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大そうじへの備え
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【識者の眼】「本を貸し出すだけではない図書館の重要な役割」大野 智 No.5235 (2024年08月24日発行) P.64 大野 智 (島根大学医学部附属病院臨床研究センター長) 登録日: 2024-08-09 最終更新日: 2024-08-08 読者の皆さんは、日本国内に図書館がいくつあるかご存知だろうか? 日本図書館協会が公表している資料によると、2023年4月1日時点で自治体が運営している公共図書館数は3310館となっている1)。これに国立図書館、専門図書館、大学図書館、学校図書館などを加えるとかなりの数になる。 図書館といえば、本を借りに足を運んだことがある人は多いと思う。本だけでなく、音楽や映像などのコンテンツも所蔵されており、利用したことがある人もいるのではないだろうか。最近では、こだわりの設計で観光名所となっているような図書館もある。私事だが、2023年に仕事で伺った石川県
2022.02.04 「マイページ」が使いやすく変わりました!(シリアル登録、コンテンツ検索がスムースに) 日本の新型コロナ対策の問題点─日本の超過死亡数はカナダを抜きフランスに迫る(菅谷憲夫)[学術論文] 1. 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の発生 新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)は,日本では2020年1月6日にNHKニュース1)で,中国・武漢において原因不明の肺炎が発生していることが報道され,同年1月14日に,WHOは患者から新型のコロナウイルス(SARS-CoV-2)が検出されたことを明らかにした。その上で「今のところ大規模に感染が広がっている状況ではない」としながらも,「家族間など限定的だが,ヒトからヒトに感染する可能性もある」とした。 注目すべきは,1月20日には中国の専門家が,武漢で14名もの医療関係者が感染したことから,ヒトからヒトの感染は間違いない,
HPVワクチン(HPVV)接種の積極的勧奨再開に向けて、接種後に現れる不定愁訴を理解し対処法を考慮する必要がある。2013年にHPVV後の多彩な症状をメディアが取り上げて以降、これらの症状がワクチン接種の副反応とする説と無関係とする説とがある。予防接種は一定のリスクを伴うものであり、稀に重篤な症状がみられるにせよ、HPVVに起因する可能性が指摘されている症状の多くは、再考により別の可能性がみえてくるのではないか。 まず既にHPVV接種後の症状との関連性について各所で言及されている体位性頻脈症候群(POTS)について考えてみたい。日本では小児の起立性調節障害(OD)の一つのサブタイプとされているPOTSであるが、この位置づけは諸外国と同じではない。海外では従来から、思春期以降のPOTSは多彩な症状を呈することが報告されている。めまい、動悸、霧視といった循環失調症状、目や口の乾燥、むくみ、悪心
No.5118 (2022年05月28日発行) P.50 山本和儀 (山本クリニック院長/EAP産業ストレス研究所所長/日本精神科産業医協会理事/GID(性同一性障害)学会理事) 登録日: 2022-05-25 最終更新日: 2022-05-24 性同一性障害の診断を受けているけれども,性別適合手術は受けていない社員(生物学的には男性で,女性を自認)がいます。性同一性障害であることを社内でカミングアウトした上で,女性用のトイレと更衣室の利用を申し出ました。他の女性社員の意見を聴取した上で,オールジェンダー用として当該社員専用トイレを設けたのですが,当該社員はそれ自体が性差別だと訴えて,女性用トイレを使用しています。 そのため,他の女性社員の中からメンタルヘルス障害が発生している状況です。 このような場合,産業医としてどのように対応するべきか,ご教示下さい。(愛媛県 M) 【回答】 【職場全
【識者の眼】「マスク問題で浮き彫り、『論理の一貫性』の欠如」岩田健太郎 No.5176 (2023年07月08日発行) P.61 岩田健太郎 (神戸大学医学研究科感染治療学分野教授) 登録日: 2023-06-26 最終更新日: 2023-06-26 以前、某新薬を売り込みに来たメーカーが、ぼくの使っている薬は間接ビリルビンが上がるので某新薬に切り替えてはと提案してきた。 「でも間接ビリルビンが上がるだけで患者さんは元気だから」 「先生、でも間接ビリルビン高値の長期の安全性は確立していませんよ」 「それをいうなら御社の新薬の長期安全性はもっと確立していないんじゃないんですか」 「……」 こういう事を言うから業界で嫌われるのだが、要するに論理には一貫性が必要なのだ。AにはアプライするけどBにはしない、とアドホックにロジックを適用する人は論理的なのではなく、いわゆる東大論法がお好きなだけなのだ
No.5174 (2023年06月24日発行) P.56 榎木英介 (一般社団法人科学・政策と社会研究室代表理事) 登録日: 2023-06-13 最終更新日: 2023-06-13 2023年6月、SNS上を席巻している医療漫画をご存知だろうか。 その名も「脳外科医 竹田くん」。架空の市「赤池市」にある市民病院が舞台になっている。脳外科医の「竹田くん」が医療事故を連発し、騒動になる顛末が描かれており、現在(2023年6月12日)も連載中だ。 この漫画の舞台がある医療事故の事例に酷似していると言われている。兵庫県の赤穂市にある赤穂市民病院で起こった事例だ。 実は私は、フリーランスの病理医になる直前にこの病院に勤務していた。部署が違い把握していなかったが、医療事故が起こった時期に在籍していたのだ。私自身は事故を知らずに2020年3月末で退職したが、まさかこのようなことが起きていたとは知らず忸
【識者の眼】「科学的であること 人道的であること」岩田健太郎 No.5173 (2023年06月17日発行) P.63 岩田健太郎 (神戸大学医学研究科感染治療学分野教授) 登録日: 2023-06-07 最終更新日: 2023-06-07 「終末期の患者でもコロナで面会できない。感染防御のことばかり考えていて家族が寄り添う時間が奪われてる」という批判を目にした。 事実はこれとはまったく異なる。 我々専門家はどのように家族が面会できるかを考え続けた。たとえば家族内クラスターから患者が発生したときには家族は全員、「今」感染する可能性はほぼゼロなわけで、なんならマスクなしで顔を合わせてお看取りだってできるのだ。実際、そういう提案をしたこともある。感染防御のことを科学的に考え抜くからこそ、合理的な「家族と寄り添う時間」が持てる。 しかし、こういうときに、けんもほろろに断ってくるのは感染症を専門と
2022.02.04 「マイページ」が使いやすく変わりました!(シリアル登録、コンテンツ検索がスムースに) 2類が5類になりました。とはいえ、そもそも2類は2類じゃない。指定医療機関なんてガン無視だし、入院勧告なんてもはややってないし、全数報告もしていない。こんなの全然、2類じゃない。ニセ2類だ。 5類になったからといって、大きな変化が生じるわけじゃない。入院が必要なら入院はするだろうし、報告する点では2類と同じだ。いきなり高額なコロナの薬を3割負担、というのは現実的じゃないから、どのみち公費負担は継続される。こちらも5類のふりをした、ニセ5類だ。 ニセ2類からニセ5類になっても、医療現場は大きくは変わらない。おそらく一番困るのは救急隊とその周辺だろう。コロナ診療の空床補填はなされなくなり、感染防御に人的、金銭的コストのかかるコロナの診療を断る医療機関は変わらず多いことが予想される。「5類
わが国の統合失調症研究・治療をリードしてきた精神病理学者で神戸大名誉教授の中井久夫氏が8日、肺炎のため死去した。88歳だった。 兵庫県こころのケアセンター長の頃の中井久夫氏 中井氏は奈良県出身。京大法学部から同大医学部に転部し1959年に卒業。東大講師、名古屋市立大助教授などを経て、80年神戸大精神神経科教授。2004年兵庫県こころのケアセンター長。 神戸大教授時代の1995年1月に阪神・淡路大震災を経験、精神神経科医局の陣頭指揮を執り被災者の心のケアに尽力した。この時の体験をまとめた『1995年1月・神戸─「阪神大震災」下の精神科医たち』(みすず書房)が話題となり、被災者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)や精神科を中心とする救急医療体制の議論に大きな影響を与えた。 『精神科治療の覚書』(日本評論社)、『分裂病と人類』(東京大学出版会)、『治療文化論』(岩波書店)など精神医学関連の著書の
梅雨に入り、気温が上昇し、連日真夏日となる地域も出てきた。全国各地の小中学校で集団熱中症が発生し、同時に多人数が搬送されたことが報道されている。マスク着用により熱中症のリスクが高まるということで、昨年から厚生労働省はリーフレットを作成して対策に乗り出しており1)、マスコミ各社は熱中症に至った際にマスクの着用をしていたかどうかを積極的に報道している。熱中症対策を通してマスクOFFを根付かせようとする思惑があるのかもしれないが、個人的には悪手であると考えている。 まず、マスク着用で熱中症のリスクが高まると断言しているものの、どの程度リスクが高まるのかというエビデンスがなく、“何となくリスクっぽい”という状況でしかないという点が挙げられる。マスクと体温変化について研究された文献はいくつかある。例えば気温35℃、湿度65%の環境で30分間の運動負荷をして、直腸、外耳、顔面の温度を調べた研究では、マ
[緊急寄稿]COVID-19は空気感染対策に注力を(向野賢治 ほか) No.5125 (2022年07月16日発行) P.30 向野賢治 (福岡記念病院感染制御部長) 原 宏 (東京農工大学名誉教授) 登録日: 2022-06-28 最終更新日: 2022-07-07 Point COVID-19は主に空気感染によって起こる。空気感染の公式に基づいて感染対策を考えよう。そのためには換気設備・器具にもっと資源を集中すべきである Fomite(物・環境表面)からの感染はほとんどない。過剰な消毒は再検討すべきである 接触・飛沫感染対策に空気感染対策を追加するのではなく,空気感染対策へシフトしよう。そのためには,建築・理工学系を含めた専門家集団によるCOVID-19空気感染対策の実践ガイドラインの作成が望まれる はじめに わが国がコロナ禍に巻き込まれて2年半が過ぎようとしているが,国民は今なお息苦
こういう日本の報道は貴重だが、不満がある。それは元論文へのリンクがないことだ。この場合もネットであれこれ検索して、ようやく著者たちが大学のホームページで発表した研究内容2)に行き着き、ここから元論文3)を探し当てることができた。 こういう医学系の研究発表が報道されたとき、もしそれが僕の興味を引くトピックであれば、僕は必ず元論文を参照することにしている。報道はしばしばミスリーディングだったり、針小棒大だったりするからだ。それは、特に日本のメディアに共通する問題で、海外の(僕が読むことができる範囲で、だが)報道はもっと内容がしっかりしていることが多い。率直に申し上げて日本の科学報道はかなりお粗末なことが多い。 1つには、記者にクリティークが足りない。たとえば、記事では失業率の推移が自殺件数の推移に似ている、として、失業が自殺の増加に寄与しているのではないか、という研究者の仮説を紹介している。
討論 Pro×Proでは、医療現場が直面する問題や臨床医の間で関心が高いテーマについて、専門家同士による討論・意見交換をお届けします。 今日のテーマは「新型コロナ後遺症はここまで改善できる!」。昭和大学病院病院長の相良博典先生、ヒラハタクリニック院長の平畑光一先生にディスカッションいただきます。 (2021年12月23日より全3編で配信中の対談を一挙にご視聴できる全体版です) (視聴時間23分・2021年11月30日収録) 新型コロナウイルスの新規感染者数は大小の波を繰り返すのに対し、新型コロナの後遺症は、遅れて発症するケースや症状が長期にわたるケースもあるため患者数が一貫して増え続けている。 本企画では、地域の基幹病院として新型コロナ感染症に対応する昭和大学病院(東京・品川区)の相良博典病院長と、コロナ後遺症外来で多くの患者を受け入れ最新情報を発信し続けるヒラハタクリニック(東京・渋谷区
結論を申せば、「稼いだ時間はほとんど無為に使われた」だ。この間、注力すべきは3回目のワクチン、ブースターだ、と申し上げてきたが、本稿執筆時点で想定対象者の16%しか接種を受けていない(https://news.yahoo.co.jp/articles/c41094fdaed474f0659e1d9d8e5183b0e343f12a)。まったくうまくいかなかったのだ。「水際作戦」では積極姿勢を示し、「違い」を見せようとした岸田内閣。前回、「アルファもデルタもあっという間に国中に広がってしまった。オミクロンもそうならないことを祈っている」と書いたが、オミクロンもまた、あっという間に国中に広がってしまった。というわけで水際作戦、大失敗だったと言わざるをえない。 覆水盆に返らず、で、広がってしまったウイルスを抑え込むのは困難だ。政府は慌てて「マンボウ」の実施をたくさんの自治体に適用させたが、そもそ
未だに会議、会合のときに「現地で対面で」と要請されることがある。役所関係が多い。 コロナ以前の時代には移動のために膨大な時間を犠牲にしていた。例えば、東京への往復は新幹線を使っても、飛行機を使っても、だいたい神戸の自宅から往復で7時間とかそれ以上かかる。これは膨大な時間のロスだ。コロナ以前から宿泊を要する出張は極力断ってきたが、もしそれでも宿泊が必要な場合は24時間以上のタイムロスになる。 もちろん、新幹線の中でもWi-Fiはあるし、仕事もできる。しかし、車内での仕事はオフィスや自宅での仕事よりも生産性は落ちる。机は小さいし、Wi-Fiは遅いし、いざというときに取り出せる書棚も傍らにはない。オフィスのコンピュータはデスクトップで2画面使っているからマルチタスクが容易だが、ノートブックパソコンではこのような作業は簡単ではない。ちょっと迷ったときに相談できる人もいない。日本では車内で電話もしづ
それも当然だ。デルタ株そのものが2020年10月にインドで初めて見つかったのだ。日本など先進国で見つかり流行するようになったのもごく最近のことで、日本では今年5月に初めての感染者が確認された(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210806/k10013183971000.html)。感染経路や毒性など、ウイルス学的、疫学的属性が明確になるにはまだしばらく時間がかかるだろう。 8月28日にThe Lancet Infectious Diseasesに発表された英国の疫学データでは、デルタ株の感染は英国由来のアルファ株に比べ、救急外来受診や入院のリスクが増すことが示唆された。重要な知見だ(Twohig KA,et al:Lancet Infect Dis.Published:August 27,2021 DOI:https://doi.org/10.1016
2022.02.04 「マイページ」が使いやすく変わりました!(シリアル登録、コンテンツ検索がスムースに) 【識者の眼】「新型コロナ感染拡大の中で企業の安全配慮義務と事業継続計画の見直しを」和田耕治 新型コロナの感染拡大が止まらない状況だが、お盆休みが終わり、企業も再開するところが多い。東京都では、感染者が企業内で出ても積極的疫学調査で訪問することはできない状態になっており、同様の状態は他の地域でも生じている。今後は企業で感染者が出た場合には対応を自分たちで考えなくてはならなくなっている。 これまでとは状況が異なっていることを、産業医だけでなく企業の経営者も理解する必要がある。 8月11日に開催された厚生労働省のアドバイザリーボードでも、今後必要な対策として「職場での感染防止策の強化、会議の原則オンライン化とテレワーク推進(特に基礎疾患を有する方や妊婦など)、有症状者の出社の自粛などを徹底
2022.02.04 「マイページ」が使いやすく変わりました!(シリアル登録、コンテンツ検索がスムースに) この1年、SNSで論争が繰り広げられているテーマの1つに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するイベルメクチン」がある。先に書いておくが、2021年8月9日時点での結論としては、コクランレビューによれば「COVID-19の予防・治療に対する使用を支持しない」というのがユニバーサルコンセンサスである1)。 この一件で、医学生に「EBMとは何か」というテーマで1時間の講義ができるくらい、良い点・悪い点の縮図が観察された。 疥癬に対するイベルメクチンが有効であることは疑いようがないが、これがCOVID-19となると一からエビデンスを作らなければならない。しかし、計画から論文化までお粗末なものが多く、ひどいものでは捏造を指摘されて撤回されたものもある。 査読前論文をデータベース
既に155人の感染者が確認されている(https://www.asahi.com/articles/ASP7W3RGVP7WUTIL00N.html?iref=comtop_7_03)。ブラジルで行われたサッカー大会では179人の感染者が発生し、感染対策の不備が批判されたが、その数を追い抜いてしまいそうな勢いだ(https://www.thehindu.com/sport/football/copa-america-ends-with-179-confirmed-cases-of-covid-19/article35293923.ece)。 「安心、安全のオリンピック」と関係各氏があれだけ連呼していた五輪だが、いざ始まってしまうと、「いやー、盛り上がってるねえ、イエイ。安心、安全? そんなの二の次だよ」という関係各氏のホンネが聞こえてきそうだ。 「いやいや、サッカーという単独競技とたくさん
ワクチンで接種部位の腫脹や接種後の発熱の程度と,ワクチンの効力に関連はあるのでしょうか。副反応が強く出たほうが効力があると言われることがありますが,この説にエビデンスはあるのでしょうか。 (千葉県 K) 【回答】 【ワクチンの副反応と効果は別々の機序により生じる】 ワクチンの副反応の程度と効果の関連を示すデータはありません。確かに,ワクチンの副反応である接種部位の腫脹,発赤,痛みが強く出たり,発熱すれば,接種したワクチンに個体がより反応している印象を持ちますが,それらの反応は,ワクチン抗原を接種した際に惹起される宿主の自然免疫による局所のサイトカインの誘導などによって起こります。しかしながら,その反応は,ワクチンの効果とは相関しません。 ワクチンの効果は,ワクチン抗原が樹状細胞によって所属リンパ節に運ばれ,そこで起こる獲得免疫反応によって決定されます。そこでは,樹状細胞上に存在するToll
No.5074 (2021年07月24日発行) P.58 本田秀夫 (信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授) 登録日: 2021-06-29 最終更新日: 2021-06-29 社会的入院は精神科医療や高齢者医療で長く問題となってきた。近年では小児科領域でも、身体的虐待を受けた子どもが傷などの治療を終えても家庭に戻せず、入院を継続せざるを得ないことがあると指摘されている(石崎優子,他:医事新報.2016:4826;18-20.)。 児童精神科でも、社会的入院を余儀なくされることがある。15歳以下の子どもで精神科の入院治療の対象となるのは、家庭や学校生活における対人関係がうまくいかないことに端を発した身体や行動・情緒の問題であることが多い。家庭が本人にとって安心できる居場所になっていないと、心身の症状が改善してもすぐに家庭に戻すことが難しい。保護者が子どもを引き取ることに抵抗を示す
【識者の眼】「“バブル”の概念理解ができていない」岩田健太郎 No.5071 (2021年07月03日発行) P.57 岩田健太郎 (神戸大学医学研究科感染治療学分野教授) 登録日: 2021-06-25 最終更新日: 2021-06-25 丸川珠代五輪相が、入国したウガンダ代表に発生した新型コロナ感染について「対応に問題なし」という認識を示した。「検疫で引っ掛かった方も、そのままバブルの中に入ったままの状態で、待機すべき場所に行っていただく」のだそうで、これには驚いた(https://news.yahoo.co.jp/articles/04fe92f6d95c4d4340d13765c3df1187f2548faf)。 一般的に日本の政治家の科学的リテラシーは低い。だから、丸川大臣が新型コロナについての知識理解が十分でなかったとしても驚くべきではない。が、このような記者会見では当然担当官
【識者の眼】「コロナ禍のTwitter─ナッジ理論の後押しと抑うつ傾向」倉原 優 No.5071 (2021年07月03日発行) P.63 倉原 優 (国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科) 登録日: 2021-06-15 最終更新日: 2021-06-15 医療SNSというテーマでコラムを書いているが、東京都健康長寿医療センター研究所からある研究が発表された1)。SNSの利用状況と精神的健康度を解析したところ、Twitter利用者では精神的健康度が低かったというものだ。私は俗にいう「ツイ廃」(Twitter廃人の略語)と呼ばれる人間だが、残念ながら精神的に不健康ということになる。 研究グループは、ランダムに抽出した2万人以上に住民調査を行い、LINE、Facebook、Twitter、Instagramの使用頻度と精神的健康度との関連を調べた。回答を分析すると、18〜39歳ではInst
日本では予防接種の規模を拡大したり、スピードを上げたりという歴史を殆ど持たない。日本の予防接種制度は「仕組み」を役人が作り、あとは自己責任でやってくださいね、という非常に消極的なものだったのだ。しかし、五輪を目前に控え、ワクチンがほぼ唯一のゲームチェンジャーであることが明らかになり、五輪開催までには死亡リスクの高い高齢者のワクチン接種をできるだけ進めたい、という明確な意図が定まり、その意図から逆算されてスピードアップの施策が全方向的に行われている。従来、役所は一度作った書類を訂正するのに多大な努力と無意味な時間を浪費していたが、ワクチン接種のスピードを落とすと批判された予診票はあっさり改定された(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_yoshinhyouetc.html)。やればできるのだ。菅首相と河野担当大臣のリ
2022.02.04 「マイページ」が使いやすく変わりました!(シリアル登録、コンテンツ検索がスムースに) 【識者の眼】「もし、オリパラのためにJ国のT市に選手を送るなら」和田耕治 東京オリパラでの感染対策を考えるにあたって、視点をちょっと変えてみる。あるアジアのJ国T市へ、我が国から選手を送ると想定して対策を考える。 まず大事なことは、我が国の選手が現地で感染しないことである。事前にワクチン接種をできるだけ多くの選手に行うが、接種ができない、または希望しない選手をどうするかが課題となる。ワクチンの効果を説明して接種をしてもらうようにするしかないであろう。選手にはワクチン接種の証明書を持たせる。 ボディコンタクトが多い競技では、相手はワクチン接種をしているのか、または検査をして陰性であることは確認できているのか、などの情報をどのように知らされるのだろうか。検査を毎日行うということであるが、
2022.02.04 「マイページ」が使いやすく変わりました!(シリアル登録、コンテンツ検索がスムースに) ためこみ症とは?【無秩序かつ過剰な収集,廃棄に対する嫌悪・整頓の欠落などを特徴とする強迫性障害】 「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」で新たに使い始められた「ためこみ症」(hoarding disorder:HD)の病態についてご教示下さい。なお,「収集」(collection)ではなく,「ためこみ」(hoarding)という語が用いられている理由も併せてお願いします。 (大分県K) 【回答】 HDは,実際の価値にかかわらず,「ものを所有していたい」という欲求とともに,それを捨てることに関連した苦痛により,ためこんでしまう行為を主な特徴とします。ためこんだ物品は通常の生活が行えないほど,生活空間を制限するものであり,clutter(取り散らかり),すなわち関連のない多くの物
2022.02.04 「マイページ」が使いやすく変わりました!(シリアル登録、コンテンツ検索がスムースに) 1998年京都大学医学部卒業。2002年北海道家庭医療学センターでの家庭医療研修を修了。以後,各地の診療所等に勤務。2017年検疫官に任官。 1. 新型コロナワクチン接種開始にあたって 2020年1月10日に中国保健当局が新型コロナウイルス遺伝子の全塩基配列を公表したその日から,世界中でワクチン開発レースが始まった。それからわずか11カ月後の同年12月に,ファイザー社1)(米国),モデルナ社2)(米国),アストラゼネカ社3)(英国)が相次いで英文査読誌に治験第3相の論文を掲載した。いずれも驚くべき高さの効果と安全性が示されており,世界はワクチンによる新型コロナ収束に光明を見出すこととなった。 しかし,「ウイルス遺伝子を人体に接種する」という新規の技術による開発であり,医師医療職の間で
日本医事新報 No.3706(1995年5月6日発行)掲載 聖路加国際病院サリン患者診療報告会から〔抜粋〕 日野原重明(聖路加国際病院院長) 〔1995年〕3月20日午前8時半、幹部会の会議中に消防署から地下鉄での大爆発事故があったとの報が当院救急センターに届き、8時40分には院内放送で救急センターへ医師集合の要請がなされた。私がセンターに降りた時、多数の医師が既に救急患者を迎えに入っていたが、相続く救急車の患者搬送をみて、私はここで多数の患者の入院に対応するために陣頭指揮をした。救急センターの配置医は3名の心肺機能停止患者の蘇生処置に専念していたので、櫻井〔健司〕副院長には患者の振り分け(トリアージ)の指揮を命じ、専任事務職をつけ、外来診療は中止の掲示を出し、麻酔のかかった手術患者を除く予定手術の中止指令を出した。 三上〔隆三〕副院長と、井部〔俊子〕副院長(看護部長)には、続々入院する患
No.5045 (2021年01月02日発行) P.57 狩野繁之 (国立国際医療研究センター研究所熱帯医学・マラリア研究部部長/日本熱帯医学会理事長) 登録日: 2021-01-02 ウィズコロナの時代を憂い、早くポストコロナの時代を語りたい医学者/社会・経済学者が私の周りには溢れている。しかしながら、私が専門としている熱帯地域の感染症領域では、やはりエイズ、結核、マラリアが先に対応すべき疾患であり、“顧みられない熱帯病”の数々も猖獗を極めている。COVID-19の疾病負荷なんて、熱帯アフリカの住民にとっては二の次、三の次の場合も多い。それどころか、私の近年の研究フィールドとなっているラオス国の感染者数は24人、死亡者数はゼロ(2020年10月末現在)で、首都のヴィエンチャンでさえマスクをする人はいない。西太平洋で最もマラリアの流行度の高いソロモン諸島国では(同国のマラリア対策にも、小職
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