もうあまりに「今更ながら」なんだが、例のラムザイヤー「論文」問題が湧き上がってきたことを機に、改めて自分自身のおさらい&整理のためにこれを読んでみた。 2016年に出版された4名による共著。5年前の著作だがその頃から実情はそう変わっていない。哲学・歴史研究者の能川元一氏以外は全て女性で、山口智美氏は文化人類学&フェミニズム研究を専門とするモンタナ州立大学准教授、小山エミ氏はフェミニズムやLGBTQ関連など幅広く研究・活動しており、この二人は米国在住歴も長い。テッサ・モーリス=スズキ氏はオーストラリアの歴史学者で、「北朝鮮へのエクソダス」で在日コリアンの北朝鮮「帰国事業」を取り上げるなど、朝鮮半島と日本の関係に造詣が深い研究者。 まず、能川氏は1997年がひとつの「転機」だったとする。ちなみに従軍慰安婦募集への日本軍関与と日本の責任を認めた「河野談話」が1993年、アジア女性基金立ち上げが9