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大そうじへの備え
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東アジアの少子高齢化と地政学 ―― 世界政治はどう変化するか ニコラス・エバースタット アメリカン・エンタープライズ研究所 政治経済チェア East Asia’s Coming Population Collapse: And How It Will Reshape World Politics Nicholas Eberstadt アメリカの政治・経済学者で、アメリカン・エンタープライズ研究所の政治経済担当チェア。専門は人口動態、開発政策、アジアの安全保障、朝鮮半島問題、グローバルヘルスなど。フォーリン・アフェアーズでは、これまでも以下を含む、数多くの分析を発表している。「人口動態と未来の地政学―― 同盟国の衰退と新パートナーの模索」(2019年7月号) 「先進国だけではない、新興国の少子化で世界経済の成長は減速する」(2010年10月号)、「ユーラシアに迫りくるHIVの脅威――人的犠牲
民主国家インドという幻想 ―― 利益は共有しても、価値は共有していない ダニエル・マーキー 米平和研究所 シニアアドバイザー(南アジアプログラム) India as It Is: Washington and New Delhi Share Interests, Not Values Daniel Markey 米平和研究所南アジアプログラム上級アドバイザー。米国務省政策企画部スタッフ(2003―2007年)。専門は南アジアと中国。最近の著書にChina's Western Horizon: Beijing and the New Geopolitics of Eurasiaがある。
プーチンを支えるイワン・イリインの思想 ―― 反西洋の立場とロシア的価値の再生 アントン・バーバシン インターセクションプロジェクト マネージング・ディレクター ハンナ・ソバーン ハドソン研究所 非常勤フェロー リサーチアソシエーツ Putin's Philosopher ―― Ivan Ilyin and the Ideology of Moscow's Rule Anton Barbashin在モスクワ国際関係研究者で、インターセクションプロジェクトのマネージング・ディレクター。 Hannah Thoburn ハドソン研究所 非常勤フェローで、米フォーリン・ポリシー・イニシアティブのユーラシア分析担当者。 イワン・イリインは歴史上の偉大な人物ではない。彼は古典的な意味での研究者や哲学者ではなく、扇動主義と陰謀理論を振りかざし、ファシズム志向をもつ国家主義者にすぎなかった。「ロシアのよう
新型コロナの不都合な真実 ―― 永続化するウイルスとの闘い ラリー・ブリリアント パンディフェンス・アドバイザリーCEO リサ・ダンジグ パンディフェンス・アドバイザリーのアドバイザー カレン・オッペンハイマー グローバルヘルス戦略&オペレーションアドバイザー アガストヤ・モンダル カリフォルニア大学バークレー校博士課程(伝染病学、計算生物学) リック・ブライト 前米連邦厚生省副次官補(準備・対応担当) W・イアン・リプキン コロンビア大学教授(感染症学)で同大学付属感染症・免疫センターのディレクター。 The Forever Virus A Strategy for the Long Fight Against Larry Brilliant 伝染病学者で、COVID19へ組織の対応をアドバイスする企業、パンディフェンス・アドバイザリーのCEO。スコール財団シニアカウンセラー。
流れは米中二極体制へ ―― 不安定な平和の時代 イェン・シュエトン(閻学通) 清華大学特別教授(国際関係論) The Age of Uneasy Peace Chinese Power in a Divided World Yan Xuetong 清華大学 特別教授(国際関係論)で、同大学国際関係研究院 学院長。 いまや問うべきは、米中二極体制の時代がやってくるのかどうかではなく、それがどのようなものになるかだ。米中二極体制によって、終末戦争の瀬戸際の世界が出現するわけではない。自由貿易を前提とするリベラルな経済秩序を重視しているだけに、今後の中国の外交政策は、積極性や攻撃性ではなく、慎重さを重視するようになるだろう。ほとんどの諸国は、問題ごとに米中どちらの超大国の側につくかを決める2トラックの外交政策を展開するようになり、これまでの多国間主義は終わりを迎える。欧米におけるナショナリスティ
ベネズエラの自殺 ―― 南米の優等生から破綻国家への道 モイセス・ナイーム カーネギー国際平和財団特別フェロー フランシスコ・トロ グループ・オブ・フィフティ 最高コンテンツ責任者 Venezuela’s Suicide Lessons From a Failed State Moises Naim ベネズエラの貿易産業大臣、フォーリンポリシー誌の編集長などを経て、現在はカーネギー国際平和財団特別フェロー。スペイン紙エル・パイス主任国際コラムニスト、アトランティック誌コントリビューティングエディターも務めている。 Francisco Toro グループ・オブ・フィフティ最高コンテンツ責任者、カラカス・クロニクルズ(ブログニュースサイト)創設者、ワシントンポスト紙グローバルオピニオン・コラムニスト インフレ率が年100万%に達し、人口の61%が極端に貧困な生活を強いられている。市民の89%が
マルキスト・ワールド ―― 資本主義を制御できる政治形態の模索 ロビン・バーギーズ オープンソサエティ財団・経済促進プログラム アソシエートディレクター Marxist World What Did You Expect From Capitalism? Robin Varghese オープンソサエティ財団・経済促進プログラム アソシエートディレクター(エンゲージメント担当)。3クォークデイリー エディター 共産主義モデルを取り入れた国が倒れ、マルクスの政治的予測が間違っていたことがすでに明らかであるにも関わらず、その理論が、依然として鋭い資本主義批判の基盤とされているのは、「資本主義が大きな繁栄をもたらしつつも、格差と不安定化をもたらすメカニズムを内包していること」を彼が的確に予見していたからだ。欧米が20世紀半ばに社会民主的な再分配政策を通じて、資本主義を特徴づけたこれらの問題を一時的
欧米経済の衰退と民主的世紀の終わり ―― 拡大する「権威主義的民主主義」の富とパワー ヤシャ・モンク ハーバード大学講師(行政学) ロベルト・ステファン・フォア メルボルン大学講師(政治学) The End of the Democratic Century: Autocracy’s Global Ascendance Yascha Mounk ハーバード大学講師(行政学)。近くThe People vs. Democracy: Why Our Freedom Is in Danger and How to Save Itを出版予定。 Roberto Stefan Foa メルボルン大学講師(政治学)、エレクトラル・インテグリティー・プロジェクトのフェロー 北米、西ヨーロッパ、オーストラリア、そして日本という、第二次世界大戦後にソビエトに対抗して西側同盟を形成した民主国家は、19世紀末以
北朝鮮のもう一つの脅威 ―― 日韓の原発施設に対する攻撃に備えよ ベネット・ランバーグ 元国務省分析官 North Korea’s Other Nuclear Threat: Why We Have More to Fear than Just Bombs Benett Ramberg ジョージ・H・W・ブッシュ政権期の国務省政治・軍事局で政策アナリストを務めた。著書にNuclear Power Plants as Weapon for the Enemyがある。 北朝鮮が日韓の原子力施設を攻撃すれば、何が起きるか。両国の政府はそれに備え、態勢を整えておかなければならない。これは想定外のシナリオではない。中東では建設中の原子炉をターゲットとする攻撃が起きているし、ボスニア紛争でも、インド・パキスタンの対立状況のなかでも、原子炉攻撃のリスクは意識されていた。原子力施設に対する北朝鮮のミサイル
北朝鮮に対する強硬策を ―― 外交やエンゲージメントでは問題を解決できない ジョシュア・スタントン 弁護士 サン=ヨン・リー タフツ大学フレッチャースクール 教授 ブルース・クリングナー ヘリテージ財団 シニアリサーチフェロー Getting Tough on North Korea Joshua Stanton ワシントンの弁護士。2016年北朝鮮制裁強化法の草案を中心になってまとめた。 Sung-Yoon Lee タフツ大学 フレッチャースクール教授(朝鮮半島研究) Bruce Kingsner ヘリテージ財団シニアリサーチフェロー(北東アジア担当) 金正恩は「父親と祖父が数十億の資金と数多くの人命をつぎ込んできた核の兵器庫を完成させることで、自分の政治的正統性が確立される」と考えている。仮に核の解体に応じるとすれば、体制の存続そのものを脅かすような極端な圧力のもとで、それに応じざるを
生産年齢人口の減少と経済の停滞 ―― グローバル経済の低成長化は避けられない ルチール・シャルマ モルガン・スタンレー インベストメント・マネジメント 新興市場・グローバルマクロ担当ディレクター The Demographics of Stagnation ――Why People Matter for Economic Growth Ruchir Sharmaモルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント・新興市場・グローバルマクロ担当ディレクター。著書The Rise and Fall of Nations: Forces of Change in the Post-Crisis World がアメリカでは6月に刊行予定。 労働人口、特に15―64歳の生産年齢人口の増加ペースが世界的に鈍化していることは否定しようのない事実だ。生産年齢人口の伸びが年2%を下回ると、その国で10年以
すでに権力ポストにある以上、トランプがそのアジェンダに取り組んでいくにつれて、リベラルな民主主義はさらに衰退していく。リベラルな国際秩序を存続させるには、この秩序をいまも支持する世界の指導者と有権者たちが、その試みを強化する必要があり、その多くは、日本の安倍晋三とドイツのアンゲラ・メルケルという、リベラルな戦後秩序を支持する2人の指導者の肩にかかっている。・・・(アイケンベリー) 中国とロシアに代表される権威主義的な資本主義国家が、近代性の進化をめぐってリベラルな民主主義の代替策を提示することになるかもしれないし、グローバル経済に自分のルールで関与するようになるかもしれない。リベラルな民主主義が、最終的に勝利を収めるという保証はどこにもなく、権威主義的資本主義がリベラルな民主主義に代わる魅力的な選択肢とみなされるようになる可能性もある。(ガット) ポピュリズムは、タフさとナショナリズム、さ
トランプから国際秩序を守るには ―― リベラルな国際主義と日独の役割 G・ジョン・アイケンベリー プリンストン大学教授(国際関係論) The Plot against American foreign policy ―― Can the Liberal Order Survive? G.John Ikenberry アメリカの政治学者で、現在はプリンストン大学教授(政治学、国際関係論)。ジョージタウン大学、国務省、ブルッキングス研究所を経て現職。戦後秩序に関する論文を数多く発表している。フォーリン・アフェアーズには「民主国家連合の可能性――第2のX論文を求めて」(2007年1月号掲載)、「アメリカ後の世界秩序―― 中国による新秩序模索も文明の衝突も起きない」(2011年6月号掲載)などを寄稿している。 古代より近代まで、大国が作り上げた秩序が生まれては消えていった。秩序は外部勢力に粉砕され
悪いのはロシアではなく欧米だ ―― プーチンを挑発した欧米のリベラルな幻想 ジョン・ミアシャイマー シカゴ大学教授 Why the Ukraine Crisis Is the West's Fault ―― The Liberal Delusions That Provoked Putin John J. Mearsheimer アメリカの政治学者で、シカゴ大学教授(政治学)。リアリストの国際政治分析者として広く知られる。スティーブン・ウォルトとの共著「イスラエルロビーとアメリカの外交政策」はアメリカでベストセラーになった。最近の著著にWhy Leaders Lie: The Truth About Lying in International Politics (2011)がある。 ロシアの高官たちはワシントンに対してこれまで何度も、グルジアやウクライナを反ロシアの国に作り替えることも、
司法や治安サービスなどの権力の中枢を握るポジションに忠誠を尽くす人材を配し、メディアを買い上げることでその影響力を中和し、メディアを縛る法律を成立させ、検閲システムを導入する。この戦略がとられると、実際には民主主義が解体されているかどうかを見極めにくくなる。この狡猾さが、21世紀の民主主義に対するもっとも深刻な脅威を作り出している。(テイラー、フランツ) ファシストが台頭した環境は現在のそれと酷似している。19世紀末から20世紀初頭のグローバル化の時代に、資本主義は西洋社会を劇的に変貌させた。伝統的なコミュニティ、職業、そして文化規範が破壊され、大規模な移住と移民の流れが生じた。現在同様に当時も、こうした変化を前に人々は不安と怒りを感じていた。・・・ポピュリズムの台頭は、民主主義が問題に直面していることを示す現象にすぎない。だが、民主的危機への対応を怠れば、ポピュリズムはファシズムへの道を
イスラム国の黄昏 ―― 離脱したシリア人元戦闘員たちへのインタビュー マラ・レブキン / イエール大学ロースクール博士課程 、アハマド・ムヒディ / ジャーナリスト Why Syrian are Abandoning the Group Mara Revkin イエール大学ロースクール博士課程。 Ahmad Mhidi シリアのジャーナリストで、隔週誌Ayn al Madiaのエディター。 イスラム国を後にするシリア人戦闘員が増えている。2016年3月だけでも、数百人のイスラム国戦闘員がラッカやアレッポを離れて、戦線離脱したと考えられており、その多くがシリア人だ。離脱後、穏健派の自由シリア軍(FSA)に参加する者もいれば、紛争から離れようと、国境を越えてトルコやヨルダンに向かう者もいる。シリアのイスラム国は、現地社会や地勢などをめぐるインサイダー情報をめぐってシリア人メンバーに多くを依存し
原爆投下は何を問いかける? バートン・J・バーンスタイン スタンフォード大学歴史学教授 The Atomic Bombings Reconsidered 原爆が戦争終結の時期を早めたという議論の根拠はとぼしく、「たとえ原子爆弾を投下していなくても、ソビエトの参戦によって、十一月前には日本は降伏していたかもしれない」。加えて、米国の指導者のなかで、一九四五年の春から夏の段階において、「五十万の米国人(将兵)の命を救うために」原爆を使用すべきだと考えていた者など一人としていなかった。広島や長崎への原爆投下を可能にしたのは、二十億ドルもの資金を投入したプロジェクトのもつ政治的・機構的勢い、そして、第二次大戦の熾烈な戦闘を通じて、(市民を戦闘行為に巻き込まないという)旧来の道徳観が崩れてしまっていたからにほかならない。この道徳観の衰退こそ、後における核兵器による恐怖の時代の背景を提供したのである。
日本を抑え込む「シルバー民主主義」 ―― 日本が変われない本当の理由 アレクサンドラ・ハーニー 前外交問題評議会インターナショナルフェロー Japan's Silver Democracy ―― The Cost of Letting the Elderly Rule Politics Alexandra E.Harney ロイターの中国担当特派員(special Correnpondent)。フィナンシャル・タイムズ紙記者、米外交問題評議会インターナショナル・フェロー(日立フェロー)などを経て現職。The China Price『中国貧困絶望工場』(日経BP社)の著者。 日本社会は急速に高齢化している。そして高齢者たちには、政治家が現行の社会保障システムに手をつけるのを認めるつもりはない。だが、高齢社会に派生する問題に向き合うのを先送りすればするほど、その経済コストは大きくなる。これが日
オバマは広島を訪問すべきなのか ―― 感情と理念と政治 ジェニファー・リンド ダートマス・カレッジ准教授 The President Path to Hiroshima ―― An Obama Apology to Japan? Jennifer Lind ダートマス・カレッジ准教授。著者にSorry States: Apologies in International Politicsがある。フォーリン・アフェアーズにはこれまでに「日本の歴史認識と東アジアの和解を考える――反動を誘発する謝罪路線の危うさ」を発表している。 日本人の多くは、米大統領が被爆地を訪問することで、アメリカが原爆使用という過去と正面から向き合う機会が作り出されることを願っている。すでにホワイトハウスは、日本の市民グループ、軍縮運動家、子供たちなどから、オバマ大統領の広島訪問を希望する手紙を何千通も受けとっている。大
長期停滞を恐れるな ―― 重要なのはGDPではなく、生活レベルだ Learning to Love Stagnation ―― Growth Isn't Everything―Just Ask Japan 先進国は依然としてデフレから抜け出せずにいる。中国は(投資主導型経済から)消費主導型経済への先の見えない不安定な移行プロセスのさなかにある。しかも、所得格差の危険を警告する声がますます大きくなり、経済の先行きが各国で悲観されている。だが、この見立ては基本的に間違っている。GDP(国内総生産)はデジタルの時代の経済を判断する適切な指標ではないからだ。GDPに議論を依存するあまり、世界的に生活コストが低下していることが無視されている。生活に不可欠な財やサービスの価格が低下すれば、賃金レベルが停滞しても、生活レベルを維持するか、向上させることができる。デフレと低需要は成長を抑え込むかもし
ギリシャ危機の虚構 ―― 救済対象はギリシャではなく、独仏の銀行だった A Pain in the Athens 2010年に危機が起きるまでに、フランスの銀行がユーロ周辺諸国に有する不良債権の規模は4650億ユーロ、ドイツの銀行のそれは4930億ユーロに達していた。問題は、ユーロゾーン中核地域のメガバンクが過去10年で資産規模を倍増させ、オペレーショナルレバレッジ比率が2倍に高まり、しかも、これらの銀行が「大きすぎてつぶせない」と判断されたことだ。これらの銀行が各国の国債を手放せば、債券市場が大混乱に陥り、ヨーロッパ全土で銀行破綻が相次ぐ恐れがあった。要するに、EUはギリシャに融資を提供することで、ギリシャの債権者であるドイツとフランスの銀行を助けたに過ぎない。ギリシャはドイツとフランスの銀行を救済する目的のための道筋に過ぎなかった。なかには、90%の資金がギリシャを完全に素通りしてい
リビアのカダフィ政権崩壊後、2011年半ばまでに3万のリビア人がイタリアのランペドゥーザ島へと押し寄せた。フランス当局は、移民たちが(イタリアを経由して)フランスに入国するのを阻止しようと、イタリアとの国境線を一方的に閉鎖した。2014年には、地中海を経てヨーロッパへ向かう難民の数は20万を超えるようになり、その途上で犠牲になる人々も3500人に達した。だが、リビアで拠点を築きつつあるイスラム国がヨーロッパを南から脅かす危険が生じているために、ヨーロッパは、アフリカからの難民流入を「対処すべき人道危機」としてではなく、むしろ封じ込めるべきリスクとみなしている。このまま、ヨーロッパがボート難民を受け入れる方法を見出せなければ、地中海は再びヨーロッパの安定を脅かすアキレス腱になる。開放的国境線という近代ヨーロッパの中核理念が、困窮する難民たちによって変化していくとすれば、転覆したボートが、ヨー
米外交問題評議会シニアフェロー ジョージ・メイソン大学教授 米外交問題評議会シニアフェロー 元米大統領特別補佐官(国家安全保障会議) イランが支援するシーア派の過激派組織が勢いを増しているとみなされるようになれば、ますます多くのスンニ派が危機感を抱き、イスラム国に結集するという悪循環が存在する。・・・極論すれば、中東世界における過激派勢力とはイランのアルクッズ旅団とスンニ派のイスラム国だ。この二つの集団は相手が攻勢と影響力を強めれば、自分たちの影響力も強化できる奇妙な共生関係にある。(M・ブート) イラクでイスラム国が台頭し、シリアへと勢力を拡大できたのは、イラクのマリキ首相がスンニ派を冷遇し、シリアではアサドがスンニ派を弾圧したからだ。この意味では、確かに今後のスンニ派の扱いが、イスラム国を打倒する鍵になる。(J・デビッドソン) アメリカが中東で何を達成しようとしているかを理
米エリート大学の嘆かわしい現実 ―― 失われた人間教育と格差の拡大 Class and the Classroom ―― How Elite Universities Are Hurting America アメリカのエリート大学は若者に教養と規律を与える場ではなくなっている。大学は学部生を教える仕事を薄給の非常勤講師に任せる一方で、学生とはほとんど接することのない著名な研究者をリクルートすることに血道をあげている。経験が豊かで献身的な教員の指導のもとで、学生たちがさまざまな概念について意見を交換し、人生の目的を考え、それまで常識と考えてきたことに疑いを抱くような経験をさせるという役割はもはや重視されていない。親にも問題がある。いまや十代あるいはそれ未満の子供時代でさえ、名門大学に入るための激しい競争のなかにいる。・・・完璧な経歴づくりは、プレスクール選びから始まり、小中学校を通じて
<空洞化した自由シリア軍> シリア紛争を戦うさまざまな軍事勢力は一体何を目的に戦闘を繰り広げているのか。 当初はアサド政権に対するデモとして始まった民主化運動をシリア政府が弾圧したことで、デモは国内紛争そして内戦へとエスカレートしていった。そしていまやアサド政権のシリア軍、イスラム国、ヌスラ戦線、自由シリア軍が入り乱れて終わりなき戦闘が展開されている。 アサド政権は、シリア内戦は「外国政府による陰謀」によって引き起こされていると主張してきた。専門家の多くは、自由シリア軍と呼ばれるさまざまな軍事集団の一部にアルカイダ系メンバーが入り込んでいることを認めつつも、自由シリア軍の活動をアサド政権がなぜ「外国政府による陰謀」と呼ぶのか、疑問に感じてきた。(1) だが紛争におけるテロ組織の台頭とともに、皮肉にも、アサド政権の言い分が裏付けられつつある。バッシャール・アサドは3月号のインタビュー
単一通貨を共有しつつも、財政政策を共有していなければ、危機に直面した国は緊縮財政を実施せざるを得なくなる。だがその結果、GDP(国内総生産)はさらに大幅に縮小し、それに応じて債務は増えていく。これがまさに、最近のヨーロッパで起きていることだ。問題はドイツが主導するヨーロッパ当局がデフレの政治学を債務国に強要し、債権国の資産価値を守るために、債務国の有権者が貧困の永続化を支持するのを期待していることだ。どう見ても無理がある。このような環境では、本来は安定している国でも急進左派と急進右派が、われわれが考えているよりも早い段階で急速に台頭してくる。ギリシャの「チプラス現象」がヨーロッパの他の国で再現されるのは、おそらく避けられない。ルビコン川を最初に渡ったのはギリシャだったかもしれない。しかしその経済規模ゆえにゲームチェンジャーになるのは、おそらくスペインだろう。・・・
そこには二つの反政府武装勢力がいる。多数派はイスラム国とヌスラ戦線・・・。もう一つはオバマが「穏健派の反政府勢力」と呼ぶ集団だ。しかしこの勢力は穏健派の反政府勢力というよりも、反乱勢力だし、その多くがすでにテロ組織に参加している。そしてテロ集団は交渉には関心がなく、自分たちの計画をもっている。一方でシリア軍に帰ってきた兵士たちもいる。・・・紛争は軍事的には決着しない。政治的に決着する。・・・問題はトルコ、サウジ、カタールが依然としてこれらのテロ組織を支援していることだ。これらの国が資金を提供し続ける限り、障害を排除できない。・・・
約1000人のトルコ市民がイスラム国に、数百人がシリアのアルカイダ系組織・ヌスラ戦線に参加しているとメディアは伝えている。だが、トルコとシリアの国境管理がずさんであることを考慮すれば、こうした数字はトルコへのジハード主義の浸透、そしてリクルートの実態を過小評価している。驚くべきは、トルコからシリアへ向かったジハードの戦士の多くは、貧困に苦しむ、社会から隔絶された若者たちではないことだ。彼らは安定した家族のなかで育まれ、力強い共同体のネットワークのなかで暮らしてきた。どう考えても、トルコでは非常に特異的な何かが進行している。これは、公正発展党(AKP)が中核的な支持基盤にアピールし、より敬虔な社会を実現しようと、イスラム組織を資金援助したことと関係がある。イスラム主義の社会的活動が盛んになっただけでなく、そのなかで、過激主義も育まれてしまったのだ。・・・
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