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note.com/geidaiojosama
過去の回想というものはどうしても美化されますが、今思えば、非常に素朴な始まりだったと思います。私が”お嬢様”に会ったのは2021年の奈良でした。会うと言っても何度か話したことはあって、校内ですれちがうたびに雑談をするくらいの関係でした。奈良公園を久しぶりに歩きたいけれど、仏像や日本美術に詳しくないから案内してよ、という連絡です。親しい間柄とはいえ、急なお誘いに驚きました。 コロナが一旦おさまったのと、インドの変異型が流行して再度厳格な体制がとられる間の時期でした。観光客は当然ながらほとんどおらず近鉄駅前の行基も寂しそうです。彼女は遅刻常習者であることは知っていたので、早めに行って薬師寺や唐招提寺を観光していました。ちょうど次の年に凶事が起こる駅で乗り換えたのを覚えています。 現れた彼女は特別何かを観光したいでもなく、ならまちエリアの散歩と奈良ホテルあたりを巡るだけでした。私が建築やら仏像や
はじめにP. S チャーチランドという哲学者が書いた『脳がつくる倫理』という本は、執筆者にとってかなりの衝撃でした。 この本は脳の認知研究で倫理の基盤を見ていこうという本で、それまで読んできた倫理学の本が「カントは~」などの引用と長い論述に支えられていたのとは全く違います。 例を挙げると、「道徳的」とされるものは、それを守るとオキシトシンが分泌されるようなもの、と語られ根拠として実験データが説明されます。 社会的行動はオキシトシンといったホルモンの、つまり私たちの生物学的あり方に基づくというところから倫理を考えるというものです。 科学は決して芸術や人文学に取って代わろうとしているわけではない。とはいえ物事の本性に関する哲学的な主張、たとえば道徳的直観のようなものは脆弱であり、科学と哲学、つまり証拠が思弁に勝つべきなのである。 P.S チャーチランド『脳がつくる倫理』序より要は「哲学者なる昔
画業60年越えの、誰もが認める現代絵画の巨匠の展覧会です。現代において絵を描くということはどのようなことなのかを考えるには最高の機会だと思います。絵を描く人や興味がある人はホックニーをあまり知らなくても行く価値があります。 概要1937年生まれで、ロンドンの王立美術学校を出てから、フランシス・ベーコンなど様々な画家の影響の下で絵を出品していきます。第1章は多くの画家から学んで実験している若い絵画エリートの回想録というもので、共感や身に迫るものを感じました。 転機はロサンゼルスへ移ってから。当時最新の絵の具だったアクリルを使った新しい表現に挑戦していきます。1960年代半ばからいわゆるホックニーらしい絵画と言われる表現が確立していきますが、東京都現代美術館はホックニーの版画作品をたくさん持っているため、その中の選りすぐりが並んでいて豪華でした。 《影のあるダイビングボード》リトグラフ 197
シーレ展が日本における西洋美術展の未来を暗示するものだとしたら、それを受け止めどう展覧会を構成するかの「回答」になるような展示でした。 概要フランス北西部のブルターニュ地方は、フランスの中でも特に土着の伝統文化が根強く残る地域。近代のフランスの画家たちはその内なる異国性に惹かれて、頻繁にブルターニュへ赴くようになる。そこで興った創作と文化交流、またそれに惹かれて海を渡った日本人画家たちの作品も紹介する。 まずブルターニュとはどんなところか、の紹介から始まる。風景版画とポスター、書籍が並ぶ特徴としては、展覧会のホームページでも書いてあるように、絵葉書や書籍からトランクまでも展示されており、とにかく網羅的になっていました。油彩や版画だけの展示ではもはやありません。個々の画家の取り組みだけでなく、全体の把握、点ではなく面の鑑賞を促すような拡張の意欲が伝わってきます。 ターナー《ナント》1829年
とりあえず読んで良かった新書を羅列していきます。人文系に偏っているのは、性格上仕方がないのでご理解ください。とりあえず質うんぬんは大学院から考えて、インプット型の読書は量に限ります。 岩波新書・マイケル・ローゼン『尊厳』 ・スティーブン・グリーンブラット『暴君』 ・原武史『平成の終焉』『昭和天皇』 ・赤江達也『矢内原忠雄 戦争と知識人の使命』 ・山田隆司『名誉毀損』 ・岡本薫『著作権の考え方』 ・川島武宣『日本人の法意識』 ・諸富徹『グローバル・タックス』 ・枝廣淳子『地元経済を創りなおす』 ・渡邊泉『会計学の誕生』 ・志賀櫻『タックス・イーター』『タックス・ヘイブン』 ・宇沢弘文『経済学の考え方』 ・高島善哉『アダム・スミス』 ・菊地暁『民俗学入門』 ・山出保『まちづくり都市金沢』『金沢を歩く』 ・井戸まさえ『日本の無戸籍者』 ・栗原俊雄『勲章 知られざる素顔』 ・山田登世子『贅沢の条件
大阪万博記念公園にある国立民族学博物館で行われている「ラテンアメリカの民衆芸術」は内容的に素晴らしいだけでなく、鑑賞者に謎をもたらすものでもありました。 展示の概要ラテンアメリカの民衆芸術はいわゆるファインアートではないもの、という括りでとりあえずは大丈夫です。 ラテンアメリカでは、民衆のつくる洗練された手工芸品を民衆芸術(スペイン語でArte Popular=アルテ・ポプラル)とよびます。北はメキシコから南はアルゼンチンまで、古代文明の遺物から現代のアート・コレクティブの作品まで、国立民族学博物館が所蔵する作品を中心に約400点のいろいろな民衆芸術作品を展示します。 国立民族学博物館公式ホームページより例えば下のような土人形や素朴な玩具です。 東方三博士の来訪の土人形音を鳴らして楽しむタイプの玩具これが第一章としてずらり並ぶのは圧巻なのですが、展示は早々に「これらはどのような文化や風習か
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