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今年の「#文学」
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No.142「酩酊して交通事故を起こして搬送された患者が、医師らの説明・説得に応じず検査の続行を拒否して帰宅後死亡。医師に過失は認められないとした地裁判決」 札幌地裁平成13年4月19日 判例タイムズ1116号249頁 (争点) 担当医師らに、搬送の際、診断・検査を続行すべき義務、経過を観察すべき義務、他の適切な医療機関に転送すべき義務に違反した過失が認められるか (事案) Aは、妹ら3人を乗せて酒気を帯びて運転していたところ、平成7年12月31日午前1時35分ころ、S市の交差点においてスリップし、信号待ちしていた大型トラックに衝突し、A及び同乗者が負傷するという交通事故を起こした(以下、本件交通事故)。 Aは、同日午前2時20分ころ、救急車により、Y医療法人が開設・経営するY病院(以下、Y病院)に搬送された。搬送当時、Aは相当程度酩酊した状態であった。Aが搬送された当時、Y病院外科では、
悪態をつく、診療時間を無視した診療を強要する、医師の助言に納得せず執拗な質問を長時間繰り返すなど、ここ1、2年、急速にモンスターペイシェントが増えてきた実感を持つ医療関係者も多いのではないだろうか。その影響は時として大きい。診療時間が削がれたり、他の患者に迷惑がかかったり、スタッフの士気が下がり退職につながったりすることさえある。クレーム対応の専門家、株式会社エンゴシステムの援川聡(えんかわ・さとる)氏に対応策を伺った。 ケーススタディ〜ある病院にて いわゆるモンスターペイシェントとはクレーマーを指す。ごり押しによる不当な脅迫的な行為だ。困った患者を通り越し、治療の妨げとなり、究極的には医師やスタッフをうつ状態にし、就業不可能にさせることさえある。具体的な例を挙げて対策を考えてみよう。 ある病院で、急患で深夜に飛び込んできた母子。子どもの体温は37度。ほかに所見はない。当直をしていた脳外科
株式会社日本エアシステム CRM推進グループ 福井邦彦氏 航空業界は危機管理に対する研究が長年にわたって行われており、その内容も進んでいる。最近では航空業界から始まった「CRM」という訓練方法が、医療におけるリスクマネジメントにも取り入れられてきているという。CRM(注)とはCrew Resource Managementの略語で、『安全運航を達成するために、操縦室内で得られる利用可能な全てのリソース(人、機器、情報など)を有効かつ効果的に活用し、チームメンバーの力を結集して、チームの業務遂行能力を向上させる』というものだ。そこで、今回のスペシャリストとして株式会社日本エアシステム(JAS)の現役の機長である福井邦彦氏にご登場願い「CRM」について紹介していただいた。福井氏は機長としてのお仕事に加え、乗員や新人の教育、CRMの開発にも携わっている。CRMの誕生から最新情報まで、実際の訓練内
医師と患者のコミュニケーションに関するテーマは、今までもいくつか取り上げてきたが、今回はナラティブ・ベイスト・メディスンに注目して、医療の安全を考えてみたい。スペシャリストとして富山大学保健管理センター教授の斎藤清二氏を迎え、なぜ今NBMなのか、実践のポイント、医療の現場にナラティブという視点を導入する意義、について伺った。(取材日;平成16年9月15日) なぜ今NBMか~医師も患者もある意味で報われない時代~ 現代の医学は、いくら良い医療を行なっても、患者さんの満足度がなかなか上がらないというある意味報われない状況にあります。科学的に正しい医療をしたからといって必ずしも患者さんが満足するとは限りません。患者満足度は科学的な正しさとは別のレベル、関係性にも大きな影響を受けるのです。 治療は成功したけれど患者さんは不満である、これでは患者さんも不幸ですが、医療従事者も不幸です。努力が報われて
No.261「新免疫療法単独での治療効果について医師の説明義務違反を認めたが、説明義務違反と患者死亡との因果関係は否定し、慰謝料の支払いを病院側に命じた地裁判決」 東京地方裁判所 平成24年7月26日判決 判例タイムズ1395号246頁 (争点) 新免疫療法についてのY医師の説明義務違反の有無 Y医師の説明義務違反と死亡との因果関係 (事案) 1.患者A(昭和21年生まれの男性)は、平成15年3月12日、S病院において初期の食道癌であり、内視鏡による粘膜切除術によって外科的治療が可能であると告げられ、同月13日、W大学附属病院(以下W医大)を受診し、同月17日には、T大学附属病院を受診し、内視鏡、CTなどの検査を受けた。これらの検査を踏まえ、T大学附属病院の医師は、Aに対し、食道癌の占拠部位、深達度、リンパ節転移の状態について図解で説明し、内視鏡的粘膜切除手術による治療には適応がないこと、
今回のスペシャリストは医事法学の第一人者である唄孝一氏。40年にわたる業績により、昨年は文化功労者に選ばれた。その顕彰式の際に、日本のインフォームド・コンセントの現状について「軽薄だ」とコメントしている。日本にインフォームド・コンセントを紹介したのは氏である。その本人からみて、一体、何が軽薄なのか。紹介当時の思いから、現在の問題点、そして今後の課題について語っていただいた。(取材日:2004年1月14日) I 紹介当時を振り返って よく考えていると、私も初めはインフォームド・コンセントの必要性が理解できませんでした。患者と医者とが診療の契約をして特別な関係になっているのだから、なぜ1つひとつの行為にまた承諾が要るのかと。しかし、少しずつわかってきました。なぜなら、患者のいわゆる自己決定とは、自分のことを自分で決めるというだけではないということ。有機的な存在としての人間の肉体にいやしくもメス
今回のスペシャリストは、「ミスをしない人間はいない~ヒューマンエラーの研究~」等の著書がある芳賀繁氏。鉄道総合技術研究所の主任研究員、JR東日本安全研究所の主任研究員、東和大学工学部経営工学科の助教授などを経て、現在は立教大学文学部心理学科の教授。最近は、病院での講演や、「医療事故防止マニュアル」のビデオ監修などもされ、医療機関とのかかわりも多い。そこで今回は、産業心理学や人間工学の視点から、ヒューマンエラー、うっかりミス、違反、そしてリピーター問題について伺った。(取材日:2004年2月18日) I ヒューマンエラー ヒューマンエラーという言葉について強調したいことがあります。最近、医療事故の原因としてヒューマンエラーが重大な関心事になっていますが、ヒューマンエラー=医療ミス、失敗ではないということです。 「ヒューマンエラー」とは、人間工学、安全工学、信頼性工学という分野で生まれた言葉で
第74回:心を守るモンスターペイシェント対策 診療時間が削がれたり、他の患者に迷惑がかかったり、スタッフの士気が下がり退職につながったりすることさえある。クレーム対応の専門家、株式会社エンゴシステムの援川聡(えんかわ・さとる)氏に対応策を伺った。 第73回:生殖補助医療の現場における安全管理とは? 日本産科婦人科学会の生殖・内分泌委員会委員、日本生殖補助医療学会の生命倫理委員長などを務める埼玉医科大学の石原理教授(産科婦人科学)に、生殖補助医療施設における安全管理の現状と問題点、今後の課題についてお話を聞いた。 第72回:院内暴力、セクハラなど ハラスメント防止対策の重要性と看護管理者の役割 職員の教育・職場環境の改善に積極的に取り組んでいる尾道市立市民病院で、院内暴力やセクハラなどハラスメント対策に関するガイドライン化を推進する副院長兼護部長・山田佐登美氏に「ハラスメント防止対策の重要性
ホームヘルパーなど介護職が医療行為を行うのは違法である。だが、介護職の9割が何らかの医療行為を行っており、5人に1人は医療事故の経験があるという。十分な教育を受けないまま、医療行為の怖さを知らずに行っている実態もある。だが、正しい知識を身に付けることで、医療行為に対する認識が変化するという調査結果も明らかになっている。 介護職の9割が医療行為を経験 医師や歯科医師、看護師などの免許を持たない者が医療行為を行うことは、医師法や歯科医師法、保健師助産師看護師法などで禁止されている。例えば、ホームヘルパーが要介護者にインシュリンの注射を打ったら、法に抵触することになる。だが、注射という明らかな医療行為ではないにしろ、介護現場におけるホームヘルパーの医療行為は常態化しているようだ。 「どこまで許される?ホームヘルパーの医療行為」(一橋出版)などの著書がある八戸大学人間健康学部講師の篠崎良勝さんは今
近年アメリカで注目をされはじめた医療安全を推進するためのフレームワーク(枠組み)がある。国防省がAHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality;医療品質研究調査機構)と協力して、医療におけるチームパフォーマンスを向上するために、エビデンスに基づいて開発した。もちろん目的は患者のアウトカム(目標とする治療結果)を最適にすること。それが「TeamSTEPPS」(チームステップス)だ。軍の病院などでTeamSTEPPSを導入し、医療安全の推進・質の向上に成果を挙げていると言われている。最終的には安全文化の醸成を目的とするこのフレームワークはどのようなものなのか。 TeamSTEPPSの指導者養成コースを修了し、日本人として唯一のマスタートレーナーである国立保健医療科学院の種田憲一郎氏にTeamSTEPPSについてお話を伺った。 種田憲一郎氏(写真中
安全は存在しない 安全とは「受け入れることのできないリスクがない」ことであり、「リスク」は存在するが「安全」は存在しない。安全の目標は「可能な限りリスクのレベルを下げる」こと、すなわちリスクの数を減らすか、一つひとつのリスクを小さくすることである。 ヒューマンエラー発生の古典的解釈 看護師Aは、薬品交換時、警報がうるさいため装置のアラームスイッチを「OFF」にした。 交換を終わって、看護師Aは、アラームスイッチを「ON」にするのを失念してしまった。 幸い、別な看護師Bが、スイッチが「ON」になっていないことに気がついた。 「注意しなさい」「気をつけなさい」「真剣さが足りない」という注意。 本人は「申し訳ありませんでした。以後気をつけます。」 このように「一人前のプロはエラーをしない」、エラーの原因は「精神がたるんでいる」または「注意力が足りない」せいであると理解されている。 これに対して、
エラープルーフの概念は、医療安全を進めていく上で非常に重要な概念の一つだ。今回のスペシャリストは、医療をはじめとする様々な作業におけるエラー防止について工学的な立場から研究している中央大学理工学部経営システム工学科教授、中條武志氏を紹介する。 人間は柔軟で創造的である反面、ある一定確率でエラーを起こす。この基本的な特性を変えることは不可能だ。したがって、残された方法は、作業システムを構成する人以外の要素、すなわち薬剤、機器、文書、手順等の「作業方法」を改善すること。これを「エラープルーフ化」と言う。「エラーというのは、人間の意識レベルが下がったときに起こり易い。しかし、人間の意識レベルが下がるというのは避けられず、それを不注意だということで片付けてしまうと再発防止につながらない。まず、注意力が下がるということは人間として避けられないことであるという共通の認識を社会として作り上げることが必要
電気通信大学 大学院情報システム学研究科 教授 田中健次氏 通常であれば、安全が高まると思われる「多重チェック」や「フールプルーフ」。しかし、そこには「社会的手抜き」、「自動化の皮肉」という落とし穴があると言う。そこで、今回のスペシャリスト、電気通信大学大学院情報システム学研究科教授の田中健次氏に、安全の仕組みの落とし穴について話を聞いた。(取材日;平成17年6月20日) -事故防止の対策として、よく「ダブルチェック」「トリプルチェック」という改善策が出されます。田中先生は多重チェックの効果について実験をなさっていますが、どのような結果だったのでしょうか。 1 多重チェックの落とし穴 (同種の多重チェック) この実験をしようとした1つのモチベーションは患者誤認の事故でした。 通常、2人によるチェックよりも3人、3人よりも4人とチェック数が増加するほど確実性が高まると考えがちです。しかし、大
薬剤名の間違えは人命にかかわります。しかし、似たような名称が多数存在し、事故が起きても対応されないままのものがあります。そこで今回は言語学的視点から、薬剤名によるミスをどうしたら防げるかアプローチを試みました。ご登場いただいたスペシャリストは、現在、埼玉大学教養学部教養学科日本文化コースの教授である山口仲美先生。 国語学のスペシャリストに、言語的視点から「間違いがおこりやすい5点」「今後の命名の可能性」「言語に関する最新の動き」についてお話いただきました。 Ⅰ 間違いがおこりやすい5点 -似たような薬剤名がたくさんあることについて、先生はどのようにお考えになりますか? 私は普段「言葉の歴史」を研究していますので、その経験からお話しします。間違いがおこりやすいケースとしては、大きく次の5つが挙げられると思います。
2024年8月 9日 同一患者に対して複数回実施された手術に関して病院・医師側の過失(注意義務違反)が認められた判決2件(No.508、No.509)を医療判決紹介に掲載いたしました。 2024年8月 2日 セミナー情報を更新しました。 2024年7月10日 施設入居中の高齢者への対応に関し、病院・医師側の過失(注意義務)が認められた判決2件(No.506、No.507)を医療判決紹介に掲載いたしました。 2024年6月12日 セミナー情報を更新しました。 2024年6月11日 セミナー情報を更新しました。
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