第65回短歌研究新人賞は、受賞作候補作含めて読み応えのある作品が多かったように思う。なかでも受賞作であるショージサキ「Lighthouse」30首は、非対称の力ないし関係性の発現をつぶさに捉えつつ、歌同士が有機的に関連づけられて読まれ得る仕掛けの施された傑作である。 年上の女のひとが車道側歩いてくれて今だけ女児だ 顔も手も胸も知ってる友人が知らない男と生殖してる 種を蒔くほうに生まれてみたかっただろうか種を育てる身体 花を踏む 咎める人の足元はコンクリートで幸せですね (ショージサキ「Lighthouse」「短歌研究」2022年7月号) 引用1首目、「年上の女のひと」によって守られる側となった自身を「女児」と呼び表した、というだけの歌ではないことに注意したい。一緒にいる相手より車道側を歩く、という行為に含まれる〈守る/守られる〉の関係は、今回はたまたま年齢の違いによって〈守られる〉役割を歌