「中村天風と植芝盛平 氣の確立」藤平光一著 よりご紹介します。 あるとき私は天風先生に、クンバハカのような、あんな呼吸法はダメですよ、と言ったことがある。 すると先生は、「どういう意味だ?」と私の顔を見た。 クンバハカとは、天風先生が弟子たちに教えたヨガの呼吸法で、不動の心と身体をつくることを目的としていた。つまり、これができれば、リラックスも心身統一体もできるということである。しかし、私にはそうは思えなかったのだ。 「いや、先生、クンバハカというのは間違っていますよ。だって先生、クンバハカをやっていますか?」 「いや、やっておらん」 「じゃあ先生は、自分でやっていないことを人にやれと言うんですか?」 「うーん・・・わしはいつでもできるからいいんだ」 「ねえ、先生、いつでもできる状態にあるということは、つまり、いつでも完全にリラックスしている状態にあるということですね」 ちょうど、そのとき