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大そうじへの備え
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今シーズン、MLBは不況に耐えられるのか 菊地 靖=文 text by Yasushi Kikuchi photograph by Newscom/AFLO 2009年3月30日 +zoom 菊地靖 1993年単身渡米。1995年の野茂投手のドジャース入りを機に、スポーツ紙等で米国プロスポーツを取材。約10年住み慣れたオーランドを離れ、2002年末ロスに転居。最近アラスカにはまっている40代中年男。 筆者のブログはこちらまで。 2009年シーズンの開幕を目前に控えたこの時期に、何とも暗いニュースを耳にすることになった。ESPNの「Baseball Tonight」でつい最近報じていたのだが、タイガースのチケット売り上げが、前年比と比較して40%も減少しているのだそうだ。 いうまでもなく、世界同時不況の影響だ。デトロイトといえば、今回の不況で最も影響を受けた米国自
【番外編】日本は本当に世界一になったのか? 菊地 靖=文 text by Yasushi Kikuchi photograph by Getty Images/AFLO 2009年3月27日 +zoom 菊地靖 1993年単身渡米。1995年の野茂投手のドジャース入りを機に、スポーツ紙等で米国プロスポーツを取材。約10年住み慣れたオーランドを離れ、2002年末ロスに転居。最近アラスカにはまっている40代中年男。 筆者のブログはこちらまで。 第2回WBCは、日本の2連覇達成で幕を閉じた。今大会5度目の対戦となった韓国との決勝戦は、その球場の雰囲気、試合内容の密度の濃さと、どれをとっても国際大会に相応しいものだった。3年前の第1回大会を上回る観客動員数を記録し、決勝戦の大会史上初となる5万人を超えるファンがドジャー・スタジアムに集まった。まさに最高のフィナーレを飾ったわ
代表チームよりもJリーグ 海老沢 泰久=文 text by Yasuhisa Ebisawa photograph by Tamon Matsuzono 2009年3月26日 +zoom 筆者プロフィール 海老沢泰久 (えびさわやすひさ) 1950年茨城県生まれ。國學院大学大学院卒。'88年『F1地上の夢』で新田次郎文学賞受賞。'94年『帰郷』で第111回直木賞受賞。著書に『監督』『美味礼讃』など。現在、初の時代小説「青い空」(文藝春秋)が好評発売中。 サッカーの日本代表の試合を見て、われわれは何を楽しめばいいのだろう。ジーコから、オシム、さらに岡田監督に代わって2年半にもなるが、ぼくにはいまだに分からない。 当初はワールドカップ予選を突破できるかどうかという興味があった。 しかし、最終予選A組の対戦がひととおり終わったいまでは、突破はほぼ確実ということが分か
アメリカが未来永劫WBCで優勝できない理由 李啓充=文|text by Kaechoong Lee photograph by REUTERS/AFLO 2009年3月26日 +zoom 李啓充 '80年京都大学医学部を卒業し、'90年に渡米。2002年、ハーバード大学医学部助教授を辞して、文筆業に専念。「レッドソックス・ネーションへようこそ」(ぴあ)、「怪物と赤い靴下」(扶桑社)が好評発売中 日本の2回連続優勝で幕を閉じたWBC、今回は、なぜ「本命」アメリカが弱かったのか、その理由について論じる。 まず、第一の理由は、アメリカの選手・ファンにとって、WBCは「何が何でも勝たなければならない」イベントではなかったことにある。では、当地の選手・ファンにとって一番大切な目標は何かというと、「所属(あるいは贔屓)チームのプレーオフ進出、しいてはワールドシリーズ優勝」であるのは
アラン・トネッティ=文 text by Alan Tonetti 宮崎隆司=翻訳 translation by Takashi Miyazaki 岡本英理=写真 photographs by Eri Okamoto 美しいサッカーとは何か──。 イタリア人ジャーナリストの僕にとっては、「組織戦術の精度が高いサッカー」ということになる。パスをつなぐオランダのようなサッカーこそ美しいという意見もあるようだが、ああいうスタイルはどうしてもミスが増えてしまう傾向にある。あくまでも、守備におけるミスの少ないサッカーが美しいサッカーなのだ。無論、もっとも美しいスコアとは1−0(ウーノ・ゼロ)である。 現在テレビのサッカー討論番組で司会を務める僕にとって、戦術について考え、語ることは息をするくらい自然なこと。6歳でサッカーを始め、15歳までFWとしてロンバルディア州選抜でプ
木村元彦=文 text by Yukihiko Kimura 田附勝 photograph by Masaru Tatsuki Jリーグにかかわって以来、いろんな経済情勢がありましたけど、これほどの状況は今回が初めてですわ。末恐ろしいものを感じますね。個人消費ひとつとっても、チケットを買いたくても買えない。給与30%カットとか、賞与がもらえないとか、サポーターのみなさんも生活費で精一杯なわけです。溝畑さんごめん、3万円のシーズンチケット、今年は買えんと。 このご時勢、地方だけでなくどのクラブも並大抵の経営努力では乗り切れんですよ。今後決算が出るなかで、親会社が輸出に頼っているようなところにも激震が走るんやないかないう気がします。親会社の状況が悪くなってきて、それがクラブの経営にも色濃く反映してきている。中村俊輔を戻しきれなかったマリノスなんかは分かりやすい例やと思うんです
【番外編】WBC、米国内での寂しい現実 菊地 靖=文 text by Yasushi Kikuchi photograph by REUTERS/AFLO 2009年3月19日 +zoom 菊地靖 1993年単身渡米。1995年の野茂投手のドジャース入りを機に、スポーツ紙等で米国プロスポーツを取材。約10年住み慣れたオーランドを離れ、2002年末ロスに転居。最近アラスカにはまっている40代中年男。 筆者のブログはこちらまで。 メキシコシティを経て、現在マイアミでWBCを取材している。Number編集部の好意により、現地から取材レポートをさせて頂くことになった。今大会が始まる前からある意味異常とも思える過熱ぶりをしている日本とは裏腹に、ずっと日本代表チームがいない“裏ラウンド”を取材してきている自分なりに、第2回大会を客観的に考察できればと思っている。 第1回は1
From:東京「最終回に寄せて。」 杉山茂樹=文・写真 text & photograph by Shigeki Sugiyama 2009年3月18日 自分の目で見たこと、肌で感じたことをたよりに、世界中の“現場”から 写真と文にして送り続けてきたこのコラム。8年の長きにわたる連載が、 ついに最終回を迎えることになった。読者のみなさん、どうもありがとう! すぎやま しげき 1959年7月8日生まれ。静岡県出身。大学卒業後、フリーのライターとして「SportsGraphic Number」やサッカー専門誌などで執筆するほか、解説者としても活躍中。年間200日以上を海外で過ごし、世界各国からスポーツの現場の“熱”を発信している。著書に「ドーハ以後」「闘う都市」(文藝春秋)、「熱狂−ワールドカップ2002、夢のような31日間」(実業之日本)、「ワールドカップが夢だった。
ついに登場? オレンジカード 酒巻陽子=文 text by Yoko Sakamaki photograph by RICHIARDI/AFLO 2009年3月2日 +zoom 筆者プロフィール 酒巻陽子 (さかまき・ようこ) イタリア在住十数年。'90年のW杯イタリア大会でサッカーに目覚め、三浦知良選手のジェノア入りをきっかけに取材するようになる。現在、東京中日スポーツの欧州サッカー担当をつとめる。トルドとバティストゥータがお気に入り。 国際サッカーの規則改定を評議するインターナショナル・ボールド(サッカー評議委員会総会)が今月28日にアイルランドで行われ、フェアな戦いを目指した新たなルールの導入が協議される。その中で最も注目されるのが、「オレンジカード」。つまりイエロー(警告)、レッド(退場)の中間に値して、警告以上に値する選手のアンフェアな行為に対して一時的退場
「野性味」溢れる次世代エース。 横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi photograph by PanoramiC/AFLO 2009年2月26日 +zoom 横井伸幸 (Nobuyuki Yokoi) 1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。 2月11日の親善試合スペイン対イングランドにバルサのセルヒオ・ブスケッツが召集された。セスクが故障中という事情はあったし、ピッチに立つには至らなかったが、1部デビューからたったの5カ月で初代表である。もっというなら、彼はほんの8カ月前まで3部でプレイしていた選手。U-21代表に呼
「WBC」という謎の大会 海老沢 泰久=文 text by Yasuhisa Ebisawa photograph by Takashi Shimizu 2009年2月24日 +zoom 筆者プロフィール 海老沢泰久 (えびさわやすひさ) 1950年茨城県生まれ。國學院大学大学院卒。'88年『F1地上の夢』で新田次郎文学賞受賞。'94年『帰郷』で第111回直木賞受賞。著書に『監督』『美味礼讃』など。現在、初の時代小説「青い空」(文藝春秋)が好評発売中。 2月16日から宮崎でワールドベースボールクラシック(WBC)のキャンプがはじまったが、テレビも新聞もこの話題で持ち切りだ。見物の人出も、連日4万人を超す騒ぎらしい。 アメリカではこの騒ぎが理解できず、ニューヨークタイムズ紙などは、アメリカ代表がそろって練習するのは3月2日以降なのにと首をひねっているらしい。また、ア
木崎伸也=文 text by Shinya Kizaki 1月上旬、フライブルクのアパートの一室で、私たちはフォルカー・フィンケに会った。昨季無冠に終わった浦和レッズが、再建を託した人物である。 事務所に入ると、フィンケは慌しく資料を整理していた。数日後に迫った日本行きの準備に追われているのだ。ドイツサッカー協会のロゴが入ったファイルや、某クラブの育成レポートなど、重要書類を丁寧にソファーの上に並べている。もしこの全てに目を通せば、すぐに近代サッカーの専門家になれるだろう。 フィンケは知る人ぞ知る、ドイツの理論派監督のひとりである。42歳のときに高校教師を辞めてプロ監督になり、地方の小クラブだったフライブルクをわずか2年で1部に昇格させた。その余韻覚めやらぬ'94−'95シーズンには、無名選手ばかりのチームをまとめあげ、1部の3位になるという快挙をやってのけた。16年に渡って
A−ロッド ステロイド汚染の衝撃 李啓充=文|text by Kaechoong Lee photograph by REUTERS/AFLO 2009年2月10日 +zoom 李啓充 '80年京都大学医学部を卒業し、'90年に渡米。2002年、ハーバード大学医学部助教授を辞して、文筆業に専念。「レッドソックス・ネーションへようこそ」(ぴあ)、「怪物と赤い靴下」(扶桑社)が好評発売中 2月7日、MLB一の高給取り、アレックス・ロドリゲスが、2003年(当時レンジャース)のドーピング検査で筋肉増強剤2種(テストステロンとプリモボラン)に陽性反応を示していたと報じられ、MLBに衝撃が走った。 今回の特ダネを報じたのはスポーツ・イラストレイテッド誌、「4種の異なるソースに確認した」確度の高い情報であったため、三大テレビ局が夕刻のニュースで一斉に報じるなど、A−ロッド薬剤汚染の
[fromNumber721号] コスプレで入場するキックボクサー、自演乙。 布施鋼治=文 text by Koji Fuse photograph by Keizo Takasaki +zoom 本職はコスプレで格闘技は趣味。そう言ってはばからないキックボクサーが話題を呼んでいる。“地上最強のアニヲタ(アニメオタク)”を名乗る長島☆自演乙☆雄一郎(魁塾)だ。彼はストイック、ハングリーといった世間の人々が格闘家に抱く一般的なイメージ通りの選手ではない。むしろ正反対で、萌え系アニメのコスプレで激しく踊りながら入場してきたりするのだ。もちろん入場テーマ曲もほぼアニメソング。萌え系アニメなど知らない生粋の格闘技ファンは、それだけでもドン引きだ。 これで強くなかったら、単なる目立ちたがり屋でおしまい。しかし試合開始のゴングが鳴ると、そのルックスとは裏腹のハードストライカーぶりを
勝敗を左右した予想外の要因。 横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi photograph by MarcaMedia/AFLO 2009年1月27日 +zoom 横井伸幸 (Nobuyuki Yokoi) 1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。 とあるレフェリー協会の事務所に1人の少年が入ってきて言った。 「すいません、僕レフェリーになりたいんですけど」 応対した職員は、奥にいた同僚に向かって叫んだ。 「おい、このまぬけなクソガキに申込書をやってくれ」 これを聞いた少年は、当然怒る。 「ちょっと、まぬ
永谷脩=文 text by Osamu Nagatani プロとなって最初に出会い、自分を見守ってくれたコーチの存在は、どんな大選手になったのちでも決して忘れない。涙のドラフトから一転、西武に入団した清原和博の場合、その存在が土井正博だった。土井は、清原の入団と同時に当時の編成部長だった根本陸夫によって一軍打撃コーチを命じられていた。 「清原に初めて会った時、こりゃ講道館の黒帯(本物の意)だわと。ものが違うと思いました。私も一軍コーチは初めてだし、どうしたものかと思って、根本さんに相談したらば『向こうから何か相談に来るまで、じっと見ていなさい』と言われて。我慢比べでしたね」 清原の最初のオープン戦成績は2割2分。本塁打無しで終わっている。そこで開幕直前会議で、清原を二軍からスタートさせるか一軍残留のままでいくのか議論となった。結局次代を育てて欲しいというフロントの方針もあり、
永谷脩=文 text by Osamu Nagatani 初めての対戦は西宮球場やったかな。グラウンドに入ってくるなり、ペコッて俺に向かって挨拶してきた。かわいい奴やなって感じがしたね。 だけどこれが打席に立つとまったく違う。何か吸い込まれるようなオーラがあった。当時は「高卒ルーキーなんて全部ストレートで3球勝負したる」なんて息巻いてたけど、ストレート2球で追い込んで3球目にスライダーを投げた。その時のストレートじゃやられるぞって気配を感じたからね。打ち取ったけれど、いい当たりのショートゴロだった。 俺のような下手投げの投手にタイミングを合わせるなんて、一軍に上がりたての選手にできることじゃなかったから、いつかやられるだろうなって思ったよ。そしたら次の西武球場の試合で、ストレートをバックスクリーンに持っていかれた。あれは間違いなくストレートだったのに、清原のコメントは「シンカ
もうひとつの「スペイン」代表。 横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi photograph by Daisuke Nakashima 2009年1月8日 +zoom 横井伸幸 (Nobuyuki Yokoi) 1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。 スペインの冬の風物詩は自治州代表チームの国際試合だ。 地元意識が強いこの国では、多くの自治州が代表チームを持っている。一部最近デビューしたところもあるが、ほとんどは20世紀初めに生まれた地域対抗戦用の選抜チームが元となっており、フランコ政権時の(実質)消滅期を経て、90年
二宮寿朗=文 text by Toshio Ninomiya 今季限りのJ1、J2の入れ替え戦を制したのはジュビロ磐田だった。 アウェーの第1戦で貴重な同点弾を決めた入団2年目の松浦拓弥が、ホームにベガルタ仙台を迎えた第2戦でも2ゴールを奪い、防戦に回った終了間際は川口能活が顔面でブロックするなど全員が体を張って逃げ切った。5年にわたって数々のドラマを生んできた入れ替え戦のフィナーレにふさわしい激闘であった。 3年連続でJ2チームが勝っていただけに、磐田の喜びようは言うまでもない。試合後の守護神はピッチに顔をうずめて泣いたほどだ。しかし、喜びに浸る時間はそう長くはなかった。川口は自戒をこめて言った。 「勝ち慣れている雰囲気があったのかもしれないし、危機感が足りなかったのかもしれない。もっとハングリーな気持ちを持つ必要がある」 過去に3度年間王者となった磐田は今季、まさ
[fromNumber719号] 欧州でも議論されるリーグ秋春制の是非。 木崎伸也=文 text by Shinya Kizaki リーグの開幕をいつにするか? これは何も日本だけの問題ではない。ヨーロッパ北部の人たちにとっても切実な問題である。 約1年前、ドイツではブンデスリーガの開幕を「春」にすべきという議論で盛り上がったことがあった。ドイツ代表のレーブ監督が、春開幕を提案したのがきっかけだ。現在、ブンデスリーガは8―5月に開催する、いわゆる秋春制。しかし、レーブは常識を覆して、「2―11月にすべき」と言ったのである。 ドイツにとっても、冬にサッカーをするのは容易なことではない。たとえば、ブンデスリーガの1部と2部のクラブにはピッチ下に暖房を設置することが義務付けられているが、それで芝の状態が良好に保てるとは限らない。若い芽を殺さないように温度を高くし過ぎてもいけなく
Jリーグの秋春制移行 海老沢 泰久=文 text by Yasuhisa Ebisawa photograph by KYODO 2008年12月25日 +zoom 筆者プロフィール 海老沢泰久 (えびさわやすひさ) 1950年茨城県生まれ。國學院大学大学院卒。'88年『F1地上の夢』で新田次郎文学賞受賞。'94年『帰郷』で第111回直木賞受賞。著書に『監督』『美味礼讃』など。現在、初の時代小説「青い空」(文藝春秋)が好評発売中。 今年の8月に川淵三郎氏から日本サッカー協会会長を引き継いだ犬飼基昭氏が、Jリーグのシーズン移行を唱えている。現在は3月から12月にかけておこなわれているが、それを2010年から、8月末から翌年の6月にかけておこなうようにするというものだ。 これはヨーロッパ型のスケジュールで、代表チーム同士の国際試合も、選手の移籍期間の設定も、そのスケジ
宮崎隆司=文 text by Takashi Miyazaki 今季のミランは開幕前にバルセロナからロナウジーニョを獲得し、シェフチェンコをチェルシーから呼び戻した。彼らの加入により、カカを含めるとチームにはバロンドール受賞者が3人もいることになる。さらにDFザンブロッタ、MFフラミニを加え、レンタルでDFセンデロスも獲得。レンタルバックでFWボリエッロも加入した。さらに、この冬にはあのベッカムがやってくる。 この大掛かりな補強は、かつてガラクティコス(銀河系)ともてはやされた数年前のレアル・マドリーを彷彿させる。しかし銀河系レアルはタイトルに恵まれず、スター選手たちが去る形で解体を余儀なくされた。この拝金主義的なスタンスは、チーム強化の典型的な失敗例として人々の記憶に刻まれている。 ミランはレアルと同じ轍を踏むのでは──。そんな懸念とは裏腹に、ミランは着実に勝ち点を積み重ね
横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi 観る側にとっては半信半疑のスタートだった。ジョゼップ・グアルディオラは、現役時代は確かに素晴らしい選手だったが、監督経験はわずか1年。実績は、上から数えて4番目のカテゴリーとなる3部リーグのバルセロナBを、2部Bリーグに昇格させただけである。あまりにも心許ない。 選手の入れ替えにも不満は残った。 ロナウジーニョとデコを放出したことはプラスと考えることができる。2人のバルサ時代は終わりを迎えていたからだ。しかし、新監督自身が「要らない」と言ったサムエル・エトーの引き取り先を見つけられず、残してしまったのはどうか。一旦は構想外と宣告された選手に、どれほど期待できるというのか。 補強も同様で、数年前から噂されていたダニエウ・アウベスの獲得は喜ばれた(ディフェンダーに3500万ユーロ=約41億円は破格だが)。元副会長の孫
躍進を支える猛き情熱。 安藤正純=文 text by Masazumi Ando photograph by REUTERS/AFLO 2008年12月10日 +zoom 安藤正純 (Masazumi Ando) 「KICKER」特派員。欧州のスポーツ記者と幅広いネットワークを持つドイツ通で、中高年のサッカーチーム「浦安シニア」では年間100試合をこなし、毎日最低1リットルのビールを飲む生活を続けている。世界のサッカー関係者103人のインタビュー集『サッカーについて僕たちが本音で語った本』(東邦出版)の翻訳を担当。好評発売中。 こんなに珍しい首位決戦もないものだ。5日のバイエルン・ミュンヘン対ホッフェンハイム戦のことである。迎え打つのは天下のバイエルン、すべての実績と統計でドイツ1のクラブである。それに対し勝負を挑む、いや、この場合は首位チームなので「挑戦を受ける」立場
熊崎敬=文 text by Takashi Kumazaki 〈日本の皆さん、こんにちは。僕の名前はムハンマド、ドーハに住む17歳の高校生です。日本のアニメが大好きで、お気に入りは『名探偵コナン』。放送があるとすぐ録画して、月5回は見ています。趣味が高じて1年前から日本語を学び始めました。 ところで今度、カタールが日本と大事な試合をするそうですね。そこで先日、日本語教室のアズマ先生からお願いをされました。 「日本から記者が取材に来るから、カタールのことをいろいろと教えてあげてよ」 そういうことなら、お任せください。 数日後、記者さんに会うと身長193cm、体重130kgという僕の巨体に驚いていました。以前は160kgもあったんです。 ちなみに僕は、10歳のころから砲丸投げをしています。1年前には国の代表としてアラブの大会に出ました。優勝したら政府から家と車をもらえ
[fromNumber717号] バックパス禁止令は本当に必要か? 木崎伸也=文 text by Shinya Kizaki そこまで日本人はサッカーを知らないのか。あまりに馬鹿げた質問をぶつけたためか、ドイツ人からそんな対応を受けてしまった。 日本サッカー協会の犬飼基昭会長がバックパス禁止を検討中──という記事が一部のスポーツ紙で報じられた。ドイツの育成年代の試合では、バックパスをした選手を交代させるよう協会が通達していて、それを参考にするというのだ。 筆者は在独5年になるが、そんなルールは聞いたことがない。本当にドイツではバックパス禁止なのだろうか? ドイツサッカー協会の育成担当アンドレアス・シュビムは失笑しながら答えた。 「私たちは前に速い攻めを目指すというコンセプトは通達しています。しかし、バックパスは禁止していません。だって、そんなことは不可能でしょう?
近代サッカーの思わぬ副産物。 横井伸幸=文 text by Nobuyuki Yokoi photograph by MarcaMedia/AFLO 2008年11月25日 +zoom 横井伸幸 (Nobuyuki Yokoi) 1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。 レアル・マドリーのデ・ラ・レッは心臓に問題を抱えていると、ラジオ番組に出演した同クラブのカルデロン会長が洩らしてしまった。 デ・ラ・レッは10月30日に行われた国王杯レアル・ウニオン対レアル・マドリーの真っ最中、突然倒れた。味方の攻撃に参加して敵ゴール前まで上がったところ、
[fromNumber716号] U-19選手権で見えた大人たちの綱引き。 浅田真樹=文 text by Masaki Asada photograph by Shinji Akagi +zoom 現在、アジアU―19選手権を取材するため、サウジアラビアのダンマンに来ている。これを書いている時点で、すでに1次リーグ突破を決めている日本は、準々決勝に勝てば、U―20ワールドカップ出場が決まることになる。 ところが、その肝心な準々決勝を前に、チームの中心として期待される香川真司が帰国の途に就くのだから、驚いてしまう。11月中旬からのA代表の活動に備えるためだというのだ。 もはやA代表に選ばれている選手が、今さらU―19代表でプレーする必要はない、という考え方はあるだろう。しかし、A代表で完全に中心選手となっているならともかく、試合に出るかどうか分からない程度で、そちらを
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