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新装版 奇貨居くべし(五) 天命篇【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 902 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 呂不韋は趙の都の邯鄲で、大路に突然黄金の気が立ったのを見る。そこには秦の公子で人質になっている異人という人がいた。呂不韋は異人をみて「奇貨居くべし」と直感、一世一代の「投機」と見て、本拠を邯鄲に移す。異人の父、太子の安国君は嫡子を定めていないのを幸いに、呂不韋は異人の名を高め、覚えめでたいように仕組んで秦の都に乗り込む。 太子の正妻ながら子がいない華陽夫人が嫡子を決める鍵だが、この華陽夫人は呂不韋が以前楚で逢った南芷だった。南芷は呂不韋の説得を受けて異人を安国君の嫡子と定め、異人は華陽夫人との繋がりを強調するために名を子楚と改めた。呂不韋が紹介を受けた遺児の小梠を子楚が見初め、正妻として子を産む。政 (せい)と名付けられた男の子は、後に始皇帝と名乗る人物。 秦軍が趙の邯鄲に攻
新装版 奇貨居くべし(一) 春風篇【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 858 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 15歳になった呂不韋(りょふい)は、父から命じられた鉱山を視察する旅の途中で、秦が韓と連合して斉を攻める軍勢を目撃する。斉王の矯慢より、魏・趙・燕なども斉の敵に回り、斉は滅亡寸前に追い込まれていた。この年を境に秦の一強時代が始まる。 黄金の鉱山から岩を採取して趙の都の邯鄲にもってゆき、黄金(当時は金属の総称)の含有量を調べる。黄金の気は地だけでなく人からも立つといい、呂不韋にも気が立っていた。邯鄲には旅を同行する鮮乙の妹、芳がいる。その途中で2人は偶然、楚から趙への貢物「和民の壁」と呼ばれる楚の国宝を手に入れる。この鮮芳の家を「和民の壁」を渡す役目を担った楚の役人の蘭相如が、国宝を探しに「連れ」と顔を出した。連れの黄歇は、後に春申君と呼ばれる人物。 呂不韋は「和民の壁」を返す
青雲はるかに(上) (新潮文庫 新潮文庫) [ 宮城谷 昌光 ] 価格: 935 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 范雎(はんしょ)は晋の名宰相の士会を先祖に持つが、家は貧しく官途は閉ざされていた。そこで楽毅に攻め込まれている斉に行って、活躍の場を求めようとするが、斉に居場所はなく魏に向かう。そこで吟尼に会い、そこから原声という美女とめぐり合う。 生涯の友と定めた鄭安平の妹の薬代を稼ぐために、范雎は魏の須賈(しゅか)の家臣となって斉へ向かった。斉では襄王との面談で「法は元々斉で確立したが、商鞅が法を守る法を作って秦に持ち込んだ」と説いて認められ、仕官を誘われた。まずは魏に戻ってからと考えた范雎だが、須賈は襄王から范雎に褒美が下されたことを不審に思い、宰相の魏斉に范雎が機密を漏洩したと讒言する。怒った魏斉は范雎を半死半生にして厠の中に放り込ませた。助けられた家臣から、原声が魏斉の妾になったこ
楽毅(四)(新潮文庫)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 869 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 楽毅は燕の昭王に拝謁するも、燕に援助を行なう力はなかった。しかし昭王は楽毅を「千里の馬」と評価し、臣下に欲しい思いが残る。一方で趙の武霊王の中山攻略は進み、楽毅は残された西と東の一部のみを拠点に、過酷な防衛戦を続ける。武霊王は、退位して太子の何に譲位したが、主父と呼ばれ実権を握り攻撃の手は緩めない。一方で秦に招かれた孟嘗君は、すぐに斉に戻って秦に攻め込もうとしていた。主父の武霊王はその前に中山を攻略しなくてはならない。 楽毅は隠密理に中山王の尚を扶柳から逃がしていた。扶柳攻略に固執していた主父は激怒して激戦が始まる。趙の将軍趙与は楽毅を侮らず、慎重を期して10万の軍勢を擁しても3,700の兵の楽毅に悩まされていた。けれども中山王尚は国の全滅を回避するため、趙の降伏条件を受け入れる決断をす
楽毅(一)(新潮文庫)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 737 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 中山国は燕と趙に接した小国。宰相の家に生れた楽毅は、頭脳明晰で才気の片鱗を見せていた上、斉にある孫子の門への留学することで、その才能が磨かれる。そこで知友となった田氏の子田単と、将来敵として遭いみまえる運命が待ち構えていたことは知る由もない。 趙の武霊王は隣国の中山国を「望見」し、併呑する意欲を隠さない。楽毅は斉の宰相の孟嘗君を訪ねるとその人望に圧倒され、武霊王に対抗するためには孟嘗君の力を借りるしかないと考える。孟嘗君は趙王と異なり、同盟した者は死ぬまで守り抜くという、信義の人であった。 中山を威嚇する趙国。楽毅は孟嘗君に頼るべきと訴えるも、父は魏に頼るべきと判断し、太子が使者となり楽毅を従えて魏へと向う。しかし魏に仲裁する力はなく、成果なく戻った太子を中山王は非情な言葉で迎えた。孟嘗
孟嘗君(5)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 671 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 13歳の時、田文は実の親である田嬰の元に戻ることになった。この時期、秦・魏・楚の勢力が屹立していて、斉は来たる決戦に備えて孫臏が軍の練兵を行なっていた。斉と魏の間で火蓋が切られると、斉は総力を挙げた計16万の兵で攻め入る。孫臏は一度敗れて、大魚を釣る前に小魚を与える策略をとり、魏の将軍龐涓は悪い予感を受ける。孫臏はある木に「龐涓死干此樹之下」と彫らせ、その木の根元で龐涓が戦死することにより復讐を遂げる。斉軍は大勝し魏の国運は衰退した。 白圭は商売に成功すると、黄河の氾濫を防ぐ事業を自費で行う「仁」を実践していた。斉では田嬰が諸国の外交を差配していたが、その下で鄒忌が王に讒言を繰り返し、田嬰に対抗する力を蓄える。秦では貴族にも過酷な律を課した公孫鞅が、王族からの反感を受けて殺される。公孫鞅の妻の風麗
孟嘗君(1)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 704 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 5月5日に斉の君主の子田嬰に子が生れたが、奇数が重なる日(重陽)は縁起が悪いとして「殺せ」と命じる。庭師の僕延は子を匿うため、射弥に田嬰邸への潜入を命じる。射弥の家に行くと、射弥は君主の息女を既に匿っていたが、僅かな隙に射弥は殺され、赤子2人の姿は消えていた。 同じ頃。太子の妾だった風麗は、太子の子を産んだことにするために、赤子を1人捜して欲しいと兄の風洪に頼む。風洪は遊里に行くと、隣室から射弥という男の家を襲って赤子を殺す計画を聞いてしまい、赤子をもらおうとして現場に潜入する。2人いる赤子の内の男児を風洪は貰い、もう1人の女児は隻真という青年がつれていった 風麗の企みは太子に露見して命を狙われる。風洪は風麗と赤子、そして翡媛というもう1人の娘を連れて、かつて世話をした公孫鞅がいる魏に向かう。公孫
呉越春秋 湖底の城 一【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 704 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 2mを超える長身と、それに違わぬ大きな器量を持つ伍子胥(ごししょ)。祖父の伍挙は楚の覇王・荘王の信頼を得、父の伍奢も楚国の重臣を務める。兄の伍尚も領主の人格を有し、伍子胥はそんな兄を支える役目を担う。優秀な臣下を集めるため武術大会を開催して、剣士の崔希、弓の達人の陽可、怪力の傀、遠目の効く朱毛などが集まり、伍子胥の配下となって活躍していく。 楚の平王の太子が秦から嫁を貰うことになり、副侍徒長の費無極(ひむき)が迎えに行くと、その美しさから王の側室に薦めてしまう。喜んだ王から褒美に側近として仕えることになった費無忌は、王への注進で太子を廃して権力を握る。費無極の野望は更に膨れ上がり、家宰として人望が篤い伍奢と子の伍尚・伍子胥の兄弟を除こうと王に讒言を繰り返す。平王は伍著を捕えて人質とし、伍
孔丘 上【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 880 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 大国に挟まれた小国の魯で生まれた孔丘(孔子)。父は早くから死に別れ、母は孔丘を置いて家を出ていく。貧しい中生活した孔丘は15歳になると、儒学で身を立てようと決意する。葬儀を司るも中には墓荒らしもする儒家を、葬儀の中にある礼を学び、教える立場に変えようとした。 孔丘は宇宙の原理たる礼を社会における秩序と捉え、庶民を精神世界へと善導しようとしていた。しかし魯の下級貴族である陽虎は、礼は貴族社会にのみ適用すればよく、庶民には不要とした。孔丘は30歳で老司書から「惟敲学半(いこうがくはん)」という言葉を知り感動する。人を教えることは、半分は自分が学ぶこと。この言葉は学び続ける孔丘の生涯を決定づける。 魯国にも騒擾が渦巻く中、孔丘は留学を兼ねて当時中国の都であった周に赴くと、ここで孔丘は老子と出会う。老子が教え
子産(上)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 814 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 中国の春秋時代中期。北に晋、南に楚という大国に挟まれていた鄭(てい)。名門にも関わらず礼を重んじるため周囲を併呑する道を選ばず、時に晋、時に楚に付く外交を強いられていた。 穆公(ぼくこう)の公子に生まれ、姉に屈指の美女と謳われた夏姫を持つ子国は、軍人として優れた力量を備えていた。鄭は当時成公が楚と友誼を結んでいたが、宰相の子罕は晋と同盟を結ぶべきと考えていた。楚は晋から楚に誼を結んだばかりの鄭に、宋と戦うよう命を出す。子罕はほどよく戦って前面対決を避けるように目論むが、子国は少数を率いて宋を追走し、将軍2人の首を取る功績を上げる。子罕は苦虫を潰すも子国の活躍を褒め、子国は徐々に家中で重きをなす。 子国の嫡子の子産は若くして故事由来に詳しく、父の近くで家臣の言に耳を傾け、子細なく情報を得ることで天下の
晏子(四)(新潮文庫)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 693 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 晏弱の葬儀が終わると、子の晏嬰(あんえい:晏子)は3年の喪に服す。そのころ斉は超大国の晋との戦いを余儀なくされて劣勢に立たされていた上に、後継者争いが激しさを増していた。頃王に愛されていた公子牙が優勢だったが、太子光は死の床の霊王から後継の指名を受けたと強弁して、結局は太子光が荘公として君主となる。 晏嬰は晋との戦にも後継者争いの政争にも与しなかった。粛々と古式に乗っ取った服喪を続け、荘公が君主になる頃ようやく完遂させる。その姿勢に、上夫たちは尊敬の目を向けた。また荘公を推した崔杼(さいちょ)だが、その後の強権な手法によって人心が離れてしまうと懸念していた。人心をつなぎ止めるには、国内で尊敬される晏嬰を近くに置く必要がある。 荘公の政道により、国内は殺伐とした雰囲気になっていくが、晏嬰は
晏子(一)(新潮文庫)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 737 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 春秋時代の中期。西から秦・晋・楚・斉と大国が並び、このうち晋と楚は超大国として君臨していた。そんな晋の家臣の郤克(げきこく)が斉の頃公(けいこう)に会同の出席を求めるが、頃公らは郤克の容貌を侮辱して恥をかかせてしまう。そのため頃公は晋が主催する会同への参加を渋り、結局代理として家宰の高固を派遣し、晏弱(晏子の父)が供をすることになった。 晏弱は斉の西方の宋の公子だが、宋王の後継争いに巻き込まれたため、一族が宋を出て斉へ亡命した経緯があった。そのため晏弱は自分を受けていれてくれた斉に特別な愛情を持ち、斉のためならば命の危険も顧みない決意を持っていた。 会同に向かう途中、斉から追放された崔杼(さいちょ)から「晋は頃公が出向かない斉の使節に、最悪の出来事を起こす企てがある」との情報を得る。不穏
夏姫春秋(上)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 682 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 字を「姫氏」とする鄭の君主の娘に生まれた夏姫は、10歳にして妖艶さを漂わせる。兄の子夷によって女の性が開花されると、周囲を驚かせるほどの魅力を放つように。この兄妹の艶聞が耳に入った父は、噂が広がる前に嫁がせようと算段する。相手は陳の公族で、字から「夏氏」と呼ばれる少西氏の子息、御叔。当初相手の御叔はこの嫁取りに消極的だったが、夏姫を見ると虜になる。一方御叔の父は、夏姫が不幸を招くと危惧する。 当時北の晋と南の楚の強国に挟まれていた鄭と陳は、難しい舵取りを迫られていた。子夷は楚に向かい、人質同然の待遇を受けていた。一方夏姫は御叔との間に息子徴舒(ちょうじょ:字は子南)が生まれたが、間もなく夫の御叔に先立たれてしまう。 楚の王が亡くなり子夷は鄭に戻ると、鄭と楚は同盟するべきと考える。楚の新君主の荘王
華栄の丘【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 560 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 華元(かげん)は宋王室の分家にあたり代々丈夫を務め、職管はないが貴族の間では一目を置かれていた。対して君主昭公の評判は悪く、弟の公子鮑が兵を挙げるとの噂がたつ。昭公の祖父襄公の王妃で王宮で力を保持してきた王姫は、公子鮑の側に信望のある華元を推挙し、ともに宋を粛清し再建せよと命じる。 公子鮑と対面した華元は、自分から兵を挙げてはならず、宋が公子を必要とするまで耐えよと献策する。公子鮑はこれを受け入れ、弟の公子須に国内最大の勢力である桓氏との付き合いを控えさせた。王姫はその様子を見て華元を評価し、次に離反した国人の心を取り戻して、昭公を孤立させる手筈を整えていた。 間もなく昭公は亡くなる。華元が2つの陰謀を払いのけることで、公子鮑は文公として即位することができた。華元は宰相である右師に任命される。但し宋の
孟夏の太陽【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 880 円楽天で詳細を見る 晋を支えた趙家の物語。文公(重耳)を支えた趙衰から始まり、趙盾、趙朔、趙武、趙成、趙鞅、趙無恤という趙家7代の内4人を描いた、連作の短編集となっている。200年に亘る期間、晋国という巨岩にくっきりと走る鉱脈のような存在の趙家を、いかにも宮城谷昌光らしく連作で描いた。 1 孟夏の太陽 晋の公子の重耳が放浪する中、狐氏の邑で重耳に妹を、付き従った趙衰は姉があてがわれ、趙衰の子は趙盾(ちょうとん)と名付けられた。趙盾が10歳の時重耳と趙衰は狐氏の邑を離れ、残された趙盾は母と暮す。 やがて重耳が文公として即位すると、趙衰は母子を呼び寄せる。趙衰は既に重耳の娘の君姫を正妃として3人の子を産んでいたが、正妃は趙盾を長兄として敬うように厳しくしつけた。間もなく重耳がそして趙衰が逝去し、趙盾が後を継ぎ趙孟と呼ばれる。孟とは長子を
沙中の回廊 上 (文春文庫) [ 宮城谷 昌光 ] 価格: 803 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 重耳が長い放浪から帰国し文公として即位した頃、国内で反乱が起きる。駆けつけた士会は逃げた文公を保護するために探し回るが、混乱の中で反乱軍の1人を逃してしまう。 士氏の家は晋国の重柱だったが、文公が即位してからは、放浪に従っていた臣が重用されていた。衰運の中文官が多い士氏の中で、唯一武に長じていた士会を、一族の者たちは将来を開く人物として期待を寄せていた。 周の内紛を文公が鎮めることで、晋は版図と名誉を得た。その影響で楚の盟下にあった宋が晋の配下に転じたため、楚の成王は晋に向けて軍を北進させ、城濮(じょうぼく)の戦いで激突する。楚は強国だったが、士会は集団で運用する練兵で強さを発揮して敵を打ち破り、晋軍を勝利に導く。これにより士会は文公の上士として認められた。 *楚の成王(ウィキペディア)
介子推【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 803 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 山に行ってくると言い残したまま、友人の石承とその父は2日経っても戻らなかった。介推(のちの介子推:かいしすい)が探しに行った場所は、病に効く水が湧き出るが虎が出没し、立ち入る里人が度々虎に襲われ命を失っていた。介推も虎に襲われ瀕死の重傷を負ってしまう。介推の母は命を賭して病に効く水を汲みに行くと、石承親子は虎に襲われた傷が癒え里に戻って来た。その頃介推は不思議な老人から、介推が虎を殺すと予言される。 要領が良く上昇志向の強い石承は、仕官を望むために里から出て邑に向かうが、介推は里にとどまった。そして20歳になった石承は公子夷吾に仕え、士になって帰って来た。石承によると、夷吾の兄重耳は主君毒殺の疑いを受け放浪生活をしているという。対して弟の夷吾は上手く立ち回って、君主の座に就いたらしい。 2年後、介推は重
重耳(上)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 516 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 曲沃を支配する称は、晋王から分家された祖父が統一君主の座を狙っていたが、縄侯が先んじて周王から君主に認定されてしまい、不満が高じていた。称は勢力の拡大を模索すると、北方の狐氏が交誼を求め、2人の娘を称の子詭諸(きしょ)の嫁として送り届ける。占いによると、このうち1人が天下に号令する人物になると言う。 1人の娘が重耳 (ちょうじ)を産み、その前にもう1人が申生を産んだ。称は氏長の狐突に、申生を教育するように頼む。狐突は当初重耳の師となるつもりだったが申生に付いて、重耳には自身の子を仕えさせることにした。 周王室の疑念を払拭するため称が王都に送り込んだ士蔿(しい)は、半年後に周の動向を記した報告書を携えて戻ってきた。しかし報告書が余りに見事なため称はかえって危ぶみ、秘かに不鄭(ひてい)と趙公明・趙夙(ち
沈黙の王【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 866 円楽天で詳細を見る 短編集ですが、中国文明で特質すべき「文字の起源」と、(西)周が滅亡して春秋時代に入る経緯を紹介した作品があるので、取り上げました。三代(夏・商・周)から離れた残る1編は、直木賞を受賞した名作 「夏姫春秋」の後日談と言える内容。 霞がかかるほど遠い昔の「点描」のような作品集です(なお作品は年代順に並べ替えました。掲載順は1と2が逆です)。 1 地中の火 (夏王朝:BC1860年頃) 中原で后羿(こうげい)を首領とする族は、いつの間にか一大勢力になっていた。そこに野生のような男の寒浞(かんさく)が現れ、時の夏王朝でさえ、后穿の弓矢を防ぐことはできないと吹き込む。 后羿は乗せられて夏王朝を破るが、自分の族の被害も大きくなる。そこにつけ込んだ寒浞は、為政も外交もそして謀計も優れていた。まず后羿を主から棚上げして実権を握ると
太公望(下)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 774 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 商の受王(紂王)の側に叔父にあたる箕子と比干がいたが、王は諫言をする彼らを煙たがって遠ざけ、自分の力で体制を改革しようとしていた。対して愛妾の姐己は艶麗さで王を取り込み、紂王は姐己を喜ばせるために 「酒池肉林」と呼ばれる祭典を催す。そして周公を除く三公の陰謀が発覚し、鬼公を含む三人は極刑で謀殺された。 同時に周公父子もそろって捕縛され、嫡子は殺害さてしまう。商に対抗でいるのは周だけであり、ここで周公を失うと商を倒すことはできない、と望は考える。そして対策を練る周公の二男の発(のちの武王)は、望の知恵を頼りにしていた。 周公が獄から出されたが、商は10万の兵を集めて東夷征伐の軍を起こす。商は全軍で50万の動員が可能だか、周の動員能力は10万がやっと。周公は商と戦っても利あらずと考え、兵略の才がある望
太公望(上)【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 774 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 商の王、帝乙が崩御した。死に対して従者の付き添いが必要という理由で、関係のない羌族が犠牲となる。羌族は人々を斉(ひと)しいと考えたため指導者がなく、優秀な民族にも関わらず武力は乏しかった。父は子の望(後に太公望)に「狐竹へ」と遺言して亡くなり、望を含め6人の子供たちが残される。望には、商への復讐心が宿される。 望は弟たちを連れて遙か北東にある狐竹を目指した。その途上で自然界の霊徳を受け入れ、苦難には蓄えた資質を駆使して乗り越え、また幸運にも助けられる。望の前に現れた鬼方の主は、望が優れた心機を持つと見抜いて迎え入れた。鬼方は西北の大族の王で、東北の大族の土方に匹敵する勢力を持っていた。 望は商に復讐するため、鬼方と土方を糾合して商に対抗しようと考える。その中間にある箕邑は、商王受の叔父で宰相の箕子
王家の風日【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 1120 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 夏王朝を継いだ商(殷)は550年ほど中原を支配した。その28代国王の子の箕子(きし)は北の遠国に配されたが、民から慕われる治世を敷いていた。そのうちに父が崩御し長兄の羨(えん)が王位を継ぐ。箕子は中央に戻るが羨とは相性が悪く、無聊をかこっていた。 羨は亀の甲羅を使った亀卜(占い)に凝り、弟の干子(かんし)は兄の命令で異族の九候に亀を所望する役目を担う。得た亀で祭祀を営み、祭祀が増えると器具が必要になる。器具を作るには銅が必要となり、銅山開発には奴隷が必要となる。そのしわ寄せは羌(きょう)族に向かった。 羨后は帝乙と名乗り専制君主となる。帝乙の横暴な政道に対して諸侯の心は離れていくが、地方を治める箕子には皆心服していた。やがて羨が崩御すると、箕子が以前から見所があると見ていた帝乙の三男の受が後継とな
小説 伊尹伝 天空の舟 上【電子書籍】[ 宮城谷昌光 ] 価格: 880 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 神女から洪水を予言され、桑の樹の空洞に嬰児を匿うよう神託を受けた女は、後ろを振り向いてはいけないとの忠告を破ったため、桑の樹に変えられてしまう。その樹の洞にかくまわれた嬰児が洪水で流され、やがて有莘氏の君主の娘に発見された。君主の莘后(「后」は王の敬称)はその子を拾い上げ、料理人に育てる。その子は「摯(し)」(後の伊尹(いいん))と呼ばれる。 摯は料理の才能を見せる一方、その容姿と出生の秘密から評判にとなる。噂を聞いた夏王朝の王「発」は夏王宮に招き、学問も学ぶことになった。しかし王宮は発の嗣子「桀」が暴力を振るい、時には命も狙われる危険な場所になる。 摯が19歳の時に養父の莘后が亡くなり、久しぶりに帰国する。その頃夏王朝を支えた葛伯は商国を侮蔑したため、商の湯后は葛邑(邑=首都)を攻
これからは中国を舞台とした歴史小説を取り上げます。まずは宮城谷昌光が描く、中華統一に至るまでの古代中国史。キリスト教布教以前の古代ローマと同じくまだ儒教も仏教も浸透していない、人間が「素」で生きていた時代は「封神演義」や「キングダム」で身近になりました。 ところで世界史の授業で中国はわずかなもの。しかも時代を細切れにして行ったり来たり。おまけにこの時日本は原始時代のため比較ができず、中国史は手探りの状態でした。 そこで自分のアタマを整理するために、中国のおよそ「4千年前から2千年前」までの、宮城谷昌光作品にかかる年表を作成しましたので、参考にしてください。 もう1つ重要なのは、統一までの春秋・戦国期は諸侯が群雄割拠していたこと。日本と違って「土地勘」がなく、諸国の位置関係がわからないと(私です)、作品の理解が進まないこともしばしば。そこで大まかな地図も作成させていただきました。 この地理関
1年前も年末年始の特別編として(番宣がてら💦)行いましたが、昨年末にちょうど歴史小説の日本史編が終了したこともあり、12のくくりから私の気に入っている記事を取り上げたいと思います。こちらも前回と同様、小説の優劣ではなく記事の好みで選出しています。(なお前後編で掲載した作品は、全て後編をアップしました) 1 司馬遼太郎 日本を俯瞰する20選 個人的にも大好きな小説で、昨年NHKのドラマが再放送されたことをいいことに(?)、再掲した記事。書評をまとめる際、日露戦争を描く小説の開始がなぜ明治維新なのかを改めて考えました。俳人の子規を含めた数多くの登場人物たちが、「開花期」を迎えた日本で自分の居所を探し、そして結果を出していく姿に感銘を受けました。 そして40年周期で迎える日本の「断層期」。間もなく訪れる次の周期に不安がよぎります。 次点は「燃えよ剣」。若い時はチャンバラ時代劇と感じたタイトルが
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 昨年もお正月は特別企画を開催しましたが(とは言っても自分のブログの番宣💦)、今年は私が昔から妄想していた「歴史の偉人による内閣」をまとめたいと思います。 ところが昨年「もしも徳川家康が総理大臣になったら(以降「もし徳」)」が先に映画化されてしまいました。一方で私が妄想する内閣は「キャッチ-」な顔ぶれとはほど遠く、地味で真面目です。 映画の閣僚とも比較しながら、眺めてくださいませ。 内閣総理大臣 源頼朝 当初は「織田信長内閣」を作る気満々でしたが、「信長では、閣僚が萎縮するよね」と考え直しました(信長だと、皇帝か絶対君主)。候補として大久保利通や浜口雄幸を考えましたが、共に当時は人気に乏しく、断念。 源頼朝は家臣が全くいない流人から東国武士団を統率することに成功。次いで朝廷の「天下の大天狗」後白河法皇を相手に上手く立ち回り、東国
「通史」から独立させた今回のくくり。古代からどんどん入れていく内に、特に幕末から明治にかけての作品の「取りこぼし」が目立ってしまいました。宗教編は最初からパスしましたが、結果的に画家に偏りがあった印象で、さっかや幕末の技術者について取上げられなかったのがちょっと残念です。 *幕末の蘭学者は、こちらでご了承くださいませ。 文化・技術の小説化は意外と難しい。はじめに創作物ありき。対して小説の対象は人物になるため、主人公と作品が「私の」アタマの中で交差しないこともあり、取上げるのを断念した小説もあります。 ここで「文化・技術編」通しての感想。松尾芭蕉の記事でも触れましたが、後世から「天才」と呼ばれる人たちも、全くゼロから作り上げるものではなく、従来あるものを「芸術」に昇華する発想と能力が優れていたのだと思いました。 「白砂糖は黒砂糖からできるのだ」 秋山真之(坂の上の雲より) (注)実際には出来
クロカネの道 鉄道の父・井上勝【電子書籍】[ 江上剛 ] 価格: 1700 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 野村弥吉は長州藩の名家井上家の3男に生まれ、野村家の養子となって英語と航海術を学んだ。長崎留学中に、肥前藩が行った鉄道模型の試運転に立ち会って心を奪われた弥吉は、洋行して鉄道の技術を学び、そして日本全国に鉄道を敷設したいと夢見る。 ちょうどその頃長州藩では、執政・周布政之助が西洋技術を学ぶ必要性を感じて国禁の英国留学生を計画し、弥吉はその1人に選出された。後に長州五傑(長州ファイブ)と呼ばれる井上馨・山尾庸三・遠藤謹助・伊藤博文らと、半年かけてロンドンヘ渡る。 ロンドンに着いて半年ほどすると、諸外国が連合して攘夷を実行した長州を攻撃するという記事が掲載された。ロンドンで世界文明との格差を思い知った5人は、このまま長州が戦えば滅亡すると危惧する。帰国論が高まる中で、弥吉は5年間英国で
広重ぶるう(新潮文庫)【電子書籍】[ 梶よう子 ] 価格: 935 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 江戸の定火消屋敷の同心の子として生まれた重右衛門は、幼いころに描いた絵が周囲から褒められたのが忘れられない。歌川豊国への入門を断られると歌川豊広に入門し、師と自分から一文字ずつとって歌川広重と名乗る。しかし役者絵、美人画に手を出すも、評判は全く振るわない。30代になっても、妻の加代に貧乏を強いる日々が続いている。 そのころ風景画で有名な「画狂人」葛飾北斎が、見たことのない「青」の顔料を使って、富士を題材に連作で描くことを知る。懇意の版元、岩戸屋喜三郎の伝手で手に入れた、べルリンでつくられた「ぷるしめんぶるう」、通称「べ口藍」を一目見ると心が奪われる。どこまでも抜けていく空の色、紺碧の空の色と捉えることを思い立ち、作画の方向性が定まる。 べロ藍を使って描いた江戸の空の色。版木師と「べロ蓋」の
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