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今年の「かわいい」
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■要旨 国民年金の第3号被保険者の中期的な廃止が相次いで提言されているが、軽々には語れない難しい論点である。本稿(前後編)では、制度の概要を確認した上で、「不公平感」「就業抑制」「財源のあり方」の3つの視点に絞って整理を試みる。今回の前編では、制度の概要と不公平感を取りあげる。 ■目次 はじめに 1 ―― 第3号被保険者制度の概要:厚生年金が優先適用され、30年前から一貫して減少 1|誰が該当するか: 厚生年金加入者に扶養される年収130万円未満の配偶者で、厚生年金に加入していない人 2|どの程度の規模か: 30年前のピークから約4割減少しており、女性においては20~59歳人口の約2割が該当 2 ―― 不公平感 :無収入の第3号なら共働きと不公平なし。廃止は第3号世帯への逆進的なペナルティに 1|現行制度の評価(1) なぜ保険料を負担しないのか: 第3号被保険者が受け取る基礎年金は、配偶者
歳出の増加や歳入の減少を伴う新たな政策が打ち出されようとすると、必ずといっていいほど出てくるのが財源の裏付けがないという批判だ。最近では、防衛費増額や少子化対策の財源を捻出するため、増税や歳出削減が議論されてきた。現在は「103万円の壁」引き上げに際して財源の確保が大きな問題とされている。 国民民主党が主張するように、基礎控除、給与所得控除の合計を現在の103万円から178万円に引き上げた場合、政府は国と地方の税収が7.6兆円減少すると試算しており、これを賄うための財源の確保は難しいという見方も少なくない。これに対して、国民民主党は、近年は税収の上振れ、予算の使い残し(不用額)が大きく(2023年度:税収上振れ2.5兆円、不用額6.9兆円)、これを使えば、控除額を103万円から178万円に引き上げることが十分可能としている。 しかし、税収の上振れは財務省の税収見積もりが甘かったことを反映し
韓国も日本も低出生率が続いている。特に韓国の出生率の低下は深刻だ。韓国の出生率は2001年から日本の出生率を下回り始め、最近ではその差がますます広がっており、2023年の日本の出生率は1.20で、韓国の0.72を大きく上回っている。韓国と日本の少子化の原因は似ているにもかかわらず、なぜ日本の出生率は韓国よりも高い水準を維持しているのだろうか。データに基づき、その原因を探ってみたい。 まず、第一の原因として、日本の男性および女性の初婚年齢が韓国より低いことが挙げられる。2022年現在、男性と女性の平均初婚年齢は韓国がそれぞれ33.7歳と31.3歳であるのに対し、日本は31.1歳と29.7歳で、韓国より男性は2.6歳、女性は1.6歳低い。男性については、韓国では兵役の義務があるため、日本より高いと言えるが、兵役の義務がない女性に関しても日本より高くなっている。韓国保健社会研究院などの調査結果に
プロフィール 1995年:日本生命保険相互会社 入社 1999年:株式会社ニッセイ基礎研究所 出向 ・【総務省統計局】「令和7年国勢調査有識者会議」構成員(2021年~) ・【こども家庭庁】内閣府特命担当大臣主宰「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」構成員(2024年度) ・【こども家庭庁】令和5年度「地域少子化対策に関する調査事業」委員会委員(2023年度) ※都道府県委員職は年度最新順 ・【富山県】富山県「県政エグゼクティブアドバイザー」(2023年~) ・【富山県】富山県「富山県子育て支援・少子化対策県民会議 委員」(2022年~) ・【高知県】高知県「元気な未来創造戦略推進委員会 委員」(2024年度) ・【高知県】高知県「中山間地域再興ビジョン検討委員会 委員」(2023年度) ・【三重県】三重県「人口減少対策有識者会議 有識者委員」(2023年度)
学生時代に、複雑な算式を図表で表すと、いろんな形の曲線が描かれるのを勉強したと思う。この時には、「へー、そうなんだ」ぐらいの認識でおられた方も多く、むしろ、こうした算式の取扱いに四苦八苦して、結果として得られている曲線が、社会において、あるいは自然界において、どのような形で現れていて、どう役立っているのか、については、あまり説明がなく、殆ど勉強する機会もなかったのではないかと思われる。 ということで、今回の研究員の眼のシリーズでは、「曲線」について、どんな種類があって、それらが実際の社会における、どのような場面で現れてきて、どう社会に役立っているのかについて、報告している。これまでの7回の研究員の眼では、楕円、放物線、双曲線等の「円錐曲線」、「カテナリー曲線」、「クロソイド曲線」、「サイクロイド曲線・トロコイド曲線」について報告した。 今回は、「リサージュ曲線」や「バラ曲線」と呼ばれるもの
中国の国家統計局は1月17日、2023年の総人口、出生数が前年に続き減少していることを発表した。2023年の総人口は14億967万人で、2022年から208万人減少し、2年連続の減少となった。また、2023年の出生数は902万人と、こちらも2022年から54万人減少している。 中国における出生数の減少について、国家統計局はその要因を挙げている。それは、(1)出産適齢期の女性人口の減少、(2)結婚や出産年齢などの上昇、(3)養育や教育費用の高騰による若年層の子育てに対する意欲の低下や考え方の変化、(4)新型コロナウイルスの感染拡大による出産控えである。本稿ではその中でも(1)出産適齢期の女性人口の減少、(2)結婚や出産年齢などの上昇に注目し、その様相を概観したい。 中国では1979年に一人っ子政策が開始されたが、その後も労働力として、また伝統的な‘孝’の概念によって男児の出産優先の伝統は残り
■要旨 2023年1月、米国司法省および7州はGoogleを相手方として、競争法違反に関する訴訟を提起した。これはウェブ上の運用型広告サービスを提供するソフトウェアであるアドテクに関するものである。具体的には、ウェブ上の広告枠について入札依頼を行う媒体社向けのサービス(媒体社サービス)、入札依頼のあった広告枠について入札する広告主向けサービス(広告主サービス)および、この二つのサービスのマッチングを行う広告取引所の3つのサービスについてGoogleが独占を確保、維持したことが競争法に違反したとするものである。 Googleは、いずれも自社のサービスであるDFP媒体社サービスとAdX広告取引所との間で、競合する他の広告取引所からの入札情報を共有することにより、DFP媒体社サービスからの広告枠の入札依頼について、AdX広告取引所経由の入札が優先的に落札できる仕組みを構築した。このような仕組みに
国民負担率は、国税や地方税の租税負担と、国民年金や健康保険の保険料などの社会保障負担の合計を、所得で割り算して算出する。所得には、国民所得もしくは国内総生産(GDP)が用いられる。メディアで主に報じられるのは、国民所得を用いた数字だ。 広辞苑(第七版)(岩波書店)によると、国民負担率は、「国・地方租税負担と社会保障負担(社会保険料負担)の合計額の、国民所得に対する比率」を意味する。他の国語辞書も同様だ。所得として国民所得を用いた数字が、国民負担率とされることが一般的と言えるだろう。 国民所得は、個人が労働によって受け取る給与や報酬、預金や有価証券などから生じる利子や配当などに、企業の収入である企業所得を足し算して計算される。 国民所得をベースとする国民負担率の、2022年度の実績は、48.4%だった。2021年度から+0.3ポイント上昇して、過去最高を更新した。過去の推移を見ると、2020
新NISA(少額投資非課税制度)がスタートした。非課税期間の無期限化、非課税投資限度額の大幅拡大で期待が高まる一方、ネット上などでは「毎月定額つみたて投資するのと、1月に一括投資するのではどちらが有利か」で意見が割れているようだ。全世界株式(オールカントリー、略して“オルカン”*)と米S&P500どちらを買うべきかも同様だ。“ 論争”に終止符を打つべく、検証した。
■要旨 1――低迷を続ける中国の不動産市場 中国では不動産不況になかなか歯止めが掛からない。販売面積は直近ピークの6割ほどまで減少し、価格も下落を続けている。中国はこれまで何度も不動産不況を経験している。しかし販売にしても下落幅にしても在庫にしても過去のそれよりはるかに深刻だ。そして不動産業の成長率は2年連続でマイナスとなり、多くの不動産デベロッパーが経営不安に直面する事態となった。こうした不動産不況は、日本が1990年代に経験した不動産バブル崩壊と類似した面が多々ある。 2――日本における不動産バブル「形成」とその「崩壊・後始末」 日本でバブル形成が始まったのは1987年頃だった。「プラザ合意」後の大幅利下げで「財テク」ブームが起きた日本では、不動産デベロッパーや一般企業・個人、さらには金融機関も巻き込んでバブルを謳歌することとなった。それが崩壊したのは1990年前後だった。利上げや総量
■要旨 社会経済活動の正常化に伴い、個人消費は急回復することが期待されていたが、今のところ「リベンジ消費」は顕在化していない。 個人消費は、物価高の逆風を受けながらも、高水準の貯蓄を背景に比較的堅調だったが、足もとでは貯蓄率が平常時の水準に近づき引き下げ余地が少なくなり、物価高の悪影響をより受けやすくなっている。 家計貯蓄率はコロナ禍前の水準を若干上回っていたが、GDP統計の改定によって2023年度入り後はゼロ%台まで低下し、コロナ禍前の水準を下回る可能性が高い。また、コロナ禍で積み上がった累積的な貯蓄により家計の現金・預金残高の増加ペースはコロナ禍前のトレンドを大きく上回っているが、消費者物価で割り引いた実質ベースでみるとトレンドからの乖離幅は大きく縮小する。 リベンジ消費の中でも特に期待が大きかった外食、宿泊などの対面型サービスは高齢者を中心に持ち直しのペースが鈍く、依然としてコロナ禍
1月10日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。 【ユーロ圏失業率(20か国、2023年11月、季節調整値)】 ・失業率は6.4%、市場予想1(6.5%)より下振れ、前月(6.5%)から低下した(図表1) ・失業者は1097.0万人となり、前月(1106.9万人)から9.9万人減少した ユーロ圏(20か国)の11月の失業率は6.4%で、10月からやや低下した。過去データはほとんど改定されず、統計データ公表以来の最低値を記録した(11月のほか6月も6.4%で最低値)。 失業者数は11月の前月差で9.9万人減となり、9・10月は2か月連続で計5.3万人増となったが、11月は減少に転じ、減少幅も大きかった(図表3・4)。主要4か国では、ドイツ(+0.5万人)、フランス(+0.1万人)が小幅増加し、フランス(+0.8万人)、イタリア(▲6.6万
■要旨 いよいよ新NISA(少額投資非課税制度)がスタートする。非課税期間の無期限化、非課税投資限度額の大幅拡大で期待が高まる一方、ネット上などでは「毎月定額つみたて投資するのと、1月にまとめて投資するのではどちらが有利か」で意見が割れているようだ。 全世界株式(オールカントリー、略して“オルカン”)と米S&P500どちらを買うべきかについても同様だ。こうした“論争”に終止符を打つべく、検証してみた。
2023年7-9月期の実質GDP(2次速報値)は、1次速報の前期比▲0.5%(年率▲2.1%)から前期比▲0.7%(年率▲2.9%)に下方修正された。 GDP2次速報の結果を受けて、11月に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2023年度が1.5%、2024年度が1.3%、2025年度が1.1%と予想する。成長率の遡及改定を受けて、2023年度の見通しを0.1%上方修正した。民間消費、設備投資などの国内需要を中心に景気の回復基調は維持されると予想するが、内外需ともに下振れリスクの高い状態が続くだろう。 名目GDPは実質GDPを上回る伸びが続いており、2023年度の名目GDP成長率は5.6%と33年ぶりの高さとなることが見込まれる。名目GDPの水準は、四半期では2024年1-3月期、年度では2024年度に600兆円を超えるだろう。 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、202
経済がウィズコロナに移行するなか、数十年ぶりのインフレに見舞われ、人々や企業がどのような行動をとるのかについては、見極めにくい状況が続いている。今年に入り高インフレはようやくピークアウトしたが依然として物価の上昇率は高く、主要中央銀行も警戒感を崩していない。 主要国の実体経済の状況を見ると、日本や欧州では実質GDP水準はコロナ前トレンドを大きく下回る状態が続く一方、米国は7-9月期に高成長を達成したこともあってほぼコロナ前トレンドの水準まで回復している。 インフレは景気の重しになるとの説明を目にする機会は多く、実際、この高インフレを受けて主要国の消費者景況感は落ち込んでいる。ただし、インフレが実体経済(消費など)にどのように影響するかは単純ではない。そこで、このコラムではインフレと消費の関係について考えてみたい。 物価が高騰すると消費者は消費を増やすだろうか、減らすだろうか。 まず、インフ
■要旨 若年層の中には経済状況の苦しさから結婚や子どもを持つことへの不安を抱えている人が少なくない。若年層の抱える経済的不安が少子化の一因となっていると思われる。 近年、20代の実質賃金水準こそ上昇しているものの、国民負担率の上昇や世代内格差の拡大も進んでおり、若年層の経済状況に影を落としている。 若年層の現在の経済状況や将来の見通しは良好とは言い難い。それでも日本の喫緊の課題である少子化問題を解決していくためには、現在進められている子育て世帯への支援に加え、未婚であったり、子どもを持たなかったりしている若年層を経済的に支援することも一考に値するのではないだろうか。 ■目次 1――少子化の一因は若年層の抱える経済的不安 2――こども未来戦略方針の施策は子育て世帯への支援が中心 3――20代の実質賃金水準は増加傾向 4――それでも経済的に苦しい理由 1|国民負担率の上昇 2|世代内格差の拡大
平成27年国勢調査(2015年)、令和2年国勢調査(2020年)ともに、「共働き世帯」の方が「専業主婦世帯」よりも子どもの数が多い、という分析結果が導き出された。2015年の分析結果は主要オンラインメディアにも投稿し、2020年の分析結果も講演会で何度も取り上げてきた。 しかし、この分析結果に対して、シンクタンク研究者、大学教授、大手メディアのディレクターなどから、いまだに「驚愕した」「この結果の調査母体は何でしょうか」といった連絡を定期的にいただく状況が続いている。 このことは、日本は人口減、すなわち出生減が止まらない危機的な状況下にあるにもかかわらず、足元の社会現象に関してデータ分析による仮説検証が行われないまま、誤解に基づく非科学的な対策議論が行われていることの証左と思われる。 本稿では、少子化に関する代表的な誤解の一つである「(共働き世帯よりも)専業主婦世帯の方が子どもが多いのでは
2024年から、従来の少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充や恒久化が実施され、新NISAの導入が予定されている。このレポートでは、一般的な投資家が長期の資産形成において、新NISAをどのように活用すべきかについて考えたい。 長期的な資産形成の目的は十分な資金を準備することである。今から老後資金の形成を始める若い人等は、老後の生活に必要な金額を事前に算出して、適切な目標金額を設定することは難しい。 一方で、現時点で自分がどのくらい投資できるのかは比較的容易に分かるのではないだろうか。尚、長期の資産形成においては、投資対象の選択がとても重要なのだが、新NISAの投資対象は数多く、株式(個別株)の他、各種ファンド(投資信託)等がある。 では、実際何に投資したら良いのか。ここでは、過去のデータを用いて、初心者におすすめできる代表的な市場インデックスに毎月5万円の積立投資を行い、20年後の最終
■要旨 基礎研レポート7月24日の「【少子化社会データ詳説】日本の人口減を正しく読み解く-合計特殊出生率への誤解が招く止まらぬ少子化」において、日本の人口減少の主たる要因は出生激減を招いた婚姻数の激減であり、夫婦間の子どもの数の影響は軽微であることを解説した。 「少子化対策といえば、子育て支援の方が大切ではないのか」といった疑問を持つ読者は、上記レポートを本レポートを読まれる前に確認頂きたい。 未婚化が日本の少子化、すなわち「カップルの成立なくして、出生なし」であると解説すると「結婚応援はハラスメントにならないか」といった経営者や人事部門の方の共通の悩みをお聞きすることが少なくない。 未婚割合が急増する中で、それが本人の結婚意志とどう関係しているのか、という科学的説明(エビデンス)がないままに「ハラスメントだ」とされるならば、それは「一見、人の気持ちに寄り添っている意見のように見えても、本
2025年大阪・関西万博の開催まで2年に迫った。2025年4月13日から10月13日まで、大阪市夢洲(ゆめしま)1で開催される予定だ。日本においては2020年東京オリンピック・パラリンピックに次ぐ大型の国際的イベントである。近時は新型コロナ禍によるインバウンドの休止から次のフェーズに入り、万博開催の頃には更に多くの外国人観光客の入国も考えられ、活況を呈することが期待される。開催地である大阪市や関西地域では万博の盛り上がりを通じた経済の活性化や、最新技術の展示により明るい未来を身近に感じさせ、国民の気持ちを奮い立たせる効果を期待しているものと思われる。長きにわたり諸外国に比べて経済成長の低調が続くことから、国民の気持ちも塞ぎがちのところだが、大阪・関西そして日本の力を再確認する良い機会であると考える。 本稿では、万博の基本知識について触れ、今後増加する万博関連報道その他の情報に接するに際して
■要旨 FRBはインフレ抑制のため金融引き締めに転じ、2022年3月から政策金利であるFF金利の誘導目標水準を順次引き上げ、2023年7月には5.25~5.50%となった。 リーマン・ショック後の量的緩和やコロナ対応でFRBのバランスシートの規模は最大時で9兆ドル近くに膨らんだ。その後、量的引き締めで保有する米国債やMBSを縮小しているが、2023年8月16日時点でなお総資産は8兆ドル余となっている。 市場への資金供給量が拡大した中で政策金利を誘導するため、FRBは準備預金への付利水準を引き上げる等して対応している。この負債サイドの資金調達コストが利上げに伴い急上昇する一方、保有する米国債やMBSは固定利付で低金利のものが大半で、逆鞘が拡大する中、2022年決算で、事実上の債務超過額に相当する繰延資産は188億ドルとなった。 FRBは繰延資産を計上した他、保有する有価証券の評価損も1兆ドル
■要旨 2024年からスタートする新NISAでは何に投資したら良いのか? 高リスク高リターンの投資対象への投資は一般的に不安視されがちだが、このレポートでは過去のデータを用いて、実際にそれほど心配する必要がないことを示した。 具体的には、代表的な市場インデックス型商品(国内債券型、国内株式型、米国株式型や先進国株式型等)への20年間にわたる毎月5万円の積立投資による20年後の最終時価残高分布と20年間の時価残高推移で確認した。 その結果、先進国株式型やナスダック100等、高リスク高リターンの投資対象に投資する場合、短期的なリスクによる最終時価残高のバラツキがあるが、最終時価残高の増加によるメリットの方がかなり大きいことが分かった。逆に、国内債券型やバランス型等、低リスク低リターンの投資対象に投資する場合は最終時価残高のバラツキは小さいものの、最終時価残高があまり大きくならず、高リスク高リタ
■要旨 2024年から新NISAがスタートするが、長期の資産形成において、新NISAをどのように活用すべきなのだろうか。 過去のデータを用いて、20年間の投資期間を前提に、代表的な市場インデックス型連動の国内債券型、国内株式型、米国株式型や先進国株式型などに投資した場合の試算を行った。 結果として、S&P500やナスダック100に連動する米国株式型や先進国株式型の最終的な時価残高がかなり高かった。また、高リスク高リターンの投資対象であれば、一括投資の方が積立投資よりも最終的時価残高が高いことも分かった。尚、毎月定額を積立投資する場合と毎月積立にボーナスを組み合わせる場合は、年間の投資額が同じであれば、最終的時価残高はほとんど同じだった。 長期投資では、リスクを取らないとリターンが低いままで、最終的に十分な資産形成ができない可能性が高まる。一方で、高リスク高リターンの投資対象に長期投資をする
昨今の人手不足を背景に、中途採用が増えつつある。日本経済新聞の調査によれば、主要企業の2023年度の採用計画における中途採用の比率は37%と過去最高となった。多くの日本企業が人材獲得競争を行う中、新たな求人手段として、リファラル採用が注目を集めている。 リファラル採用は、自社の従業員による紹介を通じた採用方法を指す。欧米ではかねて盛んに実施されているが、近年国内の企業でも注目されている。 企業側の利点は、まず、広告宣伝費、転職エージェントへのフィー等が抑制でき、費用対効果が高い。次に、社風に合致し、所要スキルや経験を有する可能性が高い、より優れた候補者と接点が持てる。更に、紹介者が選別済の為、候補者絞り込み、評価、面接の時間圧縮で、採用プロセスが迅速化する。加えて、採用のミスマッチを回避し易く、早期の離職が発生し難い為、定着率の向上に資する。この様に、優れた採用手法と言える。 日立製作所や
日本の合計特殊出生率(以下、出生率)が2022年は1.26であると発表されたことで、出生率に関する記事が増えている。しかし、いまだに「出生率とは何なのか」十分に理解しないまま原因分析に入ってしまうケースが少なくないように思われる。その場合、必ず「あんなに出生率の低い東京都は少子化促進エリアだ」というような議論が浮上する。 はたして、これはいかがなものか。出生率の計算式の因果関係を理解したうえで慎重な検討がなされなければ、単なる若者に人気の都会叩きにとどまることになる。 そもそも、出生率が上下する要因は3つある。 1.既婚者(日本は98%が婚内子)のもつ1組当たりの子どもの数の減少 2.未婚者割合の増加(日本では未婚者の出産に占める割合は2%程度で捨象する水準) 3.測定エリアにおける未婚女性の移動状況(日本国全体では移民比率が2%程度なので捨象できるが、都道府県以下の単位では出生率に大きな
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