にちりん(列車)とは (ニチリンとは) [単語記事]

概要

小倉駅・大分駅から佐伯駅・宮崎駅・南宮崎駅・宮崎空港駅間で運行し、大分県と宮崎県の各都市を結ぶ特急列車である。このうち、博多駅まで乗り入れる列車は「にちりんシーガイア」として運行される（後述）。

ヨンサントオ改正で登場し、博多から日豊本線経由で西鹿児島（→鹿児島中央）を結んでいた。それまでは同じく日豊本線の急行列車として「にちりん」の名称は使われていた。1975年の山陽新幹線博多開業に伴いエル特急化し、1980年には485系を用いて全列車電車化された。

1990年には783系ハイパーサルーンが導入され、783系による「にちりん」は「ハイパーにちりん」に変更された。ちなみに列車名に「ハイパー ○○」と冠されていたのは「ハイパー有明」「ハイパーかもめ」を含む3例のみである。1995年に「ソニックにちりん」が設定された事に伴い「ハイパーにちりん」は「にちりん」に吸収され廃止される。

2011年 3月のダイヤ改正で同特急として使用されていた485系は廃止となり、九州新幹線（鹿児島ルート）開業で余剰となった787系に置き換えられた。また、2021年ダイヤ改正で783系による運行を廃止し、全列車が787系に統一された。

「にちりん」は、国鉄末期には最大で27.5往復に達するも、1995年の「きりしま」や2000年の「ひゅうが」への系統分離の他、博多～大分間の速達化に伴いソニックが大量増発された事で徐々に区間が短縮され、現在では大分県と宮崎県を結ぶ特急となっている。2000年には、大分駅～延岡駅間の利用低迷により「にちりんシーガイア」・「ドリームにちりん」を含めて8往復に減便されたものの、2005年には15往復まで回復し、さらに、別府駅・大分駅で「ソニック」に接続することで利便性を維持した。

2011年 3月のダイヤ改正では「ドリームにちりん」が廃止されたものの14往復を維持し、一時は車内販売も復活（2014年 9月末で廃止に。どうしてこうなった）。2017年 3月のダイヤ改正で一部列車をワンマン化し、2018年ダイヤ改正で中津駅発着の1往復が「ソニック」に編入され13往復となったが、上下毎時1本の運行を維持し続けていた。

しかし、2020年に発生した新型コロナウイルスの影響で「にちりん」の運行形態も見直された。2020年 3月から定期列車の運休や臨時列車の設定取消しが相次ぎ、2021年のダイヤ改正では2往復が廃止、2往復が臨時列車化(定期「ひゅうが」化)された。

現在は9往復となり、日中は2時間に1本の運行となっている。また、殆どの「にちりん」が大分駅で「ソニック」に接続していたが、コロナ禍時は「ソニック」の減便に伴って接続が打ち切られていた。（2023年以降は解消済み）

にちりんシーガイア

博多と宮崎空港を結ぶ特急で787系が使用されている。博多発の日豊本線特急は殆どがソニック化されている事もあって博多に乗り入れる「にちりん」の名を冠した数少ない列車である。1993年に運行を開始し、列車名の「シーガイア」は宮崎市にあるリゾート施設に由来する。

運行開始当初は787系を使用した列車として運行されていたが、現在では、"博多から宮崎まで運行するにちりん"として運行されている。とはいえ2021年 3月ダイヤ改正より再び787系での運転に回帰している。（にちりんも787系での運転なのでインパクトは薄いが）

2011年 3月12日のダイヤ改正で、上りが1本追加され、運行本数が1往復＋上り1本となった。2021年 3月13日のダイヤ改正で上り1本が削減され、現在は1往復のみ運行されている。

博多～宮崎間は九州新幹線+高速バスのB&Sみやざきの乗り継ぎが圧倒的に速く、九州新幹線で鹿児島中央駅まで行ききりしまに乗り継いでもにちりんシーガイアに先回り出来る為、博多方面からだと延岡駅辺りまでの需要が多い。

ちなみに、「にちりんシーガイア」は現在、在来線昼行特急の中で最も長い距離を走る列車となっている（博多駅～宮崎空港駅間、413.1km）。

ドリームにちりん

「にちりんシーガイア」と同時期に運行を開始した夜行特急列車である。夜行急行列車「日南」を格上げする形で登場し、博多駅～南宮崎駅・宮崎空港間を夜通しで運行していた。使用列車は1993年から2000年まで787系、2000年以降は783系であり、全国的にも珍しい全車座席車の夜行特急列車であった。

2011年 3月のダイヤ改正より「ドリームにちりん」は廃止となり、JR九州から定期夜行列車が消滅した。

ドリームにちりん廃止後の代替列車として、博多～大分間は「ソニック」（2018年ダイヤ改正で博多～中津に短縮）、延岡～宮崎空港間は「ひゅうが」が運行されている。

「にちりん」データ

会社：JR九州
運用線区：鹿児島本線・日豊本線・日南線（南宮崎～田吉）・宮崎空港線
使用車両：787系
運転本数：9往復（18本）
運行区間：
- 大分駅～宮崎駅・南宮崎駅・宮崎空港駅（下り7本、上り6本）
- 小倉駅～宮崎空港駅（1往復）
- 博多駅～宮崎空港駅（1往復・・・「にちりんシーガイア」として運行）
- 佐伯駅→大分駅（上り1本）
- 小倉駅～大分駅（繁忙期のみ運転）
編成図
- 787系4両編成（1－3・8－10・13・16・17・102号、全列車ワンマン運転。ただし小倉駅～大分駅は車掌乗務）
  
  1号車 2号車 3号車 4号車
  
  G│指自由席自由席自由席
- 787系6両編成（4・6・7・11・12・15号・シーガイア5・14号）
  
  1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車
  
  DX,G│個4 指定席指定席（B）自由席自由席自由席
  
  ※DXはDX グリーン席、Gはグリーン席、個4は4人用グリーン個室、Bはボックスシートあり。
  ※にちりん4・6号・にちりんシーガイア5・14号の3号車、にちりん 4号の2号車（平日のみ）、にちりん 102号の1号車(普通車部分)は自由席。

停車駅

●は全列車停車、▲は一部停車、－は通過。

博多駅～大分駅

駅名	博多駅	吉塚駅	香椎駅	赤間駅	折尾駅	黒崎駅	小倉駅	行橋駅	宇島駅	中津駅	柳ヶ浦駅	宇佐駅	杵築駅	亀川駅	別府駅	大分駅
にちりんシーガイア [博多～宮崎空港]	●	▲ ※1	●	●	●	●	●	●	－	●	－	－	▲ ※1	－	●	●
にちりん 3・16号 [小倉～宮崎空港]							●	●	●	●	●	●	●	▲ ※2	●	●
繁忙期増発 [小倉～大分]							●	●	▲	●	▲	▲	▲	▲	●	●

※1：5号のみ停車　※2：3号のみ停車

大分駅～宮崎空港駅

駅名	大分駅	鶴崎駅	大在駅	幸崎駅	臼杵駅	津久見駅	佐伯駅	延岡駅	南延岡駅	門川駅	日向市駅	都農駅	高鍋駅	佐土原駅	宮崎神宮駅	宮崎駅	南宮崎駅	宮崎空港駅
にちりんシーガイア [博多～宮崎空港]	●	●	－	－	●	●	●	●	●	－	●	－	●	●	－	●	●	●
にちりん 1－17号 [小倉・大分～宮崎・南宮崎・宮崎空港]	●	●	－	▲ ※3	●	●	●	●	●	▲ ※4	●	▲ ※5	●	●	▲ ※6	●	●	●
にちりん 102号 [佐伯→大分]	●	●	●	●	●	●	●

※3：1・3・15・17号のみ停車　※4：2・4・16号のみ停車　※5：16号のみ停車　※6：4・11号のみ停車

ゴールデンウィークやお盆、年末年始など繁忙期には、小倉駅～大分駅間で増発列車が運行される。増発列車が787系、783系で運行する場合は「にちりん」、883系、885系で運行する場合は「ソニック」として運行される。また、繁忙期以外にもイベント時に築城駅などに臨時停車することもある。

運賃計算の特例

大分駅で「にちりん」と「ソニック」を下車せずに乗り継ぐ場合、乗り継ぎ料金制度により特急券とグリーン券は通しの料金となる。「にちりん」と日豊本線以外の特急列車（「ゆふ」「九州横断特急」など）や36ぷらす3との乗り継ぎは別々の料金となる。
にちりんシーガイアは路線の都合上、西小倉駅を通過し、小倉駅で停車後、折り返して再び西小倉駅を通過するため、西小倉駅間～小倉駅間が重複区間となる。そのため、特例として小倉駅で下車せずに引き続き乗車する場合は、西小倉駅～小倉駅の往復（営業キロ1.6 km）を運賃・特急券に含めずに計算する。
宮崎駅～宮崎空港駅は乗車券のみで乗車することができる。宮崎以遠に乗車する際には宮崎駅からの特急券が必要となる。