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5類移行前のデータはこちら (2024年8月2日更新:第38版) (2023年5月22日改稿:第24版) (2022年7月22日寄稿:初版) 注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 COVID-19は現在、全国約5千の定点医療機関からの報告に基づき、1定点あたりの感染者数が週次で公表されている。新規入院者数、重症者数、検査数はG-MISにより週次で、死亡者数は都道府県調査により月次、病床の状況は週次で公表される(厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html)。 本欄では、各都道府県の定点当たりの報告数、入院者数、療養者数(人口10万人当り)、及び確保病床の利用率の時系列変化がわかるようにグラフ化してきた(大林千一自治医科大学客員教授による)。また全国の定点における感染者の年代
注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 COVID-19(新型コロナウイルス)感染症の流行は、小児に様々な影響を与えたが、日本では欧米の一部の国と比較して、小児の予後は比較的良好であった.感染力の増加したオミクロン株の流行に伴い、日本においても小児の新型コロナウイルス感染症の患者が激増した。2022年に入り、痙攣、意識障害、急性脳炎・脳症、クループ症候群を呈する小児重症患者が増え、基礎疾患のない生来健康であった小児の死亡例も増えてきて、特に年少児の報告が多い。新型コロナウイルスワクチンの有効性(オミクロン株に対する効果も含めて)と安全性(小児に対しても)に関する国内外のデータが蓄積されてきた。小児に対する新型コロナウイルスワクチンは小児用ワクチンとして使用開始されたが、特に5~11歳の小児への接種率は、年長児に比べて低い。再び感染
注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 本論説は、2022年5月から6月にかけて内閣官房で開催された「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」(座長永井良三)の報告書とりまとめに先行して、2022年5月25日に事務局に提出した個人的意見書である。感染症法・特措法と運用、情報の基盤・収集・公開、保健所、研究、専門家助言組織、有事の法整備、司令塔のあり方に関する問題点をまとめた。なおこの意見書は、6月21日の座長会見で記者に配布され、約1時間にわたり説明が行われた。 最近のCOVID-19感染状況 概要 わが国の新型コロナウイルス感染者数と死亡者数は主要国よりも少なく、対策は成功したように思われる。しかし、これは現場の努力と国民の高い公衆衛生意識によるところが大きい。その一方で、医療提供体制の逼迫、感染予防の現場や医療現場への
注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 HER-SYSは行政機関と自治体、医療機関、そして感染者自身が共同利用するシステムであり、感染者にかかる要配慮個人情報を大量に扱うシステムである。このような特徴を持つシステムがゼロトラストネットワークモデル上に構築されたのは、日本では最初の事例であろう。港区は2020年5月1日にHER-SYS先行利用自治体に応募し、5月15日にはNESIDからのデータ移行を受けて、試行を開始した。保健所で最初の日に教えられた、感染症法における人権擁護と信頼関係。HIV等の検査はすべて匿名で受けられ、個人を特定できる情報は取り扱わない。要配慮個人情報を集めるシステムであればこそ、丁寧に個人情報保護と情報セキュリティの内部監査をしよう、そう考え始めていた2020年7月最初の週末に事件は起こった。港区では、情報安
注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 COVID-19による嗅覚・味覚障害は、発生頻度、臨床的特徴ともにウイルス株の変異により変化している。嗅覚障害は発症時には高度であるが大部分の症例では速やかに改善する。しかし、一部の患者では数か月あるいは1年以上と長期に亘って残存し、その場合、異嗅症により生活の質が低下し、身体的、精神的苦痛を強く感じることに理解と認識が必要である。嗅覚障害は、アンギオテンシン変換酵素(ACE2)を豊富に有する嗅上皮の支持細胞、ボウマン腺細胞への感染による嗅裂炎によって生じる。嗅覚障害に有効性が証明された治療方法はまだないが、嗅覚トレーニング、当帰芍薬散が治療法の候補として挙げられ、今後の研究が求められている。 最近のCOVID-19感染状況 はじめに COVID-19が最初に世界的流行を示した2020年初頭
注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、野生コウモリ由来のウイルスが人獣共通感染によって直接あるいは間接的にヒトに飛び火したものと考えられる。真の祖先ウイルスが何であり、どうやってヒトに飛び火したのかを解明するにはさらなる研究が必要である。SARS-CoV-2の人工ウイルス説や陰謀説にはそれなりの背景があるものの、客観的証拠は無い。ウイルスが変異するのは自然の摂理であり、SARS-CoV-2の変異株が伝播性の上昇や免疫効果の減弱を示すのも必然的な現象である。断片的な情報で一喜一憂するのではなく、変異株の病原性に関する適切な情報共有や客観的評価が重要である。SARS-CoV-2の変異は必ずしも強毒化に繋がるものではなく、肺炎ウイルスから風邪ウイルスへの進化に繋がっている可能性も少なくない
注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 一般人口の感染状況を把握するために、無症状者を対象とする唾液PCR検査が、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室のもとで進められている。6月に本HPで報告した通り、14都道府県における一般人口の陽性率は、当該地域の新規患者数とよく相関する。第5波のモニタリング検査のPCR陽性率は、新規患者数の増加とともに上昇した。PCR陽性率は、都道府県単位の流行の勢いをよく反映する。とくに行政検査が縮小するなか、地域のハイリスク集団の同定に極めて有用であり、局地的な感染拡大を予測することが可能である。実際、一般人口の唾液PCRモニタリング検査は、学校で発生した無症状クラスターを検出した。一般人口の唾液PCR陽性率と新規患者数は、高い相関関係を示す。しかしデルタ株が中心となった第5波では、同じ陽性率でも
注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 新型コロナウイルスに対するワクチン接種は世界200カ国・地域で始まっており、33カ国・地域で人口100人あたりの累計接種回数が100回を、71カ国・地域で50回を上回っている。ファイザー社、及びモデルナ社のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、SARS-CoV-2による感染症(COVID-19)に対し、高い有効性が報告されている。千葉大学病院コロナワクチンセンターで行われた教職員を対象にした研究により、日本人においてもファイザー社ワクチンの接種によりほぼ全員に抗体価の上昇が認められることが判明した。比較的多く認められる副反応は、接種部位の疼痛、倦怠感、頭痛、筋肉痛、悪寒、発熱、関節痛であり、接種翌日に最も頻度が高い。若年者・女性で頻度が高く、1回目に比して2回目のワクチン接種後に副反応
杉浦:2019年1月-6月ViiV Healthcare社員、2019年7月-2020年3月BioMerieux社員 注:この記事は、有識者個人の意見です。COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 COVID-19の治療法開発には多くの研究者と企業が総力をあげてこの一年取り組んできた。本稿では、本邦で治療薬として承認されている抗ウイルス薬のレムデシビルと、抗炎症薬であるデキサメタゾン、バリシチニブの3剤に加え、開発中又は開発予定のある医薬品につき、現時点での薬剤開発の状況について概説する。レムデシビルは、ACTT-1試験の中間解析の結果等をもとに、2020年5月7日に特例承認された。ただし、本剤投与時には医療機関から厚生労働省に依頼し、薬剤提供を受けることとなっており、現時点では重症患者に薬剤提供が限定されている状況である。デキサメタゾンは、オックスフォード大学主導で英
無症状者を対象とするPCR検査は陽性率(事前確率)が低いため、積極的に集団検査を行うと偽陽性が続出し、現実的でないとする誤解がわが国では根強い。 わが国の新型コロナウイルス対策は、発生したクラスターの感染者とその濃厚接触者の積極的疫学調査を中心に行い、それ以外の無症状感染者への集団検査には消極的だった。 多くの提言を受け、政府は本年2月より、2回目の緊急事態宣言解除後の都道府県を対象として、無症状一般人口に対するモニタリング検査を開始した。 感染率の低い集団に検査を行うには、簡便かつ感度と特異度に優れた検査システムが必要であり、PCR検査はその条件を満たしている。今回のプロジェクトでは複数の企業が製造した唾液PCR検査キットが用いられた。 日本の非流行地域の一般人口における陽性率は極めて低い。このため偽陽性は大きな問題にならないと考えられた。 全国の一般人口の唾液PCR陽性率は0.06-0
SARS-CoV-2によるパンデミックが大きな被害をもたらす中、世界各国でCOVID-19ワクチンの接種が進んでいる。日本でも複数のワクチンが特例承認され、感染の収束が期待されている。 国内におけるSARS-CoV-2変異株の感染が多数報告され、ワクチン効果の低下が懸念されている。 特に、ベータ(B.1.351)、ついでデルタ(B.1.617.2)変異ウイルスはワクチン効果を低下させることが示唆されている。 各ワクチン開発会社は、変異株向けの改変型ワクチンの開発に着手し、有望な結果が報告されている。 国産ワクチンの開発も進んでおり、早期に承認されることが望まれる。 COVID-19ワクチンの開発 2019年の終わりに、中国で新型コロナウイルスSevere Acute Respiratory Syndrome coronavirus 2(SARS-CoV-2)が流行を起こしてから約1年半が経
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、SARS-CoV-2ウイルスにより引き起こされる感染症である。 約80%の感染者は無症状か軽症で経過するが、約20%は重症肺炎となり、そのうち30%は致死的な急性呼吸促迫症候群(ARDS)となる。 現時点で有効な抗ウイルス薬や、ARDSに対する確立した治療方法はなく、1日も早い治療薬の開発が望まれる。 SARS-CoV-2はACE2を受容体として感染し、自然免疫系とAngII-AT1Rを介して、NF-kBとSATA3転写因子の活性化を誘導する。STAT3はNF-kBの活性化を増強することにより、IL-6などの炎症性サイトカイン産生を増強する。 この増幅回路はIL-6アンプと呼称される。関節リウマチなどの慢性炎症性疾患発
新型コロナウイルス感染症の後遺症は、倦怠感、呼吸苦、咳嗽、味覚・嗅覚障害などが主な症状であり、20歳代以降の全世代で高頻度に認められ、月単位(2~4か月後)で遷延することが明らかになってきた。 回復後に出現する遅発性後遺症はウイルス後疲労症候群と呼ばれ、脱毛、記憶障害、睡眠障害、集中力低下などがある。 後遺症発症のリスク因子として、高齢、女性、肥満、急性期の症状数が5以上であることが報告されたが、現段階では後遺症の原因は不明であり、確立された治療法はない。 後遺症には医学的、社会的、経済的問題があり、これらは喫緊の課題である。 最大の後遺症予防法は新型コロナウイルス感染症に罹患しないことであり、継続的な患者への啓発活動が重要である。 はじめに これまでにエボラウイルス病やデング熱といったウイルス性疾患でも後遺症があることが知られているが[1][2]、新型コロナウイルス感染症(coronav
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、政治的状況、医療体制、ワクチン接種状況などで国や地域ごとに大きく異なるが、世界の人々にワクチンが行き渡るまでは終わりが見えない。 もうしばらく続くであろうパンデミックの中で、いかに感染爆発を防ぎながら安全に社会経済活動を続けていくかが直近の課題である。 我々は、診断に用いるPCR検査を唾液検体とプール法による社会的検査に活用し、Ct値を参考に社会活動度を推奨することを提唱している。 この寄稿では、Ct値と感染性の関連性、鼻咽頭スワブと唾液のPCR検査感度・効率性の比較、プール法の検証などの研究結果を紹介し、世田谷区が独自に取り組んできた社会的検査の結果を紹介する。 変異株の出現と流行の背景には、集団免疫が獲得できていないコミュニティで無症状感染者が気づかない間に感染を広げ蔓延させてしまうことが挙げられる。一部の変異株には抗体製剤やワクチ
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 日本人の新型コロナウイルス感染症に対する行動や心理を、キーワードによる新聞記事検索や身近な事象の観察で探った。 記事検索結果 キーワード「コロナ」は、2020年4~5月が多く、不安や恐怖が喚起され、その後の心理の基調が形成された。 4月以降、「医療」「個人の予防行動」「経済」関連の記事数は新規感染者数の動向と連動せず、低下傾向にあったが11月にやや増加した。 時系列(年単位)でいくつかのキーワードの記事出現率を見ると、2020年において「笑顔」が最大の減少、「ストレス」「生活」が最大の増加など特異な傾向が見られた。 「中傷」記事は、2020年に例を見ない高い出現率となった。 身近な事象の観察結果 「マスク」着用はコロナ出現以前からの流行で日本人になじみが深く、それが
本研究は株式会社医学生物学研究所および、YHLOから抗体試薬、共同研究費の提供を受けて実施しています。 日本人においては、われわれが検討した抗体検査、特にIgG検査は、抗体検査において一般的に問題視されている疑陽性が極めて少ないことが分かった。 新型コロナウイルス感染症の診断はPCR検査、抗原検査によってなされるが、抗体検査は、特に経過15日以上の症例では、IgGの感度特異度が100%であり、極めて高い診断能力を有する。このことは、特にCOVID-19症例の“rule out“検査として、IgG検査が有用である可能性を示している。 日本人においては、IgGがIgMに先行する症例が多く、IgGがIgMのクラススイッチにより産生されることを考えると、特にN蛋白に対する交差免疫の存在が示唆された。ただし、現時点では交差免疫が新型コロナウイルスに対して保護的な役割を持つかは断定できない。 IgM、
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 2020年7月28日付のWHOの報告によると、世界各国において、臨床試験実施中のワクチンが25種類、前臨床段階にあるワクチンが139種類存在する。 開発中の主なワクチンとしては、下記の5種類が挙げられる。 アデノウイルスベクターワクチン mRNAワクチン DNAワクチン 不活化ウイルスワクチン 組換え蛋白質ワクチン 開発が先行しているのは、英国のオックスフォード大学とアストラゼネカが共同開発しているアデノウイルスベクターワクチン「AZS1222」、米国の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)とモデルナ社のmRNAワクチン「mRNA-1237」、および、中国のカンシノ・バイオロジカル社と北京バイオテクノロジー研究所のアデノウイルスベクターワクチン「Ad5-nCoV」
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 今回の新型コロナ流行(COVID-19)は,100年前のスペイン・インフルエンザや90年代におけるエイズ流行に比肩しうるパンデミックであるが,とくにワクチンが開発されない段階における非薬剤的流行制御に関しては,感染ダイナミクスを記述・分析する感染症数理モデルの活用が世界的に広まり,その果たす役割が非常に大きいことが認識されるようになった点に特徴がある。 しかしながら,緊急事態宣言や行動自粛政策の影響はあまりにも大きく,国レベルにおける社会経済的環境との相互作用も十分に検討されていなかった。理論・数理分析の結果をいかに有効な政策に結びつけるかに関しては多くの問題が残されている。 一方で,COVID-19の数理モデル分析によれば,緊急事態宣言や自粛行動は一定の成果をあげ
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 SARS-CoV-2の気道系への感染には、気道上皮細胞の細胞膜表面にあるACE2(Angiotensin converting enzyme2)とTMPRSS2(Transmembrane protease, serine 2)の2つの受容体が必須となる。ACE2受容体は年齢とともに増加し、男性でより多く、運動や喫煙によっても増加する。 喫煙によりACE2発現は増加するため、COPD患者ではACE2発現は増加している。COPD患者はCOVID-19に罹患しやすく、いったん罹患すると重症化しやすいことが知られているが、これはACE2の発現と相関している。 喘息患者では健常者と比較し、ACE2、TMPRSS2の発現は高くない。特にアトピー要因が強い症例や喘息コントロール
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 スウェーデンは、都市閉鎖(ロックダウン)は長期間持続不可能であるだけでなく、エビデンスがないとして、ロックダウンをしない独自の新型コロナウイルス感染症対策を行い、世界の注目を集めた。「集団免疫獲得を目指している」と非難されることが多かったが、スウェーデンが集団免疫獲得を目指したことはない。 実際には、数々の規制があり、国民はその規制に従って行動したため、部分的ロックダウンであると言える。現在、スウェーデンの人口10万人あたりの死亡者数は、世界でも13位程度と高い。死亡者数が増えてしまった背景には、スウェーデンの介護システムが抱えていた脆弱性があり、今後、調査の上、改善されることになっている。 スウェーデンは人口当たりの病床数は、OECD諸国の中でも少ない方であるが、
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 血清抗体検査は、急性感染症からの回復後であっても既感染者(過去に感染した人)として検出することができることから、集団内での感染症の発生状況を調査する疫学調査に適しており、本手法を用いた疫学調査を血清疫学調査という。 血清疫学調査は、ある特定の人口(国、都道府県、市町村、自治体など)における亜急性期・回復期の患者や既感染者を調べ調査集団内での感染症の発生状況を把握するために行う人口ベースの血清疫学調査と特定の集団(医療従事者やアウトブレイクの起きた集団など)における既感染者を調べて、特にリスク因子解析を行う特定の集団に対する血清疫学調査とに分類することができる。本稿で主に取り上げるのは、前者の「人口ベースの血清疫学調査」である。 多くの報告がある欧米の第1波後の血清疫
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 ニューヨーク州は第一波の抑え込みに失敗したが、感染を収束させることに成功してからは、経済的活動の段階的な再開にも関わらず感染者数は低いままで保たれている。この背景には人口当たり世界最多のPCR検査数がある ニューヨーク州では早い段階からPCR検査数を州知事の主導で増やし、その結果に基づいて対策を決定してきた。 経済活動再開の4段階をいつどの地域で進めるかを判断するための7つの指標をもっているが、そのうちの4つは数多くのPCR検査が行われていないと把握できない指標である。 PCR検査数を増やすことによって初めて正確な現状把握ができ、データと科学的根拠に基づいた政策決定が可能になる。実効再生産数をモニターして増加傾向が見られたら経済活動再開の計画を見直す、などはその一例
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 感染拡大を抑制するために、無症状者を含め感染者をできるだけ多く見出し、感染予防に努めるべきであり、そのためには、大規模PCR検査体制の整備が必須である。 検査の対象集団としては、感染の可能性が考えられる人達や、医療従事者や社会のインフラを支えるessential workerと位置づけられる人達に対してPCR検査を積極的に行うことに加えて、市中感染が蔓延して有病率が高くなっている地域に対しては、地域住民を対象とした大規模PCR検査を積極的に実施すべきである。 PCR検査の陽性的中率を高めるために、PCR検査の特異度を高めることが重要であり、全自動PCR検査装置の導入が有効である。 全自動PCR検査装置は、1度に処理できる検体数が大きいこと、ヒューマンエラーを最小化で
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 新型コロナ感染症(COVID-19)の流行で、世界各地で人工呼吸器等の医療資源の配分をめぐり、優先順位を付ける「トリアージ」の提案がなされ、障がい者等による批判があいつぎ、撤回されることが多かった。 日本でも3月30日に生命・医療倫理研究会有志による「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」が公表され、4月1日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議記者会見で紹介されたが、すぐに障がい者団体などから厳しい批判が寄せられた。 「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」(「人工呼吸器配分提言」)は、平常時の終末期の患者に対する人工呼吸器の差し控えや取り外しの倫理基準を新型コロナ感
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 台湾はその政府の初動の速さと水際対策の成功により、現在のところ感染の制御に最も成功している国の一つである。特に、水際でどのように感染流入を防いだかについては、日本も学ぶことが多いと考えられる。 筆者は日本育ちの台湾人である。最初は、ただただ心配で情報収集を始めていたが、中国語の理解できる筆者が発信することに意味があると考え、個人ブログという形で台湾のCOVID-19情報を公開してきた。 台湾の初動の速さには、2003年のSARSの時の教訓が生かされている。実は、SARSの時は、台湾で346人の感染者と73人の死者が発生し、反省も多かった。その後、法整備、指揮系統の統一化が進んでいた。 2020年7月8日時点での台湾のCOVID-19患者数は、累計449人(内、死亡7
日本医師会 COVID-19有識者会議では、実態調査に基づく適正なPCR検査の利用推進を目的とした「COVID-19感染対策におけるPCR検査実態調査と利用推進タスクフォース」を設置し、調査に基づく課題の抽出と整理、課題解決のための方策と提言をまとめ、すでに中間報告として公表した(5月13日)。 緊急事態宣言の解除後の社会・経済活動の再開に伴い、6月以降には感染者の急拡大が見られる。PCR検査の利用推進に対して環境・体制の整備が進む一方、利用に関して情報や考え方が十分整理されていない。本タスクフォースは、第二・第三波における感染制御と社会経済活動の維持の両面で、PCR検査の推進が必要と考えてきた。そこで今回、PCR利用者の理解を助けるために手引きを作成した。 エグゼクティブサマリー PCR検査の利用目的 COVID-19感染対策におけるPCR検査は、検査目的と意義を理解したうえで、適切に利
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 NCGM国立国際医療研究センターはCovid-19のPCR検査のために、2020年3月9日~4月26日に発熱相談外来を開設し、通算2,134名の検査を行い23.1%の陽性率であった。 4月27日からは、新宿区の委託事業として「新宿区新型コロナ検査スポット」に移行した。新宿区医師会と区内9主要病院の協力を得て、行政検査としてのPCR検査を7月14日までの通算で3,744件行い、769名の陽性者を診断した。 受診者数のグラフは東京都が発表する感染者数の推移のグラフと形が似ている。陽性率は、東京全体の6%に比べると30%以上と高い。感染者が集積していると思われる新宿区の状況を、リアルタイムで反映している可能性がある。 本検査スポットの数字は、新宿区の定点観測として意義があ
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 疫病の流行は、社会的想像力を常に更新してきた。その中でも、健康と主権の関係はきわめて重要な課題であり、人々の生の形がその中で決められてきた。 21世紀におけるcovid-19という疫病の流行から、わたしたちは新しい社会的想像力を作り上げることを求められている。 人間を再定義し、パンデミック・デモクラシーを構想することを提案する。 1 ダニエル・デフォー『ペストの記憶』(武田将明訳、研究社、2017年) 1665年のロンドンでのペストの流行はおよそ7万人が亡くなった。その時に、ニュートンがペスト禍のロンドンを逃れて故郷に戻り、万有引力の法則などを集中して考察したことはよく知られている。 では、当時のロンドンの状況はどうであったのか。『ロビンソン・クルーソー』で知られる
注:この記事は、有識者個人の意見です。日本医師会または日本医師会COVID-19有識者会議の見解ではないことに留意ください。 ニューヨークは米国の他の大都市と比べて非常に特殊な条件(人々が日常的に公共交通機関を利用する、いわゆる「3つの密」の状況が多い、国内外からの人の出入りが激しい、など)が揃った都市である。また、米国人の間ではマスクの着用率が低い。これらの要素が感染の爆発的拡大に寄与した可能性がある。 感染の拡大に伴い、医療機関では「ヒト」(医療従事者)、「モノ」(人工呼吸器や防護具)、「ハコ」(集中治療室)の確保のために様々な方策が取られた。州や国も数々の施策を打ち出した。この寄稿では、このうち主なものを紹介し解説する。 COVID-19の爆発的感染拡大は、失業率の急激な増加、治安の悪化と銃犯罪の増加、貧困家庭の食糧難、家庭内暴力の増加など、米国にもともとあった社会的諸問題を顕在化さ
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