柄谷行人浅田彰全対話 (講談社文芸文庫) 作者:柄谷行人,浅田彰発売日: 2019/10/11メディア: Kindle版 1980年代から90年代にかけての対話を集約しており、以前、何処かで読んだことのある文章がほとんど*1。バブル崩壊・金融危機以前の時代性が色濃く感じられ、長期停滞期を経た今とは文脈が異なる。加えて、経済学的な視点からみると、現在の論壇水準から乖離した「稚拙」さがある*2。「グローバリズム」という概念は未だなく(もしくは意味合いが異なっており)、それが現れる直前の極限点に思考を進めるが、現在の視点からすれば日本的「ポスト資本主義」といったものにリアリティは感じない。 日本的「コーポラティズム」批判にしても、そもそも、日本には「主体」がなく関係主義的なので「コーポラティズム」も容易なのだ、といった物言い自体、唯物的ではない。日本の雇用システムは、幾度かの批判の反復を繰り返し