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選抜大会の中止が決まり、涙をぬぐう「大力食堂」の藤坂悦夫さん=2020年3月11日、兵庫県西宮市、森岡みづほ撮影 春の甲子園から球音が消えることになった。第92回選抜高校野球大会(阪神甲子園球場)を主催する日本高校野球連盟と毎日新聞社は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、19日開幕予定だった大会の中止を決めた。大会史上初の決断に、高校球児や関係者らは無念の思いをにじませた 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)の近くにある大力食堂には、春と夏に高校球児やファンが多く訪れる。テレビニュースで選抜大会の中止を知った店主の藤坂悦夫さん(81)と妻初枝さん(78)は涙をぬぐった。 悦夫さんは「今までこんなことない。高校野球は一生の思い出やから、ほんまにかわいそう」。初枝さんは「高校野球では全国から常連さんが来てくれる。とてもさみしい。選手たちがどんなに悔しいか……。仕方ないけど、ここまでしないといけない
球場で試合を観戦する石橋貴明さん=阪神甲子園球場、江口和貴撮影 ※別ページで拡大画像がご覧いただけます。 ■タレント・石橋貴明さん 想像以上に暑いなあ。でも甲子園はきれいだね。この天然芝と、この土と。 観客としてここで高校野球を見るのは久しぶりです。前に2度、母校の帝京の決勝を見に来ました。仙台育英が相手だった1989年と、星稜と戦った95年。どっちも帝京が優勝できた。まさか3度目で、星稜と仙台育英の試合を見るなんて縁があるね。 星稜は奥川君が先発せずに荻原君が投げている。心臓がバクバクしているんじゃないかな。僕も投手でした。公式戦では一度も投げられなかった。肩は強かったけど、秘密兵器が最後まで秘密兵器のままで終わっちゃった。最後の夏は、3年生が13人いましたが、僕はベンチ外7人の1人。みんなスタンドから必死に応援しましたよ。ピンチのとき叫んだ言葉? そりゃあ一つだよ。「帝京魂!」 序盤で
(18日、高校野球 星稜17―1仙台育英) 阪神甲子園球場で開かれている第101回全国高校野球選手権大会の熱戦のさなか、心温まる場面があった。 18日にあった準々決勝第3試合、星稜(石川)―仙台育英(宮城)の七回裏。仙台育英の攻撃中、星稜の先発・荻原の右手がつりかけた。仙台育英の4番打者・小濃は、荻原の小さな異変を感じ取ると、自分が飲もうと思っていたスポーツドリンクのコップを持ってすぐにベンチを飛び出し、2年生右腕のもとへ駆け寄った。「けがしたらダメだよ。これ飲めよ」と荻原に声をかけた。 このとき、仙台育英は1―9でリードされていた。小濃は「これまで自分たちが死球を受けたときも(相手に)コールドスプレーをかけてもらっていた。自分たちもそういう場面が来たら、何かしなくちゃと思っていた」と振り返った。仙台育英の須江監督は「気がついたら小濃が行っていた。日頃からグラウンドに敵はいないと教えていま
第101回全国高校野球選手権大会で44年ぶりの準々決勝進出を決めた中京学院大中京(岐阜)が、夏の甲子園歴代最多7回の優勝を誇る中京大中京(愛知)と学校名などが似ており、SNSで「ややこしい」と話題になっている。 中京学院大中京が、優勝候補に挙げられた東海大相模(神奈川)を逆転で破った16日、ツイッターでは「中京大中京」がトレンド入り。「#中京大中京」のハッシュタグを付けて勝利を喜ぶ投稿が相次いだ。「てっきり愛知代表と思っていた」「甲子園と言えば中京大中京だと思うよね」「学校名が似てるから勘違いする」というつぶやきもみられた。 甲子園のスコアボードの得点部分には「中京」と表示。今夏、中京大中京が23年ぶりに伝統のユニホームを復活し、両校とも胸に活字体で「CHUKYO」と書かれ、襟が数センチ立ったデザインのユニホームを着用していることも混乱に拍車をかける。中京学院大中京の増田大晟君(3年)は、
夏の全国高校野球選手権福岡大会で、高校生が球審としてデビューした。 九産大九産の黒岩龍之介君(1年)。試合後、「緊張しました」と言いながらも、爽快なまでの表情を見せた。 「さあ、頑張っていこう!」 15日、福岡県小郡市野球場の第2試合、早良―福岡舞鶴戦で、黒岩球審のやや高い声が響いた。 幼稚園のころからキャッチボールを始め、中学では地元の硬式野球チームに入った。しかし、中学2年の秋、左足首を骨折。全力でプレーができなくなった。何とか野球に関わり続けたい、思いついたのが審判だった。 「グラウンドで野球ができるのは選手以外では審判だけ」 全日本軟式野球県連盟に電話をかけ、審判になる方法を尋ねた。その後も努力を重ね、球場に通っては、試合をジャッジする先輩審判の動きを丹念に追った。 昨年は少年野球や軟式野球の試合を中心に124試合をこなした。 「一定の基準に達した」と評価され、今春、九州地区高校野
時間を無駄にしないように、走りながらトンボかけをする春日の選手=2019年6月11日、福岡県春日市、棚橋咲月撮影 フリー打撃11分 内外野別ノック10分 バント練習7分……。 福岡県中西部の県立校、春日の野球部。6月のある日、練習後に部員に配られた「練習プリント」には、B4判の紙に練習試合などで見つかった課題を始め、翌日の練習メニューが分刻みに記されていた。 練習が終わったのは完全下校時間の午後7時30分直前。部員はプリントを手に、急いで着替えて下校していた。 この後、部員たちは自宅などで内容を確認してメニューを把握し、自身やチーム全体の動きを考える。「授業が終わったらグラウンドへダッシュです」と捕手の坂口博亮(ひろあき)君(3年)。放課後の練習でイメージを行動に移し、気になる点があれば、考えて修正。プリントの振り返り欄に記入し、次の練習に生かす。そのサイクルを繰り返す。 平日の練習は2~
愛知大会6日目の13日、今春の選抜大会で優勝した東邦が2回戦で敗退した。3―10の八回コールド。勝った星城は、先発した選抜大会の優勝投手・石川昂弥から13安打を放ち、東邦打線を8安打に抑えた。 星城が6点をリードして迎えた八回裏1死満塁、星城の6番打者、宇山脩人の打球が三前に転がった。その球を投手から三塁手に変わった石川が一塁に投げている間に三塁走者が生還。試合終了。その瞬間、会場は「え、終わり?」と騒然となった。 東邦とともに、今大会ノーシードでの出場となった星城は、1998年に豊田西を春の甲子園に導いた平林宏監督が指揮をとる。2015年の監督就任以降、甲子園出場を目指して指導を続けてきた。星城のエース石黒佑弥は昨年、愛知県の選抜チームで東邦の石川とともにオーストラリア遠征に参加したメンバーだ。 両チームはともに初戦を突破し、春日井市民球場(両翼97メートル、中堅121メートル)で2回戦
打撃練習をする山崎南琉さん(左)と主将の小野優希君=2019年6月17日午後3時46分、大網白里の大網、小木雄太撮影 あの時は気づいたら涙が止まらなかった。 4月7日午後のグラウンド。大網、上総、市原緑の連合チーム(千葉県)の11人が監督を囲むように並んでいた。 「1番……、2番……」 春の大会でベンチ入りするメンバーの名前が呼ばれると、選手たちは背番号を受け取った。10人目まで発表され、終わった。 大網の山崎南琉(なる)さん(3年)は名前を呼ばれることがなかった。唯一の女子部員。監督が話している間、目は赤くなっていた。 規定では、参加選手の資格は「男子生徒」と決められている。知ったうえで、練習してきた。 でも、やっぱりメンバー発表の日はいつも悔しくなる。「みんなと同じ練習をしているのに」。今年は最後の年。こみ上げた気持ちを抑えられなかった。 ◇ 野球少年の兄に連れられ、小3から軟式野球の
6月23日の練習試合。新潟の投手、須栗久善(3年)は「与四球と失点の相関関係」を思い出しながら相手打者に向かっていた。 三回、1死後に四球を与え、「だいたい5割」。2死後、二つ目の四球で「ほぼ10割……」。データ通り、2死一、二塁からの適時打で1点を失った――。 正確には、「与四死球か失策が1の回は失点の確率が48・9%、2なら95・7%」だ。同校マネジャーの柳沢遥香(3年)が今冬、過去8年間の同校の試合を記録したスコアブックをかき集め、電卓で計算した。 練習試合の後、須栗は「失点はデータ通りなので、論理的に気持ちを切り替えられた」。実際、この回を最少失点で切り抜けると、続く回も無失点に抑え、試合の主導権を相手に渡さなかった。 柳沢の分析は半端ではない。選手別の打率や出塁率はもちろん、チームのバント成功率(93%)や盗塁成功率(84%)も算出。さらに、「最多得点は四回、最多失点は七、九回」
新潟明訓の練習後のミーティング。丸刈りの部員は1人もいなかった=4月、新潟市江南区北山 ※別ページで拡大画像がご覧いただけます。 「礼!」。練習後、新潟明訓の部員60人が帽子を脱いでグラウンドに一礼すると、伸びた髪がふさっと揺れた。丸刈りじゃない。1月、全員で「脱丸刈り」を始めたのだ。 甲子園出場8回。野球漫画「ドカベン」の明訓高校のモデルとして全国に知られる同校が大胆な変化を図ったのは、危機感からだ。昨年、公式戦0勝。「どん底を見た」という指導歴30年超の野球部長、波間一孝(53)にコーチの今井也敏(38)が昨秋、「(丸刈りを)そろそろ、やめませんか」と切り出した。 ◇ 以前から髪形の規則はないが、ほかの多くの高校野球部と同じく、同校も「高校野球=丸刈り」の中にいた。しかし、それが部の力をそいできた面もあった。 中学野球部でエースだった新入生が、「坊主にしたくない」と入部を断っていった。
夏の甲子園、最高の「ベストゲーム」を決定! 全国高校野球選手権大会が第100回を迎えたことを記念し、みなさんの心に残る試合を投票してもらいました。総投票数は41万2513票でした。 2017年に実施した「甲子園ベストゲーム47」(投票数計53万4426票)で各都道府県の1位に選ばれた43試合に99回大会の2試合を加えた計45試合を投票対象としました。 投票は、1人3票までとしました。 ベストゲームファイナルを語ろう ユーザーの皆様のコメントをお寄せください。あなたにとっての忘れられない試合はもちろん、「あの試合が入っていない!」といったご意見もこちらへ。(投稿受け付けは終了しました)
第100回全国高校野球選手権記念大会の開幕戦の始球式を、大リーグ・ヤンキースなどで活躍した松井秀喜さん(44)が務めた。その開幕戦を、母校の石川・星稜高が抽選で引き当てる偶然。運命的な1日の裏話を、付き添い役で同行した星稜高野球部同期で、朝日新聞社スポーツ部の福角元伸デスクが振り返った。 ■隣ですらすらと 「おい! 歌うぞ」。甲子園の記者席で観戦していた松井はニヤリと笑い、私の太ももを左手の甲で軽くたたいた。5日の開幕戦、母校が9―4で勝った直後だ。昔からいつもこちらのお願いごとを聞いてもらうばかりで、要求はあまりしてこない。それが珍しく、積極的に声をかけてきた。 今の私は当然、野球部員ではなく、会社員の43歳。隣はラジオの放送ブースで後ろには同僚たちの目がある。一瞬、恥ずかしさで「えええ」と思ったが、国民栄誉賞の受賞者を1人で立たせて歌わせるわけにはいかない。私はどうせ歌うなら「バカにな
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ともに初めて決勝に進んだ京都国際と関東第一が頂点をかけて激突。京都国際は3回には連打で、5回には長打で、と何度もチャンスを作るも、あと1本が出ない。対する関東第一も京都国際のエース中崎に抑えられ、9回を終えてわずか4安打。スコアボードには0が並び続け、決勝では史上初の延長タイブレークに突入する。10回、京都国際は押し出し四球と犠牲フライで2得点。関東第一も粘ったが、今大会無失点ピッチングを続ける京都国際の2年生西村から1点を返すにとどまった。甲子園100年の夏、京都国際が激闘を制し、初の栄冠を手にした。
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