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今年の「かわいい」
note.com/geekdrums_diary
「負債論 貨幣と暴力の5000年」「ブルシット・ジョブ―クソどうでもいい仕事の理論」などの著書で知られる人類学者、David Graeber(デヴィッド・グレーバー)。惜しくも2020年に59歳の若さで亡くなり、最近刊行された「万物の黎明」は遺作として今まさに存在感を放っている。 私は数年前に「ブルシット・ジョブ」を読んで大変な感銘を受けた。なぜ社会に必要とされる仕事はお金がもらえず、なぜ社会の役に立たない(あるいは社会に害をなしている)と”働いている本人すら葛藤を抱く”ような=ブルシットな仕事はお金がもらえるのか。グレーバーの答えに衝撃を受け、以前noteに書いた。 そこからグレーバーの真髄に迫るため、彼の最も有名な著書である「負債論」を手に取ったのだが、この厚さである。まさに鈍器といって差し支えない。結局、読むのに3年もかかってしまった。 David Graeberの大著、負債論を読み
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前からずっと言いたかったことがある。同じ過ちを犯すゲーム開発者に。あるいは、「ゲームを完成させた体験が無い人」に。 あなたのゲーム開発に対する予測は、ほとんどの場合正しくない。それも、20%や40%などの振れ幅ではない。200%とか400%のスケールで大きく間違っている。 私はその感覚を確かめるべく一つのアンケートを実施した。結果は火を見るより明らかな傾向を示した。 個人ゲーム開発者に質問です。「1年で完成させる」と思って作り始めたプロジェクト、実際に完成したのは? — じーくどらむす/岩本翔 (@geekdrums) June 4, 2024 Twitterアンケートの統計的な正しさは保証しない。そもそも母集団が偏っているし、最後の選択肢が「未完成」を含めていることに対して「4年以内に諦めて未完成」の人も含めているかもしれない。が、エターナったという意味では4年以上完成しないもの、に含め
(注1)本記事では、ゼルダの伝説 Tears of the Kingdomのラストバトルを全てネタバレします。クリアした人だけ読んで下さい。まだクリアしてない人は、感動を奪いたくないので、引き返して下さい。 (注2)本記事は、以下のTotK批評記事のネタバレ部分のみ切り出した形式のものです。 両方お読み頂くと、より理解が深まると思います。 軽く↑の記事で説明した前提だけ共有しておくと、私は「BotW以前の3Dゼルダが大好きだった、BotWはちょっと自分の期待と違う方向に行ってしまった」と思っていたプレイヤーでした。 では、ここに残っているのはゼルダTotKをクリアした人だけだと思って、存分にネタバレを含めて解説していきます。 遥か空中で「私にできることがある」と直感した唯一無二の体験Tears of the Kingdomのラストバトルの最終盤の黒龍戦。 魔王ガノンドロフが秘石を飲み込んで
ゼルダの伝説 Tears of the Kingdomを、100時間かけてクリアした。その時の感動は忘れがたく、プレイヤーとしての満足感とともに、一人のゲームクリエイターとして、「こんなものを見せられて、俺はこの後いったい何を作ればいいんだ?」と、打ちのめされる感覚すら覚えた初めての体験だった。 Tears of the Kingdom ようやくクリアしました。 完全に打ちのめされました。 — じーくどらむす/岩本翔 (@geekdrums) June 3, 2023 まずこの記事ではネタバレはしない。ネタバレが含まれる批評については、別記事に分けたうえでそのリンクを貼るので、未クリアの方も安心して読み進めてほしい。 ただそうなると、絶賛部分がほとんどネタバレ含む別記事に取られ、道中の体験を記す本稿においては「自分はこうじゃない方が良かった」という、いわゆるnot for meな点にも言及
読み始める前は、気が重かった。 政治家の不正の話なんて、好き好んで読むものではない。 ましてやそれが、自分の愛するゲームという芸術様式に泥を塗り(彼らは「一概に全てを否定するものではない」という言い回しを繰り返し用いているが、裏を返すと「具体的に何が悪いのか考えもせず、大雑把に全体を否定している」わけだ)、しかもその条例はすでに施行され、曲がりなりにも公権力のお墨付きを得ているなどということは、わざわざ思い出したいことではない。 既に悪名高い香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」、所謂ゲーム条例に関する一連の社会の動き、パブリックコメントの(ほとんど明らかに不正だが、手続き上は罪に問われていない)問題、その背後にある事情を、現地の報道記者として長年追い続けてきた山下洋平さんがまとめた書籍「ルポ ゲーム条例 なぜゲームが狙われるのか」がこのたび発売された。
ネタバレまったく関係ない超序盤のところだけで魅力をお伝えすると、音楽も良いです。ゲーム内時間に合わせていくつかのトラックが同期的に再生されており、違和感なく一つの音楽として重なっていくような部分にもこだわりを感じました。 これは超序盤で「シグナルスコープ」っていう装備を使って、ラジオのチャンネル合わせみたいなことをやるんだけど、かなり音楽的なテーマが感じられますね。これ絶対に惑星直列させて音楽を完成させるのが何かしら絡んでくる予感がするよね。 pic.twitter.com/7j6LMLVSDD — じーくどらむす/岩本翔 (@geekdrums) April 10, 2023 それ以外のことは何も言えないのでプレイしてください。 ではネタバレ区間に入ります。 ルールとしてのSF表現Outer Wildsの魅力とは何と言ってもSF的な世界観の奥深さだが、実際の所、これがSFとして「精緻か」
基本的にネタバレなしで、最後だけちょっとネタバレあり(手前で予告します)という構成にします。 公式サイトからわかる情報では (公式の情報も見ないでやりたいという人は注意) 士官学校の教師として担任する学級を選び、生徒たちを育て、導いていく第一部。 そして士官学校での日々から五年後、三国が相争う戦争を、三国それぞれの立場で描く第二部。 激動の時代を生きる若者たちの成長と共に、フォドラ全土を巻き込む戦乱のきっかけから結末までを、二部構成の物語として描きます。 https://www.nintendo.co.jp/switch/anvya/pc/introduction/index.htmlというわけで、作りからして興味を惹かれる構成になっています。 私はファイアーエムブレムは「覚醒」しかプレイしたことなくて、にわかの部類ですが、風花雪月はやたらとコアゲーマーからの評価が高く、気になっていました
私はかねてより「音楽とゲームの融合」を目指してゲーム開発を行ってきました。先日公開した作品「Same Game, Different Music」では、古典的なパズルゲームである「さめがめ」をプレイするだけで、ブロックを消す順番とスコアに応じて毎回違った音楽が生成・展開されます。 【新作公開】「Same Game, Different Music」を公開しました。「さめがめ」という古典的なパズルゲームの音楽的再解釈を行ったもので、ブロックを消す順番とスコアに応じて毎回違った音楽が生成・展開されていきます。https://t.co/Kj1nzlhcGq pic.twitter.com/s1NtA79Z6V — じーくどらむす/岩本翔 (@geekdrums) December 11, 2022
「渋谷PARCOさんのカルチャーイベント「P.O.N.D.」にゲームクリエイターを送り込もうと思っているんですが、じーくさんを紹介していいですか?」と、IGNの今井さんからお話を頂いたのは今年の6月頃でした。 「PARCOに自分のゲームを展示できる……?」 と、一瞬ワクワクしたものの、まぁ9割5分流れる話だろうと思って正直真に受けてませんでした。 でも「PARCOのカルチャーイベント担当者」というおよそ自分の人生と関わりがミリも生まれ無さそうな人に対して、私のゲームが数分であれプレゼンされて「ふーん、こんな変な事やってる人がいるんですね、それで?」くらいの認知をもらえるならそれだけでも嬉しいかな、程度の気持ちでホイホイとお答えしたのが、全ての始まりでした。 AIが生成した「渋谷PARCOのカルチャーイベント担当スタッフ」のイメージそして気がついたら、本当に渋谷PARCOで自作ゲームを展示す
「月曜日のたわわ」をめぐる以下の記事を発端として、Twitter上ではフェミニストとオタク(と大雑把に分類しますが)の対立が起こりました。 私も月曜日のたわわの読者の一人として、これが社会からどのような判定が下されるのか、興味深く見守っていました。賛否ともにできる範囲でいろんな意見に目を通して、大きく違和感を抱いたことがあります。それは、 なぜ、共通の敵である「性犯罪者」という存在を脇目に、「フェミニストVSオタク」あるいは「女VS男」が対立しているように見えるのか、ということです。というわけで、以下のツイートが本ブログの結論になります。
Splatoonを長らく(1,2合わせて3000時間以上)プレイしてきて、辿り着いた感覚があります。 それは、このゲームではSplatoonの知識や腕のみならず、人間としての強さが試されている、ということ。 Splatoonに限らず、格闘ゲームでもスポーツでも、よくできたゲームであれば同じことが言えるような気がします。 今回は色んなゲームや人生にも共通するかもしれない、人間の弱さについての教訓を、Splatoonをやっている方にもそうでない方にも共有したいと思い、筆を執りました。 結論は死ぬほどシンプルで、 ・諦めないこと ・慢心しないこと ・楽しむこと になるんじゃないかな、と思います。プレイしていない人は、「そんな当たり前な」と思うかもしれません。あるいは、プレイしている人は「そんな事で勝てたら苦労しない」と思うかもしれません。 しかし実のところ、「そんな当たり前の」ことを、どんな状況
観測した範囲でも、「よく言ってくれた」という人もいれば、「政治的な主張にゲームを利用しているのはどっちだ」といった反論もあります。 私の感想としては以下のようにツイートしました。(ツリーに続きあり) これか、、 個人的には、楽しむ=開催支持、という受け止め方はあんまりできないなぁ。でも、政治家の方で勝手に「感動したから支持したんでしょ」と扱われることには断固「違えよ!」と言いたい。でもそれが難しいと「楽しむのもダメ」になるのかな。 https://t.co/7SXeFEhbM6 — じーくどらむす/岩本翔 (@geekdrums) July 25, 2021 しかしこの記事に対しても、「自分達の気持ちを素直に吐露したら分断と言われるのか」的な(※だいぶボカしています)反論が出ていて、かつ、最後に「建設的な意見が増えてほしい」としつつも、この記事内ではその事例が提示されていないので、結局この
コロナワクチンは科学的に見れば見るほど、効くって言うのがデマだってわかります。ワクチン全てを否定してるわけではなく、ワクチン打たなくてもいい病気にワクチン打て打てって言っている状況が怖いだけなんです。https://t.co/rlSIaLMLZH — the Lab.,Inc. (@thelabinc1) July 8, 2021 この方は「科学的に見て」「ワクチン打てと言われるのが怖い」と申しております。読んでみた所、この方は少なくとも確信犯的あるいは短絡的な反ワクチンというわけではなく、自分なりに色々調べた上で、「反ワクチンの方が科学的に正しそう」という感触を得ているようでした。 本稿はそうした「ワクチンを打とうかどうか自分で考えて、どちらの情報を信じてよいかわからず悩んでいる」方に向けて書きます。 私自身は明日、接種を予定しており、基本的には多くの方にワクチンを打って欲しいという立場
子供の頃は、世界はとても公正で、価値のある競争に溢れているように見えていた。 テストの点数を競ったり、人と協力して生産的な活動をしていれば、それがいつか社会に価値を生み出すことに利用されるはずだという、無邪気な期待があった。 少なくとも新卒で初任給を得る時点まではこれは正しかった。しかしなぜか、社会人を経験していくごとに、この世界はどこかがおかしい、何なら完全に狂っているような気がしてくる。 社会のためになるような事をしてもお金にならず、しかし一方で、おおよそ社会に与える影響は害の方が大きいような仕事が大金を生み出していたりする。一体自分は何によって対価を得ていて、何に対価を払っているのか、全くわからないのだ。 ここから私自身の経験を少しだけ共有するが、過去に勤めた会社を批判する意図はない。むしろ、そうした経験は実にありふれているのに、「意味のない仕事でお金を稼いでいてつらい」なんていう感
私の大好きな数学者の名言で、「音楽は感性の数学であり、数学は理性の音楽である」という言葉があります。 数を原理とするピタゴラス教団がピタゴラス音律を作り出し、そこから純正律という整数比率によるハーモニーを重視した音律が作られたことからも、音楽と数学の関係性は深いと言えるでしょう。 しかし、 実際に数学を多少わかって、音楽を多少嗜んでいる方であれば、音楽で使われる様々な単位への違和感を感じたことがあるのではないでしょうか。 とにかく既存の音楽理論や音楽文化が、「12音種」「7幹音」「5線譜」「1から数える」すべてが噛み合っていない感じがすごい。この噛み合ってない上で究極の覚えゲーを重ねがけして理論作り上げてんのヤバい。 — じーくどらむす/岩本翔 (@geekdrums) July 12, 2020 音楽を取り巻く数への違和感まずこの「12音階」(ド~シまで、#、♭も含めた1オクターブ以内の
香川県によるゲーム依存症対策に違和感を覚える方が多くいらっしゃいますが、パブリックコメントのような形で意見を伝えるためには、論点を正しく整理する必要があります。 ちなみに、このパブリックコメントですが、ゲーム事業者であれば香川県民でなくとも提出可能だそうです。 というわけで、ゲーム製作者は他人事ではありません。 ここでは、本条例に関する議論の土台を整理し、論理的に本条例案の問題点を指摘することで、パブリックコメントを送る方々にとって参考にして頂きやすい資料を目指します。 また、社会がゲーム依存に対処する手段として、行政ではなくゲーム製作者としての研究や開発、ゲーマーとしての意識を含めた対案を示します。条例による制度化、という強い規制に対しては最大限に慎重であるべきです。 以下、論理的になるよう意識して書いておりますので、読みにくい部分もあるかもしれませんが、この問題を放っておけない人は、ど
このように、問題だらけの条例案ではありますが、本記事では、そういった法律上の問題やプロセスの問題には踏み込みません。それは私の専門ではありません。 ただ、万が一そういった問題がクリアになったとしても、この条例はまったくゲームやゲーム依存症の本当の問題に向き合っていないという点で無意味なものになっておりますので、その点を整理していきます。 それは何のゲームの話ですか? こうした議論を追っていて、一人のゲーム製作者およびゲーマーとして最も違和感を覚えるのが、「ゲーム」が何やら1つの「ゲーム」というものとして扱われていることです。 例えば以下の画像にあるように、香川県議会ネット・ゲーム依存症対策議員連盟の会長、大山一郎氏が「国と地方の協議の場」において発言されていた内容が物議を醸しておりました。 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouginoba/r01/da
こんにちは。テトリスエフェクトの回し者です。 まず、テトリスエフェクトをほとんど知らない人に向けて。 簡単に言うと「音楽とエフェクトなどの演出に凝りまくったテトリス(VRで遊ぶことも可能)」です。 どんなふうに凝っているかというと、ただ背景やBGMが豪華という話ではなく、テトリミノの回転やドロップ、ライン消去といったすべての動作に音楽的な効果音がついて、プレイヤーが音楽と世界を作り出しているような体験ができ、さらに、テトリスを進めることでその音楽や背景が連動して発展して最後にはなんか凄いことになる、というテトリスです。 ご覧の通り、各紙でBest Game of 2018やサウンド関連の賞を数々受賞しており、トレイラーからもその凄さ、気持ちよさが伝わってくるのではないでしょうか。 ここまで読んで「へー!やってみよ!」と思った方は以下何も読まずにテトリスエフェクトを買いに行っていただいて構い
geekdrumsと申します。インタラクティブミュージックの連載でこのnoteをフォロー頂いている方が多いかと思いますが、実はそれと比べるとあまりバズってないゲームデザインの連載も書いていました。 たしかに本業はプログラマーだし専門は音楽なんですが、コミケで2度も「ゲームデザインの魔導書」という同人誌を頒布するなど、ゲームデザインの研究活動も同人レベルで行ってたりします。 この同人誌に執筆したのが、表題にあるゲームデザイン理論「ワンダルクス」です(魔導書という体裁のため、魔法の名前っぽくしています)。 既に01号のワンダールクスの記事は無料公開してたり、また日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN)の夏季研究大会で発表したりなど、少しずつ公開しており、各所で反響を頂いておりました。しかし、これらは少し古かったりアクセスが良くなかったりしてたので、改めてnoteにまとめて広く普及させた
動的な音楽演出「インタラクティブミュージック」オタクのgeekdrumsと申します。オタク視点から見たディズニーランドの音楽演出、とくにエレクトリカルパレードで感動したので語彙力が尽きるまで解説しようと思います。 こちらの記事が含まれる、インタラクティブミュージックの連載はこちら。 どの記事も単体でお読みいただけます。 ゲームでは「フィールドで音楽が鳴ってる」って当たり前すぎるんですが、現実世界でそのような体験ってなかなか無いですよね。自分がゲームのそういった演出の話をすると、よく「ディズニーランドの音響もすごい」という話を聞くので、前から気になってました。 ただ、行った人に「エレクトリカルパレードの音楽演出ってどうなってるんですか?」と聞いても、あんまり具体的に答えてくれる人はいなくて、皆さん「なんかちゃんと合ってますよ」みたいな曖昧な回答しか得られず、まぁ「ゲームみたいに動的に変化する
@geekdrums と申します。音楽プログラマーを名乗っています。ゲーム会社でゲームエンジニア、サウンドプログラマーなどやってきました。 ところで、BGMManagerクラス、作ったことありますか? 地味だし、簡単そうに思えますよね。地味だし簡単そうだから誰も語ってないし、なんとかなると思われてそうですが、意外とめんどくさい、特にRPGなど、戦闘システムとイベントなどの演出がごちゃごちゃ混ざってくるようなものは非常に面倒くさくなります。 そこで今回は、RPG作ってる個人のゲーム制作者とか、あるいは商業でゲームエンジニアやってて、ついでにこれも、みたいな勢いでBGM管理を任されてしまったエンジニアのために、どんな事が必要になってくるのか、どう設計しておくと良いのか、簡単そうなのになんでこうなるのか、という問題を共有しておこうと思いました。 CurrentBGMの保持BGMManagerって
戦場のヴァルキュリア4をクリアして、居ても立っても居られなくなったのでレビューを書きます。 戦ヴァル1の頃から既に完成していたと言われる秘伝の戦闘システム、「BLiTZ」(Battle of Live Tactical Zone systems)。 「戦略とアクション性を兼ね備えた」とか「アクションとシミュレーション、2つのゲーム性を同時に体験できる」とか、公式もゲーム誌のレビューもどこもかしこも「アクションとシミュレーションを足した感じだよ」くらいの言い方をしていますがはっきり言って生温い。 BLiTZの面白さは「足した感じ」とかじゃあないんですよ、アクションゲームより高い緊張感と、シミュレーションより高い戦略性、この2つが奇跡的に同居する、その極値を成し遂げたのがBLiTZなんです、わかりますか?落ち着いて聞いてください、私は落ち着いていません。 BLiTZとは何かターン制のシミュレー
NieRの思い出が蘇ってくるのではないだろうか。ゲームの世界とあまりに調和していて気にならなかったと思われるが、NieR: Automataは全部の曲にヴォーカルが入っている。 そう、ヴォーカル。しかも全曲。 電撃 - 『ニーア』を彩る音楽が生まれる地“MONACAスタジオ”ツアー。『オートマタ』のヴォーカル曲数は……全部!? ゲーム中にもまったく違和感なく溶け込んでいたので普通に思っている方も多いかもしれないが、これは物凄い事である。何がって、「全曲ヴォーカルなのにゲームに完全に違和感なく溶け込んでいる」ことが。 人間は、人間の声に非常に敏感だ。歌が入ると歌に神経を向けてしまうし、次々と歌ものを聴くのはそれだけで結構疲れる。だから、歌ものはせいぜい重要なイベントやバトルなどに留められるのが一般的だろう。 しかし、全曲ヴォーカル入りのNieR: Automataのオープンワールドを50時間
CEDEC2018の次の講演がなかなか面白かった。 意識の統合情報理論 | CEDEC2018 https://2018.cedec.cesa.or.jp/session/detail/s5ae163a207655 このセッションを聞いて思いついたゲームの「面白さ」に関する仮説を提示してみる。大まかには以下のツイートで綴った内容となる。 「意識」とは何か「意識とは何か?」「脳と意識の関係は?」「AIに意識はあるのか?」 という哲学的な問いがあるわけだが、そういう話じゃなくて 「人間は意識を持つ」 を出発点として、 「意識の性質とは何か?」 を探り出し、その性質から脳の意識やAIの意識について統一的に語れるような基盤を作ろう、というのがこの「意識の統合情報理論」であるらしい。 それが「数学的に定義されている」という事が最も興味を惹かれた部分だ。 自分はこれでも数学科を卒業しているので、その価
「風ノ旅ビト」のアートはなぜこんなにも美しいのでしょうか。 私は、アートの言葉ではうまく語れませんが、その理由をゲームデザインの観点から説明できると思っています。 それは「想像を膨らませていない」から。 え、逆じゃないの?世界について想像がふくらむデザインが良いんじゃないの?と思うかもしれませんが、その理由を解説します。 アニメーションなどと違って、ゲームでは「プレイヤーが何をすべきか、何ができるかを想像させないといけない」という話です。 ちなみに、なぜ2018年の今更になって風ノ旅ビトを語るのかというと、CEDEC2018のセッションについての以下のツイートが発端です。 「風ノ旅ビト」はシステムからアートが導かれたとてもアーティスティックで雰囲気を感じるだけでも楽しいゲームなので、アートからコンセプトを固めたように感じるかもしれませんが、実は逆ですよ、という話があります。 この講演におい
ゲーム音楽はループする。 それが常識であり、ゲーム音楽を特徴づけるものの1つであった。 それ以外の音楽は必ず「ループ」ではなく「終わり」がある。ゲーム音楽には終わりがない。なぜならゲームをプレイする時間はプレイヤーの自由に委ねられているから。プレイ中に勝手に音楽が終わってしまうと没入が途切れてしまい、良くないこととされてきた。 しかし、「ループする」ということは演出としていくつかの問題をはらんでいる。 この記事は連載「ゲームと音楽の関係性」第5回。 テーマごとに完結しているので、どの記事からでもお読みいただけます。 まずは 「ループに対する飽き」 英語圏では「Repetition Fatigue」とも呼ばれ、嫌われている側面がある。このため、ゲーム作曲家は色々な方法でこの飽きに対処しようとしている。「何度聴いても飽きない曲にする」というのも良い解決法ではあるが、、 例えば「ゼルダの伝説 ブ
ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのサントラを買う人が知らないゼルダBGMの裏側 全世界70億人のゼルダファンの皆様、 そしてその9割を占めると言われる60億人超のゼルダ音楽ファンの皆様へ。 四月にはゼルダの伝説ブレスオブザワイルドのサントラが発売される。 突然だが……サントラというものが何かご存知だろうか? サントラ、正式名所オリジナルサウンドトラックとはゲームの中に出てくる音楽を音楽単体で抜き出して商品にした上で、なぜか知らんがゲーム本編と変わらん価格で売りつけるというえげつない商売のことだ。しかし、これを60億人が買いたがる。ありがとう任天堂。
突然ですが、 Splatoonの音楽は最高にイカしてる!! Splatoonとかいうゲーム、ゲームとビジュアルと音楽と全てが神なんだけど、中でもとにかく音楽がいい。ゲーム音楽って普通「ゲーム体験と合わさって心に残る」というものだけど、Splatoonに関してはもう正直ゲームと切り離して1つの音楽作品と見ても大好き、なんだこのアウトローでキャッチーで攻めてるサウンドは。 いや、全てが神は言いすぎたわ。マッチングシステムとレーティングシステムとバランシング以外はすべて神。まぁまぁ、頑張ってる開発も楽しんでる人達もいるのは知っているけど、さすがに1700時間もやっていると言いたいことの1つや2つや3つ出てくるというものですよ。 「Splattack!」大好き。ABXYもピコピコが好き。「シオカラ節」は最高だろ。「マリタイム・メモリー」も捨てられない……2はまず「Inkoming!」が神でしょ。そ
前回のnoteが、初のnoteだったんですが、予想以上に多くの反響をいただきました。皆様のゼルダ愛のおかげです。 「インタラクティブミュージック」という言葉を初めて知ったという方も多く、広まってくれて良かった!!と同時に、皆さんの「もっと知りたい」をひしひしと感じました。 「ゼルダ」が「ファイナルファンタジー」に与えた影響コメントの中に、「FF15でインタラクティブミュージックが使われていて初めて知ったけど、ゼルダはもっと凄いことしてたんだ」という方もいらっしゃいました。 (……言っておかないとその後の連載がステマとか言われても困るので最初に言ってしまいますが)そのFF15の技術を作ったのが私です。 連載でお話する事は一切会社の意見ではなく私個人の意見であり、何らかの作品を私が批評してもそれはスクウェア・エニックスとは関係がありません。他社あるいは自社のゲームについていかなる表現をしても私
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