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今年の「#文学」
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2月中旬から小児に特化して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の文献を読み、ブログ記事にし、noteにまとめるという作業を行ってきました。 開始当初は小児のデータが少なく、なかなか全体像が掴めませんでした。ここ最近は、幾分か情報が増えてきており、徐々に全体像がつかめてきています。 前回、4月上旬に小児の新型コロナウイルスのまとめ記事を記載しました。 [まとめ] 小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ver.12月中旬から小児に特化して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の文献を読み、ブログ記事にし、noteにまとめるという作業を行って... 今回は、そちらをアップデートさせた記事です。前回より、文献の数は15本ほど増えています。 2019年12月、中国の湖北省武漢市(人口900万人の都市、湖北省の人口は5800万人)で新たな感染症が発生しました。(1)新型コロナ
2月中旬から小児に特化して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の文献を読み、ブログ記事にし、noteにまとめるという作業を行ってきました。 開始当初は小児のデータが少なく、なかなか全体像が掴めませんでした。この記事の執筆時点(4/03)でも、データは十分とは言い難いですが、幾分か情報が増えてきています。 基本的にまとめはnoteのほうに記載していますが、文献を羅列した形式になっており「結局、どう解釈してよいか分からない」と思われる方もいるでしょう。 このため、ここで一旦、1ヶ月半の情報をまとめてみようと思います。 小児の新型コロナウイルス感染症について 2019年12月、中国の湖北省武漢市(人口900万人の都市、湖北省の人口は5800万人)で新たな感染症が発生しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群-コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)と
今、麻疹などの危険な感染症が世界規模で流行中です。そんな中、「予防接種は必ず受けるべき」「予防接種は受けなくていい」「予防接種をしないと感染症になる」「予防接種をすると副反応が起こる」といった様々な説が広まっているので、不安になる保護者も多いでしょう。そこで、小児科専門医が、ワクチンとは何か、どう考えるべきかについてとことん優しい語り口で、易しくお教えします! (内容紹介) とことん優しくて易しい! 根拠のあるワクチンの本 近年、ワクチンに関する不正確な情報が広まったために、 世界中で予防接種率が低下し、麻疹や風疹などの感染症が流行し、脅威となっています。 子どもたちの健康を守るため、今こそ根拠のある正確な知識が必要です! ワクチンの仕組みは難しく、よくわからないものは怖く感じられて当然ですから、 専門家でなくてもわかる「易しい」説明が必要でしょう。 それに何よりも大切な子どもに接種させる
因果推論の話で「Hillの基準」が説明されることがありますが Hillの基準をそもそも知らない Hillの基準は聞いたことがあるが詳細は知らない Hillの基準に対する批判があることを知らない といった方が多いのではと思います。 特に観察研究での因果推論は単純ではなく、こういったHillの基準を用いて因果推論をしようと試みる方もいます。 ですが、この基準を無批判に受け入れるのは非常に危ういと考えています。 時に、統計・疫学セミナーや書籍で、Hillの基準がほぼ無批判で説明されていたり、ひどい場合にはゴールド・スタンダードのように説明されているケースもあります。 今回は、Hillの基準についての説明と、それに対する批判について解説していきます。 本記事の内容 Austin Bradford HillとHillの基準について Hillの基準に対する批判を知ろう 実のところ、Hill自身はこの基
お子さんが下痢をした時の対処法を網羅的に知りたい保護者の方々へ 『赤ちゃんや子供が下痢をしてしまったけれども、水分や食事をどのようにして良いか分からない。』 『水分は何を与えてよいのか分からない』 『年齢や月齢によって対処法が異なるのか知らない』 など、急な下痢の対処法をあらかじめ知りたい方は多いとおもいます。 また、これら以外にも 下痢でお尻の皮膚が荒れてしまったけれどもケアの仕方を知りたい 家庭内で感染を広げないための対処法も知りたい 知りたいと考えている方も多いでしょう。 本記事では下記の内容を解説します。 本記事の内容 こどもが下痢をした時の水分・食事摂取方法 お尻の皮膚のケアについて 家庭内の感染対策 これらの内容を、小児科医としての視点からできるだけ分かりやすく、最近のエビデンスも交えながら解説していこうと思います。 こどもが下痢をした時の水分・食事摂取方法 赤ちゃんやこどもが
疫学にも流行り廃りがありますが、近年注目されている分野の1つに「ライフコース疫学」があります。 「疫学」と聞いてもピンとこない方が多数いると思うのですが、 病気の分布を確かめる 病気の決定因子(原因)を特定する のが疫学者としての生業になります。 時に決定因子は遺伝子であったり、生活環境であったり、治療であることすらあります。このように、病気や合併症やその結果は、何が原因かを日々探索しています。 疫学にも様々な分野がありますが、ライフコース疫学では、生活環境、教育、貧困など様々な因子が病気の発症や予後に、「長期的に」どのように影響しているのかを見ています。 「長期的に」とは、生涯のことで、場合によっては母親のお腹の中にいる時から亡くなるまでを含みます。このため「ライフコース」と言われています。 今回はライフコース疫学でよく使用される3つのモデル: Critical / Sensitive
前回までに、メタ解析の結果を中心に、抗ヒスタミン薬、去痰薬、咳止め、ハチミツ、気管支拡張薬、解熱剤、整腸剤、抗生物質(抗菌薬)の有効性を検証してきました。 今回は、これらの結果をまとめ、簡単に説明していければと思います。 小児のかぜ薬の科学的根拠のまとめ 前回までの結果をまとめながら、簡単にみていきましょう。 抗ヒスタミン薬(ペリアクチンなど):鼻症状には無効 去痰薬(カルボシステインなど):10%程度で咳が短くなる 鎮咳薬(メジコンなど):咳と睡眠は改善するが、副作用のリスクあり ハチミツ:咳と睡眠が改善(1歳未満はNG) 気管支拡張薬:有効性なし 解熱鎮痛薬:頭痛・筋肉痛・耳の痛みが改善 整腸剤:下痢の期間が1日程度短縮 抗生剤:有効性なし、副作用のリスク上がる でした。 これらの結果から言えること これらの結果から、ほとんどのかぜ薬は無効であるか、軽度の有効性があるのみです。 「かぜ
今回はこちらの記事をピックアップしました。ここ最近の日本でも話題になることがあるビタミンKの拒否について解析した論文です。 アメリカ小児科学会(AAP)から出版されている雑誌に掲載されています。 前回、こちらの記事でビタミンKを投与する医学的な理由について簡単に記載しています。 簡単にまとめますと、赤ちゃんが生まれてすぐは、体内のビタミンKの貯蔵が少なく、非常に出血が起こりやすい状態です。 この出血傾向のことを、ビタミンK欠乏性出血(VKDB)といわれるのですが、 早期:出生後の第1週で臍帯や消化管出血が多い 後期:出生後の第2週以降で頭蓋内出血が多い という傾向があります。 例えば、ビタミンKを服用しなかった場合(つまりVit.Kを拒否した場合)、 早期のビタミンK関連出血は0.25〜1.7% で起こるといわれています。また、 後期のビタミンK関連出血は0.01〜0.08%(10万出生で
出産後5日前後で赤ちゃんと一緒に退院することが多いですが、退院直前に「赤ちゃんはどのような生活環境にしたらよいですか?」と質問を受けることがあります。 生活環境とは、具体的には 部屋の温度や湿度 騒音の対策 衣類(何を着せるか) 寝具(赤ちゃん用のベッド) について質問されることが多いです。 特に初産の方ですと、先行きが読めず、不安になってしまうこともあるでしょう。 どのような環境がよいか、一定の目安を知ることで、安心して育児に取り組めるようになると思います。 赤ちゃんの部屋の環境について まず、部屋の環境について説明していきましょう。 温度調節ができる 風通しがいい 静か な部屋やスペースが良いでしょう。 温度調節について:新生児は体温調節が苦手 生まれてすぐの赤ちゃんは、体温調節が上手ではありません。 このため、室温を保護者側で調節する必要があります。目安としては; 温度は20〜25℃
ほとんどの小児科医は離乳食の開始時期を5〜6ヶ月くらいからで推奨していると思います。 他の先進国でもおよそ開始時期は同じか、少し早いく4〜6ヶ月です。 今回は、離乳食の開始時期以外でよくされる質問にお答えしてみようと思います。 赤ちゃんが離乳食を開始できる目安ってありますか? 赤ちゃん側が離乳食の準備ができているかですが、月齢以外に 支えたり、もたれていれば座っていられる 首が座って、頭の動きをコントロールできる おもちゃや手を口にもっていく よだれが多くなってきた 周りの人が食事をしているのに興味を示す などが目安になると思います。 どの食品から離乳食を開始すると良いでしょう? 最初に始める時は1種類からで、しっかりとすりつぶしてください。 日本では10倍粥から始めるケースが多いですが、海外では赤ちゃん用のシリアル、果物、野菜、肉などから開始することもあるようです。 数日間毎に離乳食の食
地震や台風など災害は突然、しかも理不尽にやってきます。 特に乳幼児は災害時に必要な物品が多く、大人のように我慢もできません。 災害時は、いかにして普段の生活と同じような状態に近づけられるかがポイントになってくると思います。 今回は、災害時に必要な物品について紹介していこうと思います。 災害時の移動に備える 両手をフリーにするために 災害時は乳幼児を抱っこしての移動が必要になるでしょう。 移動中に両手が必需品や抱っこでふさがれてしまうと、速やかな移動がしづらくなります。 できるだけ両手を使えるようにするため、 リュック 抱っこ紐 を準備しておくと良いでしょう。 リュックは防災用や登山用のものが使い易いと思います。
『Hibワクチンって効くのでしょうか?』 『小さな子供にワクチンを打って大丈夫でしょうか?』 『ワクチンをするなら、有効性が確かなものがいいと考えています』 など、ワクチンに関する質問は様々です。また、質問はしなくても、ワクチンの有効性をきちんと理解できている方は少ないでしょうし、ワクチンを推奨する小児科医ですら、どの程度の有効性が確実に理解できている方は多くはないかもしれません。 今回はヒブ(Hib)ワクチンの投与回数と有効性を示したメタ解析の論文をピックアップしました。原文はこちらになります。 ヒブ(Hib)感染症そのものについてはこちらで詳しく解説しています。 Hibとはインフルエンザ桿菌の略語で、感染すると 髄膜炎 菌血症 肺炎 喉頭蓋炎 骨髄炎・ 関節炎 などを起こします。特に3−4歳未満の乳幼児は感染しやすいため、ワクチンで予防が行われています。 今回のこちらの論文では、Hib
前回、システマティック(系統的)レビューとメタ解析における、統計学的手法(固定効果とランダム効果)について説明してきました。 固定効果は前提が強すぎるため、ランダム効果のほうが望ましいケースが多いです。ですが、ランダム効果も万能ではないため、その欠点を把握しておくことは非常に重要です。 www.dr-kid.net 固定効果とランダム効果について理解すると、すぐに使用したくなりますが、その前に出版バイアス(Publication Bias)について理解をしておいたほうが良いです。 出版バイアス(Publication Bias)がある場合、そもそもメタ解析の結果にバイアスが混入していることを意味します。 出版バイアス(Publication bias)について 『お蔵入り問題(File-drawer problem)』を知ってますか? 多くの医学雑誌は『統計学的有意差のある研究』をアクセプ
『牛乳を飲ませるのは1歳すぎてからにしましょう』と外来で指導されることがあると思います。 『なんで1歳まで牛乳を飲ませたらダメなの?』と疑問に思われる保護者の方が多いかもしれません。 今回は、1歳未満の乳児に牛乳を習慣的に飲ませると、鉄欠乏性貧血のリスクが高くなる研究をとりあげてみました。 研究の背景 先進国においても、乳児の鉄欠乏性貧血の頻度は高いです。 乳児期の鉄欠乏性貧血の問題点として、 熱性けいれんが起こりやすくなる 発達が遅れる可能性がある その後の認知機能に影響するかもしれない など、様々な点がトピックにされています。 生後1歳までの母乳、ミルク(人工乳)、牛乳について 『生後1歳までは、母乳やミルクの代わりとして、牛乳を飲ませない』 が大原則です。 生後6ヶ月頃〜1歳までは、離乳食の導入と、1日あたり500〜600 ml程度の母乳やミルクが推奨されています。 今回は、1歳まで
『肺炎球菌ワクチンってなにに効くのでしょうか?肺炎ですか?』 『肺炎球菌ワクチンの有効性って確かなのですか?』 『どのくらいのメリットがありますか?』 など、質問されることがあります。予防接種が推奨されてはいるものの、実際にどのくらい利益があるのか説明できる小児科医は少ないでしょうし、ひょっとしたら気にせずワクチン接種している方も多いのかもしれません。 肺炎球菌は乳幼児の重症な感染症; 髄膜炎 菌血症 肺炎 中耳炎 の原因になります。肺炎だけではないのです。 特に2歳未満はこれらの感染症になるリスクが高く、ワクチンで予防する必要があります。 先進国では肺炎球菌ワクチンがすでに導入されており、今回のメタ解析では個々の研究の有効性を統合し、検討しています。 研究の方法 2000〜2008年に行われたランダム化比較研究 24ヶ月未満の健康な小児 を対象にメタ解析が行われました。 肺炎球菌ワクチン
2016年10月からB型肝炎ワクチンが定期接種となりました。 B型肝炎は他の予防接種と比較して、あまり馴染みがないかもしれません。 B型肝炎ウイルスに感染し、慢性化すると慢性肝炎、肝硬変、肝臓ガンの原因になります。 特に乳幼児は慢性化しやすいため、予防接種で感染を防ぐ必要があります。 B型肝炎ウイルスについて B型肝炎ウイルスは、ヘパドナウイルス(Hepadnaviridae)科のDNAウイルスで、主に HBsAg (HBs抗原) HBcAg (HBc抗原) HBeAg (HBe抗原) の3種類の抗原が特徴的です。 B型肝炎ウイルスも様々な遺伝子型があります B型肝炎ウイルスにも、様々なタイプ(遺伝子型)があります。 日本を含むアジアでは、Ba、Bj、C型の遺伝子型が流行しています。 J Viral Hepat. 2010;17:229-35 B型肝炎の疫学 B型肝炎ウイルスが、世界中の人
火傷(やけど)は医学的に熱傷(熱傷)といいます。 前回は小児の熱傷の重症度分類や、受診の目安などを簡潔に解説してきました。 ですが、お子さんが火傷を起こしてしまったら、その場で応急処置をしてから受診したほうがよいケースがほとんどです。 www.dr-kid.net 今回は、実際に熱傷の治療について簡単に説明していこうと思います。 熱傷の治療について 前回解説した熱傷のうち I 度熱傷 浅達性 II 度熱傷 は範囲が狭ければ自宅でも治療可能なことがありますが、 深達性 II 度熱傷 III 度熱傷 は医師による治療が必要です。治療の基本は 汚染した部位を綺麗にする 冷やす 感染を予防する 痛みをコントロールする の4つになります。 ホームケアとして出来そうなことを列挙していきます。 汚染した部位を綺麗にする まず、火傷してしまった場所は衣類を脱がせ、水道水で洗い流しましょう。 もし火傷してし
『目を離した隙に、熱湯がこぼれて、腕に熱いお湯がかかってしまいました』 『花火で火傷をしてしまいました』 など、小児でも火傷(やけど)をしてしまうことがあります。 火傷は医学的には『熱傷(ねっしょう)』と言っていますが、 熱いお湯 熱い蒸気 火 化学物質 電気 日焼け など、こどもも熱傷を起こす原因は様々です。 今回は家庭で起こりうる熱傷(特に熱いお湯や蒸気など)について解説していこうと思います。 熱傷の種類について 熱傷には4種類あり; I度熱傷 浅達性II度熱傷 深達性II度熱傷 III度熱傷 となっています。 1から4に進むにつれて、熱傷の重症度は上がっていきます。 やけど Q3 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会) I度熱傷について I度熱傷は一番軽い火傷(やけど)のことをいいます。 皮膚の表面だけ高温により傷つき、赤く痛みをを伴います。 I度熱傷の場合、赤くなった皮膚を
前回は小児の鼻血について、原因と自宅でできる対処法を説明してきました。 そうはいっても 「どのような時に受診したらよいか?」 「病院ではどのような治療がされるのか?」 は気になるところと思います。 今回はこの2点について、さらに解説していこうと思います。 病院に受診すべきとき 前回、鼻血の止め方のポイントを説明しました。 ポイントは、 『前かがみになり』 『鼻骨のない軟らかい部分の鼻(真ん中あたり)両側からしっかり押さえる』 最低でも5分、できれば15分程度しっかりと押さえる という3点をお伝えしました。 鼻血がでても、落ち着いてこの対処をしてみてください。 しかし、しっかりと対処をしたのに30分以上鼻血が止まらない場合は、受診されてもよいと思います。 後部の鼻出血は重症になりやすい 前部出血(鼻の出口近くの出血)は前かがみになれば鼻から血が出てきますし、圧迫しやすいため止血は難しくありま
「システマティック・レビューとメタ解析(Systematic Review & Meta-analyses)」と聞くと「最高峰のエビデンス(科学的根拠)」と考えるかもしれません。実は、Systematic Review & Meta-analysesといっても 質の高い研究があり(RCTなど) 文献をくまなく調査し 研究データを偏りなく評価し 正しい手法で導き出され 正しい解釈がされた 結果であれば、信頼性の高い結果になるでしょう。 しかし、研究者によりその方法論が甘かったり、判断の基準が甘かったり、ひどい場合には報告の仕方がお作法通りでないことがあります。 (お作法通りでない例↓↓) もちろんSystematic Review & Meta-analysesの存在を否定するつもりは全くありません。 ですが、Systematic Review & Meta-analysesですら、研究の質
前回、感染症疫学(Infectious disease epidemiology)」の「基本のき」であるR0(基本再生産数)について解説してきました。 R0は、新規に感染症にかかった1人が、免疫をもたない集団に入った場合、感染させることができる人数のことをいいました。 今回は R (実効再生産数)とS-I-R モデル(別名:Reed-Frost Epidemic Model)について解説していければと思います。 R(実効再生産数)について R0は「基本再生産数」のことで、流行の初期の再生産数(感染者が何人の非感染者に疾患を移せるか?)を表す指標でした。 一方で、Rは「実効再生産数」といい、流行しだしてから(初期ではない時期に)、感染者が非感染者にどれだけ疾患を移すことができるか?、という指標になります。 R0 と R について R0は「流行の最初の段階」であるため、研究をした集団では一定で
慢性的な便秘は小児の3%〜16%が経験するといわれています。 こどもが便秘に悩まされ、外来に受診するケースは非常に多いです。 およそ3分の1の小児便秘は、成人になってからも便秘が続くと報告されています。 食事と便秘について 食生活と便秘は関連性は多数報告されており、 食物繊維の摂取量が少ない 果物の摂取量が少ない 乳製品の摂取量が多い と便秘になりやすいと言われています。 牛乳に含まれるタンパク質と免疫学的な反応で便秘を起こしているのでは?と考える研究者もいます。 今回の研究では、牛乳の除去が便秘の治療にどれだけ有用かを検討しています。 研究の方法について 2006〜2007年 スペインのバスク地方に住む6ヶ月〜14歳 生後6ヶ月以降に便秘の診断された(Rome III Criteriaにより) 69人の小児を対象に行われました。 甲状腺機能低下症など基礎疾患のある小児を除外されています。
おむつ皮膚炎は、おむつで覆われた部位の皮膚が炎症をおこした状態をいいます。 特に、新生児や乳児では非常に多く、7〜35%はおむつ皮膚炎を起こすと言われています。 おむつ皮膚炎の起きやすい月齢は9〜12ヶ月と言われていますが、おむつを履いている限りは、どの年齢・月齢でも起こります。 おむつ皮膚炎は正しく対処すれば、短期間で治りますし、予防をすることもできます。 おむつ皮膚炎の原因は大きく2つに分けられ、 おむつが原因で起こってしまった皮膚炎 おむつとは無関係で起こった皮膚炎 の2つに分けられます。 1. おむつが原因で起こった皮膚炎 おむつに関連して起こるおむつ皮膚炎は、 便や尿への刺激によって起こった 皮膚にいる真菌が蒸れて増殖した おむつへのアレルギー反応 の3種類に分けられます。 皮膚への刺激について 主に便や尿が皮膚を刺激して、皮膚に炎症が起きている状態をいいます。 便・尿が原因のお
前回はスイスで行われたトイレ・トレーニングの観察研究のデータを解説してきました。 排便のコントロール 日中の排尿コントロール 夜間の排尿コントロール 排便・排尿すべてのコントロール の4つにわけてグラフで示すと、以下のようになります。 データの問題点 このデータの問題点がいくつかあります。 特に排尿に関して、3〜4歳にかけて劇的に変わるのは図を見れば明らかなのですが、3歳と4歳の間のデータがありません。 このため、日中と夜間の排尿がまるで同時に出来てしまっているように見えてしまうのです。 でも実際には日中の排尿がコントロールできて、しばらくしてから夜間の尿がコントロールできるようになるわけです。 今回は統計モデルを使用して、もう少し滑らかな曲線を描いてみようと思います。 統計モデルを組み立ててみる 以下は統計学的な話(ややマニアック!?)になりますので、面倒でしたら飛ばして下の最後の図を楽
先日、感染症科の先生方に「感染症疫学(Infectious disease epidemiology)」について色々と質問される機会がありました。 感染症疫学の手法は、普段の研究で使う機会が乏しいのもあって、気がつくと色々と忘れて、また本を読み直してを繰り返しているため、今回は備忘録としてこちらに分かりやすく記載させていただきます。 Lowell Reed(1937)について 上の写真の人物は誰か、気になっているでしょう。 感染症疫学を生業にしている人なら、Lowell Reedを知らない人はいないでしょう(もし知らなければ、その方はもぐりだと思ってください)。 彼は感染症疫学のなかで非常に有名なS-I-Rモデル(別名:Reed-Frost epidemic model)を考案した研究者です。 S-I-Rは Susceptible(免疫のない人たち) Infected(感染した人たち) R
先日、こんなツイートを見かけました。 「牛乳を飲むと身長が伸びる」というのは都市伝説ではなく、日本の児童(食の科学. 2003:310;4-8.)、海外(Arch Dis Child. 2015 May;100(5):460-5.)でもたくさん飲むと身長が1~2.5cmほど上乗せされると報告されています。ただ、牛乳を飲むほどコレステロール値や肥満を悪化させます。 — インヴェスドクター (@Invesdoctor) 2018年5月30日 『牛乳を飲むと背が大きくなりますよ』なんて指導、一度はされたことがあるかもしれません。 私は都市伝説だと思っていたのですが、実は牛乳と身長を研究した論文があると知り、とても興味深かったので今回はピックアップしてみました。 研究の背景 小児肥満は増加しており、一向に減少する兆しがありません。 小児肥満は将来の高血圧、心疾患や糖尿病のリスクが上がることが報告さ
夜驚症とは? 夜驚症(やきょうしょう)とは、夜中に急に子供が起きて、非常に取り乱した状態(狼狽したり、驚いたりする)をいいます。 特に叫びだして、ベッドから飛び上がったりすることもあります。 時に汗をかいたり、呼吸が速くなったり、心拍数が上昇していることもあります。 保護者の方々は子供を落ち着けようとしても、本人は意識がないため保護者の指示に従ってくれません。 およそ10〜20分以内におさまることが多く、週に2〜3回起こることが多いです。 錯乱性覚醒とは? 錯乱性覚醒(さくらんせいかくせい)は、睡眠と覚醒の間の状態にいるため、子供が錯乱してしまった状態をいいます。 時にベッドに座って泣いていたり、わめいていることもあるでしょう。 錯乱性覚醒の状態では、こどもに意識はないため、保護者が落ち着けようとしてもできないことが多いです。 およそ30分以内に自然と落ち着いてくれることが多いでしょう。
蜂窩織炎って何ですか? 蜂窩織炎は「ほうかしきえん」と読み、平たくいうと皮膚や皮下にある軟部組織の感染症をいいます。 蜂窩織炎を起こす原因は細菌感染がほとんどで; 黄色ブドウ球菌 連鎖球菌(主に溶連菌) が多いです。 蜂窩織炎が起こりやすい場所 蜂窩織炎は皮膚に傷がある場所から細菌が入り込んで起こることが多いです。 目に見えるような傷や、目視できないくらい小さな傷でも入り込むことがあります。 起こりやすいのは肌が露出しやすい部位ですので、手、腕、足、顔が多いでしょう。 蜂窩織炎の危険因子 蜂窩織炎になりやすい状態はいくつか知られており; 皮膚の外傷後(例えば擦り傷) 水痘など感染症の後(水疱がはじけた後など) アトピー性皮膚炎などの湿疹 があると蜂窩織炎を起こりやすくなります。 蜂窩織炎は皮膚の感染症ですので、外傷や湿疹などで皮膚が傷んでいると細菌が入り込んで感染を起こしてしまいます。 蜂
小児の風邪は乳幼児や学童を含め、最も多い病気です。 こどもが風邪を引くと登校・登園ができなくなりますし、保護者も仕事を休まなければいけなくなるケースも出てきます。 今回は2回にわたり、 風邪の原因 風邪の症状 風邪の治療 について解説していこうと思います。 風邪の原因について 風邪の原因はほとんどがウイルス感染です。 ライノウイルスの感染が多いですが、このウイルスは100種類以上いるため、小児は繰り返し感染してしまいます。 ライノウイルス以外ですと、 エンテロウイルス コロナウイルス なども風邪の原因ウイルスとして多いです。 こどもはどのくらい風邪をひくのか? 6歳未満の小児の場合、年間6〜8回ほど風邪をひくといわれています。 1回風邪をひくと、咳や鼻水の症状は2週間程度続きます。 特に幼児は保育園・幼稚園に行き始めたばかりの頃は、風邪を繰り返す傾向になります。 これは、お互いに異なるウイ
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