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今年の「かわいい」
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音楽をよりよい環境で聴くために、こだわって作られたミュージックバーやジャズ喫茶などを紹介する本特集。今回は、ジャズの生演奏が毎日楽しめる『HUB(ハブ)浅草店』にお邪魔しました。英国風パブとして知られるチェーン店が、なぜジャズの演奏が楽しめるお店になったのか? そこには興味深い歴史がありました。 古き良き英国パブを再現した店内で、サッカーの試合やミュージックビデオを眺めながら、エールビールとフィッシュ&チップスで乾杯する。『HUB(ハブ)』と聞けば、そんなスタイルを思い描くだろう。いまや全国で102店舗(82 ALE HOUSE含む)を展開する大型チェーン。しかし、浅草店だけは、そのどの店舗とも違う独自のスタイルを貫いている。 大きな違いは、毎日のようにニューオリンズ・ジャズを中心としたライブ演奏が聴けるということ。また、キャッシュオンではなくフルサービスであること。ライブの時間帯はチャー
2023年にリリースされた “ジャズ系” 作品の中から50作をセレクト 構成・文/土佐有明 Aaron Parks Little Big/Live In Berlin ブラッド・メルドーの再来とも称され、ジェイムス・ファームなどで活躍するピアニスト、アーロン・パークスのリーダー作。本作はバンドの一体感や結束力を強く感じさせる内容。時にコンテンポラリー・ジャズの枠を大きくはみ出し、ロック的なダイナミズムが漲る場面も。iPhoneのボイスメモで録音されたという本作だが、意図せず入り込んでしまったざらつきや歪みがアクセントとなり、アルバムに深みや奥行きを与えている。 Banksia Trio/MASKS 須川崇志(b)、林正樹(p)、石若駿(ds)という豪華メンバーによるトリオ作。これが3作目とあって、これまで以上に緊密で濃密な音のコミュニケーションがはかられている。また、菊地雅章やポール・モチ
投稿 【特集】2023年のベストアルバム─あの人が選ぶ「今年の3作品」 は ARBAN に最初に表示されました。
Home ニュース 天才トランペッター急逝─ 最後のツアーを追ったドキュメンタリー映画『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』|エリアン・アンリ監督インタビュー 投稿日 : 2023.11.15 天才トランペッター急逝─ 最後のツアーを追ったドキュメンタリー映画『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』|エリアン・アンリ監督インタビュー 2018年11月2日、現代最高のジャズ・トランペッター、ロイ・ハーグローヴは49歳の若さで亡くなった。映画『ロイ・ハーグローヴ 人生最期の音楽の旅』は彼の最後のツアーとなった同年秋のヨーロッパ・ツアーを追いつつ、彼のキャリアをたどるアーカイヴ映像、そしてミュージシャンたちのインタビューを編集して構成した 「人間ロイ・ハーグローヴ」の軌跡だ。ロイの長年の友人でもあるエリアン・アンリ監督に話を聞いた。 取材・文/村井康司 マネージャーの怒号 村井 映画を観て
「世界3大ジャズ・フェス」に数えられるスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル(Montreux Jazz Festival)。これまで幅広いジャンルのミュージシャンが熱演を繰り広げてきたこのフェスの特徴は、50年を超える歴史を通じてライブ音源と映像が豊富にストックされている点にある。その中からCD、DVD、デジタル音源などでリリースされている「名盤」を紹介していく。 デヴィッド・ボウイは70年代半ば、スイスに居を定め、モントルーのスタジオで盛んにレコーディングを行っていた。彼がその「ホーム」のステージに立ったのは2002年のことである。当時の新作『ヒーザン』発売後のツアーの一環だったそのライブでは、彼の最高傑作と定評のある『ロウ』のほぼ全曲が演奏された。自身の現在と過去に対峙しながら最高のパフォーマンスを見せたボウイの姿が、音源と映像に残されている。 「デヴィッド・ボウイ」という架空の
投稿日 : 2023.07.28 東京のミュージック・バー&カフェ ─2020年代の新たな情勢は?【いつか常連になりたいお店/特別編】 “音楽に深いこだわりを持つ飲食店” を紹介する連載記事「いつか常連になりたいお店」は、本誌『ARBAN』で最長の連載企画。今回はそんな人気連載の担当ライターと編集者が、この5年を振り返りつつ “東京のミュージックバー&カフェ” 近年の傾向を考察する。 『BLUE GIANT』の効果絶大 担当編集者(以下:編集) 以前、この連載が5年目へと突入したとき(2018年)に 振り返り記事を作りましたが、あれからさらに5年経ちまして。 担当ライター富山(以下:富山) 月日が流れる早さは恐ろしいですね…。 編集 というわけで、この5年を振り返りつつ、昨今のミュージックバーやカフェ事情を教えてほしいのですが、その前に。最近、映画『BLUE GIANT』効果でジャズバーや
Home ニュース ジャズ業界は異常? 素人の僕が“セッションの現場”を1年間取材して分かったこと【ジャムセッション講座/第12回】 投稿日 : 2023.06.06 ジャズ業界は異常? 素人の僕が“セッションの現場”を1年間取材して分かったこと【ジャムセッション講座/第12回】 これから楽器をはじめる初心者から、ふたたび楽器を手にした再始動プレイヤー、さらには現役バンドマンまで、「もっと上手に、もっと楽しく」演奏したい皆さんに贈るジャムセッション講座。 今回は、ジャムセッションの現場を体験してきたライターの千駄木雄大が、この1年間の取材で感じてきたことを編集者のヤマシタにぶちまけていきます。 【今回の登場人物】 編集者 ヤマシタ 本誌編集者。40代男性。ライター千駄木とともに当連載企画をスタート。音楽はジャンルを問わずなんでも聴く。ライター千駄木に無理難題を吹っかけて楽しむ悪人。 千駄木
構成・文/土佐有明 桑原あい ザ・プロジェクト|Ai Kuwabara The Project 『Making Us Alive』 石若駿とのデュオ作もあるピアニストの桑原あいが、デビュー10周年を記念してリリースしたライヴ盤。2022年4月から7月に行ったライヴのベスト・テイクを収録。昨今の活動の中心である鳥越啓介(b)、千住宗臣(ds)とのレギュラー・トリオ=桑原あいザ・プロジェクト名義での作品だ。桑原は自身のオリジナルの他、クラシックやロック、ソウルなどをハイテンションで演奏しており、主張の強いリズム隊に真っ向勝負を挑んでいるかのよう。 魚返明末&井上銘|Ami Ogaeri &Mei Inoue 『魚返明末&井上銘』 東京藝大出身の魚返明未(p)と、CRCK/LCKSなどでも活躍する井上銘(g)のデュオ作。ピアノとギターのデュオというと、どうしてもジム・ホールとビル・エヴァンスの『
大和田俊之 慶應義塾大学教授(ポピュラー音楽研究) 専門はアメリカ文学、ポピュラー音楽研究。『アメリカ音楽史』(講談社)で第33回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)、『アメリカ音楽の新しい地図』(筑摩書房)で第34回ミュージック・ペンクラブ・ジャパン音楽賞ポピュラー部門著作出版物賞受賞。他に編著『ポップ・ミュージックを語る10の視点』、長谷川町蔵との共著『文化系のためのヒップホップ入門1、2、3』(アルテスパブリッシング)、また『山下達郎のBRUTUS SONGBOOK』では解説を担当した。 Moor Mother『Jazz Codes』 自らの手法を「ブラック・クォンタム(量子)・フューチャリズム」と呼ぶ詩人で実験音楽家、ムーア・マザー。「規則」とも「暗号」とも読めるCodeをタイトルに付した作品は、アブストラクトなビートにハープやサックス、グリッチ音などを散りばめ、そのサウンドを掻い潜
投稿日 : 2022.02.12 更新日 : 2023.03.07 上演禁止曲「奇妙な果実」をめぐる物語─映画『ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリデイ』 © 2021 BILLIE HOLIDAY FILMS, LLC. アメリカが怖れた「自由」 9.11のテロが起こった時、アメリカの放送局の多くが、「イマジン」を放送自粛のリストに入れた。たったひとつの曲が社会で大きな力を持つことを、ポップ・カルチャーを生み出してきたアメリカは知っているのだ。 そんななかで、「イマジン」に先駆けて社会を揺るがせる強烈なメッセージを持った名曲が「奇妙な果実」だ。黒人差別がおおっぴらに行われていた1940年代のアメリカ。ジャズの女王、ビリー・ホリデイはリンチにあって木に吊るされた黒人を「奇妙な果実」に例えて歌った。それがいかに衝撃的なことだったのか。映画『ユナイテッド・ステイツ vs. ビリー・ホリ
「世界3大ジャズ・フェス」に数えられるスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル(Montreux Jazz Festival)。これまで幅広いジャンルのミュージシャンが熱演を繰り広げてきたこのフェスの特徴は、50年を超える歴史を通じてライブ音源と映像が豊富にストックされている点にある。その中からCD、DVD、デジタル音源などでリリースされている「名盤」を紹介していく。 2018年、ジョージ・クリントンはライブ・ツアーからの引退を表明した。ブラック・ミュージックの可能性を大きく広げたPファンク軍団を率いておよそ半世紀。その間、何枚かのライブ・アルバムが発売されてきた。2004年のモントルー・ジャズ・フェスティバルのステージを記録したライブ盤もその一つである。2000年代バージョンのPファンクの音楽の記録を紹介しながら、ブラック・ミュージックの可能性を大きく広げたファンク集団の歴史と功績を振
Home ニュース アート・ブレイキー初来日公演の秘蔵音源が奇跡の発掘! 録音テープ発見者が語った “謎解きの苦難と興奮” 邦ジャズ文化が急展開した大事件 2016年の春、東京都内の個人宅でそれは「発見」された。古ぼけた箱に収められた正体不明の録音テープ。その内容はジャズミュージシャンのアート・ブレイキーによる演奏で、彼のグループが1961年に初来日ツアーを行った際に録られたものだった。 この音源が先日ついに、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ 『ファースト・フライト・トゥ・トーキョー』として正式リリースされ、世界中のジャズファンに衝撃を与えた。本作をパッケージ化したのはジャズ界屈指の大ブランド、ブルーノート。レーベルの代表を務めるドン・ウォズはこうコメントする。 「このレコーディングの発売は私たちすべてにとって大きな誇りである。もっとも素晴らしい陣容のひとつだったときの、輝
投稿日 : 2021.10.22 更新日 : 2022.06.03 挾間美帆の新作と「ラージ・アンサンブルの歴史」を一気に解説 ─おすすめ作品リストも 挾間美帆はいま最も注目度の高い日本人作曲家のひとり。彼女はジャズのビッグバンドやラージ・アンサンブルと呼ばれる分野で活躍し、2018年発表のアルバムはグラミー賞候補に選出。また、指揮者としてヨーロッパの有名バンドに招聘されるなど破天荒の活躍を続けている。 そんな彼女が新作を発表した。今回もまた国際的な評価を期待される本作は一体どんな内容なのか。また、彼女が主戦場とするジャズのビッグバンドやラージ・アンサンブルとは、どんな世界なのか─。挾間美帆の新作『イマジナリー・ヴィジョンズ』日本盤CDのブックレットで解説を担当した村井康司氏に話をきいた。 挾間美帆が目指したもの ──挾間美帆の新アルバム『イマジナリー・ヴィジョンズ』がリリースされました。
ピアノ+弦楽四重奏。上原ひろみの新プロジェクト「上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット」名義でのアルバム。コロナ禍の自粛期間中に書き下ろした組曲や自身のSNS企画で発表した楽曲、過去のオリジナル曲を新たに編曲したものを収録。 上原ひろみ 『シルヴァー・ライニング・スイート』 1991年にフランス・パリの「La Grande Halle」でおこなわれたマイルス・デイビスのコンサートを収録したライブ作。『The Lost Septet』『The Lost Quintet』という『The Lost』シリーズ3部作の最後を飾る作品。 マイルス・デイヴィス 『The Lost Concert(Live)』 ※現在、Spotifyでは未配信 グラミー賞にノミネートされた前作『ダンサー・イン・ノーホエア』以来3年ぶりとなる挾間美帆の新アルバム。 挾間美帆 『Imaginary Visions』 米ギタリス
投稿日 : 2023.05.02 更新日 : 2023.06.20 3人のユダヤ人と「最高のジャズ・シンガー」が生み出した名曲─ビリー・ホリデイと「奇妙な果実」【ヒップの誕生】最終回 最も早い時期に黒人によって歌われたプロテスト・ソングであり、ブラック・ライヴズ・マターの原点であるとも言われる「奇妙な果実」。しかし、その作者は黒人ではなかった。ビリー・ホリデイの絶唱によってジャズの歴史に名を刻むことになったこの曲をつくったのはユダヤ人であり、この曲を歌う場所を用意したのも、レコード化したのもまたユダヤ人であった。3人のユダヤ人と1人の黒人の共同作業によって名曲「奇妙な果実」が誕生した背景を探る。 アメリカ南部で頻発したリンチ殺人 日本語で「私刑」と訳される「リンチ(lynch)」という言葉は、実在した人物の姓に由来するらしい。名祖(なおや)と考えられる人は3人いて、米バージニア州の治安判事
投稿日 : 2021.09.02 更新日 : 2022.03.28 「日本のジャズ」この20年で何が起きたのか─ 定型に執着しない現代のミュージシャンたち “新世代”と呼ばれる、日本の若きジャズ・ミュージシャンたちが、かつてないほどユニークな作風で本邦ジャズ史を更新し続けている。 彼らは一体どんなマインドで創作をおこなっているのか。また、現在の日本のジャズ環境や、ミュージシャンの養成システムはどんな状況にあるのか。音楽大学のジャズコースで教員も務める、評論家の村井康司氏に話を聞いた。 挾間美帆のポテンシャル ――今回は「いま活躍している日本のジャズミュージシャン」についてお聞きしたいのですが、その前にひとつ。70〜80年代って、日本のジャズミュージシャンが今よりも “大衆的” な存在だったと思いませんか? 村井 そう思いますよ。たとえば渡辺貞夫や日野皓正といったジャズマンが、よくテレビCM
スリー・ブラインド・マイス 創始者・藤井武インタビュー|「あの頃、世界中が “自分たちのジャズ” を模索しはじめた」─日本初のインディ・ジャズレーベル物語〈1〉 投稿日 2022.07.04 更新日 2023.12.19
投稿日 : 2021.09.02 更新日 : 2022.06.27 日本のジャズ─“あの頃”の情熱と気概と創造性をふたたび【Days of Delight 平野暁臣インタビュー】 空間メディアプロデューサーとして、海外万博の日本館を数多く手がけるなど多方面で活躍してきた平野暁臣さん。芸術家である、故・岡本太郎の身内であり、岡本太郎記念館の館長という顔も持つ。そんな彼は2018年にジャズ・レーベル「Days of Delight(デイズ・オブ・ディライト)」をスタートさせた。70年代初頭、日本のジャズが持っていた独創的なクリエイティビティ、そこから受けた刺激を現代のアーティストたちに還元する試みとは? Days of Delightのホームページ 70年代初頭、欧米的な価値観とは異質なものを生みだし世界で評価された ──平野さんは子どもの頃からさまざまな音楽に親しまれてきたと伺っています。な
選・解説/村井康司 2000年以降にリリースされたジャズ・アルバムの中から、現代のジャズを知るためにぜひ聴いておきたい20作品を選んでみた。 ヒップホップやネオ・ソウルと親和性の強いもの、ジャンルを問わない広い意味でのアメリカ音楽(いわゆる「アメリカーナ」)に接近しているもの、アメリカ以外の国や地域からの斬新な音楽、ベテランの若手を起用しての果敢なチャレンジ、UKの若い世代のカリビアン系ジャズ、ラージ・アンサンブルの可能性、ジャズの伝統を新しいテクニックと発想で更新するもの、脱構築的なジャズ楽曲の解釈など、多様で多彩な「今のジャズ」のさまざまな側面を聴き取ってほしい。 もちろんここに挙げた作品以外にも、注目すべきミュージシャン、聴いておきたいアルバムは多数ある。ピアノならジェイソン・モラン、ヴィジェイ・アイヤー、シャイ・マエストロ、ジェラルド・クレイトン、ジェームズ・フランシーズなど、サッ
投稿日 : 2021.06.28 更新日 : 2023.12.19 「これまでのジャズ」と「これからのジャズ」─村井康司 インタビュー ジャズという音楽は現在、どんな姿をしているのか。100年を越えるジャズの歩みを丹念に考究し、この半世紀の動きを感受してきた批評家は、昨今のジャズをどう解釈し、どう分析しているのか。『あなたの聴き方を変えるジャズ史』などの著作で知られる音楽評論家の村井康司氏に聞いた。 2010年代の出来事 ──たとえば、この10年。ジャズ界で起きたことを振り返ると、ロバート・グラスパーとカマシ・ワシントン、あるいはその周辺のプレイヤーたちが多くの関心を集めました。 村井 ロバート・グラスパーは、2012年のアルバム『ブラック・レディオ』が大きなきっかけでしたね。以前の彼もいいピアニストではあったんだけども、あの作品でヒップホップやネオソウル的なものを初めて強く押し出して注目
今も昔も“なんでもアリ” かつてジャズはポピュラー音楽の「主役」として、さまざまなカルチャーに影響を与えてきた。同様に「ジャズ」もまた、他ジャンルの音楽を巧みに取り込み、変化を繰り返し、いまもスタイルを拡張し続けている。 ジャズ関連の著作で知られる批評家の村井康司は言う。 「ジャズって、そもそも形がないんですよ」 たとえば、ブルースには型がある。ポピュラーミュージックとして存立する音楽には、一定のフォームがあるのが常だ。 「ジャズにはそのフォームがなかった。あるとすると、いろんな音楽を取り入れて、いくつかの管楽器とピアノと、まあ、そこらにある楽器で、即興演奏を含んだ演奏をする、という方法論ですね。どっちかというと“やり方”の音楽で、素材はなんでも良い」 こうした生まれ持った性質が、ジャズを変化させ続け「現代のジャズ」を面白いものにしている。ジャズはこれまでどんな変化を遂げ、現在どんな様相を
Home ニュース 【ヴィジェイ・アイヤー|インタビュー】物理学者の道を断ち “現代ジャズ” 屈指のピアニストに─明敏な知性と豊かな感性を包容した最新作 投稿日 : 2021.04.16 更新日 : 2021.08.17 【ヴィジェイ・アイヤー|インタビュー】物理学者の道を断ち “現代ジャズ” 屈指のピアニストに─明敏な知性と豊かな感性を包容した最新作 Photography by Ebru Yildiz 過小評価されているジャズ・ミュージシャンのひとり、と言うと聞こえは悪いが、その圧倒的な想像力や表現力、胆力や力量に比してピアニスト、ヴィジェイ・アイヤーの知名度は確かに低い。惜しくも日本盤のリリースが見送られたECM(注1)からの最新作『Uneasy』を聴くにつれ、その想いを強くせざるを得ない。 注1:1969年にマンフレート・アイヒャーが創設した音楽レーベル。本拠地はドイツのミュンヘン
戦後、占領の中心となった横浜は「アメリカに最も近い街」だった。1948年、その街に伝説のジャズ喫茶が復活した。それは、横浜が日本の戦後のジャズの中心地となる始まりでもあった──。そんな、日本のジャズが最も「ヒップ」だった時代をディグする連載! 音楽ビジネスにはコンサートなどの興行が不可欠であり、興行の世界は歴史的に「反社会勢力」が暗躍する場所だった。戦後のジャズ界から出発し、芸能プロダクションを立ち上げ、〈クレイジーキャッツ〉をスターに育て上げた渡辺晋は、「反社」とどのように対峙したのだろうか。その陰には、一人の男の存在があった。 芸能界と「反社」の関係 「反社」という言葉が日本語の語彙として定着したのはいつ頃からだっただろうか。以前はたんに「暴力団」もしくは「ヤクザ」と言っておけばよかった人々を、「反社会的勢力」と別の言葉で呼ばなければならなくなったきっかけは、1992年に施行された「暴
2020年の音楽との接し方は、外出もままならぬ状況での自宅DIGによる旧譜再発見、そして仕事場のすぐ近所にできたナイスな店、CHEE SHIMIZUさんのORGANIC MUSICでの未知の過去音楽との出会い、この二つが多かったですかね。でも新譜も良い作品が多かったです。 渡辺信一郎 アニメーション監督 未来の音楽シーンを描いた最新作「キャロル&チューズデイ」がNetflixで視聴できます。現在は短編アニメーションを製作中。 Jameszoo & Metropole Orkest(conducted by Jules Buckley) 『Melkweg 』 元テコンドー選手だとかいう曲者ビートメイカーの、なんとメトロポール・オーケストラとの共演作。こういうクラブ・ミュージックとオーケストラの共演作はいくつか出てますが、だいたいどっちかが遠慮気味というか、及び腰なものが多いですがこれはいいで
ピーター・バラカン 1951年8月20日ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科卒業後、74年に来日。シンコー・ミュージック国際部入社、著作権関係の仕事に従事する。80年、同退社後、執筆活動やラジオ番組への出演などを開始。また80年から86年までイエロー・マジック・オーケストラ、のちに個々のメンバーの海外コーディネーションを担当。84年、TBS-TVのミュージック・ヴィデオ番組『ザ・ポッパーズMTV』の司会を担当。88年、TBS-TV『CBSドキュメント』の司会を担当。2010年、TBS系列のニュース専門チャンネル『ニュースバード』に移籍し、番組名も『CBS 60ミニッツ』に変更。2014年3月まで司会を務める。現在も放送番組の制作、出演のほか、執筆や音楽フェスティバルの監修なども手がける。 http://peterbarakan.net/ V.A. 『The Harry Smith B-S
投稿日 : 2020.12.24 更新日 : 2021.11.09 【2020 年間ベストアルバム】ブラジル/ラテン音楽 BEST 20 2020年にリリースされた音楽アルバムの中から「ラテン系」作品に的を絞り、聞き逃せない新譜20作をセレクト。トラディショナルな中南米音楽や、ジャズに根差した作品はもちろん、世界各地から発信されるラテンの最新潮流もフォローした傑作選です。 構成・文/江利川侑介 アントニーノ・レストゥシア/Antonino Restuccia 『OTRO CAMINO』 小国ながら魅力的な音楽を多く送り出すウルグアイを代表するベーシストの最新作。同国のアフロ系伝統音楽=カンドンベに根差したリズミカルなコンポジションと、イスラエル・ジャズにも通ずる抒情性が融合。そのモダンな作風はラテンというタグを外して聴かれるべき! オルケストラ・アフロシンフォニカ/Orquestra Af
投稿日 : 2020.12.08 更新日 : 2021.02.10 松原みき「真夜中のドア Stay With Me」が世界3位に─Apple Musicでも92か国でトップ10入りの快挙 発売から40年を経た松原みきのシングル「真夜中のドア Stay With Me」。この楽曲が、Spotifyバイラルチャート「グローバル バイラルトップ50」で急上昇し、トップ3にランクイン(12月2日~3日時点)した。往年の邦楽曲としては、例のない快挙である。 ここ数年、欧米を中心に日本の70年〜80年代シティポップが人気だ。松原みきの「真夜中のドア Stay With Me」もブームとなっており、11月には世界47か国のApple Music J-Popランキングでもトップ10入りを果たした。 こうした現象は、フジテレビ系列「めざましテレビ」(11月27日放送)をはじめ、複数の日本メディアに取り
「Don’t Know Why」などのヒットで知られる歌手ノラ・ジョーンズが、日本の人気漫画「めぞん一刻」とコラボレーションしたミュージック・ビデオを制作した。2020年10月16日20時から、Youtubeでプレミア公開される。 10月16日(金)20時からプレミア公開 これは、今年6月にリリースしたアルバム「ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア」の収録曲「アイム・アライヴ」の公式MVとしてブルーノート・レコードが制作。コロナ禍のリリースにあたり、「生きる」というテーマを多くの日本のファンに伝えたい、と企画された。同曲で描かれた葛藤を抱えながらも強く楽しく生きようとする女性像と、亡き夫から主人公の浪人生・五代裕作に移ろいゆく気持ちの葛藤を抱えた漫画のヒロイン・音無響子に共通点が多くコラボが決まった。住人との出会いの中で「生きる」意味を考え、五代に心を開いていく様子が漫画イラストで展開さ
Home ニュース 「サンダーキャット」って何者? 世界の批評家を感嘆させる怪腕ベーシスト、奇抜ファッション、日本アニメの大ファン… 投稿日 : 2020.07.29 更新日 : 2021.08.31 「サンダーキャット」って何者? 世界の批評家を感嘆させる怪腕ベーシスト、奇抜ファッション、日本アニメの大ファン… サンダーキャット( Thundercat )は、アメリカ・ロサンゼルス出身のミュージシャン。ベーシスト/ボーカリスト/プロデューサーとして自身の作品制作のほか、さまざまなミュージシャンとのコラボレーションでも知られています。 “天才ベース少年”の初ステージ サンダーキャットの本名はステファン・ブルーナー。1984年、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス生まれの彼は、父がプロ・ドラマーという音楽一家(注1)に育ち、5歳からベースギターの演奏を始めます。父の友人であるジェラルド・ブ
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