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大そうじへの備え
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そのママのバーへ、父は私を誘ったのだった。 そのバーでの父のある態度に失望した私は、父を打ちのめす発言をして、ある出来事へと発展していく。 今回はその話をしようと思っていたけれど、思わぬ方向へ寄り道してしまって、そこへはたどり着けなかった。夫婦って...何だ? 初めての結婚編 ⑷ - どこか遠くで。 ママのお店に行くのは何年ぶりだったろう? 家出をする前だから、21歳になる前のことだ。 父のことだから、きっとママには何でも話していることだろう。 信頼した相手には内緒事のできない人なのだ。 それにしても何処まで打ち明けているのだろう。 私にだって秘密にしておいてほしいことくらいはある。 なんでもかんでも話されてしまったら、どんな顔で接すれば良いのか迷ってしまう。 家出したときの自分が陥った状況は出来れば、誰にも知られたくない。 もちろんママのことだ。 余計な詮索はもとより、余計なお節介も上か
あの時、素直に父の言うことを聞いていたら、今の私ではない人生を送っていたのだろうか。 精神を病むことはなかったろうか。 今の夫と出会うことも、なかったのかも知れない。夫婦って...何だ? 初めての結婚編 ⑶ - どこか遠くで。 入籍の日が近づいていたある日、父が私を行き付けのバーに誘う。 ここのママは父の友人の愛人だ。 私が最初の高校の中退を決意し次の高校に進学するまでの短い期間に、父はしばらくこのママに私を預けた。 家族との関係がギクシャクして、私が居場所を失っていた時分だった。 ママは元々は旧家のお嬢様で、茶道華道は免許皆伝、立ち居振舞いの美しいキリリとした女性だ。 そんな人がどのような経緯を辿って、こんな片田舎のバーの経営者となったかは全くの謎だった。 私が高校に入学したての頃、一つ年下の妹は高校受験を控えていた。 父が私に一番厳しかった頃と重なるこの時期に、私は父から折檻を受けるこ
物事を深く考えることをやめた私が、自分の思いで人生を変えられるのだと気付くのは、まだまだ先のお話。 自分の不遇に酔って、可哀想な私をすることしかできなかった24歳のころの遠い記憶。夫婦って...何だ? 初めての結婚編 ⑵ - どこか遠くで。 音を忍ばせて玄関の鍵を開け、家人に知られぬようにこっそりと自分の部屋に戻った私を、待ち受けていたかのように部屋に10分もしないうちに父が顔を出した。 子供部屋には鍵はつけておらず、父はノックなどせずに平然と部屋のドアを開く。 ドアから顔を覗かせた父は、嬉しそうこうに言った。 「おぅ、帰ってきたか」 大好きな父の笑顔だった。 思わず泣き出しそうになるのをこらえた私は、少しぶっきら棒に応える。 「うん」 「入っていいか?」 「どうぞ」 父はつかつかと部屋の中央を進むと、窓辺に設置したライティングデスクの椅子を引いて腰掛ける。 「Tから電話があったぞ」 一瞬
言ってはいけない言葉を口にした私を、父は苦しそうな面持ちで見遣ってからポツリと「俺は許さんよ」と一言告げると部屋を後にした。夫婦って...何だ? 初めての結婚編 ⑴ - どこか遠くで。 父の反対する結婚...。 父の反対を押し切ることなど、24歳になった私にとって全く困難なことではなかった。 反対するなら家を出ればいいだけのこと。 すでに無計画な家出を企てた経験のある私には、行くあてのある家出などコンビニエンスストアに行くようなもの。 第一結婚を反対する父その人が、実の兄の助言を物ともせずにあの母との結婚を強行したのだ。 母のあの、自分勝手で子供じみた振る舞い。 家事も育児も放棄して、酒に明け暮れるだけのだらしない人。 ブクブクと太って身なりも気にせず、失った歯を補うこともしない。 数年前に入院した父の看病で寄り添っていた時に母は、三つ年上である父の母親と間違えられるほど老いて見えた。 父
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