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「独立系」と呼ばれる小さいけれど個性的な書店が人気です。店主が独自にセレクトした本が並ぶ、落ち着きの空間は、読者がリアルに本と触れあえる場所として親しまれています。わざわざ足を運んでみたくなる、独立系書店をご紹介します。 本も雑誌もスマートフォンやタブレットなどの情報端末で読むことが当たり前の現代。紙の本には逆境の時代ともいえますが、本との予期せぬ出合いが期待できる書店の棚は、今も昔も変わらず読書ファンをひきつけています。 特に、“独立系”と呼ばれるチェーン店ではない個性的な小売書店は、読書好きに支えられて、東京では増加傾向にあり、そのスタイルは十店十色です。 今回は、書棚ごとにオーナーがいるシェア型、店主が偏愛する分野の本を集め、界隈の人々のサロンとなっている書店など、小さくとも個性的な輝きを放つ書店をご紹介します。各店主の方には、読めば旅に出たくなる、おすすめの本も教えていただきました
「わたしの20代」は各界の第一線で活躍されている方に今日に至る人生の礎をかたち作った「20代」のことを伺う連載です。(ひととき2024年4月号より) 20歳で大学を辞め金原亭馬生きんげんていばしょうに弟子入りしたので、20代は師匠の7番目の弟子・金原亭駒七として始まったことになります。 実家はてんぷら屋と寿司屋を営んでいました。あたしが大学の商学部に入ったことを親父は「いい跡取りになる」と喜んでましたが、実のところ授業にはほとんど出ていない。学生運動のバリケードだらけでまともに授業はないし、出席の返事だけして教室の下の窓から抜け出し、雀荘じゃんそうや新宿末廣亭に直行です。それでも落語研究会だけはまじめにやってました。落研おちけんは体育会系で、夏は合宿、冬は旅巡業で老人ホームなどを回ります。そんな学生ですから、成績は「不可」が8つでとても3年には進級できない。とはいえ家業は継ぎたくない。それ
各界でご活躍されている方々に、“忘れがたい街”の思い出を綴っていただく連載「あの街、この街」。第30回は、ライターとしてご活躍されている岡田悠さんです。長年暮らした五反田の街への愛着と、大切な人に向けられた愛情がじんわりと伝わってくる素敵なエッセイです。 引っ越しが好きだ。かなり好き。世のなか面白い街がたくさんあって、東京だけでも数えきれない。ふと降りた駅前が魅力的だったら、「よし、住もう」と思う。そして数ヶ月後に引っ越してしまう。そんな生活を続けてきた。すべての街に住むためには、人生はあまりに短い。 「住む街を変えれば、人生が変わる」みたいなことをたまに聞くが、その理論でいけば、僕の人生は波瀾万丈だ。 ただ引っ越し好きの僕でも、五反田という街だけは別だった。なんと8年間も住んでしまった。厳密には五反田エリア内で何度か引っ越しはしたものの、遠く離れることはできなかった。他の街から誘惑を受け
「わたしの20代」は各界の第一線で活躍されている方に今日に至る人生の礎をかたち作った「20代」のことを伺う連載です。(ひととき2023年3月号より) きっと傍はたから見たら順調だったと思います。声優や歌手の仕事に加えて、エッセイを出版したり、ミュージカル「レ・ミゼラブル」にも出演しました。毎日が忙しくて、楽しいこともたくさんあって……。でもわたしにとって20代は、悩みが多く、大きな壁にぶつかった時期でした。 声優の仕事って、基本的には顔が見えないところで芝居をする裏方です。でも20歳を過ぎた頃からイベント出演などで人前に出ることが増えてきました。ライブや舞台出演の機会もいただけて。自然な流れでどんどん人前に出ることになったものの、不特定多数の人に見られることは、それまでの人生になかった大きなプレッシャーだったんです。 観てくださる方がたくさんいるのはありがたいのに「もっといい自分でなきゃい
各界でご活躍されている方々に、“忘れがたい街”の思い出を綴っていただくエッセイ「あの街、この街」。第10回は、神保町のすずらん通りに構える共同書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」を運営する由井ゆい緑郎ろくろうさんです。大量の本に囲まれた暮らしの中で感じ続けた父への葛藤、そして共闘──。本の街・神保町に創り出した唯一無二の場所と、授かった尊い命への想いを綴ってくださいました。 『子供より古書が大事と思いたい』は仏文学者の鹿島茂が1996年に上梓した、同年第12回講談社エッセイ賞受賞作。タイトルは太宰治『桜桃』の冒頭「子供より親が大事、と思いたい」をもじったものである。 仏文学者の著者が、ある時『パリの悪魔』という本に魅せられ、以来19世紀フランスの古書蒐集にいかにのめりこんだか──。古書や挿絵芸術の解説からランクづけ、店の攻略法、オークション、購入のための借金の仕方まで、貴重
「飛騨さんぽ」は、紆余曲折を経て雪国・飛騨に移り住んだ浅岡里優りゆさんが、日々の暮らしの中で感じた飛騨の魅力を飾らない言葉で綴る連載です。第8回は、かつて東洋一の鉱山の街として繁栄をきわめた神岡町をご紹介いたします。 これまで飛騨の大自然や伝統ある文化を紹介してきたが、飛騨市にはまたひと味違った魅力のあふれる街がある。それが「神岡町」だ。 東洋一の鉱山とも謳われた神岡鉱山を有するエリアで、明治から昭和にかけて繁栄した街の様子がいまも色濃く残っている。 今回は、歴史の風情と時代の最先端が入り交じるカオスな街・神岡の魅力をご紹介したい。 神岡市街地の風景 Ⓒ飛騨市観光協会鉱山とともに繁栄してきた町飛騨はもともと、山国で米があまり獲れなかったため、平安時代には「下下の国」と言われるほど貧しい地域とされていた。なかでも神岡町エリアは飛騨山脈とその支脈に囲まれ、平地も少なく農地も限られていた。現在の
旅の月刊誌「ひととき」の創刊20周年を記念した本企画「わたしの20代」。各界の第一線で活躍されている方に今日に至る人生の礎をかたち作った「20代」のことを伺いました。(ひととき2022年1月号より) 大学時代は、バンドとアルバイトにはまっていました。サークルで仲間もでき、みんなで演奏、合宿、ライブ。居場所ができて、すごく楽しかった。アルバイトは、本屋さんや大学の学食、コンサートの会場案内、美術展の監視員、株主総会の席案内などなど、いろいろな世界の裏側をのぞけました。お金が欲しいというより、趣味でしたね(笑)。 でも、自分が何者かは、相変わらずわからなかった。バンドでプロになれるとは思っていませんでした。転機になったのは、就活のストレスで、ふと、ふだん絶対やらない行動をしたくなり、沢田研二さんのミュージカルのバックバンドに応募したことです。選考では立ってギターを弾くのが課題だったのに、「今日
料理研究家・土井善晴さんが、郷土料理、食文化、道具や器、それらを支える各地域の歴史や熟達の手わざ等、日本の暮らしを豊かにしてきたモノ、コト、ヒトを、全国津々浦々を巡りながら紹介し、そこに宿る健やかさを独自の視点で掘り下げます。今回は「静岡おでん」を求めて静岡市と焼津市を訪ね、その美味しさの秘密を解き明かします。(ひととき2019年12月号「おいしいもんには理由わけがある」より) 東海道新幹線に乗れば、私は富士山側にいつも座りたい。富士山が見えたらうれしくなって、いつも写真を撮る。ツイッターでツイートすると「いいね」してくれる人の多さにびっくりします。みんな富士山が大好きなんですね。静岡には、私の最寄り駅・新横浜から約40分。新幹線に乗っている自由な時間は私の楽しみなのに、ちょっと早すぎます。 いざ、静岡おでん探検! おでんが有名だと聞いて静岡にきました。でも、おでん……、どんな風に面白いの
終着駅という響きに、わけもなく惹きつけられる。この先にはもう線路がない、という最果てのロマン。そして一抹の哀愁。そこには、どんな街が広がり、どんな人たちが息づいているのか。憧れでもある地に降り立ち、周りを歩いて、ついでに一杯……。中年男性ふたり組の旅行記「終着駅に行ってきました」、はじまり、はじまり。 文=服部夏生 写真=三原久明 「ないよ、ない。ここにはね、なんにもない」 ここは秩父鉄道の終着駅、三峰口(みつみねぐち)。 駅前の餅屋の老婆は、この地の見どころを尋ねた僕の質問を遮るかのように、くぐもった声で答えた。 「なんにもないんですか」 「ない」 餅を包んでもらいながら、もう一度確認したが、にべもない。 * * * 終着駅にはドラマがある。そう思っていた。 例えば、岬のはずれにある木造の駅舎。少し歩けば小さな漁港と灯台。美人の女将が切り盛りする一軒の食堂。高倉健……。いや、そこまでロマ
料理研究家・土井善晴さんが、郷土料理、食文化、道具や器、それらを支える各地域の歴史や熟達の手わざ等、日本の暮らしを豊かにしてきたモノ、コト、ヒトを、全国津々浦々を巡りながら紹介し、そこに宿る健やかさを独自の視点で掘り下げます。(ひととき2020年5月号「おいしいもんには理由わけがある」より) 高麗橋𠮷兆本店の館が、建て替えをすませて、2019年7月、新たにスタートしました。日本料理界の頂点を極めた高麗橋𠮷兆です。普請、しつらい、もてなし、品格の高いお料理という湯木貞一(ゆき ていいち)が作りあげた日本美の世界は、どうなっていくのか、変わるもの変わらぬもの、日本料理のこれからが知りたくて、高ぶる心落ち着けて、訪ねました。 私にとって、𠮷兆は特別な存在です。湯木貞一は、私が師事した味𠮷兆のご主人・中谷文雄のさらに上の大ご主人だからです。湯木貞一に私淑していますと書くだけでも、おこがまし
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