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bunsen.hatenablog.com
泉鏡花の恋愛至上主義は代表作の「婦系図」に見られて、反恋愛とされる権力の一族はピストル自殺、投身自殺へと追いやられる。これが当時一世を風靡した通俗小説である。 婦系図を上回る恋愛至上と反恋愛に対する苛烈な復讐といえば「夜叉ヶ池」であり、泉鏡花の作品としては現代ではこちらのほうが人気だろう。 鉱蔵「(略)女郎一人と、八千の民、誰か鼎の軽重を論ぜんやじゃ。雨乞を断行せい。」 (略) 百合「あれ、晃さん、お客様、私が行きます、私を遣って下さいまし。」 晃「ならん、生命に掛けても女房は売らん、竜神が何だ、八千人がどうしたと! 神にも仏にも恋は売らん。お前が得心で、納得して、好んですると云っても留めるんだ。」 雨乞いの生贄の娘の伝説、そして信じられざる伝説を信じる現在の男女の恋愛があった。それに対する反恋愛の権力たちへ、伝説の恋愛が復讐をする。村は大洪水に沈み、八千の民は魚やタニシやドジョウとなり、
ままならない天気に対して人が関わってゆく態度として、船上でわざわざ雨をかぶりにゆくとか故郷の島で晴れ間を追いかける姿が良かったですね。 雨は降ることが判っていればその瞬間を待つことができそうです。それもよかったけど、晴れ間を追いかける様子のほうがずっとよかった。降る雨が移動するのを追いかけるのは難しいけど、晴れ間だったら追いかけることができる。なぜなら、雲から漏れた光は地上を狭く照らし出して、天気が目に見える形でその姿をさらしている。見晴らしさえよければ、その明るい天気の影を追いかけて走れば天気に触れることができる。何もない離島だから帆高は天気を、晴れ間を追いかけることができて、高い病棟に居たから陽菜は晴れ間を廃ビルの上に見る。 島の果てへ辿り着いてしまったら、今度は海を越えてまで晴れ間を追いかけてゆきたいくらいの気持ち。ままならないものに触れようとするのは、深く思い入れるということです。
「宇宙よりも遠い場所」(よりもい)第1話の水の風景が好きです。私はいつも水や星や夢のことばかりですが、よりもいの星と夢の話はこれまでに書いたので、今回は水の話をしたいと思います。 ※最終話までの内容を前提としていますので、最後まで見ていない方はご注意ください。 1.水辺のこと まずは、耳を澄ませましょう。「宇宙よりも遠い場所」の第1話が始まると、ほら、すぐに汽笛が聞こえてきますよ。ボーッと港じゅうに響くのはきっと船が出る合図でしょう。 出港の汽笛はまだ控えめに聞こえてくるだけですが、これから船の物語が始まるような感じを受けます。南極観測船のしらせ5003、のちのペンギン饅頭号が物語の舞台となるのは第7話と8話、9話、あとわずかに13話といったところですが、それでも船にはシリーズを通した存在感があったと思います。第1話の冒頭で汽笛は船の気配を伝え、呉港に停泊するしらせの舵のカットを経て砂場の
気になるところを中心に、追加中。 ・公式情報 ・メディア (2018/6/25更新) ・舞台探訪 (2018/6/25更新) ・南極地域観測隊関係 ・イベントレポート ・語り、評論、その他の取り組み (2018/6/1更新) 緑字は私のメモです。 【公式情報】 ■ 公式サイト ・監督インタビュー ・いしづかあつこ監督、シリーズ構成・脚本 花田十輝さんコメント ・キャストコメント ・南極チャレンジ! もっともっと南極を知ろう!インタビューリレー ■ MADHOUSEサイト 『月のワルツ』から『宇宙よりも遠い場所』へ いしづかあつこ監督の軌跡 ・連載第1回目(2017年12月25日) 最新作『宇宙よりも遠い場所』への想い、目指すもの (2017/12/25 告知:https://twitter.com/Madhouse_News/status/945203963938316288) ・連載第
アニメ「宇宙よりも遠い場所」第2話で歌舞伎町を駆け回った3人と2人の軌跡を描いてみました。 あの夜、みんながどんな風に走ってたのかを、もっと考えていたかったのです。 それで、そうするためには矢印を描くことかなと思って、報瀬さんの「逃げて!」に始まる猛ダッシュをカット番号1として、全52カットの動きを矢印で追えるようにしました。 こうして全力で疾走して、さっと別れたりまた合流したりすることによって、普通の街がアトラクションみたいに見えてくるのは面白いですよね。いしづかあつこ監督はプリンス・オブ・ストライド オルタナティブのときもそんな楽しくて爽快な映像を作っておられたように思います。 さて、地図のほうはちょっと説明がいるかと思いますので、以下で見てゆきますね。 (地図はスワイプかクリックで大きく表示されます。) 【場所A】エロうま野菜と肉寿司 カンビーフ歌舞伎町店(作中では「エロうま!肉バル
《劇場版 響け!ユーフォニアム》はおよそテレビシリーズ版の再編集ですが、声をぜんぶ録り直したり新しいカットもあるということなのでむむむと集中して観てきました。帰宅してからお風呂に入ったりしてぼーっとしてるうちに黄前さんの声や作品中の音について改めて思うことがあったのは、劇場版に刺激されたからかもしれないし、テレビシリーズから1年が過ぎて少し距離を置くことができたからかもしれません。 わたしは黄前さんの声の様子に引き込まれて、テレビシリーズ第1話の冒頭をなんども繰り返し見たものでした。ここでは吹奏楽コンクールの場内がざわめくなか、黄前久美子さんのつぶやきだけが漏れ聞こえてきます。ひとりごとだった声のそのまま続きであるみたいに、次の声は彼女の隣にいる少女へと向けられます。ひとりの声は黄前さんと高坂麗奈さんひとりずつの声になって、そこで黄前さんがまたひとりごとのように漏らした声から、ふたりの会話
【まえがき】 サクラノ詩、という作品についてはあまり言葉にならないです。答えは自分の暮らしの中に織り込んでゆこうと思いました。 ただ、それでも、暮らしというよりは私自身の天体嗜好症に引き寄せて、かつて空想していたことと響き合ったり、新たに発見した美しいことがありました。だから、サクラノ詩が天体を参照する際に私が感じたきらきらをどうにかこうにかここに並べてゆきます。 【星めぐりのハンドル】 冬の夜空に見えるのは冬の星座ですが、深夜を過ぎると東の空から春の星座が昇ってきます。冬の花は冬に、春の花は春にしか咲かないけれど、天の星座は一日のうちに季節の移ろうことを、夜更かしのあなたは知っています。 星と花の季節の巡りを魔法として備えたのが天球儀植物園でした。これは私が20年くらい前に空想した施設で、ずっと考えているうちにいろんな形をとりましたが、そこには星と星を回す機械があって、それが巨大な温室に
仙台市八木山動物公園より海を望む 9月14日、Wake Up, Girls! の永野愛理(えいのあいり)さんのイベントに参加するため仙台へ向かった。はやぶさ1号に乗って一路東北を目指すなか、車窓から見えた山の名前を確かめようと Google Map を開いたら田村という地名が目に入った。その隣に伊達市もある。まだ列車は宮城県仙台市よりもずっと手前であって、なるほど、仙台藩伊達家の旧地は福島県にあるのだった。田村は伊達政宗公の正室、愛姫の故郷として記憶していた。このあたりのことはNHK大河ドラマ独眼竜正宗を見ていておよそ覚えている。 中学の頃のドラマだったかと思う。当時、アニパロコミックスで高橋なのさんが "Dandy dragon" という独眼竜正宗の二次創作を描いておられて(Amazon.co.jp: Dandy dragon (OUT COMICS): 高橋 なの: 本)、その影響もあ
1. 故郷のスーパーマーケットが本日で閉店になった。ちいさい頃よく連れられていった場所で、改装のときすでに名前も建物も変わってしまったのではあるが、あの場所からスーパーがなくなってしまうことは僕の記憶する街の、かつて在ったその層がまた深くなっていったように感じられた。 正月、帰省した際に聞いてはいたが正確にいつ閉店なのかは意識してなかった。本日閉店の知らせは関西からTwitterのタイムライン上を流れてきた。僕が東にいるときは西のことを思い出して西にいるとき東のことを思い出すというように、思い出を探るときはいつも西と東を行ったり来たりになるのだがその話は折にふれ伊勢物語や竹芝のことで書いてるし、また今度まとめようかと思っている。 本日は東京なう、秋葉原の話である。何十年も経てば街なんてどこかしら変わってく。ただ、秋葉原の変化は電気や映像できらきらしている。だから秋葉原は変わった、なんてわざ
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