日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

切り裂かれた「アンネの日記」

2014-02-28 09:00:00 | (相)のブログ
 既報のように、世界的ベストセラーの「アンネの日記」およびその関連図書のページが大量に破られるという被害が昨年から今年にかけて、東京都内の公立図書館で相次いだ。
 このショッキングな事件を初めて伝えたのはインターネットメディアのハフィントンポスト日本版の2月20日の報道。それによると、被害は少なくとも250冊以上で、範囲も新宿、杉並、豊島、中野、練馬など23区だけでなく東久留米、西東京など市部にも及んでいる。その後、都内の某大型書店や神奈川県でも被害が報告された。
 ご存知、「アンネの日記」は第2次世界大戦下のオランダでナチスのユダヤ人迫害から逃れるために屋根裏に住んだ少女、アンネ・フランクがつづった日記。たぶん、この作品を知らない人はいないだろう。絵本や児童書としても出版されているので、誰しも幼い頃に一度は手に取って読んだことのあるのではないだろうか。被害規模が広範囲にわたっていることもあって、ニュースに接した私も少なくない衝撃を受けた。
 事件を受けて、警視庁が捜査本部を設置するなど、警察は本格的な捜査に乗り出している。一刻も早い事件の解決を願わずにはいられない。

 事件発覚後の一連の動きの中で、私が恐ろしさを感じたのは、現在まで犯人が捕まっておらず、犯行の動機などについても不明であるにもかかわらず、インターネット上などで特定の民族や集団の犯行への関与を根拠なく仄めかす発言が少なくなかったことだ。たとえば、衆院議員・中山成彬氏(日本維新の会)の
https://twitter.com/nakayamanariaki/status/436983730209435650
など。
 犯人の素性やその動機に関心が集まるのは当然かもしれないが、まだ何も明らかになっていない状況で、権力の側にいる人間が自らの悪意に満ちた偏見をたやすく拡散させていいものなのだろうか。(相)

民族楽器の生演奏!

2014-02-27 09:00:00 | ï¼ˆç‘›ï¼‰ã®ãƒ–ログ
 地元ネタで恐縮ですが、3月25日18時半から、「オンマたちが贈るオリニのためのコンサート」(会場:きゅりあん)を企画しています。
https://www.facebook.com/ommaoriniconcert




 金剛山歌劇団の崔栄徳(チャンセナプ奏者)、李淑任(高音チョッテ)、ソヘグム奏者の河明樹、尹慧瓊、カヤグム奏者の金オルさんに出演いただくこのコンサートは、「親子で楽しむ民族楽器の音楽会」。「一流のアーティストが奏でる本物の『ウリ音楽』を味わってほしい」という東京朝鮮第6ハッキョのオモニたちの思いから立ち上がりました。

 コンサートの成功に向け、色んな方に助けていただいているのですが、ハッキョの音楽の先生とお話する過程で、第6の子どもたちが朝鮮の弦楽器を触ったことがない、という話を聞きました。教務主任でもあるS先生にコンサートの話をしたところ、「出演者の皆さんに授業に来ていただけないでしょうか?」とアイデアを出していただいたことがきっかけで、2月19日、ソヘグム奏者の河明樹さん、尹慧瓊さん、カヤグム奏者の金オルさんが東京朝鮮第6初級学校に来てくれました。



 参加者は初級部の児童全員。子どもたちはチャンゴやプク、チンなど打楽器を叩いたことはありますが、朝鮮の弦楽器を目にするのは初めての子がほとんどで、「とても綺麗な音色がした」「思ったより大きな音がした」と感想を語っていました。



 カヤグムの音色を聞いた初級部3年の男の子が、「人の声のような音がした」と伝えると、オルさんはビックリしながらも、とても嬉しそうに、「よく分かりましたね。カヤグムは、人の喜びや悲しみなど、感情を表せることができる楽器なんです」と、とても嬉しそうでした。

 今回、カヤグムの裏面に月と日の形がくり抜かれていることを初めて知りましたが、楽器を通じても、朝鮮に伝わる陰陽五行の考え方に触れられるんですね。




 当日はジャンケン勝者による体験コーナーもあり、ジャンケンに、演奏に盛り上がりました。

 カヤグム散調、情熱大陸、ワンホバクの演奏を楽しんでいると、予定していた1時間は、あっと言う間! 終わった後も子どもたちは、「サムルノリはいつから始まったんですか」などと演奏家を取り囲みながら、異空間を楽しんでいました。

 子どもたちの五感が研ぎ澄まされているこの時期に、できるかぎり、いいものを、綺麗なものを見せてあげたい、と改めて思いました。出演者の皆さん、コマスミダ。

 3月1日には、金剛山歌劇団・チョッテ奏者の李淑任さんが、ハッキョに来て、オンマたちに朝鮮の子守唄を教えてくれます。



 さて、オリニコンサートは東京西南地域の同胞ファミリー限定の企画ですが、前述の5人のアーティストたちによる「春コンサート」は、どなたでもご覧になれます。
 https://www.facebook.com/events/456912564435840/

3月25日・15時からきゅりあん(JR大井町徒歩1分)で行われる春コンサート。30代の実力派アーティスト5人がそろう機会もなかなかありません。

 チケットご希望の方は、[email protected]までご連絡ください!(ç‘›)


「60万回のトライ」ついに観ました

2014-02-26 09:00:00 | ï¼ˆK)のブログ
 先週の土曜日(22日)、映画「60万回のトライ」の東京での特別試写会に行ってきました。
 「60万回のトライ」は、大阪朝鮮高級学校ラグビー部のドキュメンタリー映画で、監督はソウル出身の朴思柔さんと在日3世の朴敦史さんのコマプレスの二人。3年前、全国大会でベスト4になったチーム(主に3年生)の1年間を追っています。
 映画が作られると聞いてから、実際に観る日を本当に楽しみにしていた作品でした。1日でも早く観たかった。以下、観た感想を整理せずに書きたいと思います。

 期待にたがわず素晴らしい作品でした。その素晴らしさを一言で表現するなら、監督のラグビー部や朝鮮学校、在日同胞に対する溢れ出る愛情だと言えるのではないでしょうか。朴思柔監督は、日本に来るまで在日同胞や朝鮮学校についてほとんど知らなかったと言います。取材活動の中で、在日同胞たちと出会う中で得た、感動や喜び、驚き、使命感など、いろいろな思いが作品に凝縮されていました。
 世界の中で在日朝鮮人は非常に特異な存在であり、特異な精神世界をもっており、民族教育をはじめ在日朝鮮人が行っていることもものすごく特異なことなのでしょう。映画はその「特異さ」をうまく説明してくれている、朝鮮学校とはどのような学校であり、なぜ同胞たちは朝鮮学校を守るのかが語られている、それが作品の最も重要なところなのだと思います。

 金明俊監督の「ウリハッキョ」もそうですが、中にいるわれわれが、なぜこのような作品を作れないのか。嫉妬のような感情をもつし課題を突きつけられているようでもあります。「中にいるわれわれ」と書いたけれど、監督の二人が、では「外にいる」のかというと、まったくそうではなく、同胞たちが背負っているものを、今では監督たちもまったく同じように背負っていこうという覚悟が、作品を通してだけでも伝わってきます。その点でまず私は心を揺さぶられました。

 なぜ作れないのかの答えのひとつでもあるのですが、作品の質を支えているのは、膨大な取材、テープの量です。撮影したテープは500本以上になったといいます。私も大阪朝高ラグビー部に関しては、全国大会などの取材を8年ほどやってきましたが、試合の当日に取材するのがせいぜい。しかし、コマプレスの二人はありとあらゆる場所に出没しカメラを回していることがわかります。朴思柔監督の健康状態を考えると、その執念、情熱に本当に頭がさがります。そして、監督二人の信頼関係が素晴らしい作品を生んだのだと思いました。

 上映終了後、舞台に上がった関係者のひとりが、「素晴らしい青春映画」だと評していました。ラグビー部員たちをはじめとする朝高生たちの笑いあり、涙ありの高校生活が描かれていて、本当に素晴らしい青春映画となっています。試合の場面をもうちょっと少なくしてでも生徒たちの日常にもっと多くの時間をさけばよかったという印象も持ちました。
 映画の中では、「高校無償化」問題、補助金問題で署名活動などをする生徒や先生の姿なども出てきます。いま現在、生徒たちがおかれている状況も含めて、彼ら彼女らの青春であり、それは避けて通れないものです。そのような「政治的」な内容をどのように、どの程度出すのかは、いろいろと意見があるでしょうが、私は作品の描き方は良かったと思いました。
 「高校無償化」・補助金問題は、この3年間の焦眉の話題なので当然出てくるわけですが、映画の中には夏休みに生徒たちがサマースクールの動員で日本高校に通う同胞生徒の家を回る場面も出てきます。私は、監督がこの場面を撮影したこと、この場面をそれなりの分量で作品の中に入れたことに、大きな感銘を覚えました。動員に回る生徒、こういう生徒を育てた親と民族教育、動員に回らせた地域の同胞コミュニティ――地味な場面ながらも、同胞社会がこれまでどのように守られ維持され、困難な状況の中でいま何をやらなければならないのかを教えてくれるものでした。

 逆に、朝鮮学校の現在の日本社会の中での「政治的な立場」から、ボツにしなければならなかった多くの場面があったことでしょう。本当は作品の中に入れたかった監督の思いが詰まった場面たちが、現在裁判を闘っている状況の中で、どうしても入れられなかったのではないか。生徒たちの日常生活をもっと多く、という私の印象も、ここから来るのかもしれません。情勢が変わる中でいろんな場面が加えられていき、これからも「60万回のトライ」は進化していくのだと思いました。
 全国大会の初戦で脳震とうとなりその後の試合に出場できなかった選手のために、強豪校の日本の高校生が結集して試合する場面があります。あの場を含めて、日本高校の選手や監督が朝高生や朝高に対して(無償化問題も含めて)どのような思いをもっているのかが取り上げられていればと、その部分でちょっと不満が残りました。

 私はそれでもラグビー部を取材し映画に出てくる試合の多くは現場にいたので、作品に対する思い入れがそれなりにあったのですが、まったく真っ白な状態で観る人たちはどのような感想を抱くのでしょうか? それが気になります。

 最後に、私が一番驚いたのは、映画の最初のところで朴思柔監督の、たぶん日本に来て間もない頃の映像が登場したところでした。今の姿との違いに驚いたというか、笑ってしまいました。
 朝鮮新報のネット版にアップされた鵜飼哲さんの感想もぜひお読みください。「〈60万回のトライ〉我々はこの映画から何を学ぶべきか」http://chosonsinbo.com/jp/2014/02/0224ib-2/

 一番最初の写真は試写会の開始前のもので、空席が写っていますが、上映時には立ち見も出る大盛況でした。
 本当に素晴らしい映画です。ぜひ、劇場に足を運んで観てもらいたいと思います。ひとりでも多くの人(日本人)が観ることによって、朝鮮学校を取り巻く今の状況が変わるかもしれません。そんな力をもった映画だと思います。(k)

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 以下、(淑)さんが以前のブログで紹介してくれた上映情報をそのまま活用させてもらいます。

3/15(土)より オーディトリウム渋谷でキックオフ!http://a-shibuya.jp/archives/9164
【特別鑑賞券1,000円(税込み)】絶賛発売中
問い合わせは浦安ドキュメンタリーオフィス TEL:070-5454-1980 FAX:047-355-8455
[email protected]
連日10:30~(本編106分)
当日一般1,500円 学生・専門1,300円 シニア・会員1,200円
映画公式サイトhttp://www.komapress.net/

◆映画を語ろう~トークイベント情報
3/15(土)初日舞台挨拶・朴思柔監督ほか
3/16(日)朴思柔監督
3/17(月)鵜飼哲(フランス文学・思想/一橋大学)
3/18(火)鄭栄桓(在日朝鮮人史・朝鮮近現代史/明治学院大学)
3/21(金・祝)田中優子(日本近代文化・アジア比較文化/法政大学)
3/22(土)中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター)
3/24(月)村上晃一(ラグビージャーナリスト)

※3/29より第七藝術劇場(大阪・十三)にてロードショー。以降、名古屋、神戸、札幌など全国順次ロードショー(韓国で夏以降、劇場公開予定)

「コッソンイ」参加賞のクリアファイル完成!

2014-02-25 09:00:00 | ï¼ˆéº—)のブログ
今年も、作文コンクール「コッソンイ」の参加賞であるクリアファイルが完成しました!

朝鮮新報が主催する作文コンクール「コッソンイ」は、毎年、全国の朝鮮学校の生徒たちからたくさんの作文が送られてきます。
作品を募集した全ての朝鮮学校の子どもたちには「参加賞」を配っています。

コッソンイのポスターのイラストを担当してはや5年目になりますが、やはりこうして自分が携わったものが形になるのはとても嬉しいことです。

今年もとても可愛い仕上がりになっています!> <

コッソンイに応募された生徒たちがこのクリアファイルを愛用してもらえることを製作者共々願っております…!(麗)

お家でベーグル

2014-02-24 09:00:00 | ï¼ˆç†ï¼‰ã®ãƒ–ログ
 以前注文したベーグルが届きました!

 16個入りのものだったので、届いた日に一度全部冷凍保存をしました。食べ方は、まずカチカチに凍ったベーグルを霧吹きで湿らせ、電子レンジで1分、トースターで約3分焼きます。するとあっという間にモチモチ、ふんわりのベーグルに!

 クリームチーズを買ってきて、コーヒーも淹れて、自宅でカフェ気分を満喫できました。種類もベリー、シナモンレーズン、けしの実、チョコレートなど色々なものがあり、毎朝ちょっとした幸せに浸っています。

 また、一つ朗報が! 先週(麗)さんが教えてくれたのですが、閉店してしまったベーグルカフェのあとに、新しいカフェが入るとのことです。私も調べてみると、なんと今週からとのこと。会社の近くにふらっと寄れるカフェがなくなって残念に思っていたので、とてもありがたいです。また楽しみが増えました。近いうちに行ってみたいと思います。(理)

ロバート・サブダの仕掛け絵本

2014-02-23 09:00:00 | ï¼ˆæ„›ï¼‰ã®ãƒ–ログ
イオ3月号は無事お手元に届きましたでしょうか?
大雪の影響で配送が遅れているところがあると思いますが、ご了承ください。
実家でも100年来の大雪が降ったということで、大変だったようです。
なんでも、家から隣家に行くのも大変で、雪がうずたかく積もり、雪かきをしないと到底たどり着けず、運転禁止令まででたそうです。
大雪の翌々日は両親を呼んであるお祝いの場を予定していたのですが、新幹線がとまってしまい両親欠席のまま決行されるハプニングがありました。
自然のちからには人間は抗えませんね。

さて、イオ3月号では特別企画として「絵本で世界旅行!」と題して様々な国の絵本を紹介しております。
今回絵本の企画をデザインするなかで、素敵な仕掛け絵本作家に出会いました。
ロバート・サブダというアメリカのポップアップアーティストです。
今回の企画のなかでも彼の絵本を一冊紹介しています。
板橋ボローニャ子ども絵本館に訪れた際、そこの司書さんに教えてもらったのですが、ロバート・サブダの仕掛け絵本は子どもが乱暴に扱ってもなかなか壊れにくいそうです。
彼のたくさんの絵本がそこには置かれていたのですが、とてもおもしろかったです。
そのなかで大人でも「オッ!?」と興味がひかれたのがありました。
特別企画で紹介したのとは違う本ですが、
世界中に伝わる神話・伝承がテーマした「妖精と魔法の生き物 エンサイクロペディア 神秘の世界」という絵本です。
妖精やユニコーン、人魚など、現実には見れないものたちが立体的に表れて、各々説明までついている、妖精や神秘的なものが好きなひとにはたまらないマニアックながらも楽しい絵本です。

幼いころ、神秘的なものが好きで妖精にももちろんはまっていた私はその本をニヤニヤ笑いながら見てしまいました。
そして、やはり神秘的な妖精などが好きな姪っ子にプレゼントしようと私も買ってしまいました。
(渡したときに姪っ子がどんな反応をするか、いまから楽しみです)
絵本を手にとって驚く、ワクワクする感覚を久々に味わわせてくれたロバート・サブダの絵本。
知らなかった方はぜひお手にとってみてください。
子どもへのプレゼントにも最適な品だと思います。^^(愛)

「無償化」裁判、勝訴の日まで

2014-02-22 08:21:36 | (淑)のブログ
 高校無償化制度からの朝鮮学校排除の問題と裁判闘争について、当ブログで今週水曜から連日取り上げているが、私も17日の提訴及び記者会見、翌18日の集会を通してこの問題について改めて思うこと、また昨年1月の大阪を皮切りにいくつかの裁判闘争の現場を見ながら感じることを書きたいと思う。

 各地で係争中の訴訟形態についておさらいすると、東京と福岡が制度除外によって被った被害に対して慰謝料を求める国家賠償請求訴訟で、大阪は朝鮮高校を無償化の対象に指定することを求める「義務付け訴訟」、愛知、広島はその両方の2種類の裁判が争われている。

 大きく見ると上記の二つに分けられるが、裁判の焦点はそれぞれ異なり、各地では知恵を絞って工夫を凝らしながら裁判闘争が進められている。
 今回満を持して提訴に至った東京では、集会で李春熙弁護士が「訴状は、生徒たちと意見交換し弁護団で議論を重ねながら、事実と経過を一つひとつ積み上げて、法律家として最低限の良心と法解釈能力があれば、違法だと言えるものを作った」と話していたように、「高校無償化法に則り、朝鮮高校生徒への就学支援金不支給は違反である」という、極めて論点を焦点化した訴状となっている。李弁護士は、「訴状を見るたびに身の引き締まる思いだ」とも話しており、訴状に込めた「勝訴」への強い意志が感じられた。
 一方昨年12月に広島地裁で開かれた第1回口頭弁論での広島朝鮮学園の韓政美理事長、生徒代表による意見陳述では、朝鮮学校と民族教育への思いが切々と語られた。このように各地では手続き論、実体論、民族教育の歴史的正当性…、多方面からのアプローチで試行錯誤が続いている。

 「高校無償化」からの朝鮮学校排除という国家権力による暴力は、継続する日本の植民地主義の最たる現れといえるだろう。「無償化」裁判は、戦前戦後と一貫して続いてきた日本による在日朝鮮人に対する抑圧への抵抗、尊厳回復の意味を持つ。ある同胞弁護士は「『無償化』裁判なしに在日朝鮮人運動の未来はない」と断じ、また、他の同胞弁護士は「裁判を契機に、もう一度同胞自身が立ち上がり、朝鮮学校と同胞社会を守り抜くという思いを一つにしなければいけない」と話していた。同胞弁護士らの言葉は、日本社会に蔓延する差別と排除の風潮の中でともすれば無力化されそうな当事者――私たちへの、「やられっぱなしでいいのか」という叱咤激励に思えた。

 そして、各朝高で原告となった朝鮮学校の生徒たち。取材を通して最も多く聞いた言葉は「後輩たちのために」だった。このシンプルな言葉には、1世から2世、3世と、同胞たちが愛情を注いで守ってきた民族教育を自分たち自身の手で守り受け継ぐという精神が集約されていると思う。
 誇らしいウリハッキョの生徒たちに大きく背中を押されながら、勝訴まで一時も裁判に目を離さず継続して伝えることで、裁判運動を支えていきたい。(淑)

なぜ私は「高校無償化・就学支援金制度」からの朝鮮学校排除に怒るのか

2014-02-21 09:21:43 | (相)のブログ
 既報のように、「高校無償化・就学支援金制度」から朝鮮学校が排除された問題で、東京朝鮮中高級学校高級部の生徒62人が国を相手に計620万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。「高校無償化」問題に関連する裁判は大阪、愛知、広島、九州に続いて5件目。日本全国に10ある朝鮮高級学校の中で最も大きい学校であり、私の母校でもある東京朝高の生徒たちが起こしたとあって、思いはひとしおだ。
 提訴当日のようすや訴訟のポイント、「裁判を支援する会」の結成集会の内容についてはすでに前々日、前日のブログで書かれているので、ここでは自分自身が思うところをいくつか書きたい。
 

 これまで私が「高校無償化・就学支援金制度」からの朝鮮学校除外に怒りを表明し続けてきたのは(学校に通う子どもたちのためというのもあるが)、なにより16年間にわたって朝鮮学校で学び、そこでアイデンティティの大きな部分を形成してきた私自身の尊厳が傷つけられ、存在を否定されたと感じたからかもしれない。果たして、こんな筋の通らないむちゃくちゃなことがまかり通っていいのだろうか。
 今はなき京都朝鮮第1初級学校の校門前で「朝鮮学校、こんなものは学校ではない」「朝鮮学校を日本から叩き出せ」と叫んだ差別・排外主義者たちと、「高校無償化・就学支援金制度」から朝鮮学校を排除した日本政府は私の中でつながっている。制度から排除された経緯や、それを正当化する「国民の理解」といったロジックが受け入れられる現在の社会的風潮には相当な危機感を持たざるをえない。問題は就学支援金の支給それだけにとどまるものではないのだ。
 裁判は長く厳しい道のりになるだろう。それは単に国を訴えるという困難に起因するだけではなく、この社会を覆う差別と排除の空気とたたかうことでもあるからだ。

 今年からイオでは各地の訴訟のニュースを伝えるページを新たに作った。裁判の経過を記録するのみならず、運動に携わるさまざまな人々の声を丹念に拾い、伝えることで世論を喚起し、問題を風化させないこと。これこそが私たちにできる最も効果的な裁判支援なのではないかと思っている。(相)

無償化裁判と私たち

2014-02-20 09:00:00 | ï¼ˆç‘›ï¼‰ã®ãƒ–ログ


 17日に東京で始まった無償化裁判。裁判には、東京朝鮮高級学校に通う高2、高3の62人の生徒たちが原告に立ちましたが、すでに始まった愛知の裁判では10人、広島では110人、九州では67人の朝高生・卒業生たちが法廷で闘っています。

 今、この日本で、これほど多くの生徒が裁判の原告に立っているのは朝鮮高校をおいて他にない。本来なら、青春時代をただ楽しんでいればいい朝高生たちが、将来の進学や就職に悩みながら、裁判に挑む決心を固めた現実が、東京の提訴を通じても、重くのしかかってきました。



 翌18日に文京区内では、東京朝鮮高校生の裁判を支援する会が開かれました。主催者たちの心配をよそに、現役の朝高生を取り囲むように、オモニやアボジ、先生や日本の支援者たちが席を埋めていました。用意した600の資料はなくなり、会場には立ち見の参加者が三重四重にも折り重なっています。生徒たちが矢面に立たないよう、生徒たちを絶対に守ろう、と大人たちは口々に決意を語っていました。いつも無償化の集会やデモで見る長谷川和男さんの日本社会への怒りの言葉も、いつになく熱がこもっていました。

 東京朝高合唱部のみんなが歌ってくれた「ウリハッキョは私たちの故郷」。何度となく聴いてきたこの歌ですが、日本という国家が、10代の高校生たちに差別の刃を向けている張りつめた空気の中でも、この歌声を聴くと穏やかな気持ちになります。時代がどんなに厳しくとも上を向くことを教えてくれる、清々しい歌声です。

 「時代は君たちを記憶するだろう」「後輩たちが君たちを見ている」―。東京朝高の慎吉雄校長が、生徒たちに託していた言葉が忘れられません。高校の頃に十指に指紋を押した屈辱、指紋押捺はおかしいと裁判に立ち上がったハン・ジョンソクさんの勇気、差別と闘わなかった自身を問い返す校長先生の言葉は、一人ひとりの気持ちを鋭く問うものでした。

 裁判に立ち上がった生徒や保護者たちは、それでも不安でいっぱいです。この不安は、裁判を経験したことがない、ということだけではなく、無償化から朝鮮高校を徹底的にはずす日本政府、それを黙認する日本社会が変わらないことへの不安です。その不安をなくすためには、「無償化問題が人権の根幹にかかわる問題」(田中宏・一橋大学名誉教授)ということを、日本社会に伝えていかなくてはならない。「学ぶ権利は誰にでもある」ということを、あふれ返る朝鮮学校への偏見の中で、どう伝えていくかという厳しい課題に向き合っていかねばなりません。

 今回の訴訟を支える弁護団は11人。行政訴訟に長けたエキスパートや枝川裁判を闘った弁護士ら、心強いメンバーの存在に私自身も力を得ました。弁護団の一人である李春熙弁護士は、「裁判に対する不安があれば、いつでも勉強会や懇談会を開きます。どんどんリクエストしてください」と話してくれました。

 「裁判は、弁護団の先生方や原告だけの問題ではありません。それを取り巻く『私たち』の存在が、裁判の行方を左右すると言っても過言ではありません…命を生み育むものとして、この地から子どもたちを苦しめるすべての差別が根絶されるまで、日本中が子どもたちの笑顔と明るい未来でいっぱいになる日まで、心を合わせともに力強く歩んでいきましょう」(東京朝高オモニ会・朴洙元会長)

 首都東京で裁判が始まったことで、無償化闘争の新たな章が幕を開けました。東京での裁判は、4月以降に本格的に始まります。

 日刊イオをご覧の皆様。18日に結成された「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」にご加入いただき、法廷闘争をたたかう生徒たちを支えてください。4月から始まる裁判に参加し、無償化問題がこの社会で風化しないよう、社会に発信してください。(瑛)


「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」
HP:http://mushokashien.blog.fc2.com
Email:[email protected]
住所:〒181-0003 東京都三鷹市北野3-9-34
口座:ゆうちょ銀行振替口座 00130-7-708271(口座名:朝高生裁判を支援する会、他行からの振込は、〇一九店 当座 0708271)

東京でも「高校無償化」裁判始まる

2014-02-19 09:00:05 | ï¼ˆK)のブログ


 一昨日の17日、「高校無償化」からの朝鮮学校排除の問題で、東京朝鮮中高級学校高級部の生徒62人が国を相手に計620万円(ひとり当たり10万円)の損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。「高校無償化」に関連する裁判は、大阪、愛知、広島、九州に続くものです。
 ついに、とうとう、やっと、という思いが強い、東京での提訴です。

 ご存知の通り、2012年末に安倍政権が発足すると、昨年2月に「高校無償化」の施行規則自体を改悪、後でのべる(ハ)を削除することで、完全に朝鮮学校を「高校無償化」制度から排除してしまいました。
 おさらいとして少し書くと、「高校無償化法」の施行規定では、各種学校である外国人学校を(イ)民族系外国人学校、(ロ)インターナショナルスクール、(ハ)その他―の3つに分類していました。朝鮮学校が「高校無償化」制度を受けるためには(ハ)の指定を受ける必要があったわですが、延坪島での砲撃事件などを理由に、指定の手続きが停止されたり遅々として進まなかったり、朝鮮学校だけが指定を受けられずにきました。そして、安倍政権が誕生し、(ハ)そのものを削除して制度からの排除にいたるわけです。



 17日の提訴の後、東京地裁で弁護団による記者会見がもたれました。そこで、今回の訴訟について、4つのポイントがあると説明がありました。かいつまんで書くと次のようになります。
 1.就学支援金の受給資格、受給権は、学校ではなく生徒にあるということ。学校は生徒の代理として受け取って授業料に当てるだけ。だから、今回原告となったのは生徒個人個人で、生徒一人ひとりの学ぶ権利を争う裁判であるということ。
 2.(ハ)を削除は、外国人学校に学ぶ生徒の就学支援金の受給の可能性を閉ざすものであり、教育の機会均等という法の目的に反し、「高校無償化法」の委任の範囲を逸脱した違法なもので無効であるということ。
 3.(ハ)の削除は政治的理由によるもので、すべての生徒の学びを保障するという「高校無償化」の趣旨を根底から覆すものとして違法であり、無効であるということ。
 4.東京朝高は指定の基準をすべて満たしており、制度の対象として指定されなければならないから不支給は違法であるということ。

 不支給決定から1年、担当する弁護士たちは綿密に準備を進めてきたといいます。今回の裁判の特徴を、弁護団の同胞弁護士は「論点を絞ったシンプルな裁判」と表現しました。「朝鮮高校生徒に就学支援金を支給しないのは高校無償化法に違反している」という単純明快な論理を展開しています。違反の根拠が上に挙げた4つのポイントということです。
 記者会見で弁護団の喜田村洋一団長は、「国籍を問わず、後期中等教育段階の学びに励んでいる生徒を等しく支援するということで法律を作ったのに、差別的な運用をすることはおかしい」と明快に語っていました。

 原告となった生徒たちは、施行規則改悪の時点から今までの間に在校している2~3年生たちです。生徒たちは、「受給権利者、当事者である自分たちが立ち上がらなければならない」という思いで名乗りを挙げたといいます。そして、「経済的に苦労している親を少しでも助けたい」「後輩たちのために権利を勝ち取りたい」と、様々な思いがそれぞれにあるといいます。



 そして、昨日18日には文京区民センターで「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会 結成集会」が行われました。会場には本当に多くの人がつめかけ超満員で、参加者の日本政府に対する憤り、絶対に裁判に勝つのだという熱い思いで溢れていました。
 結成集会については、ブログの木金土を担当するイオ編集部の精鋭3人の誰かが報告してくれると思います。
 月刊イオでは今年から電子ブックレットをネット上に公開しています。その中の一つに「「高校無償化」―問題の始まりと闘い」と題して、これまで月刊イオに掲載した「高校無償化」問題の記事を集めて編集したブックレットがあります。「高校無償化」問題の基本がわかる内容となっています。無料なので、ぜひダウンロードしてご利用ください。Http://www.io-web.net/store/




 話は変わりますが、月刊イオ3月号が完成しました。特集は「3.11から3年 震災と同胞社会」。東日本大震災から3年が経った福島、宮城、岩手の被災地の様子を、同胞たちの生活を伝えるルポや、朝鮮学校児童・生徒の作文、放射能に苦しむ福島の家族の姿、宮城と兵庫に暮らす若い同胞の往復書簡など、様々な形で伝えています。また、現在も続けられている支援活動も紹介しました。

 特別企画は「絵本で世界旅行!」。世界の民話の絵本、各国のお国柄が楽しめる絵本、五感で楽しめる絵本、ロングセラーの絵本、平和を訴える絵本と、世界のいろんなお話が楽しめる絵本を一挙に紹介しました。

 特集、特別企画以外にも、東京朝鮮中高級学校で行われた特別支援クラス合同授業と講習会の模様や、「国連・人権勧告の実現を!」というタイトルで行われた集会とデモの様子、朝鮮籍同胞の旅券発給拒否処分取消訴訟問題、神奈川での朝鮮学校に対する補助金カットのことなど、3月号も盛りだくさんな内容でお届けしています。ご愛読ください。(k)

雪の日の思い出

2014-02-18 09:00:28 | ï¼ˆéº—)のブログ
先週の大雪はすごかったですね。
場所によっては、今もまだ道路などに雪が大量に残っています。
私が今回の大雪で一番困ったのは、靴でした。一応、レインシューズは持っていますがショートブーツタイプなので、雪が中に入り込んであまりレインシューズの意味を成していませんでした。笑

地元の大阪も、あまり雪は降りません。珍しく降った時は、いつも母がメールで「積もってるよ!」と写メール付きで一報くれます。

幼い頃の方がいまより多く雪が降っていた記憶があるのですが、どうなのでしょう…。

積もった時は兄と雪だるまを作ったり雪合戦をして遊んでいました。
服の中に雪を入れられ、幼いながら死ぬ思いをしたこともありました。
滅多に降らないので、はしゃぎ過ぎて足が霜焼けになったことも。


今でも雪が降ればテンションはあがりますが、そういった遊びをしなくなったなぁと、マンションの階段脇に小さく座っていた雪だるまを見て、しみじみ感じていました。


天気予報によると、また明日明後日に雪が降るそうです。明後日は健康診断なのでなるべく降らないように願っています。(麗)

確かに遠くにあったもの

2014-02-17 09:00:00 | ï¼ˆç†ï¼‰ã®ãƒ–ログ
 43回目のブログ更新になりました。個人的に感慨深いというか、記しておきたい数字です。

 高級部何年の時かは忘れましたが、ウリハッキョに「イオの記者」がやって来ました。憧れていたイオの記者の到来に興奮し、しかし人見知りの私は話しかける機会をこそこそ窺いながら過ごしていました。そして、寄宿舎の舎監室でくつろいでいた記者を発見。急いでそこに行って、なんとか隣の席を確保しました。

 紫色のTシャツを着たその記者は、すでにそこにいた数人の寄宿舎生と談笑したり、「名前の漢字を当てるゲーム」みたいなことをゆるゆるとしていました。生徒の名前を聞き、その漢字を予想してホワイトボードに書くというものです。私はしばらくそこに座りながら、会話が終わるのを見計らって記者に話しかけました。

「あの…イオに入りたいんですけどどうしたらいいですか?」
「イオがいいの? セセデとかもあるよ」
「イオがいいんです」
「うーん、朝大だね」
「…あー…。」

 その時は世間知らずだったのもありウリハッキョを卒業したらそのままイオに入りたいと思っていたため、期待したのと違う、なんとも簡潔な返答に拍子抜けしてしまいました。私の残念そうな様子を見たからか、その記者は「トンムの名前は?」と、私の名前の漢字も予想してくれました。「理」の漢字を「梨」と書いたのを覚えています。確か2回目で当ててくれました。

 その後、イオの編集部員の中で唯一顔を知っているその記者のブログをたまに読むようになりました。独特で面白い文章を読みながら、自分もいつかこのブログを書けるようになるだろうか、と思ったものです。

 その記者が編集部在籍中に書いたブログの数が43。図らずも、今回のブログのネタを考えている時にそのことに気がつきました。憧れのように感じていた記者と、ブログで肩を並べたと思うと少し不思議な感覚です。確かに遠くにあったもの、当時の私からすれば、まだうっすらとしたビジョンも見通しもなかった未来の姿。それがいつの間にか現在の姿になっていたことに、なんだか感慨を覚えたのでした。(理)

イオで再びつながる

2014-02-16 09:00:00 | ï¼ˆæ„›ï¼‰ã®ãƒ–ログ

イオ編集部に配属され、この仕事を始めてもうすぐ丸七年が経とうとしています。
この仕事のおもしろいところのひとつは、いままでお世話になった先生や、同級生、知人たちの近況を知ることができることです。
私は出張には行かないので、直接には会えませんが、取材してきた記者を通じて懐かしい方たちの様子をうかがい知ることができます。そして、撮ってきた写真には変わらぬ笑顔たち。
3月号工程中も私の知っている顔たちに出会えました。
編集作業をしながら、いまこんな仕事をしているのだな~すごいな~変わらないな~等など。
一方的に会った気になっています。
旧友たちのがんばっている姿を写真を通してでもわかると、こちらも元気をもらえます。

4月号では私の高校時代の恩師に取材協力をしてもらうことになり、(理)さんが取材に行ってきました。
高校時代、吹奏楽部を1ヵ月でやめた私を温かく迎え入れてくれた美術部顧問の恩師です。
常に楽しく、時に厳しく、私のとてつもなく下手な絵を3年間指導してもらい、高校3年の時には在日朝鮮学生美術展で銅賞をもらうことができました。
卒業時には油絵で私の顔も描いてもらい、プレゼントしてくれました。
いまでもちゃんとした額にいれて、大切にとっています。
(理)さんが出張から帰ってくると、恩師との楽しいおみやげ話を聞かせてくれました。
その取材の場で私に渡すお菓子も探してくれたようで、(理)さんを通じて受け取りました。
まるでそこにいるかのように手渡されたお菓子が、なんだかとても嬉しく、イオという雑誌でまたつながれていることに心が温かくなりました。
イオという雑誌が、これからもたくさんの人たちをつなげていく雑誌ということを心に留めて、8年目の編集作業をがんばりたいと思います。(愛)

「60万回のトライ」、ぜひ劇場で

2014-02-15 10:18:53 | (淑)のブログ
 ものすごい雪ですね。本日お仕事のみなさんは無事に出勤できましたか? 私は普段通勤に利用しているJRは運転を見合わせていたため、地下鉄を乗り継いで途中何度も心折れそうになりながら会社にたどり着きました。まだ自宅にいてこれから外出されるという方は、全神経を両足に集中させて地面をつかむようにして一歩一歩前進することを熱烈におすすめします…。

 さて、先日、一足先に映画「60万回のトライ」を鑑賞しました。来週土曜日に行われる東京上映会に行くつもりでいましたが、大阪での上映会は満員御礼、作中登場するラグビー部の生徒らもステージにあがって会場を大いに盛り上げたとの朝鮮新報の記事http://chosonsinbo.com/jp/2014/01/il-205/を読み、欲に敵わずフライングして試写会に足を運んでしまいました。

 監督の朴思柔さんは、3年に渡って大阪朝高ラグビー部を記録してきましたが、映画はその膨大な記録テープから2010学年度の子供たちにフォーカスして作られました。
 映画には、朝鮮学校や在日朝鮮人を取り巻く、非常に象徴的な出来事や生徒らの経験、言葉たちが凝縮されており、映画は在日朝鮮人の歴史、現在に対する理解を広げられる可能性を持っていると思いました。
 ドキュメンタリー映画としても、随所にドラマあり、笑いあり、涙あり、起承転結ありで、よくまとまっています。また、全編を通して監督の視点が全面に映しだされており、彼女の同胞社会に対する深い愛情がいかんなくあらわれている作品でした。
 それを、来週の上映会で同胞たちと分かち合いたいと思っていましたが、出張のため行けそうもありません。残念です…。試写鑑賞後、プロデューサーの岡本有佳さんとお話しし、東京上映会にも帝京大学ラグビー部に所属する大阪朝高OBを呼んだらどうかと提案したところ、ぜひ呼びたいと思っている、とおっしゃっていました。
 来週の上映会のほかにも、続々と劇場公開が決定しているので、ぜひ劇場でもご覧になってください。(淑)

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3/15(土)より オーディトリウム渋谷でキックオフ!http://a-shibuya.jp/archives/9164
【特別鑑賞券1,000円(税込み)】絶賛発売中
問い合わせは浦安ドキュメンタリーオフィス TEL:070-5454-1980 FAX:047-355-8455
[email protected]
連日10:30~(本編106分)
当日一般1,500円 学生・専門1,300円 シニア・会員1,200円
映画公式サイトhttp://www.komapress.net/

◆映画を語ろう~トークイベント情報
3/15(土)初日舞台挨拶・朴思柔監督ほか
3/16(日)朴思柔監督
3/17(月)鵜飼哲(フランス文学・思想/一橋大学)
3/18(火)鄭栄桓(在日朝鮮人史・朝鮮近現代史/明治学院大学)
3/21(金・祝)田中優子(日本近代文化・アジア比較文化/法政大学)
3/22(土)中竹竜二(日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター)
3/24(月)村上晃一(ラグビージャーナリスト)

※3/29より、第七藝術劇場にて、ロードショー。以降、名古屋、神戸、札幌など全国順次ロードショー(韓国で夏以降、劇場公開予定)

靴の話

2014-02-14 09:20:33 | (相)のブログ
 先週末の大雪に続き、今週初めには地元の千葉で再び降雪、そして今日も関東では朝からまとまった雪が降っています。
 こんな天気の時には足元に気をつけて生活したいですよね。
 足元といえば靴。
 はい、というわけで今回は靴のことについて書きます。
 
 昨年末、10年来の愛用の靴を修理に出しました。それなりに大事に履いていたのですが、最近は靴底のパカパカ具合が無視できないほど気になってきたので、思い切ってリペアに出したのです。そして先週、お店のほうから仕上がったという連絡が来たので、引き取りに行ってきました。
 これが修理した靴の写真。

 

 ビフォー・アフター両方の写真を載せられればよかったのですが、修理前の写真は撮らなかったので、アフターの写真のみです。
 英国のメーカーTricker'sのカントリーブーツ。2004年の1月に購入したもので、今年1月で丸10年履き続けていることになります。当時、6万円で購入しました。今も昔も、6万円もする靴をポーンとキャッシュで買える身分ではないのですが、当時まとまった金額の「臨時収入」があったので思い切って買ったのです。

 靴底を全交換し、ゴムで補強、リペア費用はしめて2万円。クリーニングもしてもらったので、色ツヤも含めて見違えるように生まれ変わりました(その2万で靴を一足買えるではないか、というツッコミはなしで…)。仕事はさすがプロフェッショナル。想像以上の仕上がりぶりに感嘆した次第です。
 モノもちはいい方なのですが、衣服、靴、鞄、時計など身に着けるものの中で個人的に一番愛着がわくのは靴です。長く履き続けているうちに自分の足にフィットしていく感覚が好きです。この靴は春、秋、冬と年間3シーズン履いていますが、大事にケアすれば、たぶんもう10年は履き続けられると思います。10年後といえば48歳。50手前のオジサンになりますが、果たしてこの靴が似合う自分でいるでしょうか。

 最近かなり不運な出来事が連続して自分の身に降りかかっていたので、生まれ変わった愛用の靴を見て傷心を慰撫しています。(相)