通選挙法においても選挙権はなく、大きな法契約する際に父や夫の許可が必要とされた。姦通罪で女性のみが不倫を処罰される一方で著名な自由民権運家が多く妾を囲っていたという話は枚挙に遑がない。女性の貞操は夫の所有物とされ、夫婦間での強姦は成立しなかった。

 このような儒教男性優位社会に挑戦する形で明治後半から大正にかけてキリスト教婦人論や社会主義婦人論など日本のフェミニズムが生まれていく。1921年に最初の社会主義婦人団体「会」を結成した山川菊栄は、女性の労働権と生活権を剥奪する資本主義の階級的搾取体制を批判し、社会に対して次の8項を要した。当時の女性がどのように抑圧されていたかの一端が見てとれるだろう。

  1. 制度[=イエ制度]の撤
  2. 婚否を問わず女子無能力者とするいっさいの法律を撤すること、婚姻および離婚における男女の権利義務を同等ならしむること
  3. すべての教育機関および職業に対する女子らび植民地民族の権利を内地[=本日本人]男子と同等ならしむること
  4. 民族および性別を問わざる標準生活賃金の実施
  5. 業務を問わず、男女および植民地民族に共通の賃金および俸給の原則を確立すること
  6. 児を有する労働婦人(職業婦人をも含む)のためには休憩室提供し、三時間ごとに30分以上の授乳時間を与えること
  7. 結婚妊娠、分娩のために婦人を解雇することを禁ずること
  8. 制度の全 

 戦前日本のフェミニズムといえば平塚らいてうと与謝野晶子も有名である。

原始、女性太陽であった。正の人であった。今、女性である。(平塚らいてう、鞜発刊の辞)

 拠点となった雑誌の名から鞜フェミニズムと呼ばれた平塚らの活動は単に制度的な女性の権利拡を訴えるだけでなく、女性の内面的な意識を高めて新たな自己表現をしていった点(コンシャスネスライジング)で欧ラディカル・フェミニズムとの強い共通点が認められる。

 戦前長制社会では男は好き勝手に女遊びをする一方で女性は貞淑をめられ、堕胎の権利も離婚の権利も与えられていなかった。そのため平塚達の開放的な恋愛観、性観は既存社会に対する挑戦と受け止められしい反発を引き起こした。早稲田大学を創設した大隈重信は、当時は「新しい女」と呼ばれたフェミニスト達をこう評している。

新しい女は動物に近い。離婚を尊ぶようだ。婦人は結婚しなければ肩身が狭くなり自然に背いて死にする。新しい女はそれを尊んでいるから、そんな思想の女は死んだ方が良い。(『東京日日』大正二年四月二十八日)

 大正の話とはいえ酷い言種である。政府の高官がこの態度であるのでは世の中の「新しい女」への眼視は推して知るべしである。「婦徳に欠ける」「日本古来の倫理に反する」「国家道徳と相入れない」という名で、フェミニズム運動女性の性表現は厳しい弾圧と検閲を受けた。例えば女性キスをしているだけの広告が「風俗潰乱」だと当局から規制されたのは、現在のフェミニストのキャンセルカルチャーを思えば皮なものである。

 以上のような抑圧にも負けず平塚らいてうは政治団体「婦人参政権同盟」を結成し、女性の権利向上運動を続けていた。平塚奥村博とをして共同生活を営んでいたが、現行の結婚制度への反発のために籍はいれなかった。この時、平塚は「女が結婚すると今までの姓を捨て、男の姓を名乗らなければいけないことに大きな疑問と不満を持つ」と述べている。戦前から夫婦別姓推進思想があったことがうかがえる。

 大正では時代潮流に乗って鞜社や婦人論などのフェミニズム運動が躍動したが、昭和に入ると軍国主義の圧力に押し潰されていく。昭和7年には陸軍省の肝入りで「防婦人会」が結成。昭和17年には「大日本婦人会」が結成され、女性参政権獲得をす「婦選獲得同盟」は解散した。女性たちは「おのために産めや増やせ」と子を産み、育ったが子を戦地へ出征させていった。

戦後

 アジア・太平洋戦争の敗戦を機に日本GHQによる民主化が進み法的男女平等が実現する。この際、占領軍による強権的改革が行われたため、本アメリカよりも日本の方が法的男女平等が進むという逆転現象も起きている。結婚にも家長の同意は不要となり「お義父さんさんをにください」というお染みのやつも少なくとも法的には必須でなくなった。従来のイエ制度を保全したいと考える保守はこの改革に反発したが戦争に負けた日本人GHQにNOを突きつけるのは不可能であった。フェミニスト達は論これを喜んで受け入れたが、一方で婦人運動が戦中は軍事体制に積極的に協力していたことへの反省の機会は失われてしまう。

 から降ってくる形で権利が与えられた上に高度経済成長によって裕福になった女性達はしばしフェミニズム運動から関心をくした。女性達は進んで社会から外れ、専業主婦になることを人生の最終標とした。戦後日本戦前からの良妻賢像と男性中心社会は保全されてしまったが、専業主婦となった女性達はそのことに批判であった。しかし60年代末から欧ラディカル・フェミニズムと連動し日本でも反動化が始まる。それがウーマンリブ運動である。

 日本のウーマンリブ運動も欧と同じように私的領域での男女平等すものであるが、本邦のそれは新左翼運動を結びついたことに特徴があった。新左翼の「自己批判」「自己否定」のやり方を通じて日本のフェミニスト達は「女」を自己解剖し、内なる女意識を暴きだした。1970年田中は「便所からの解放」という刺的な題のパンレットを頒布し、女性自己批判を通じた体性獲得の可性を提示した。

男にとって女とは、性のやさしさ=か、性欲処理機械便所か、という二つのイメージに分かれる存在としてある。(田中便所からの解放

 90年代に入り、社会に存在する差別とは単に男と女だけのものでなく、人種差別、身分差別などが組み合わさった多重的なものであると気づいた日本のフェミニスト達は、欧白人フェミニストが黒人女性差別していたことを反省したように、過去日本人女性アジア女性部落出身女性差別していたことを顧みて幅広い人権問題に関心を向けていった。彼女/彼らは日本戦争責任追求および戦中の従軍慰安婦補償問題に取り組んだり、戦前長制の頂点に立っていた天皇部落差別民族差別の根と捉え天皇制廃止運動にも進んでいった。

 2022年現在日本ジェンダギャップ数で116位と先進国ではダントツのドベにランクインしている。このジェンダギャップ数は、女性に全く人権がない日本より上にきてしまうように色々問題が多いものであるが、それでも日本女性政治参加率の低さは顕著である。職場でのセクシャルハラスメント男女間の給料格差も根絶の兆しは見えない。庭の面でも、夫と妻が二人とも結婚後に自分の姓を用いられる選択制夫婦別姓保守から「伝統的家族観(≒長制)に反する」として導入を何十年も見送られている。現代日本でもフェミニズムの課題はまだまだ多いと言えよう。

インターネットフェミ論壇のキーワード

 フェミニズムの重要ワードには「長制」「セクシュアリティ」「リプロダクティブライツ」「再生産労働」「セックスワーク」「性」「ジェンダー」「エンパワメント」など色々あるが、ここではネットのフェミ論壇レスバトル頻出ワードスラング解説する。これを覚えて方も今日から一人前のインターネットフェミ論者だ。

意味
アンチナタリズム 反出生主義人間子供を産むべきではないとする考え。対義語はナタフェミ(ナタリズムフェミニズム)。
アンフェ アンチフェミニストの略。
インセル involuntarily celibate(非自発的な禁欲)。女性に縁がない非モテ男子のこと。
キャンセルカルチャ 差別的な表現、あるいは差別的な発言をした人を追放すること。
シーライオニング 一見礼儀正しく質問攻めにして相手に嫌がらせすること。元ネタ海外漫画アシカシーライオン)のキャラクターだったのでこう呼ばれる。
シールドバッシュ を使って攻撃すること。転じて「弱者であること」、「被害者であること」を武器にして相手を攻撃すること。
ストローマン論法 ストローマンとは案山子のこと。相手のめて引用し、それを論破してあたかも相手のが間違っているように見せかけること。
性的消費 相手を性的なでみること。
チン騎士 チンコ+騎士合成語。フェミニズムに賛同する男性への蔑称
トーンポリシング 直訳で「話し方警察」。「方のはもっともだが、そんな乱暴な言い方ではも聞くをもってくれないよ」と相手のの内容でなく話し方を非難すること。
バックラッシュ 元々は「反動」の意味。女性少数民族、性的少数など被差別者が権利を得ることに反発する動きのこと。
表現の自由戦士 キャンセルカルチャーに対抗して「表現の自由」掲げて対抗する人々への蔑称。縮めて表自戦士ともいう。
マンスプレイニング おっさん女性に対して「女はこんなことも知らないだろう」と上から目線で聞いてもいないのにベラベラと説明しだすこと。縮めてマンスプともいう。
ミグタウ "MGTOWMen Going Their Own Way)"、直訳で「をいく男」の意味で、女性と関わることを積極的に避ける男性のこと。日本語では草食系男子とも呼ばれる。
ミサンドリー 男性嫌悪。
ミソジニー 女性嫌悪。
ミラーリング 女性への抑圧や性被害の場面を「もし男女逆だったら」と仮定して提示すること。
名誉男性 男性支配社会を支持する女性への蔑称

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関連項目


参考文献

脚注

  1. *21世紀の日本ではかなりの程度法的男女平等が達成されているが、結婚年齢男女で一致されたのは令和四年とつい最近であるし、いまだ離婚後の再婚禁止期間でも男女間で差がある。変わったところでは皇室典範でも女性天皇に即位することはできない。日本でも法的男女平等はまだ全には達成できていないのである(論、全ての法規を男女平等にすべきかどうかは議論の余地があるが)。
  2. *他にも化粧ハイヒール料理などを好む女性が「男に媚びている」と第二波フェミニストから批判された。日本の有名なフェミニストの上野千鶴子は現在でも「結婚しているフェミニストは嫌いだ」としている。
  3. *ラディカル・フェミニズムは男性中心社会の転覆を図ったが、既存の社会男性中心である以上その活動・思想は必然的に反社会性を帯びていく。男性中心社会では女性は男に可がられていた方が「幸せ」になれ、女性の権利を高に叫ぶことは煙たがられ疎外される。男性中心社会でフェミニストを自称することは極めて勇気を要する行為である。
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