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今年の「#文学」
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『数学セミナー』の連載記事のネタを考えている過程で、紙コップをつかったテトラポッドの工作を思いついた。
中村義作さんによる、黄金比(φ≒1.618)の長方形の三枚組みはみごとだ(写真上)。黄金長方形に鍵型の切れ込みいれて、XYZ軸のように組み合わせる。きれいに安定し、12個の頂点を結ぶと、正二十面体になる。 仕事場の机に、名刺(黄金長方形である)の三枚組による、この立体を置いてある。それを見ていて、名刺に付加部分を与えて、二十面体の稜をつくることができないかと考えた。その造形もまあまあうまくできたのだが、そのときに使った用紙形を試すうちに、もっとエレガントな立体ができることがわかった。 写真中段の立体がそれである。組みあがるまではひじょうに不安定だが、完成すると安定する。面白いのは、内部の空間が正十二面体になっていることだ。全体として、ケプラーの小星型十二面体にひじょうに近いかたちなのである。 写真下段は、この立体を、より小星型十二面体に近づけてみたものである。
数年前にオーストラリアの森でひろった、ガムツリー(ユーカリ)の実である。たぶん、同じ木から落ちた実なのだが、対称性が、3回、4回、5回という変異があるのが面白い。 さて。3・4・5と言えば、最もよく知られた、ピタゴラス数(32+42=52)だ。 3対4の長方形は、辺と対角線が、整数の比で表せるということである。このような整数の組は無数にある。 これを立体に拡張するとどうなるか、という問題がある。つまり、すべての辺とすべての対角線(立体の対角線を含む)が整数比になる直方体はあるか、という問題だ。そのような直方体を「完全直方体」というらしい。「完全直方体はあるか?」これは、未解決問題なのである。わたしは、それを知った時、ちょっと意外だった。フェルマーの最終定理よりは難しくなさそうにも思えるのだけれど。 2011/11/06 追記:詳しくは確認していないが、「完全直方体」が不可能であることは、2
まったく違う文章を書いていて、『本格折り紙』の誤植に気がついた。 69ページ「立ち姿の鶴」 誤:角度を規格化することは、作品を明解にする近道のひとつです。 正:角度を規格化することは、作品を明快にする近道のひとつです。 85ページ「馬」 誤:明解な構成ですが、基準のA点を見つけるのには、ちょっとした工夫が必要です。 正:明快な構成ですが、基準のA点を見つけるのには、ちょっとした工夫が必要です。 わたしの頭にあったのはクリアという意味だが、いままで意識の上にあがらなかった間違いだった。ワープロが明快と変換していれば、それはそれで、そのままだったようにも思う。洒落の「洒」の字を、ずっと「酒(サケ)」という字だと思っていて、そうでないことを知ったときに愕然としたことなども思い出した。 さて。 「明快」は「さっぱりして心持ちのよいこと。筋道が明らかですっきりしていること」(広辞苑 第五版)で、「明
箏曲家・葛原勾当(1812-1882)の折った折り紙作品が発見され、いま、岡村昌夫さんが調べている、とのことだ。 葛原勾当に関しては、まったく知らなかったのだが、太宰治が『盲人独笑』でとりあげており、実に興味深いひとである。点字が一般化する以前、様々な盲人用の文字を考案したひとでもあり、その中には、紙の端を折ることで文字を表す「折紙文字」なるものもあるという。(折紙文字が葛原勾当の考案なのかは、詳細不明でした。4/4)(参考:国立民族学博物館企画展『さわる文字、さわる世界』) 蛇足ながら、勾当(こうとう)というのは、検校、別当、座頭といった、盲人の官名のひとつで、名前ではない。 葛原勾当日記を、私に知らせてくれた人は、劇作家伊馬鵜平君である。(略)折紙細工に長じ、炬燵の中にて、弟子たちの習う琴の音を聴き正しつつ、鼠、雉、蟹、法師、海老など、むずかしき形をこっそり紙折って作り、それがまた不思
北村薫さんの、文芸に関する謎を解くシリーズの新刊『中野のお父さんと五つの謎』の中の一編に、笠原邦彦さんの『おりがみ新世界』や、『千羽鶴折形』の解説本がでてきて、意想外な登場ながらもうなずきながら読んだのだが、落ち着いて考えると、北村さんが折り紙まで守備範囲にしているのが、まずは驚きである。 なお、作中、『千羽鶴折形』に関して秋里籬島の名が出てこないのは、作中で取り上げられる本が、すばる書房『おりがみ2 千羽鶴折形 江戸の古典 魯縞庵・作』(笠原、1976)で、これは主に折りかたの解説の本だからである。わたしもこれで『千羽鶴折形』全49種を折った。なつかしい本だ。同書の狂歌など含めての解説は、岡村昌夫さんの『つなぎ折鶴の世界―連鶴の古典『秘伝千羽鶴折形』』が詳しい。 小津夜景さんのエッセイ『ロゴスと巻貝』が面白かったので、小津さんの『いつかたこぶねになる日』も読んだところ(文庫にもなっていた
折紙工学部会があるとの情報を得たので、日本応用数理学会に行ってきた。 研究に「折り紙」というキーワードを持っている研究者と話をするのは、それだけでもよい機会だが、はからずも収穫だったのは、同会のプログラムにあった、小島定吉氏の「ポアンカレ予想について」という講演である。昨年の秋に放送された『NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか ~天才数学者 失踪の謎~』も印象深い番組だったが、先端数学に関する一般向けの講演が聞けたというのは、うれしいプレゼントだった。高次元より3次元や4次元あたりが一番難しい(傾向がある)という話は、修辞的に使いたくなってしまう話だなあ。 写真は、会とは関係はなく、会場の首都大学東京(旧 東京都立大学)にある、ペンローズタイル(非周期的タイル)で描いた東京都という、知るひとぞ知る装飾である。 なお、折り紙の工学的応用に関する話題は、今月末にNHK教育のサイエン
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