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■目次: (1) はじめに (2) 「アラブの春」という嘘(1) (3) サルバドル・オプション――NATO側諸国からシリアへの「死の部隊」移設作戦 (4) 「戦争賛成左翼」への道――ジルベール・アシュカルとその植民地主義的利用者たち (1) はじめに リビアに続いて、「人道的介入」という名の帝国主義的侵略が、シリアに対して(も)差し迫っている。11月23日、NATOのリビア侵略を主導したフランスのアラン・ジュペ外相は、「シリア国民評議会」(SNC: Syrian National Council)――カダフィ政権を転覆した「リビア国民評議会」のシリア版――の代表と会談し、(欧米諸国でいち早く)NATOによる「人道的回廊」の設置を含めたシリアへの「人道的介入」について公的に言及し、法的にも実質的にも象徴的にもシリア国民をまったく代表していないSNCを、「我々が手を携えたい合法的なパートナー
最後に、2007年に発覚した「ゾエの箱舟」事件――スーダンの国連ミッションに参加していたフランス「人道」NGOが、チャドの黒人児童に対する組織的な人身売買容疑で現行犯逮捕された事件――をめぐるスノーの記事を掲載する。原文記事執筆時以降の事件の経緯については訳注に含めたので、ここではフランスがチャドの旧宗主国(侵略国)であるという歴史的経緯を改めて喚起したい。 東西アフリカの中間に位置し、赤道アフリカと北アフリカを結ぶチャド湖の周辺地域では、ヨーロッパ帝国主義によるアフリカ侵略・植民地支配を決定的に加速させた1884年の「ベルリン西アフリカ会議」とほぼ同時期に、統一国家ラビーフ帝国が成立し、19世紀末のアフリカ民族解放運動の一大拠点が築かれた。ラビーフ軍は1891年3月に行われた最初の戦闘でフランス軍を大敗させ、以後も数度にわたって侵略軍を撃退し続けた。フランス軍の圧倒的な挟撃作戦による一方
最後にあと二つほどスノーの翻訳記事を紹介しておきたい。一つは、北部からの分離独立を決定した2011年1月の南スーダンの住民投票について、スノーがブラジルの新聞から取材を受けた際のインタビュー記事。もう一つは、日本でも多少報道されたことのある、2007年の「ゾエの箱舟」事件――スーダンの国連ミッションに参加していたフランス「人道」NGOによる黒人児童に対する組織的な人身売買をめぐる事件――である。後者については次回に掲載する。 南スーダンでは、有効投票の98.83%という圧倒的賛成多数の住民投票結果を受けて、独立が成立したが、これを南スーダンの人々の「自決権の行使」と呼ぶには、先進国による選挙操作と介入、それらに先立つスーダンへの歴史的な介入は、あまりにも深刻なものである。 「内閣府 国際平和協力本部事務局」の2011年3月付の報告書によれば、南スーダンの住民投票では、国連スーダン・ミッショ
南スーダンでのPKOをめぐって自衛隊の派兵がいよいよ現実味を増してきている。というわけで、関連していくつか海外記事を紹介したい。一本目は、やや古いものだが(2006年9月15日付。初出は"Workers World")、カナダの独立系メディア「グローバル・リサーチ」に掲載された、「スーダンはなぜ国連軍を拒むのか」という記事である。今から見れば分析の甘さが目につく部分もあるが、日本ではほとんど報道されない「ダルフールを救え」キャンペーンの制作秘話を知ることができる。なお、原文は英語だが、人名・地名はアラビア語本来の発音に近い表記に直している。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ ■スーダンはなぜ国連軍
最近の反原発運動の流れの一つに、「日本にも緑の党を」という動き(への一定の支持)がある。リベラル・左派がとりわけ評価しているのがドイツの緑の党で、同党から複数の議員が日本に招かれて様々な交流が行われている、のだが。 カダフィ大佐は、内戦を引き起こすリスクを冒している。この血塗られた大量虐殺を終わらせ、リビアの人びとを解放するための緊急アクションが必要である。 〔中略〕 私たちは、現代史において最も野蛮な体制のひとつに対して抗議しているリビア人たちの悲劇よりも安定と交易に関心を払う、特に西側諸国における世界中の指導者たちの、過度に及び腰な反応に遺憾の意を表明する。 グローバル・グリーンズは、国際的及び地域的組織や政府、特にリビアにおける独裁体制に対してもともと寛容で支持してきたものに対して、独裁者の代わりにリビアの民主的勢力への支援を求める。41年間のカダフィ統治はもうたくさんだ!商業的利益
今年は8月15日が休刊日のため、各紙とも「8・15」の社説は14日に掲載された。今年の社説は、『毎日』を除いては、敗戦と東日本大震災を重ね合わせ、「先人」(≒「英霊」)に日本の「復興」を誓うという類の構成を取っている点で、原発問題をめぐる主張の差異(温度差)はあれ、主要紙の論理はほぼ収斂していると言える。 『産経』は、「国策遂行指導の誤りにより重大な失敗を重ね、無残な破局に至った」「66年前の日本」と、「非常事態を想定外として考えてこなかった戦後日本」――とりわけ「戦後民主主義者が集まる国家指導部」〔注:民主党政権のこと〕――の「リスク感覚」を批判し、「自ら死地に赴いた英霊の祖国繁栄の礎になるという思いに応える」ために(も)、「「強く、頼れる国」として日本を立て直す」しかない――その一環として「世界一安全な原発を目指し、これまでの技術力を発展・継承していく」べきである――と述べている。 産
小出裕章氏への批判は一回限りで終わらせるつもりだったが、私が思っていたよりも事態は遥かに深刻らしいので、本意ではないが再度批判する。以下は、「小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ」に掲載されている、「岩上安身氏による小出裕章氏インタビュー」要旨からの抜粋である(強調は引用者による)。なお、私自身は余裕がなくて動画を直接視聴できていないが、他のまとめサイトをいくつか確認した限り、以下の要約は的確であると思われる。 ・(濃厚な汚染をしている土地から離れている人たちにも食物を通した間接被曝の可能性はある。そういう人たちに対しては?)福島や周辺県の農業、漁業を守らないといけない。お茶は静岡、神奈川まで汚れているが、そういうものを拒否すると農業が崩壊する。原発に頼ってしまい農業漁業を崩壊させてきた国の方向を直さないといけないと思ってきたが、事故をきっかけに逆に崩壊が加速しかねない状況。これまで原子力
安全な食べものなんてもうないから 子どもを守るために大人は食べてください 食べ物への汚染は永遠につづく――。 小出裕章さんはこう言った。 今、私たち大人に残された選択肢とは、“食べる”ことだ。 これは『週刊金曜日』最新号(6月10日号)の特集「放射能と食」に掲載された小出裕章氏のインタビュー記事である。周知のように、小出氏は原子力工学の専門家として、約40年にわたって孤立無援に近い状況で反原発の立場を貫いてきた良心的な科学者であり、私も敬意を持っている。けれども、小出氏のこの主張――「どんなに放射能で汚染されていても、〔中略〕大人はあきらめて食べてください」――だけは、絶対に容認するべきでないと考えるので、以下、緊急に批判する(もっとも、小出氏の言説を丁寧に追っている読者であれば、小出氏がこうした主張を行っている事実は目新しいものではなかったのだろうが、怠慢な私はつい最近になって初めて知っ
今週はもう更新しない予定でしたが、本日否決された内閣不信任案をめぐる一部リベラル・左派のはしゃぎぶりには、改めて圧倒されました。今日(平日昼)の小沢派のTL(例:@hanayuu)更新速度は尋常じゃないですが、僭越ながら、みなさんお仕事や学校は大丈夫なんでしょうか(それとも、もう日本にはいないんでしょうか)? 低気温のエクスタシー:「政局は一転したがこれは「実質的な小沢勝利(優勢勝ち)」だと思う」 http://www.asyura2.com/11/senkyo114/msg/235.html 「小沢の勝利」についてはスルーさせていただくとして、小沢(派)に「脱原発」など期待できないことは、民主党が挙党一致で「原発輸出促進法」(株式会社国際協力銀行法)を成立させたという一事で証明終了だと思うのだが(ヨルダン、韓国、ベトナム、ロシアとの原子力協定や、日米共同での放射性廃棄物のモンゴル「輸出」
以前、扶桑社の「超世代文芸クォリティマガジン」こと『en-taxi』(慶應義塾大学・福田和也ゼミの同人誌的自称クォリティマガジン)で連載中の加藤陽子・佐藤優・福田和也の鼎談を紹介したが(「加藤陽子、「天皇は戦争責任の被害者」史観を語る」)、このシリーズ「歴史からの伝言」の最新号(2011年春号)が凄いことになっている。鼎談のタイトルは「危機下の宰相――原敬と「おとな」の政治」(「Series 歴史からの伝言 vol.5」)。タイトルから予想されるように福島原発「事故」後の情勢を踏まえた鼎談だが、各種の設定はデフォルトで大日本帝国になっている。佐藤の第一声を手始めに、主な妄言を抜き出してみよう(強調はすべて引用者による)。 ●「統帥権の発動」 佐藤 三月十六日に天皇のビデオメッセージがありました。「人々の雄々しさに深く胸を打たれ」たと。この「雄々しさ」という言葉は明らかに明治天皇が詠んだ御製
連休前からしばらくバタバタしていて、ブログの更新が滞ってしまったが、この間にもリベラル・左派メディアの腐乱は着実に進行していたようである。『週刊金曜日』2011年4月15日号では「電力会社に群がる原発文化人の罪」と題する特集が組まれ、同誌社長改め編集委員の佐高信が「電力会社に群がった原発文化人25人への論告求刑」(pp.14-17)なる記事を書いている。この記事は『週刊金曜日』2011年4月26日臨時増刊号にも再掲され(▼1)、@syukan_kinyobi上で絶賛宣伝中である。 ところで、佐高のこの記事の後には、(佐高の意向を汲んで)編集部が作成した(「原発文化人25人」を含む)「電力会社が利用した文化人ブラックリスト」が2ページ(pp.18-19)にわたって掲載されている(これも4月26日臨時増刊号に再掲され、同様に@syukan_kinyobiで絶賛されている)。さっそくリストを拝見
【4/22 追記】 本文を一部加筆・修正した。ところで、ブログ「全体通信」の最新記事を読みながら改めて思ったが、uedaryo氏が金光翔さんや私のブログを見ているのであれば、この間、私はともかく金さんに、このようなくだらない批判に取り合う暇がないことくらい容易にわかりそうなものである。仮に、uedaryo氏が自らへの批判を最大限回避する意図をもって、あえてこの時期にトラックバックを送りつけてきたのであれば、そうした行為は軽蔑に値する。 ちなみに、uedaryo氏は昨日の記事で「私はもう疲れた。とにかく今はゆっくり休むことにする」と臆面もなく発言している。「金光翔氏やmedia debugger氏はダメだ」などという罵倒記事を書いておきながら、自分は「歴史問題への関心がひと段落付いた今、リハビリを優先」するというのだから恐れ入る。やはり「uedaryo氏はダメだ」。 ------------
岩波書店労組は、金光翔(キム・ガンサン)さんの「除名」を愚かしくも決め(金さんは以前から脱退の意思を表明していたのに!)、岩波書店は、(岩波書店労組との)ユニオンショップ制の労働協約があるので「解雇せざるをえない」と、金さんに通告してきました。 ユニオンショップ制は、これまでも、執行部の路線に反対する組合員を職場から排除する為に悪用されてきました。 金さんの所属する首都圏労働組合が、岩波書店の職場に1人しか組合員のいない労働組合であっても、その団結権は、何者によっても否定することのできない権利です。ユニオンショップ制もしくはそれに類する労働協約が、岩波書店労働組合と岩波書店との間に締結されていたとしても、それに基づいて金さんを解雇する義務も権利も、岩波書店側には無いのです。金さんに対して「解雇せざるをえない」との通告書類を送ってきたことは、きわめて不当なことであり、絶対に許されることではあ
宮城県が朝鮮学校への補助金の打ち切りを決定したという。 横板に雨垂れ:「暗い予感-被災地の朝鮮学校に対し補助金交付の打ち切りを決定した宮城県」 http://yokoita.blog58.fc2.com/blog-entry-129.html 私も4月1日に宮崎県知事宛に以下の抗議メールを送った。 このたび宮城県が朝鮮学校への補助金の打ち切りを決定したとの報道に接し、一筆申し上げます。 昨日3月31日付の産経新聞の報道によれば、「北朝鮮による韓国・延坪島の砲撃事件を受けて凍結していた」2010年度分の「152万1840円は未曾有の東日本大震災の被災地という人道的な見地から31日、交付した」とのことですが、この理屈に従えば、2011年度も「未曾有の東日本大震災の被災地」である宮城県は、朝鮮学校への補助金を支給し続ける義務があるはずです。もし2011年4月1日付で宮城県はすでに「東日本大震災の
アジア・太平洋戦争末期における米軍の日本本土空襲が、ある日突然――日本によるアジア侵略の歴史と無関係に――始まったわけではないように、現在の福島原発の事故(人災)をめぐる一連の事態も、日本によるアジアおよび第三世界への被爆「輸出」――被害に先立つ加害の歴史的経緯――と無関係に論じることはできない、と私は思う。樋口健二著『アジアの原発と被曝労働者』(八月書館、1991年)からその一例を引いておくが、そもそも「原子燃料サイクル」はその始まり(採掘)から他国の労働者の被爆を前提とするものである。 「四日市公害裁判」に敗訴した翌年1973年にマレーシアに進出した三菱化成は、現地企業(ベー・ミネラルズ社)との共同出資により、錫鉱石に含まれるモナザイト鉱石を原料として希土(レア・アース)類金属を抽出・精製するARE(エイシアン・レア・アース)社(▼1)を設立した。ARE社は1982年4月にペラ州・ブキ
先日の記事で、佐藤優が率先して煽り、マスコミやネット上にもすでに浸透している、原発作業員や自衛隊員らを顕彰する言説と、靖国の論理の同質性に触れたが、さっそく佐藤がその正しさを実証する発言を重ねてくれている。佐藤は福島原発の事故(人災)をめぐる一連の事態を「戦争」と呼び、明治天皇の「御製(和歌)」まで持ち出して、次のように述べている(強調は引用者による)。 日本国家と日本人の存亡はここ数日間の菅直人首相の事態に対する認識、評価、そして決断にかかっている。日本国民1人1人がこの重要な瞬間に、自分でできることを考え、菅首相を支えることが重要だ。福島第一原発事故の対策本部に全国民が参加しているという認識を持ちたい。節電、食料やガソリンの買い溜めをしないことで菅首相を支え、当面の危機からわれわれ日本人の力を結集することで脱ようではないか。米国も国際原子力機関(IAEA)も誠実に日本を支援している。し
佐藤優が早くも「東京電力の原子力専門家」や自衛隊員を(死者として)顕彰している。 16日未明から福島第一原発4号機をめぐり危機的状況が生じている。国家の総力をあげてこの危機を乗り切らなくてはならない。 現場では命を捨てて東京電力の原子力専門家、自衛隊員が危機の回避につとめている。日本人同胞と日本国家のために文字通り命を賭して働いている人に心の底から感謝する。日本人にはこのような、静かだが強い愛国心がある。われわれのこころの中に眠っている愛国心を引き出し、団結して国難に対処しよう。 〔中略〕国民1人1人に求められるのは、日本人の底力に対する自身と信頼を再確認することだ。日本人は、ふだんは国家や民族を意識しなくとも、危機に直面すると、強い同胞意識と静かな愛国心が燃える。だから事態に冷静に対処できる。 【佐藤優の眼光紙背】:「日本国家と日本人の生き残りは国民の団結にかかっている。」 http:/
いやー、さすがにこれはないだろ。 現在、われわれがかけなくてはならないのは「頑張れ東京電力!」というエールだ。 【佐藤優の眼光紙背】:「頑張れ東京電力!」 http://news.livedoor.com/article/detail/5412425/ これは民主党―東電の原発(輸出)利権と何か関係があるのでしょうか・・・と思ってしまうが、ここまで言うからには佐藤にはよほどの勝算があるのだろう。この大震災を機に「国家翼賛体制」を完成させることの勝算が、である。実際、この記事が更新されてからのコメントには佐藤に肯定的なものが圧倒的に多くなってきているし、個人的にも(原発に反対している)友人から、今さら政府や東電を批判しても仕方がないのではないかといった意見を聞かされた(もちろん反論したが)。 (1)原発事故はあってはならない。 (2)しかし、現実に原発事故があったからには、原発を推進してきた
佐藤優がさっそく大震災に便乗して「国家翼賛体制の確立」を連呼している。 今後3カ月は国家非常事態と認識し、日本社会が団結し、国民1人1人、企業、労働組合、宗教組織などの団体が自発的に日本国家を翼賛することを訴える。 【佐藤優の眼光紙背】:「国家翼賛体制の確立を!」 http://news.livedoor.com/article/detail/5409634/ いま必要なのは、言葉の正しい意味で菅首相を翼賛することである。翼賛とは、本来、国家指導者を国民がそれぞれの立場から助けることを意味する。1人1人の国民、団体がそれぞれの立場から、菅首相が日本国家と日本人のために最適の決断ができるように努力することだ。菅首相は、能力主義の観点から、与野党を問わず、官民を問わず、必要とされる人材を登用して、危機に対応するべきと思う。 われわれ日本人には大和魂がある。日本人が日本人であることを支えるのが大
日本の反貧困運動とレイシズムの関係性を考える上で、欧州で近年――とりわけ9・11以降――顕著に見られる福祉排外主義について、その特徴と(日本国内の)言説構造を分析することは、なかなか興味深いテーマになると思う。今回は手始めに、宮本太郎と水島治郎の言説(の変遷)を通じてその概観を探ってみたい。 1.水島治郎「オランダにおける反移民政党の躍進――「ポストモダンの新右翼」の出現?」 福祉排外主義(「福祉ショービニズム」)とは、福祉国家体制の改革・再編にともなって出現する、福祉国家を擁護する立場から移民などの民族的マイノリティに対する抑圧・排斥の必要性を唱える言説・運動である。水島治郎は、2002年の論文「オランダにおける反移民政党の躍進――「ポストモダンの新右翼」の出現?」(「海外事情」2002年10月号、pp.64-79)で、オランダにおける「「リベラル」かつ「リバタリアン」な価値を承認する「
最近、「社会保障改革に関する集中検討会議」のメンバーのインタビューやら著作やらを拾い読みしている。「社会保障と税の一体改革」のための「検討会議」が消費税増税の地ならしであることは、佐賀県警の論理の崩壊ぶりになまじ引けを取らないほど自明なため、あらかじめネタバレの推理小説を読んでいるような気分が味わえるが、個々のプロットにはそれなりに衝撃的な発見もあったりする。その筆頭が、宮本太郎「幹事委員」責任編集の『自由への問い②社会保障――セキュリティの構造転換へ』(岩波書店、2010年)に収録されている山口二郎の巻頭論文(「生活保障としての安全保障へ」)だろう。 最初に、本シリーズの意図らしきもの(「編集にあたって」)を押さえておこう(強調は引用者による。以下同様)。 本シリーズは、自由をキー・コンセプトとして現代社会の問題状況を具体的に明らかにするとともに、私たちが自由を相互に享受することを可能に
前二回にわたって湯浅誠と佐藤優の「対話集会」を観察してきたが、「湯浅誠書店」では初回のトークセッションとして佐高信との対談が行われている(「対話集会」と同じく下記サイトで視聴できる)。個人的な感想を言えば、持ち時間の数分の一を「芸者」ネタの政談に消費する佐高のダメさ加減が閃光を放つ対談だと思うが、それは今さらどうでもよい。どうでもよくないのは、湯浅がこの対談で与謝野馨への信頼感を表明していることである。 湯浅:「私ね、話聞いてくれるっていう意味では与謝野さんですね。与謝野さんは(!)真面目に聞いてくれる。じーっとこっちを見て、あの、こっちは喋ってるんですけど。あれは驚きましたね。あんなにちゃんと話を政治家に聞いてもらうことって、まずないので。」(01:05:50-01:06:10) 佐高:「なるほどねえ。」(01:06:10-01:06:11) 湯浅:「それはすごく、こう、この人信用できる
ご存知の方も多いと思うが、池袋のジュンク堂で半年ほど前から「湯浅誠書店」が開催されている。この「湯浅誠書店」のイベントの一環として、昨年9月26日に佐藤優をゲストに招いて「対話集会」なるものが行われた(佐藤は二回目のトークショーのゲストで、初回は佐高信、三回目は金子勝がゲストに招かれている)。やや古い話題だが、最近見てしまったUstreamの記録映像が予想以上にひどい内容だったので、遅ればせながら言論の自由を行使することにしたい。 ジュンク堂書店作家書店:「湯浅誠書店」 http://www.junkudo.co.jp/14sakka.html 最も理不尽極まりないのは、「まったくのタブーなし」の「対話集会」(©佐藤優)と銘打って始まったこのトークセッションで、会場から挙げられた外務省批判に対して、佐藤が肝心の批判にはまったく答えないまま、発言者をひたすら罵倒しまくり、しかも湯浅を含め会場
年末から体調不良でブログの更新が滞っていましたが、そろそろ再開することにします。久々の更新なので、あまり(私の)頭が回らなくても済みそうなTwitterログの紹介を。 --------------------------------------------------------------------------------- 普天間基地は済州島に移設すればよいという酷すぎる主張をしているのが辺真一だが、Twitterにはその辺真一すら絶句すると思われるつぶやきを発している人物がいる。言わずと知れた(?)伊勢崎賢治であった。 普天間基地移設。海兵隊を「竹島」に。延坪島事件で、「日米韓」の強化が盛り上がりつつあるから、案外? 先々週に来ていただいた小川和久さんの講演を聞いた後、わが韓国人学生のアイディア。 http://twitter.com/isezakikenji/status/107
片山貴夫さんのブログより緊急転載します。 米海軍関係のサイト『Information Dissemination』の記事です。 今回の米韓合同軍事演習に日本の海上自衛隊も参加しているのです。 菅直人首相が、27日から合同演習が終わる12月1日までの間、全閣僚に東京都内で待機するよう指示した本当の理由でしょう―“不測の事態が起こりかねない”ことを分かっておいて、朝鮮共和国および中国に対する挑発的軍事演習に日本も参加しているのです。 片山貴夫のブログ:「メモ10 今回の米韓合同軍事演習に日本も参加している。」 http://katayamatakao.blog100.fc2.com/#entry-92 片山さんは「誤訳の可能性も有ります」と書かれていますが、元記事を確認したところ誤訳ではありません。以下に私の文責で翻訳します。【11/30 訂正】一部誤訳があったので訂正します。 北朝鮮が延坪島
先日の浅井基文氏批判に続いて、今回は尖閣=釣魚島(Diaoyu Dao)をめぐる前田朗氏の言説を見ていこう。 (2)前田朗「尖閣諸島問題の基本文献について」 前田朗氏は、CMLという左派MLで、10月14日、10月15日、10月20日に、尖閣=釣魚島をめぐって発言されている。前田氏の発言の要旨は、「いずれにしても、井上説は過去のものとなって」おり「これに依拠して尖閣諸島領土問題を語ることは危険であり、もはや時代錯誤の域に入りかね」ないというものである。私は「井上説」のみに依拠して尖閣=釣魚島の歴史的経緯を語っているわけではないが、前田氏の投稿を読まれた読者が、日本国家・日本国民に対して尖閣=釣魚島の帰属問題を日本のアジア侵略の歴史の中に位置づけさせようとする要求(私のブログ記事も含むが、主には中国を始めアジア民衆からの抗議)を、「時代錯誤」であるとして切り捨てるようになっては堪らないので、
前田朗氏批判に先立って、前田氏が(別に前田氏に限らないが)井上清の『「尖閣」列島―釣魚諸島の史的解明』を「過去のもの」として切り捨てる際に、その有力な根拠としている、浦野起央著『尖閣諸島・琉球・中国――日中国際関係史』(三和書籍、2002年/増補版は2005年)を読んできた。初版はしばらく前に読んでいたのだが、増補版は図書館の予約が埋まっていたので、人目を憚りながら増補部分を本屋で立ち読みしてきたのだった(ある書店の軍事エリアに在庫を発見したが、定価は10500円であり、あらゆる意味で購入は論外である)。 結論から言えば、浦野の著書は、ただ井上の論文に対する実証的な反論になっていないというだけでなく、一冊の本としても読むに耐えない代物であったと思う。以下に、これが言いがかりではないことを示していこう。 ●教えて!浦野起央――尖閣=釣魚島(Diaoyu Dao)はほんとに日本の領土なの? 質
「尖閣諸島=釣魚諸島の歴史的経緯は?」、「続:尖閣諸島=釣魚諸島の歴史的経緯は?」に続いて、尖閣=釣魚島(Diaoyu Dao)をめぐる左派の諸言説を批判する。というか、これらはもうほとんど片っ端から批判していきたいくらいであり(▼1)、昨日中国で展開された「反日デモ」も、単に日本の極右による「緊急国民行動」に対抗する一時的な動きとしてではなく、左派を含む「オール・ジャパン」現象(要するに日本の右傾化)に対する根底的な異議表明として捉えるべきだと思う。 とはいえ、いくらなんでも左派の諸言説をあらかた批判している余裕はないので、ここでは以下の三氏の言説を取り上げることにする。 (1) 浅井基文「日中関係への視点」 (2) 前田朗「尖閣諸島問題の基本文献について」 (3) 目取真俊「中国漁船の船長釈放について」 この三氏をことさら選んだ理由は、上記の言説が、<佐藤優現象>に疎遠あるいは批判的な
尖閣諸島=釣魚諸島沖合で海上保安庁に逮捕・拘置延長されていた中国漁船の船長が解放された。9月25日の各紙社説の内容は改めて紹介するまでもないだろうし(▼1)、マスコミやネットの論調を見ても、ほとんど誰もが佐藤優と大きく違ったことは言っていないようである。ほとんど誰もが佐藤優とたいして異なることを述べていないのだとすれば、それはほとんど誰もが間違っているのである――としか私には思えない。 以下は主に9月24日以前に書いたものだが、前回記事の続きとして掲載する。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 尖閣諸島=釣魚諸島沖合での海上保安庁・巡視船と中国漁船との衝突と、その後の情勢に便乗し
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