あの日の京都の空も、青かったように思う。 1999年、春。僕は京都にいた。 当時は広島と京都で遠距離恋愛をしていて、ゴールデンウィークを利用して彼女に会うため、初めて京都まで行った。新幹線に乗ってクルクル変わる景色を眺めながら移動し、降り立った新大阪駅で落ち合った。田舎者だった僕はその大都会ぶりにとにかく驚いたものだ。 とりあえず、そこから梅田に移動し、適当に散策することになった。久しぶりに会った彼女は、なんだか少し大人びていてちょっとだけ髪が短くなっていて、こんな感じだったけと少しながら戸惑った。 「ちょっとお茶でも飲もうよ」 彼女はふいっとその辺にあったカフェに、何の躊躇もなく入り込み、流暢な横文字で注文して見せたのだ。地元の田舎町にあるセブンイレブンの偽物と思われる「セブン」という夜9時には閉店する怪しげな似非コンビニ、その軒先に置かれたコカ・コーラのベンチで嬉しそうにプッチンプリン